YAMAP / ヤマップ

東北百名山

  • 帝釈山

    標高:2060 m

    • 福島

    体力度

    13

    福島県と栃木県の県境に連なる帝釈山脈の主峰。山深い場所にそびえることから、かつては“幻の名山”と呼ばれることもあったが、福島県桧枝岐村側からの林道が登山口の馬坂峠(うまさかとうげ)まで開通したことで多くの登山者が訪れるようになった。絶滅危惧種に指定される日本固有種・オサバグサの群生地として知られ、峠から山頂までの間と、山頂から稜線続きの田代山までの間は6月中旬前後、ランプシェード形の白く可憐な花を数多く見ることができる。馬坂峠から山頂までの登山時間が50分ほどと短いことから、田代山の湿原まで往復する登山者が多いが、湿原の花々はオサバグサの花期よりやや遅いので(年によって大きく異なる)、事前に役場や観光協会などで確認しておくといい。

  • 体力度

    3

    岩手県北西部の滝沢市、雫石町、八幡平市にまたがる活火山で別名、巌鷲山(がんじゅさん)。秀麗なスタイルから南部富士、南部片富士、岩手富士などとも呼ばれ、石川啄木がその歌集『一握の砂』で詠んだ「ふるさとの山に向ひて言ふことなし ふるさとの山はありがたきかな」の歌は、故郷の岩手山をたたえた作品としてあまりに有名だ。複雑な火山形態を有する大きな山体の山頂部には直径約1㎞の大噴火口があり、中央部の御室火口はいまも水蒸気を噴出している。柳沢、焼走り、鬼ヶ城など変化に富んだコースは数多いが、アクセスの便利な柳沢コースの人気が高い。それでも往復の歩行時間は10時間ほどになるため、八合目の避難小屋(有料)に泊まるスケジュールがおすすめ。

  • 体力度

    2

    山形県の中央部にある出羽三山の一座であり、世界でも珍しい半円形のアスピーテ型火山(出羽三山神社のHPより。ただし、活火山ではない)といわれる。そのなだらかな姿から臥牛山(がぎゅうさん)などとも呼ばれ、豪雪地帯に位置することから夏スキーの名所としても有名だ。山頂には月山神社本宮と月山頂上小屋が立ち、北面の八合目にも有人小屋がある。月山神社は6世紀の創建と伝えられ、山岳信仰の古社として多くの修験者や参拝者を集めてきた。俳人・松尾芭蕉も夏の月山に登ったことが『奥の細道』に記され、山頂の南西面には句碑も置かれている。リフトが利用できるコースをはじめ登山コースはいくつかあるが、登山者の増加につれて高山植物の盗掘の報告も増えている。

  • 体力度

    12

    福島県北部、吾妻連峰・吾妻火山群に属する活火山。山名の由来として、平安中期の武将、安部貞任(空海などの僧という説もある)が聖典である一切経をこの山に埋めたという説がよく知られている。活火山ゆえに、浄土平から山頂へと続くメインコースのある南面一帯は岩礫だらけで味気ないが、山頂から見おろす瑠璃色の五色沼は感動的だ。魔女の瞳、吾妻の瞳とも呼ばれるその絶景は、コース下部にある酸ガ平湿原・鎌沼とともに一切経山の魅力を高めている。なお、2020年3月現在、噴火警戒レベルこそ1に下がっているものの、大穴火口からの火山ガス噴出などの影響でメインコースは通行できない。山頂に立ちたい場合は、北東面にある高湯温泉側の不動沢登山口から家形山中腹を経由することになる。

  • 体力度

    23

    遠野市・花巻市・宮古市の境に位置する。柳田国男の『遠野物語』にも登場する山で、山岳信仰や神話がいまも残る。日本地質学会によって「岩手県の岩石」として選定された蛇紋岩で形成され、“日本のエーデルワイス”と呼ばれるハヤチネウスユキソウやナンブトウウチソウなどの固有種が多いことで知られる。山頂の南側には国の特別天然記念物である森林植物群落が、北側には天然記念物であるアカエゾマツ自生南限地もあり、特有の植物構成を見せる山だ。こうした特性から、自然保護のため携帯トイレの使用が義務づけられていて、山頂トイレも携帯トイレ専用となっている。なお、一般登山者が不安なく登れるコースは小田越コースの1本で、最短の河原の坊コースは当分の間、通行止め。

