奈良の山

  • 八経ヶ岳

    標高 1915 m

    • 奈良

    2004年に世界遺産に登録された大峰奧駈道、その中核をなすのが八経ヶ岳(別名八剣山、仏経ヶ岳)だ。奈良県天川村と上北山村の境にあり、標高1,915mは関西の最高峰である。大峰山は日本百名山に選定されているが、この山が登山対象と言ってよいだろう。山頂部にはシラビソやトウヒの原生林やオオヤマレンゲの群落(ともに国の天然記念物)があり、後者は7月上旬~中旬にかけて香りのよい花をつける。最も登りやすいのは、国道309号の行者還トンネル西口から奧駈道に上がり、「大峰中興の祖」理源大師聖宝坐像がある聖宝ノ宿跡を経て山頂に立つコース(山頂まで約3時間)。山頂北面・弥山直下に弥山小屋(4月下旬~11月中旬営業)がある。

  • 弥山(奈良県)

    標高 1895 m

    弥山(みせん)は、奈良県吉野郡天川村にある大峰山脈の山。標高1895m。 天川村の南東部、大峰山脈の中央部に位置し、山域は吉野熊野国立公園の指定区域内にある。標高1895mは奈良県下で八経ヶ岳に次ぐ高度となる。山容は雄大と評され、山頂付近は南北に長く平坦な地形である。 周囲は北方に山上ヶ岳と稲村ヶ岳、北東に大普賢岳と行者還岳、東に大台ヶ原山、南西に八経ヶ岳と明星ヶ岳があり、山頂南東部にある国見八方睨から各ピークを望むことができる。弥山は天候が整えば奈良盆地や大阪平野から遠望可能である。 弥山を源流に持つ河川はいずれも新宮川水系である。西北に弥山川、東北に川迫川(こうせがわ)が端を発し、山上川などと合流して天ノ川となる。南東へ白川又川(しらこまたがわ)が流れ、北山川へ注ぐ。弥山川と白川又川は峡谷となり、弥山川には双門峡と呼ばれる急峻な峡谷がある。 弥山の年間平均気温は約8度、弥山がある大峰山脈の年間降水量は約3500mmであり、夏は多雨、冬は積雪が多く、山頂付近で樹氷が見られる。

  • 釈迦ヶ岳

    標高 1800 m

    大峰奧駈道上、奈良県十津川村と下北山村の境に位置する日本二百名山。山頂に釈迦如来の銅像が安置されているが、これは1924(大正13)年に「鬼マサ」の異名をとる大峰山一の強力・岡田雅行氏がひとりで道を作りながら、3分割して担ぎ上げたと言われる。登山道は奧駈道のほか、十津川村側と下北山村側から延びている。近年は短時間で登れて危険箇所の少ない十津川側の太尾登山口がよく利用されるが、中級者以上なら下北山側の宿坊・小仲坊がある前鬼をベースに登りたい。急登やクサリ場のあるハードな道だが、この山の本当の姿に触れられる。登山適期は4月下旬から11月下旬で、冬期は積雪のため歩く人は少ない。

  • 大普賢岳

    標高 1780 m

    奈良県天川、川上、上北山の3村にまたがる大普賢岳は、大峰山系・山上ヶ岳の南東に位置する。周辺は険しい地形のため、指弾ノ窟や笙ノ窟、水太覗といった修験道の行場となった。山頂からの展望はすばらしく、山上ヶ岳や大台ヶ原山などを一望できる。5月にはシャクナゲやシロヤシオの花を見られるほか、10月中旬~11月初旬の紅葉も見ごたえ充分。山頂へは東面の和佐又口バス停からの周回コースが一般的で、山上ヶ岳や八経ヶ岳から大峰奧駈道を縦走することもできる。山頂付近はハシゴや鎖場が連続するだけに、慎重に行動したい。和佐又口からの登路にあった和佐又山ヒュッテは、老朽化のため2019年11月に惜しまれつつ閉館となった(ロッジのみ営業予定)。

