08:43
15.7 km
1207 m
3度目の正直、霧に浮かぶシャクナゲの宮之浦岳
屋久島・宮之浦岳 (鹿児島)
2026年05月26日(火) 日帰り
以前2度断念した屋久島。 3度目の正直で、ようやく「宮之浦岳」登頂を果たすことができた。記録を兼ねて、今回の山行を振り返ってみたい。 今回は安房港近くの素泊まり民宿「とまり」に宿泊した。到着時、女将さんから「向かいの部屋の方が翌朝5時にタクシーで淀川登山口へ向かう」と聞く。 「それなら私の車で一緒に行けば、タクシー代も浮きますよ。」 そう提案だけして、私は夕食へ出掛けた。 戻ると、向かいの部屋から同世代の女性が出てきた。話をするうちに、翌日の山行を共にすることになった。 翌朝4時15分に玄関で待ち合わせ、淀川登山口へ向かう。登山開始は5時15分。空はすでに白み始めており、ヘッドランプは必要なかった。 小雨は降っていたが、それほど気になるほどではない。ただ、これまでの経験から、今回はカメラを車に置いていくことにした。 その分、荷物は軽い。 しかし今回は一人ではない。急ぐ理由もなかった。 田中陽希さんのような超人的なスピードには到底及ばないが、ゆっくり歩くことには何の抵抗もない。翌日も予備日として屋久島滞在を予定していたため、時間的な余裕もあった。 雨は静かに降り続いていた。出会う登山者は少なく、湿度は高い。それでも、ペースがゆっくりだったせいか、不思議と水分を欲しなかった。 「花之江河」に着いた頃、ようやく屋久島の深部へ入り込んできた実感が湧いてきた。 百名山95座目。 その数字の重みを、雨の登山道を歩きながら静かに感じていた。 同行してくださったのは、大阪から来られたS.K.さん。初対面ではあったが、とても気さくな方で、自然と会話も弾んだ。 やがて、シャクナゲが咲き始めるエリアへ入る。 ガスと小雨に包まれた宮之浦岳。 本来なら展望を諦めるような空模様だった。 それでも、霧の中に浮かび上がるシャクナゲは圧巻だった。 美しいというより、屋久島の自然そのものに呑まれるような感覚に近い。 湿った空気、静かな雨、白く霞む登山道。 そのすべてが溶け合い、幻想的な世界を作り出していた。 屋久島は、晴れた日だけが美しい山ではないのだと思った。 百名山95座目の登頂は、静かに訪れた。 展望こそなかったが、満足感は非常に大きかった。 下山は往路を戻る。 しかし相変わらずシャクナゲが見事で、何度も足を止めることになった。 カメラを置いてきたことへの後悔はなかった。 むしろ、あの雨の中では、それが正解だったのだと思う。 シャクナゲの群落を離れる頃から、雨足は次第に強くなっていった。黒味岳は、また次回の楽しみに取っておこう。 やがて登山道は池のようになり、場所によっては小川のように水が流れている。水を避けながらの下山は思うようにスピードも上がらなかった。 普段のピークハント中心の山行とは違い、今回は山そのものをゆっくり味わうことができた気がする。 S.K.さんには感謝しかない。 もし一人だったなら、途中で気持ちが折れていたかもしれない。 またどこかの山でお会いできればと思う。
