投稿日 2022.12.09 更新日 2023.12.08

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初詣ハイク【福岡周辺版 2024】街から近くて気軽に行ける! おすすめのコース

2024年は初詣とあわせて「歩き初め」をしてみませんか。お正月太りの解消だけでなく、霊験あらたかな山を歩くことで新年早々元気をもらうことができるに違いありません。福岡は西のお伊勢さんとも称される「伊野大神宮(遠見岳)」や、修験道の聖地「英彦山(ひこさん)神宮(英彦山)」など、由緒正しい社寺が多い地域。短時間で手軽に楽しめる、福岡周辺のおすすめの初詣ハイキングコースを紹介します。

目次

初詣ハイキングにおすすめのコースとは?

「山を歩く」というと色々な装備が必要では? と思うかもしれませんが、今回ご紹介するコースは登山靴や大きなザックは不要。歩きやすい靴と防寒を考慮した服装が揃っていれば、初詣とあわせて楽しく歩けるコースを厳選しました。

選定基準は以下の通りです。
・歩行時間:2時間半以内
・歩行距離:5km以内
・上り累積標高差:300m以下

※一部、上記基準を超えるコースもあります。
※カロリーは総荷重で決まります。ここでは体重50kg+荷物5kg=55kgを想定して計算しています。
※以降に記載する所在地は神社・寺院の所在地となります。

初詣ハイクの注意点
・積雪などがある場合、低い山でも事故の危険があります。状況に応じて、無理な行動は慎みましょう。
・寺社の駐車場は参拝客に向けたものがほとんどです。登山の場合は、近隣のコインパーキングなどの活用も検討し、迷惑をかけないようにしましょう。
・寺社によっては拝観料などがかかる場合があります。現地案内に従いましょう。

初詣ハイキングおすすめスポット①|伊野天照皇大神宮と遠見岳(福岡県久山町)

本場の伊勢神宮を彷彿とさせる静謐な境内(たらのめさんの活動日記より

神社|神話の太陽神、天照大神を祀り「九州の伊勢」と称される古社

全国に神宮という名の神社は数多くありますが、かつて神宮といえば伊勢神宮(三重県)のみを指した呼称でした。中でも天照大神(あまてらすおおみかみ)を祀る内宮は天照皇大神宮(てんしょうこうたいじんぐう)と呼ばれ、同じ名を冠し天照大神ほか2柱を祀ったこの神社は、まさに「九州の伊勢」にふさわしい格式を誇っています。

静かな森の中にひっそりと佇む社殿は荘厳な雰囲気を醸し、境内の最上段にある古神殿跡は太古の昔から時が止まったような静謐な空間。境内の社殿は伊勢神宮を模して配置されており、手前を流れる猪野川は伊勢内宮の入口・宇治橋がかかる川と同じく五十鈴川と呼ばれることも。20年ごとに社殿を建て替える式年遷宮も伊勢神宮同様に行われています。

ハイク|神功皇后も見渡した玄界灘のパノラマが広がる山頂

山頂が近づくにつれてなだらかになるコース(たらのめさんの活動日記より

遠見岳(322m)の山名は、伊野天照皇大神宮の祖でもある神功皇后がこの頂から遠く異国を見渡した伝説に由来します。ハイキングコースは歩きやすく整備されており、前半は階段も含む急坂が続きますが、後半は比較的なだらかで気持ちのよい森の中を歩きます。

山頂からは玄界灘の島々を一望(たらのめさんの活動日記より

神聖な森の「氣」を感じながら歩くと、約50分で山頂に到着。展望案内板や東屋が設置された山頂からは北西方向の展望が開け、日本三百名山・脊振山(せふりさん、1,054m)をはじめ糸島半島・能古島、そして玄界灘に浮かぶ世界文化遺産・宗像大社沖津宮のある沖ノ島も望むことができます。

「伊野天照皇大神宮・遠見岳 往復コース」の歩行時間・歩行距離・アクセス

*寺社所在地:福岡県糟屋郡久山町猪野604
*歩行時間:1時間30分
*歩行距離:2.0km
*上り:267m
*消費カロリー:341kcal
*アクセス:九州自動車道・古賀ICから車で約20分

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初詣ハイキングおすすめスポット②|武蔵寺と天拝山(福岡県筑紫野市)

