活動データ
タイム
29:14
距離
50.9km
のぼり
4735m
くだり
5444m
チェックポイント
活動詳細
すべて見る2年ぶりにテントを担いで、南アルプスの熊の平へ行ってきました。 今回の目的は「蝙蝠岳」へ訪れ、ついでに久しぶりの白峰三山を楽しむこと。 好天が期待される三連休。色々と不安要素が的中しちゃった… ◾️今回登った山々(通過順) ・北岳(百名山) ・中白根山 ・間ノ岳(百名山) ・三峰岳 ・新蛇抜山(百高山) ・北荒川岳(百高山) ・北俣岳 ・蝙蝠岳(百高山) ・安倍荒倉岳(百高山) ・農鳥岳(二百名山) 土日月の三連休、最も天気が良さそうなのが月曜日。この日に目的の「蝙蝠岳」へ訪問することにし、日曜日に広河原から入り火曜日に奈良田へ下りるのが今回の計画。 先ず、気になるのが駐車場の確保。奈良田まで行って、もし混雑しているようなら中止しようかな? 奈良田の登山者用駐車場はリニア工事の関係で以前の駐車場が廃止され、トンネルを抜けて直ぐ左の奈良田湖が新しいバスターミナルとなり、そこをやり過ごし数十メートル先の右側が新しい駐車場だ。 収容キャパが以前と比較して半分程度というのも、不安を大きくさせる要因のひとつだった。 奈良田に到着したのが午前4時過ぎ。最後のトンネルを抜けると… そこは「路上駐車場」だった。 嫌な予想が見事に的中し、ありとあらゆる隙間は全て車で埋め尽くされた、初めて見る素敵な奈良田の姿に何故か興奮。 相まって、長崎行けば考える“行こか戻ろか思案橋”の心境。 半ば気持ちは登山を中止し帰る方向へ傾いていたが、結局トンネル手前の横道へ入った場所へ駐車。そこでも既に数台の車が停まっていた。 駐車場がこんな調子では山の上もテントを張れる場所なんて無いかも?と、不安要素は更にマシマシの二郎級になる。 止めるかどうか考えつつも、結局は酒飲みがネオンへ吸い込まれるようにバスの乗車待ちへ並び、結局チケットを買って5:30のバスで広河原へ向かっていたとさ。 お隣に座った方は昨夜10時に到着するも路駐だったと言うから、天気の良くない土曜日から結構な人が登っていたのだろう。 ◾️1日目 【広河原→北岳→間ノ岳→三峰岳→熊の平】 広河原行きの始発バスは5台ほどで、6:20頃に4年ぶりの広河原へ到着した時には芦安発組と合流し既に人で溢れ返っていた。 諸事整えて出発したのが6:30過ぎだろうか?名物の吊り橋までは皆勝手気ままに歩いていたが、その先は登山ツーリズムの世界。 足の進めや速度は全て前を歩く登山者のペース次第。いや、その登山者もその前を進む登山者のペースに合わせざるを得ない酷い渋滞だった。 まあ、久しぶりに重い荷物を背負って、意識的にゆっくり進もうと考えていた自分にとってはむしろ好都合ヨワッチイナ? でも、白根御池小屋までってこんなにキツかったっけ?不安を抱きつつ草すべりを登るも、4年前より多少タイムが縮まっていたのできっと成長していたのだろう。 未だテントは少なめながら人で溢れる肩の小屋は素通りしてガスガスの北岳山頂へ。 そこも素通りし、北岳山荘で水の補給と大休憩を挟み少しだけ青空を覗かした間ノ岳山頂に到着。 この日は天気を期待していなかったのでこんなものかな?と思いつつ、雑踏の山頂から未知の世界である三峰岳(みぶだけ)へ向かった。 三峰岳への道のり、三峰岳から始まる仙塩尾根序盤は岩綾帯で少し手強い印象。補助的なものは何もなく、個人的には西穂よりも緊張を強いられるルートだった。 また、岩綾帯の痩せ尾根は鶏冠山を彷彿とさせ、翌日、熊の平の小屋番さんに伺うと野呂川越へ向かう方面にはオーバーハング気味の場所もありたまに人が落ちるらしいホント?。 しかし、メジャールートでもないので、クサリや梯子の整備は行われないという。 面倒な岩綾帯は三国平手前まで続くが、その先は気持ちの良い砂礫の平原だった。 井川越から広大なお花畑を下ると程なくして熊の平小屋だが、上から見て分かるほどテントの数が多かった。 三峰岳途中で会った若者は昨日から熊の平にテントを張っているが、熊の平らしからぬ混雑状態だったと言う。 小屋にて受付を済ませ、早速テントを張る場所を探すもやはり良い場所は無い。 探している内に続々後続者が来るため、仕方なく少し湿った若干の傾斜地へ落ち着くことに。 なお、今回は2泊予定だが、生存確認を目的に受付では1泊分の料金を毎回申し込むルールだった。 