活動データ
タイム
05:55
距離
8.3km
のぼり
807m
くだり
810m
活動詳細
すべて見る日本で干支(えと)と言えば、十二支でその年を代表する動物をイメージする。 本来の干支はとても細かく、十干(じっかん)と十二支の組み合わせから成り、全部で60通りもある複雑なものだ。それは古代中国で紀元前から続くもので、知れば長い歴史の積み重ねは、我々が日常使っている様式や何気ない生活の一部分に関わっている事に気付く。 十干(じっかん)は、甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸(コウ・オツ・ヘイ・テイ・ボ・キ・コウ・シン・ジン・キ)で、もともとこの呼び方が階数を表わす符号であった。この階数が何を基準としたものかは明らかでないようだが、一旬(いちじゅん)する事が10日間を表わすことから日数に関係したと思われる。3回巡れば30日で1か月となり、上旬・中旬・下旬という表現はここから来ているらしい。十干の名残りは、例えば危険物の試験などで、甲種、乙種、丙種などの区分けや、最近では「鬼滅の刃」の柱の階級でも紹介されている。 次に十二支(じゅうにし)であるが、天体を観測するとき空を仰ぎ見ると、星たちが大きな球の内側に張り付いているように見える。これを仮想の球である天球と呼んだ。そして、その内にある木星を観察すると、約12年で一周することが分かったそうだ。その12区分を1年毎に、それぞれ子、丑、寅、卯、辰、巳、午、未、申、酉、戌、亥と名付け1周させたものが十二支の起源と言われる。暦(太陰暦)による1年の12カ月、1日の時間も十二支に基づいて表わされる。余談だが「鬼滅の刃」の繋がりで言えば、悪者の「十二鬼月」は十干十二支をヒントに考えられた設定なのかも知れない。 「陰陽説」は万物を「陰」「陽」の2つに分けられるとする考えで、そこへ「木」、「火」、「土」、「金」、「水」の5つの元素からなる「五行説(ごぎょうせつ)」が合わさり「陰陽五行説」が生まれた。これが十干十二支と融合して、現在の暦の形が成立したようだ。陰陽道の「陰」を「兄(え)」、「陽」を「弟(と)」とし、五行説の木(き)・火(ひ)・土(つち)・金(か)・水(みず)という五行を当てはめて行く。 木の兄で「きのえ」、木の弟で「きのと」。同様に火の兄で「ひのえ」、火の弟で「ひのと」。土は「つちのえ」と「つちのと」。金(か)は「かのえ」と「かのと」。そして水が「みずのえ」と「みずのと」となり、全部で10パターン出来る。これを十干の「甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸」にそれぞれ当てはめて、甲=きのえ、乙=きのと、丙=ひのえ、丁=ひのと、戊=つちのえ、己=つちのと、庚=かのえ、辛=かのと、壬=みずのえ、癸=みずのと、とした。 更にここへ十二支の子(ね)、丑(うし)、寅(とら)、卯(う)、辰(たつ)、巳(み)、午(うま)、未(ひつじ)、申(さる)、酉(とり)、戌(いぬ)、亥(い)をあてはめて行けば、1番.きのえ子(ね)、2番.きのと丑(うし)、3番.かのえ寅(とら)、・・・59番.みずのえ戌(いぬ)、60番.みずのと亥(い)で一巡する。これで60種類の干支が完成し、60年で1つの周期を巡る。即ち、60年で暦が還るから「還暦」と言うわけだ。因みに、陰陽道の「陰」を「兄(え)」、「陽」を「弟(と)」の兄(え)と弟(と)で「えと」と言われ、「干支=えと」の由来となったそうだ。 今年の干支は癸卯(みずのとう)である。我々が口にする十二支とは動物の事を表わすものだと思っているようだが、動物はあくまでも後付けで、12種の動物を当てはめる事で干支を理解しやすくするためのキャラクター戦略の一環なのだ。そもそも卯(う)は兎(ウサギ)を指すのではない。ベトナムやタイ、モンゴル、ベラルーシでは卯は、なんと「猫」なのだそうだ。 卯月は4月の和名で有るが、これは寒い冬が明け、暖かな春の到来に草木が卯(しげ)ると言う意味である。そして癸卯(みずのとう)には「希望」という願いが込められているのだと言う。正に感染症とウクライナ戦争で混沌とした世の中の沈滞ムードから、一点の光を見出し希望有る一年にしたいものである。
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