九州地方の山

  • 宮之浦岳

    標高 1936 m

    • 鹿児島

    1000m級の山々を40山以上連ね、「洋上アルプス」とも称される鹿児島県の屋久島。その最高峰をして九州最高峰でもあるのが、標高1,936mの宮之浦岳だ。屋久島では、人里から見える比較的沿岸部にある山を「前岳」、人里から見えない島の奥地にある山を「奥岳」と呼ぶが、この宮之浦岳も奥岳のひとつ。人里からその姿を望むことはできない、まさに最奥の山といえる。数ある山頂へのコースのうち、最も登山者が多いのが淀川登山口からの安房歩道。屋久杉やヤクシマシャクナゲ、日本庭園のような高層湿原・花之江河など、屋久島の魅力を凝縮したコースだ。なお、屋久島山中の山小屋はすべて無人小屋のため、テント泊と同様の装備を持参する必要がある。

  • 永田岳

    標高 1886 m

    永田岳(ながただけ)は、屋久島の宮之浦岳北西側に対峙する山である。標高は屋久島および九州において宮之浦岳に次いで2番目に高く、西日本でも三嶺に次いで10番目の高峰となる。 『三国名勝図会』では長田嶽、『明暦屋久島大絵図』では長田御嶽、伊能忠敬の『大隅国馭謨郡屋久島沿海図』では権現岳と記されている。 宮之浦岳、永田岳および黒味岳を屋久島三山と呼ぶ。新日本百名山に選定されている。 宮之浦岳を始めとして屋久島の山岳地域の大部分は屋久島国立公園に指定され、宮之浦岳、永田岳など中央の山岳地帯は世界遺産の森林生態系保護地域保存地区に指定されている。永田岳山頂の北東側にはコルを挟んで永田岳II峰、さらに中之岳、ネマチ峰 (1,814m)、障子岳 (1,549m)と呼ばれる岩峰が連なる。 屋久島は「八重岳」と呼ばれるように多くの峰が連なり、海岸部に近い山々を「前岳」、中央部の脊梁をなす山々を「奥岳」と呼び、この奥岳は通常屋久島の海岸部の人里から望むことはできないが、永田川河口付近の永田地区は奥岳すなわち永田岳およびネマチを望むことのできる島一周の県道周辺としては唯一の場所である。山頂直下の岩屋には一品宝珠大権現を祀る祠があり、永田岳は古くから永田集落の岳参りの山として参拝の対象とされ、永田浜の砂が供えられた。1448年(文安5年)に日増上人が布教に訪れた際にはすでに永田では岳参りが行われていたという。 海岸部の永田集落付近は杉の人工林、クワズイモおよびヘゴなど亜熱帯性植物も見られるが、やや内陸部に入ると暖帯性の天然林となり、標高1,340mの姥ヶ岩屋付近から屋久杉、ヤクシマシャクナゲなどが見られる。永田岳山頂は屏風を立てたような尾根を張り、斜面にはむき出しの花崗岩が散りばめられ、山頂西側直下にはローソク岩と呼ばれる巨岩が聳える。山頂付近は一面のヤクシマダケ(ササ)に覆われヤクシマシャクナゲが点在し、イッスンキンカ、シャクナンガンピ、ヤクシマホツツジなど高山植物が見られる。 淀川登山口 (1,367m)から宮之浦岳 (1,936m)を経て、あるいは荒川登山口 (600m)から縄文杉 (1,310m)を経て焼野三叉路 (1,784m)に至り、永田岳への往復コースを取るルートが最もよく利用される一般的な登山道である。あるいは大川の滝入口より800m南側の県道沿い林道入口から大川林道に入り、原生自然環境保全地域を通る花山歩道を経て永田歩道に合流し鹿之沢小屋を経て山頂に至るコースがあるが、登山道が荒れているため上級者向きである。 永田集落の永田橋を基点として横河渓谷(よっごけいこく)、餅田橋登山口 (105m)、水取谷 (800m)、岳之辻 (1,210m)、姥ヶ岩屋 (1,340m)、左捲大檜 (1,410m)、桃平 (1,460m)、鹿之沢小屋 (1,550m)を経て山頂に至る永田歩道ルートが本来の岳参りの表参道であるが、長い山行を強いられる。