とりあえず黒ラベルのロング缶を購入するも、在庫はあと4本しかないという。明日も楽しめるか不安だ。 でもこれで宿の心配をしなくて済む。 どうせテン泊でぐっすり寝られた試しが無いので、18時頃から寝袋に包まりゆっくり目を瞑ることにした。 ダウンを羽織っていても薄ら寒いのに、下界では猛暑で大変だったことを下山してから知った。 周りのテントから聞こえる寝息やイビキの他は時折通る航空機の音と沢のせせらぎだけしか聞こえない。 傾斜によってズリ落ちる体制を時折直しつつ、夢と現実の間を行き来していたが常時頭の中にはYoasobiのアイドルが流れていた。 何故か今回の山行、昼も夜もこの曲が頭の中に流れていたのは、前日まで推しの子を見ていた影響なのだろう。 辺りは真っ暗だが、午前0時には撤収の音が聞こえ、3時半に外へ出ると周りにあったはずのテントが全て無くなっていた。 熊の平、ここは変態とアニオタが集まり去って行く癒しのオアシス。 ◾️2日目 【熊の平→蝙蝠岳→熊の平】 本日はメインイベントの蝙蝠岳ピストンだ。 日帰りザックを背負ってまだ暗い午前4時前に出発したが、小屋の周りは既に人で賑わってた。 北荒川岳までの仙塩尾根は深い森の中を歩くため暗闇は少し不安だったが、小屋周りの人が多く少しだけ安心できる。 明るくなり、眺望の良い岩峰が2つ連なる場所へ到着すると、この先にある新蛇抜山の山頂に居る数人の人影が確認できた。 新蛇抜山への分岐には、先ほど山頂に居た3名の方々が休憩していたが、皆さん半袖短パンのトレラン風の出立ちサムクナイノ?。 百高山の中でも地味な存在である新蛇抜山は、意外と眺望が良く寄り道におすすめ。 熊の平からここまで概ね緩やかなアップダウンだが、北荒川岳手前は少し急騰となり、その先は一気に視界が開ける。 北荒川岳から眺望の良い砂礫の道を進み、ハイジの世界を彷彿とさせるお花畑を抜けると北俣岳分岐まで容赦のない急騰が始まる。 特に分岐手前は片側が切れ落ち、足元が滑り易いガレた急騰なので復路の下りはかなり気を遣った。 北俣岳分岐まで来れば楽しい蝙蝠の尾根歩きが始まると思いきや、北俣岳先までいくつかのピークを通過する岩稜帯を進むため気が休まらない。 帰りに知ったが、北俣岳を登らず巻くルートがある。往路は山頂を通過したため何故かハイマツの中へ迷い込むハメに。 ただ、予想通り目の前には美しく大きな富士山。雲が湧き始めており、山頂到着まで美しい姿を保っていられることを願いつつ歩を進める。 煩わしい岩稜帯を通過するとほぼ下り基調。イメージした広い砂礫の尾根は意外と短く、途中樹林帯を通過しつつ蝙蝠岳山頂を目指す。 上り詰める時はピークが三つあると思えば良い。三つ数えるうちに山頂に佇む標柱が出迎えてくれるはず。 好天の三連休、往復で10名ほどの人とすれ違った。 富士山には少し雲が纏わりつき始め少し残念だったが、タイミング良く山頂は貸切状態。予定より早く到着したこともあり、ゆっくりと至福の時間を味わうことに。 今回の目的は達成できたが、次に気になるのがテントの移動。塩見岳はスルーし早めに熊の平へ戻ることにした。 途中、まだ夜明け前に通過した百高山の安倍荒倉岳へ立ち寄ったが、ここは残念ながら眺望なし。 熊の平へ戻ると昨日の賑わいはどこへ行ったのか?自分のテントを含め2張りしかなく、結局最終的には3張りという寂しい状況。 先ず良い場所へテントを移動し、生存確認報告と本日のテント代を支払いに小屋へ向かった。 小屋番さんよると昨日のテント申し込みは40数張り。熊の平公式のキャパは25張りなので倍近い人がこの辺鄙な場所へ押し寄せたという。 そして翌朝3時前後には90%以上の人が居ないという変態達の愛の停車場。 売れ残った黒ビールを飲み干し、時が過ぎるのを待って瞼を閉じたが、今夜も頭の中ではアイドルが流れていた… ◾️3日目 【熊の平→農鳥岳→大門沢→車回収】 山を下りる日は少しだけ気持ちは軽くなるが、今回は2つほど不安要素が残っていた。 その一つが三国平から農鳥方面へ抜けるマイナーなルートを通ることだ。 小屋番さんからの事前情報によると、定期的に整備が入るルートで夏でも枯れない水場もあるが、水平ではなく結構登るという。 実際に水場は2つあり、登山道は特に危険箇所も無くルートとしてはなかなかリーズナブル。 三峰岳を通過して間ノ岳を経由するより、安全で楽だと感じられたことがその理由である。 