活動データ
タイム
23:20
距離
53.9km
のぼり
4329m
くだり
4281m
チェックポイント
活動詳細
すべて見る12月下旬に入って大雪が降り、日本の山のほとんどが雪に覆われた。関西の熊野古道・小辺路に行こうと思っていたのだが、伯母子岳が深い雪におおわれたので行けない。 そんな中、冠雪していない日本でほとんど唯一の山々が、奥多摩から丹沢にかけての地域だった。この地域で、高尾山から三頭山まで、東京と神奈川・山梨の県境の30キロほどの縦走路がトレイルランナーの日帰りコースになっていることを知り、そこを途中ビバークの1泊2日で歩くことにした。時間が余るので、三頭山から浅間尾根を縦走して払沢の滝に降りた。全ルート通じて雪はなかった。 高尾山から陣馬山までは大勢の人が歩いていた。道も、とても良い。人が多く歩くほど、平均値で出されているヤマップのコースタイムが遅くなる。陣馬山に着いた時点でコースタイムより2時間早かった。陣馬山から先は人が急に減り、道もぐんと細くなる。それでも数人とすれ違った。眺望が良い場所がほとんどない。黙々と歩くだけだが、木々は美しい。 浅間峠の休憩所でビバークする計画だったが、着いたらまだ15時で早かったので先に進んだ。次の日原峠の下には、高尾山から三頭山までで唯一の水場がある。日原峠から水場まで、空身で片道10分かかった。水はたくさん出ていた。日没後も1時間歩き、丸山の山頂でビバークした。 翌朝は4時半に出発。ビバーク地は、乾燥した土の上だと思っていたら、土の中が凍結していたようで、起きてみるとツェルトの底が濡れて泥まみれになっていた。冬のビバークは、むき出しの土の上でなく枯葉の平地に張るべきだと思った。槇寄山と三頭山で神々しい富士山が見えた。このコースでは、富士山がとても写真映えするが、それ以外に良い写真になるものが少ない。 クソな爆音を出す暴走族だらけの奥多摩周遊道路を渡る手前の区間の下山路が荒れていた。崩壊地にはロープが張ってあるので危険は少ない。その先の、どっさりの落ち葉に埋もれた山腹のトラバース道の方が危険で嫌らしかった。枯れ葉で危険を感じたのはこの区間だけで、その先の浅間尾根は払沢の滝までずっとなだらかな尾根道だった。 今は秋川渓谷に沿ってバス道路があるが、渓谷沿いは地形が急峻で戦前は道路を作れず、檜原村の中心地、本宿から秋川の奥の数馬や藤倉の方に行くには、浅間尾根につけられた山道しかなかった。牛馬に物資を積んで運ぶため、尾根道はなだらかに整備されていた。尾根道から川沿いの各集落に降りる道の分岐点には石仏が置かれている。浅間尾根道は、由緒正しい交通路だった。 石仏のいくつかには、平成時代に修験者が奉納した小さな卒塔婆が立てかけてあり、熊野修験とか那智山青岸渡寺と書かれている。これは、私が先日行った大峯奥駈道や、近いうちに行こうと思っている熊野三山をうろうろしている修験道の行者が、浅間尾根を修行というか登山して奉納したのだろう。 日本中のあらゆる山道が修験の道であり、登山と修験とはだいたい同じものであり、修験道の開祖である役行者(えんのぎょうじゃ)は「登山の神様」「元祖登山家」「日本の登山道の開祖」である。役行者はロングトレイルが大好きで、7世紀に大峯奥駈道を33往復もしたそうだ。私もロングトレイルが大好きで、宗教と関係ないが役行者に守られていると感じつつ、トラバース道から転落せずに今回の54キロを歩き終えた。
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