  • 栗生岳

    標高 1863 m

    屋久島の宮之浦岳山頂南東側に位置する山で、標高は1863m。標高は屋久島および九州において3番目の高峰であるが、独立した山ではなく宮之浦岳山腹の一峰である。山腹は一面のヤクザサに覆われ、巨大な花崗岩が点在する。山頂直下の岩屋には一品宝珠大権現を祀る祠があり、栗生集落の嶽参りの山として参拝の対象とされていた。詳細は、宮之浦岳を参照。https://yamap.com/landmarks/20183

  • 黒味岳

    標高 1827 m

    黒味岳(くろみだけ)は、屋久島の宮之浦岳南側に位置する山である。標高は屋久島および九州において6番目の高峰となる。九州百名山の一つに選定されている。 宮之浦岳 (1,936m)、永田岳 (1,886m)および黒味岳 (1,831m)を屋久島三山と呼び屋久島の代表的な山とされ、ネマチ (1,814m)、栗生岳 (1,867m)、翁岳 (1,860m)、安房岳 (1,847m)および投石岳 (1,830m)などを含めて「奥岳」と呼ばれる。これらのうち屋久島の海岸部の人里から望むことができるのは永田岳およびネマチであり、黒味岳も栗生川河口右岸付近から辛うじて山頂部分を望む。 一方で『三国名勝図会』では屋久三岳(三嶽)を宮浦嶽(宮之浦岳)、長田嶽(永田岳)および栗生嶽(現在の栗生岳であるかどうかは異説あり、黒味岳の可能性もあり)としている。江戸時代に刊行された『明暦屋久島大絵図』には黒御嶽(黒御岳)と記されており、名称はこれに由来するとされ、また「御岳」は屋久島で崇拝の対象とされる高峰に対する呼称でもある。 宮之浦岳を始めとして屋久島の山岳地域の大部分は霧島屋久国立公園に指定され、宮之浦岳、永田岳および黒味岳など中央の山岳地帯は世界遺産の森林生態系保護地域保存地区に指定されている。山頂付近までスギ、ヤクシマシャクナゲ、ヤクシマホツツジおよびミヤマビャクシンなどの低木が茂り、ヤクザサが生い茂っている他の奥岳とは対照的である。高山植物の宝庫でもあり、ヤクシマノギラン、イッスンキンカなど屋久島の固有種も多数見られる。 山頂は巨大な花崗岩からなり、節理による割れ目がある。また山頂は宮之浦岳、永田岳など奥岳の絶好の展望所となる。黒味岳の南東側直下には花之江河と呼ばれる高層湿原が広がる。 安房から林道を23km登り、淀川登山口 (1,370m)から宮之浦岳へ向かう登山道に入り、淀川小屋 (1,380m)、小花之江河 (1,630m)および花之江河 (1,640m)を経て黒味分れ (1,680m)から岩場を登り黒味岳山頂に向かう。

  • 九重連山(中岳)

    標高 1791 m

    「九州の屋根」とも呼ばれる九重連山(もしくは「くじゅう連山」)は、ドーム状の火山体が数多く連なり、裾野には広大な高原が広がる。5月下旬くらいから火山高地に生えるツツジの一種・ミヤマキリシマが咲き始め、山々がピンク色に染まる。この九重連山の最高峰であり、九州本土の最高峰でもあるのが中岳(なかだけ)。岩が積み重なった山頂からは360度の展望が開け、周囲に連なる九重の山並みはもちろん、由布岳方向も遠望できる。また、直下にある御池(みいけ)共々、山岳信仰の対象とされてきた。冬季、完全凍結した御池では、氷上歩きを楽しむ人の姿も見られる。ちなみに九重連山の主峰は久住山(くじゅうさん)で、連山の総称とピーク名は表記が異なる。深田久弥は『日本百名山』で久住山を品格のある山として選出しつつも、周囲のほぼ同じ標高をもつ大船山(300名山)や星生山、稲星山、そして中岳などの山々をそれぞれの個性と共に「九重共和国」として表現している。