境内にある菅原道真公ゆかりの天満宮(masayaさんの活動日記より

寺院|九州最古の仏蹟、学問の神様の足跡も遺る花の名刹

武蔵寺は正式名称を「椿花山 成就院 武蔵寺(ちんかざん じょうじゅいん ぶぞうじ)」といい、その創建は奈良時代に遡るとされている九州最古の寺院です。境内のシンボルは、筑紫野市の天然記念物であり樹齢1300年とも言われる「長者の藤」。例年4月中旬〜5月上旬が見頃で、そのほかツツジや山号になった椿も見事な花のお寺です。鐘楼で除夜の鐘をつけることから初詣にも人気。多くの参詣客が新年の願いを込めて訪れます。

もうひとつの境内の見どころが御自作(ごじさく)天満宮。太宰府に流された菅原道真公が武蔵寺に参詣した折に、自ら彫った坐像が安置されています。参道の傍にある紫藤(しとう)の滝も菅原道真公が身を浄めた伝説が残る場所。天満宮などの神社に祀られることが多い学問の神様の足跡が遺されている、珍しい寺院です。

ハイク|御自作天満宮・上社を目指して歌碑をめぐるハイキング

各合目に設置された歌碑めぐりも楽しみ(はっけいさんの活動日記より

先に紹介した御自作天満宮の上社にあたる天拝山社が祀られているのが、天拝山(257m)です。登りは、九州自然歩道となっている、その名も「開運の道」を進みましょう。舗装された道沿いには、各合目ごとに歌人としても名を馳せた菅原道真公の歌碑が設置されています。

山頂展望台直下にある天拝山社(タカ坊さんの活動日記より

中腹の荒穂神社を過ぎ、八合目まで進むと436段の階段が始まり、これを登り切ると福岡市街地・博多湾・太宰府市街地・宝満山などの眺望が広がる山頂です。下山ルートは来た道を戻ってもいいですが、天神さまの径を通っての周回も可能。ハイキングコースはよく整備されており、豊かな照葉樹林が広がる天拝山の自然を堪能することができます。

「武蔵寺・天拝山 往復コース」の歩行時間・歩行距離・アクセス

*寺社所在地:福岡県筑紫野市武蔵621
*歩行時間:1時間36分
*歩行距離:3.3km
*上り:242m
*消費カロリー:334kcal
*アクセス:九州自動車道・筑紫野ICから車で約10分

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初詣ハイキングおすすめスポット③|高良大社と高良山(福岡県久留米市)

中門越しに見る壮麗な社殿(たらのめさんの活動日記より

神社|筑後国一の宮の壮麗な社殿に祈れば、思わず口ずさむ「高良さんのおかげたい」

4世紀に熊襲征伐を成し遂げ、九州を大和朝廷の支配下としたのが先に紹介した伊野天照皇大神宮の祖でもある神功皇后。この時に現れた高良玉垂命(こうらたまたれのみこと)を祀り、筑後国(福岡県南部)の一の宮(最も格式高い神社)として古くから人々の信仰を集めてきたのが高良大社です。

山腹に伸びる石段を登り、鳥居をくぐると、久留米の街並を見下ろす高台には、朱塗りの中門をしたがえた壮麗な社殿が。神社建築としては九州最大級で、国指定重要文化財でもあります。例年10月に行われる例大祭「高良山くんち」は久留米の人々の伝統行事でもあり、初詣では「高良さんのおかげたい」と感謝の気持ちと新年の誓いを祈ります。

ハイク|九州オルレの目印をたどって高良大社・奥宮へ

九州オルレのリボンがコースの目印(たらのめさんの活動日記より

高良大社の奥宮があるのが高良山(こうらさん、312m)で、山全体が高良大社の境内地。九州に点在するトレッキングコース・九州オルレの「久留米・高良山コース」にも指定されています。高良大社の裏手から九州オルレの目印である青と赤を結んだリボンや矢印をたどりながら、比較的なだらかで明るい森の中を歩きます。

高良大社・奥宮(たらのめさんの活動日記より

車道に出るとやがて高良大社・奥宮へ。森厳な雰囲気漂う境内は、神聖な氣に満ちています。裏手にある山頂をはじめ、ハイキングコースの随所から眼下に筑後平野を見下ろすことができます。沿道には高良山山城群と呼ばれる城跡も点在。歴史に想いを馳せながら歩いてみませんか。