ただ、ゴーロ通過や農鳥側の急騰などアップダウンもほどほどあり、荒涼としたカール内を通過する寂しいルートなので玄人向けと言えるかも? 白峰三山縦走路へ出ると目の前に大きな富士山がドーン! あとは農鳥小屋を通過し、農鳥岳を登り詰めれば今回も白根三山制覇完了。大門沢下降点で大休憩し、二つ目の不安要素である大門沢を下るだけ。 前回の白峰三山縦走時はここを下らずに笹山まで行ったため、実は初めて通るルートだった。 ↓興味のある方はこちらのレポをご覧下さい(コアな農鳥小屋泊だよ) https://yamap.com/activities/4348841 まあ、良くも悪くも有名なルートであるが、なるほど噂通りなかなか大変だ。 基本、大門沢小屋を中心に考えると、下降点から前半の下りは岩や木の根が織り混ざった容赦のない急坂で滑ることこの上なし。これが2時間前後続くのだ。 途中、ピンテ通り進めば左側へ進むべき場所を誤って右へ進み獣道の急坂へ迷い込んだが、後でYAMAPのマップで確認すると注意記載があった。 大門沢小屋からは文字通り沢を詰めながらアップダウンを繰り返す。手作りの橋を数ヶ所渡るが、流された橋も復旧しているためルート通り進めば良い。 但し、渡渉箇所もあるため増水時はやはり難路である。 沢の横断がピックアップされ勝ちだが、実は沢へ詰める前後のトラバース道の殆どが切れた細道で、滑落要素満載であることを忘れてはならない。 とても長い道のりと感じるが、実は下降点から大門沢小屋まで3㎞もない。辟易するのが麓の工事で、登山口部分を大分大回りし林道へ至る。 林道途中にある登山者休憩舎には、第一発電所まで1.9㎞、奈良田湖バス停まで4㎞の表示。 3000mの縦走路より下界の暑さの方が明らかに厳しいことが分かる道のりで、ここからは夢から現実へ戻るために用意されたトリップルートだ。 ただ、奈良田湖バス停って昔からある場所だよね?車は更に先のトンネルの更に向こう。無事なのか?早く確認したい。 トンネルへ向かう道中、大半の車は三連休中の前日に回収したのだろうが、路駐の残骸がちらほら散見された。 最も酷い場所であるトンネルの向こうに残された車は2台。車は鳥の糞だらけだったが無事に回収でき、やっと旅の終わりを実感できた。 自分自身で臭いと感じられるくらい酷い有様だったので、何はともあれ700円を支払い女帝の湯で汗を流した。 奈良田に停めると帰りの温泉には事欠かないのが嬉しいポイント。 これにて無事家へ辿り着けば「自己満足」の旅は終了だ。 ◾️雑感 久しぶりに重い荷物を背負うことに不安もあったが、慌てずゆっくり進むことを心がけたためか疲労感は意外と少なかった。 厄介なのが後始末。 テン泊は準備も後始末も時間がかかり、一度スタートすると後戻りも難しい。 やっぱり日帰りの方が何倍も楽だと改めて実感したが、行ける場所には限界がある。 山小屋泊が理想だが、金額は非現実的に感じるほど高騰したので選択は難しい。 テント泊でさえ今回は1泊2,000円と以前の倍。それでも最安なのは間違いないものの、荷物が重くなる分行動範囲も限られてくる。 10万円以上出してUL装備を揃えるほど山に狂っているわけでもないので悩ましいね。 引き続きくたびれたミレーのサースフェー30+5に荷物を詰めよう。くたびれた田舎のオッサンにはそれがお似合いだ(笑) それと、今回2日目にいつもの日帰りの癖か?熊の平へ戻った時にYAMAPを一時停止ではなく、誤って活動終了を押してしまった。 3日目は新規で活動を開始したが、結局家へ帰ってからデータの結合という無駄な時間を費やすハメに。まあ、大した手間ではないけどね。 また、3日目の大門沢下降点で大休憩した際に一時停止したYAMAPを再開するのを忘れ軌跡飛びが発生。 やっぱり疲れてたのかな? 家へ帰って体重を測ると3キロ減っていた。翌日には1.5キロ戻っていたけどね。 昨年は全て日帰り山行だったため、何とか今年はテン泊を行いたかった。 あと数回、泊まりじゃないと行けそうにない山があるため、今回の山行はきっと糧になったと思う。 モチベーションを保ちつつ、他人に流されない自分らしい山行を続けたい。 自分のレポが誰かの役に立つことを祈りつつ…毎度長くてゴメンネ_| ̄|○
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