  • 久住山

    標高 1786 m

    大分県南西部に位置する、くじゅう連山の主峰(最高峰は中岳・1791m)。この山の名称については、久住山と九重山との2つの表記が混同して使われていたが、県では主峰そのものは「久住山」、山域の場合は「くじゅう連山」の表記を公式としている。阿蘇くじゅう国立公園に含まれる九州随一の人気の山で、ミヤマキリシマの咲く5月中旬~6月中旬頃(年により変動あり)の休日は、牧ノ戸峠からのメインコースに登山者が殺到する。久住山そのものは日帰りで歩ける山だが、九州最高所の温泉、法華院温泉山荘や坊がつるのキャンプ場で一泊すれば、大船山や三俣山にも足を延ばすことができる。くじゅう連山は活火山でもあるので、出かける際は情報収集を怠らないように。

  • 大船山

    標高 1786 m

    大分県西部に位置するくじゅう連山を形成する山のひとつで、ひときわ大きな山容や険しさ、美しさは主峰の久住山に負けない存在感がある。5月中旬~6月中旬頃にかけての大船山から北大船山、平治岳へと続くミヤマキリシマのピンクの海、そして山頂直下にある御池の紅葉はまさに絶景。この時期の休日は登山者がどっと押し寄せる。西の九重町側から坊がつるを経て登ることもできるが、こちらのコースは歩行時間がたいへん長くなるので、南側の池窪から登ったほうがはるかに楽である。池窪登山口までは4月から11月にかけて大船山観光登山バス(要予約。2020年度は運行中止)が運行されており、登山口から山頂まで2時間ほどで登ることができる。池窪登山口への道はこの登山バス専用道路となっているため、池窪登山口を利用する場合は必ず登山バスを利用するようにしよう。

  • 稲星山(大分県)

    標高 1772 m

    稲星山(いなぼしやま)は、大分県竹田市(旧久住町)にあり九重連山を形成する火山。標高1,774m。 九重連山の中でも特に主峰久住山と最高峰中岳に近接しており、久住山の東、中岳の南に位置する。詳細は、久住山を参照。https://yamap.com/mountains/187

  • 星生山

    標高 1762 m

    星生山(ほっしょうざん)は、大分県玖珠郡九重町にあり九重連山を形成する火山である。標高1,762mで、九重町の最高峰である。 1995年(平成7年)10月から1996年(平成8年)4月にかけて、北東側山腹の硫黄山と呼ばれる付近で噴火活動が発生し、噴気や降灰が観測された。これは、九重連山では333年ぶりの噴火にあたる。火山活動に伴う有毒ガスのために、星生山は2002年(平成14年)まで立ち入り禁止とされた。

  • 祖母山

    標高 1756 m

    日本百名山の一峰で、大分県竹田市と豊後大野市、宮崎県高千穂町の境に位置する。山頂には山名の由来となった神武天皇の祖母・豊玉姫の祠が祀られている。遮るもののない大展望が広がる山頂への登山口はいくつもあるが、大分県側の尾平と神原、宮崎県側の北谷がメイン。険しいコースが多い中、北谷から三県境を経由するコースは唯一登りやすい。日帰りでも楽しめる山だが、9合目には避難小屋があるので、小屋泊やテント泊でゆっくりとこの山の時間を楽しむのもよいだろう。体力や日程に余裕があれば、九州の岳人憧れの祖母・傾縦走路にチャレンジしたい。全長約40km・累積標高差約3,500mのハードな道のりだが、山域の奥深さと雄大さに最も触れられる。