「高良神社・高良山 往復コース」の歩行時間・歩行距離・アクセス

*寺社所在地:福岡県久留米市御井町1
*歩行時間:1時間56分
*歩行距離:4.6km
*上り:330m
*消費カロリー:460kcal
*アクセス:九州自動車道・久留米ICから車で約15分

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初詣ハイキングおすすめスポット④|宮地嶽神社と宮地山(福岡県福津市)

宮地嶽神社の海へと続く参道(ともともさんの活動日記より

神社|「光の道」に浮かび上がる、玄界灘から続く参道

この風景に見覚えはありませんか。ここはテレビCMで一躍有名になった、宮地嶽神社の参道です。毎年2月と10月の数日間だけ、玄界灘に沈む夕日が参道を一直線に照らし、「光の道」が現れることで知られています。フォトスポットとして認識しがちですが、ここで三度目の登場となる神功皇后を「息長足比売命(おきながたらしひめのみこと)」として御祭神とする、由緒正しき神社なのです。

境内の古墳からは6世紀頃の太刀や装身具が出土しており、そのうち20点が国宝に指定されています。中でも特徴的なのは、日本では珍しく黄金を使った出土品が多いこと。これにちなんで2010年(本殿の御遷座80年の節目)に刷新された、本殿の黄金の屋根は必見。拝殿にかかる重さ3tという、日本一の注連縄(しめなわ)も見どころです。例年元旦の午前零時には直径2.2mの大太鼓が打ち鳴らされ、麓の町にもその音が響き渡ります。

ハイク|奥之宮八社を巡り、金刀比羅神社の座す山頂へ

奥之宮稲荷神社(のぶさんの活動日記より

宮地嶽神社の境内には、奥之宮八社という社が祀られており、これらを巡るのも楽しみです。一番社はお正月にぴったりの七福神社、朱塗りの鳥居が並ぶ二番社・稲荷神社、女性におすすめの五番社・恋の宮と、さまざまなご利益がある神社が八番社・薬師神社まで続きます。これらを参拝したら、いよいよ宮地山(181m)をめざしましょう。

山頂にある古宮(ふるみや)(こうのすけさんの活動日記より

三番社・不動神社の脇からハイキングコースが始まり「宮地嶽神社 山頂古宮跡」の標識に従って、最初は舗装路、続いて森の中の歩きやすい道を進みます。山頂は樹林の中のため視界は開けていませんが、付近に御来光遥拝所(立入禁止)もあることから、かつては玄界灘を望むことができたのではという想像が掻き立てられる場所です。

「宮地嶽神社・宮地山 往復コース」の歩行時間・歩行距離・アクセス

*寺社所在地:福岡県福津市宮司元町7-1
*歩行時間:1時間
*歩行距離:1.8km
*上り:157m
*消費カロリー:214kcal
*アクセス:九州自動車道・古賀ICから車で約20分

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初詣ハイキングおすすめスポット⑤|観世音寺と岩屋山(福岡県太宰府市)

天智天皇ゆかりの観世音寺(たらのめさんの活動日記より

寺院|初元号を定めた天智天皇ゆかりの天下三戒壇

大化の改新によって天皇中心の政治体制を確立し「日本」という国号を正式なものとしたともいわれる天智天皇は、日本初の元号「大化」を定めました。観世音寺はそんな天智天皇が母・斉明天皇の供養のために発願し、約80年かけて造営されたという大寺院です。かつては東大寺(奈良県)・薬師寺(栃木県)と並ぶ天下三戒壇であり、国から認められた僧侶として欠かせない戒律を授かるために、多くの出家者が訪れました。

観世音寺で除夜の鐘を撞く国宝の梵鐘は、妙心寺(京都府)・當麻(たいま)寺(奈良県)の梵鐘と並んで日本最古のものとされています。その音色は太宰府に流された菅原道真公の詩にも登場しており、「日本の音風景百選」にも選定されています。

ハイク|現元号ゆかりの地を見下ろす展望の山

歩きやすいハイキングコース(たらのめさんの活動日記より

岩屋山(281m)は、観世音寺をはじめとする太宰府の史跡を一望する展望の山です。大宰府学校院跡などの史跡を巡りながら舗装路を歩くと、太宰府市民の森の遊歩道へ。ここから歩きやすいハイキングコースを登り、車道に出ると戦国時代の山城・岩屋城址でもある山頂は目前です。

