飯豊山周回(ダイグラ尾根~梶川尾根)
飯豊山・大日岳・御西岳
(福島, 山形)
2023.10.03(火)
日帰り
日本屈指の名峰、飯豊連峰。飯豊山荘からの周回コースで登ってきました。
今回、ワタクシの19年の登山歴で体力面・精神面でも最もハードやったんで、備忘録として詳細を書きます。長文になります。
飯豊山荘横の駐車場で車中泊。深夜1時過ぎまで大雨で登山も中止のつもりやってんけど、1時30分には雨がやんで急に星空が見えだした。電波の通じる所まで車で降りて飯豊山の天気予報を確認したら、今日は1日晴れ。ただし午前中は風速14mの強風。前日に磐梯・吾妻・安達太良の3座いっぺんに踏破して脚には乳酸が溜まってるし、どうしようかかなり迷ったが、やはり決行することにして再び飯豊山荘へ戻る。
午前2時スタート。ダイグラ尾根ルートは地図上では点線。どんな道かとワクワクして行ったけど、山頂までの7時間、ずっと泣きそうでした。
スタートして川沿いの林道はまだよかったけど、林道が終わると「これどこが道?」ってくらいの大荒れ状態。ホントにここで合ってるのかなぁと不安になりYAMAPの地図を思いっきり拡大して確認するもルート上になってる。しばらくして暗闇の中に大きな構造物が見えた。こんな山奥に何?と思ったら吊り橋でした。ほとんど人も通らないような荒れ果てたルートにこんな立派な吊り橋があるなんて・・・。
踏面の幅が40㎝くらいのなかなかスリル満点の吊り橋でした。
橋を渡るといきなり急登。歩くと言うよりもよじ登る感じ。
汗をかいて体が冷えないようにゆっくり登る。しかし・・・こんな急登を登っているのに体が温まらずに寒い、普段よりも2枚追加して着込んだのに寒い。顔から汗は出るけど、胴体と腕が冷えて冷えて。なんで?これはヤバい、低体温症になるのでは?と言う不安の中、とりあえず進んだ。予報通りの強風と言うか暴風で、登山道はまだ樹林帯の中なので自分は直接暴風は受けないけど、木々の葉っぱがものすごい音をたててざわめいている。
稜線に出てもこの風なら撤退しよう・・・と思ったけど、稜線に出る前に体の冷えで不安が増して、本当に撤退かどうか迷った。ほとんど登山者も通らないであろう破線のルートでしかも非常に嶮しい。迷いつつもゆっくり歩を進めて行った。
5時過ぎ、ヘッデンも要らなくなるくらいになって少し不安が解消。東の空のビーナスベルトを見て元気を取り戻す。だがしかし明るくなっても道の険しさは相変わらず。トラバースの箇所もとても多いのに、踏面が水平でなく山の斜面のままで歩くと谷側にずり落ちそう。しかも嶮しい尾根ルートで谷側に一歩ずれたら滑落なので慎重に歩く。
事前にYAMAPでこのルートを夜に通った人のレポを読んで予習していたので、「あの人達もこんな思いで登ったのかなぁ」なんて思いながら歩く。
山頂までの行程の8割くらい進んだところで樹林帯を抜け出し、視界良好になる。道は相変わらず荒れていて、マーキングも全然ないので何度もロストしては戻って修正した。
山頂直前、ブロッケンが現れて喜ぶ。昨日も磐梯山で見たので2日連チャンでのブロッケンです。
7時間かけてやっと飯豊山の本峰山頂に到着。山頂には他にも1名がいました。今日、暗闇の中でスタートして、撤退も考える不安の中で7時間歩いてきたので、久しぶりに見る人間で涙が出そうなくらい嬉しかった。
山頂から先の稜線歩きは、コレまでとは打って変わってなんて素敵なところなんでしょう。空中庭園をお散歩している気分。これまで歩いて来たダイグラ尾根もずっと見えるし、これから歩く飯豊連峰の稜線もず~っと先まで見える。頑張って登って来てよかったと心の底から思った。
山頂からは飯豊連峰の数々のピークを登って降りての繰り返し、でもそんなに激しくないし、とにかくず~っと眺めがいいので気分上々で歩を進める。
ダイグラ尾根では1人も会わなかったけど、稜線上では何組かの登山者と会い、少し言葉を交わす。どこから登っても稜線まではかなりハードなので、みなさん頑張った甲斐がありましたね。
(^-^)
途中ですれ違った2人組の登山者さんと少し言葉を交わす。下山ルートは3つあるけど、梶川尾根がよいとのこと。教えていただきありがとうございました。
稜線歩きも終わりに近い門内岳に近づくと、バリバリバリって音がしたと思ったら急に自衛隊のヘリコプターが頭上をかすめていった。石を投げたら当たるのでは?って思うくらい直近。数分後、またそのヘリが接近。珍しいので動画を撮影していたら、ヘリが近くで機体を傾けて旋回しつつこっちを見ている気配。もしかしてロックオンされた?俺にミサイルを撃ち込んだら、山の稜線の形が変わって地図の等高線も修正せなアカンようになるで?(そんなワケない)
などとアホなことを想像して1人ボケツッコミしてました。
_(^^;)ツ アハハ
どうも飛行訓練をしていたようです。山肌を駆け抜ける乱気流に対応する訓練だったとか。
稜線歩きも終わり、分岐点を右に曲がって梶川尾根を下る。登りのダイグラ尾根はムチャクチャハードやったけど、この梶川尾根は危険度こそないけど体力面ではトップクラスのハードな行程です。短い距離で高度差1400m。まぁものすごい急傾斜が延々と続く。これ、下りでも根を上げそうなくらい急過ぎて長くて辛かったけど、ここから登ってくる人も「THE 根性」の世界やろうな。
17時ちょうどに無事に下山。下山前にヘッデンの電池を新品に入れ替えておいたけど、明るいウチに下山できました。今回で10のピークを踏破。そりゃ累積高度もこんな数値になりますね。
★感想
暗いウチのダイグラ尾根は相当危険。ジャンダルムや馬の背、長谷川ピークでもルンルン気分で歩くワタクシですが、ここはちょっと怖かった。道を見失い安いので、ルートファインディングの能力もある程度必要。
山頂からの稜線歩きは本当に最高です。なんて素敵な山なんでしょう。
翌日は百名山の朝日岳へ登るつもりでしたが、足腰バキバキ過ぎてヤメました。
剱岳や槍ヶ岳の日帰りも何度もしてるけど、今回の方がハードに感じました。歳のせいかな。
_(^^;)ツ アハハ
★これから登る方へ
飯豊山荘の駐車場は山荘のすぐ横と、さらに200mほど奥へ進んだ登山口の直前の2箇所あります。登山口直前が空いて無くても、山荘横も結構広いので満車の心配はなさそう。
山荘横の駐車場近くにトイレあります。稜線上は各避難小屋にトイレあります。(有料)無人でお釣りはもらえないので、小銭をたくさん用意して行くことをオススメします。
ちなみに避難小屋の宿泊は管理人がいなくても有料です。
消費飲料3リットル。携行2リットル。
今回のルート上に水場は4箇所ありました。ただし自分が直接確認したのは梅花皮(かいらぎ)小屋の1箇所のみ。
各写真にキャプションつけてます。