  • 体力度

    34

    山形県西部と新潟県北部の県境に連なる朝日連峰の主峰。豪雪地帯の山だけに遅くまで雪が残り、7月上旬頃まではピッケル、アイゼンがほしい山だ。大きな山塊ながら、北アルプスなどと異なって食事・寝具付きの山小屋は稜線上にはなく、山上で宿泊するには有料避難小屋の利用が必須となる(テント泊は禁止)。その場合、食料や寝具、炊事用具などが必要となり、技術、体力とも中級レベル以上の山といえるだろう。よく歩かれるのは朝日鉱泉と古寺鉱泉をベースにしたコースだが、日帰りで往復するにはかなりの体力がないと厳しい。また、以東岳からの縦走コースは前夜泊1泊2日となる。なお、古寺鉱泉は休業中で、近接する大江町営古寺案内センターが前泊に対応した代替施設となっている。

  • 体力度

    12

    秋田・岩手県境の秋田駒ヶ岳(標高1,637m)は、最高点の男女岳(女目岳)をはじめ、男岳や女岳、横岳、小岳などを総称した火山地形の山。高山植物特別保護地区に指定される豊富な高山植物の宝庫で、ニッコウキスゲやタカネスミレ、コマクサなどが梅雨から夏の終わりまで開花する。火山地帯だけに温泉も多く、宿泊地に事欠かない。数ある登山道のうち、最もポピュラーなのは北面の八合目登山口から。1時間半ほどの登りだが、周囲を見渡す大展望や池の周囲に展開するお花畑など、この山の魅力が凝縮したコースだ。時間があれば、北東へ伸びる稜線をたどって烏帽子岳(乳頭山)まで行けば、より充実した山行になるはずだ。

  • 体力度

    13

    岩木山は青森県弘前市と鰺ヶ沢町に位置し、標高1,625mは県内一の高峰である。信仰の対象として古い歴史をもつ、津軽の人々のふるさとの山となっている。山中には5本の登山コースがあるが、よく歩かれるのは「津軽一の宮」岩木山神社里宮からの百沢コースと、名湯・嶽温泉からの嶽コース。前者は岩木山固有種のミチノクコザクラ(花期7月中旬・ただしこの頃はまだ残雪がある)が見られる。後者は山麓からブナ林をひたすら登っていくコースだが、八合目まで車道が通っているので(さらにリフトで九合目まで行ける)、短時間で岩木山神社奥宮が建つ山頂に立てる。その山頂からは、同じ県内の名峰・八甲田山や白神岳、津軽海峡などの雄大な展望が楽しめる。

  • 体力度

    12

    岩手県と秋田県の県境に位置する、その名のとおりのなだらかな山。古代の噴火の影響で火口湖や小さなピークが点在し、夏の花の時期は何とも美しい景観を見せる。県境の登山口から山頂までの標高差はわずか70mほどで、歩行時間は約30分。日本百名山のなかで最も楽に山頂に立てる山のひとつだ。平らな山であり、針葉樹に包まれていることもあって展望はそうそう期待できないが、八幡平三大展望地と呼ばれる山頂東側の源太森、茶臼岳、南側の畚岳(もっこだけ)からは近接する岩手山などの大きな眺めが広がる。また、近年話題となっているのが、山頂近くにある鏡池の雪解け時のみに見られる「八幡平ドラゴンアイ」だ。池水と残雪がつくる巨大な目の玉を見られる時期は5月中旬~6月中旬。

  • 体力度

    2

    青森県青森市と十和田市などにまたがる八甲田山は、1902(明治35)年の「八甲田雪中行軍遭難事件」で知られる。ひとつの山ではなく、18の峰々で構成される一つの大きな山体の総称である。最高峰である八甲田大岳(標高1,585m)や高田大岳などを中心とする北八甲田連峰と、国道103号を挟んで南に対峙する櫛ヶ峰をはじめとする南八甲田連峰に分かれる。高層湿原に咲く花々から秋のブナや湿原の紅葉、冬の樹氷まで、四季を通じて楽しめる山だ。最高峰の八甲田大岳へは、八甲田ロープウェイを利用する最短コースと、酸ヶ湯温泉を起点とする毛無岱(「岱(たい)」は湿原のこと)経由と仙人岱経由の2つのコースが主な登山道。