太宰府の史跡を一望できる山頂(たらのめさんの活動日記より

展望案内板のある山頂からは、観世音寺・太宰府政庁跡・坂本八幡宮・太宰府天満宮など太宰府の史跡を一望できます。現在の元号「令和」は、この太宰府で催された歌会である“梅花の宴”の席で詠まれた和歌の序文「初春の令月にして気淑(きよ)く風和(やわ)らぎ 梅は鏡前の粉(こ)を披(ひら)き 蘭は珮後(はいご)の香を薫らす」に由来し、梅の花は太宰府市の花にもなっています。令和6年の新年を、この山で迎えてみてはいかがでしょうか。

「観世音寺・岩屋山 往復コース」の歩行時間・歩行距離・アクセス

*寺社所在地:福岡県太宰府市観世音寺五丁目6-1
*歩行時間:2時間5分
*歩行距離:4.6km
*上り:260m
*消費カロリー:435kcal
*アクセス:九州自動車道・太宰府ICから車で約10分

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初詣ハイキングおすすめスポット⑥|英彦山神宮と英彦山(福岡県添田町)

英彦山の奉幣殿(ヤナPさんの活動日記より

神社|日本二百名山の懐に座する「神宮」に詣でる

冒頭で紹介した通り、かつて「神宮」という呼称は伊勢神宮のみを指すものでした。そんな伊勢神宮の御祭神である天照大神の息子・天忍穂耳命(アメノオシホミミノミコト)を祀ることから、英彦山神宮は全国第三番目の「神宮」として高い格式を誇っています。

日本二百名山にも選定されている英彦山(1,199m)は、羽黒山(山形県、414m)・大峰山(奈良県・主峰は山上ヶ岳、1,719m)と並ぶ日本三大修験場の霊山であり、雪彦山(せっぴこさん、兵庫県、915m)・弥彦山(やひこやま、新潟県、634m)と共に、日本三大彦山とも称される聖地。山伏と呼ばれる修験道の行者たちが厳しい修行を行った大岩や滝などが、山中に点在しています。

ハイク|屈強な僧兵たちが行き交った石畳の参道を歩く

御本社(上宮)は冬は雪に閉ざされる英彦山(1,199m)の山頂にありますが、修験道の行者たちが集った大講堂である奉幣殿までは美しい石段が続く参道を登って参拝可能です。スタート地点は銅鳥居(かねのとりい)で、ここからしばらくはなだらかな石畳が続きます。途中にある旧亀石坊庭園は雪舟作庭と伝えられ、池が美しい国指定名勝。時間があれば立ち寄ってみるのもよいでしょう。周辺には売店もあり、金剛杖を借りることもできます。

ここから先はやや急な石段が奉幣殿まで続きます。山中での修行で鍛えられた山伏の中には、かつて武装して僧兵となる者もいました。比叡山延暦寺が有名ですが、ここ英彦山の僧兵もかなりの勢力を誇ったといいます。往時の面影を探しながら、新年の願いを込めてゆっくりと歩きましょう。奉幣殿から先は、本格的な登山道となるので、しっかりとした装備と登山経験が必須です。

「銅の鳥居・奉幣殿 往復コース」の歩行時間・歩行距離・アクセス

*寺社所在地:福岡県田川郡添田町大字英彦山1
*歩行時間:57分
*歩行距離:1.7km
*上り:188m
*消費カロリー:233kcal
*アクセス:大分自動車道・日田ICから車で約1時間

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※積雪が始まると投稿された写真が表示されます。

冷え込みも厳しいこの時期、天候や気象条件によってはコースが積雪・凍結していることも。こうした場合は転倒などのリスクもあるため、山麓での初詣だけに留めた方が良い場合もあります。

そこで活用してほしいのがYAMAPの「リアルタイム積雪モニター」です。400万ダウンロードを超えるYAMAPアプリのユーザーのみなさんが投稿した写真などのビッグデータをリアルタイムで分析、集計。今、積雪している全国のスポットをひと目でチェックすることができるのです。

使用法は簡単!
1.MAPを拡大・縮小するとエリア内の積雪に関する投稿写真が表示されます
2.興味のある絶景を見つけたら写真をクリック
3.写真撮影場所までのルートなど、詳細な登山情報を確認できます

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※神社・寺院の開門日や時間、参拝料などは事前にご確認ください

トップ画像:たらのめさんの活動日記より
編集協力:鷲尾 太輔

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