  • 稲村ヶ岳

    標高 1726 m

    稲村ヶ岳(いなむらがたけ)は、奈良県吉野郡天川村にある大峰山脈の山。標高1,726.1m、関西百名山の一座。女人大峯、稲邑ヶ岳とも記される。 天川村の東部、大峰山脈の北部、山上ヶ岳の南西に位置し、山域は吉野熊野国立公園の指定区域内にある。三等三角点「稲村岳」(標高1,725.9m)が設置されている。尾根伝いの北東に山上ヶ岳、東に大普賢岳、南東に行者還岳、南に弥山・八経ヶ岳、西に観音峯、北に大天井ヶ岳があり、山頂展望台から各ピークを望むことができる。天候が整えば奈良盆地や生駒山、金剛山、額井岳、釈迦ヶ岳などを遠望できる。 山頂部は北の大日山(だいにちさん)と南の稲村ヶ岳からなる。大日山と稲村ヶ岳の間には鋭いキレットがあり、西側の谷へと落ち込む断崖になっている。鋭い岩峰を持つ大日山を古くは稲村ヶ岳と呼び、こちらが本峰である。北側から見るその山容が、刈り取った後の稲を積み上げた稲叢(いなむら)に似ていたことが山名の由来である。大日山の標高は1,689m。山頂に大日如来を祀る祠があり、地元の村が干害に悩まされると、村人は雨乞いを行うために岸壁をよじ登り祈祷を行ったという。女性修験者のための行場として女人大峯(にょにんおおみね)の別名でも知られる。山頂付近はハシゴや鎖場、ロープが設置されている。 南にある稲村ヶ岳は標高1,726.1m。三等三角点が置かれ、奈良県が1968年に整備した鉄骨製展望台がある。稲村ヶ岳を含む大峰山脈の年間降水量は約3500mmであり、夏は多雨、冬は積雪が多く、冬期は山頂付近で樹氷が見られる。稲村ヶ岳近辺の地層は砂岩やチャートを主体とする礫岩層からなり、これを稲村ヶ岳礫岩層という。 稲村ヶ岳を源流とする河川はいずれも新宮川水系であり、北に山上川、東に川迫川(こうせがわ)が流れる。東の神童子谷(じんどうじたに)や南西のモジキ谷を流れる川迫川の渓流は沢登りの名所となっている。

  • 山上ヶ岳

    標高 1719 m

    奈良県天川村にある標高1,719mの山。大峰山系に大峰山というピークは存在しないが、一般的に大峰山といえばこの山上ヶ岳か、最高峰の八経ヶ岳を指す。山岳信仰の聖地としても名高く、周辺には修験道の根本道場・大峯山寺や表と裏の行場があり、現在も参拝登山が行われている。今でも女人禁制を守り、女人結界の先は女性の立ち入りが禁じられている。登山は洞川温泉を起点に洞辻茶屋~山上ヶ岳山頂~レンゲ辻とたどる周回コースが中心だが、西方の「女人大峯」稲村ヶ岳(標高1,726m)との組み合わせや、本道である吉野から吉野古道や大峰奧駈道をたどって山頂に向かうプランも考えられる。岩場が多いだけに、凍結のおそれがある冬期の入山は上級者のみ。

  • 行者還岳

    標高 1546 m

    行者還岳(ぎょうじゃがえりだけ)は、奈良県の天川村と上北山村にまたがる標高1,546mの山。 その険しい山容により、役行者をして一度は引き返させたという伝承からこの名が与えられている。 大峰山脈の北部にあたり、北に山上ヶ岳・大普賢岳、南西方に弥山・八経ヶ岳が連なる稜線の上に位置する。頂上は、この稜線を通る大峯奥駈道からは、徒歩にして10分程度離れたところにある。

  • 大天井ヶ岳(奈良県)

    標高 1438 m

    大天井ヶ岳(おおてんじょうがたけ)は、奈良県天川村・黒滝村・川上村に跨る標高1,439 mの山。大峰山脈の北部に位置する。奈良百遊山に選定されている。 山体は大峰山脈の主稜線を構成し、大峯奥駈道のルート上にある。山頂には展望はあるが視界は広くない。北稜に二蔵宿小屋がある。山体の東には標高1,000m前後まで舗装された林道が通る(林道吉野大峯線・林道高原洞川線)。西麓には洞川スキー場(スノーパーク洞川)がある。

  • 明神岳(三重県)

    標高 1432 m

    明神岳(みょうじんだけ)は、三重県松阪市と奈良県川上村の境に位置する標高1432mの山であり、地形図には穂高明神の別名で記載されている。大台ヶ原から高見山へと連なる台高(だいこう)山脈の主稜であり、美しいブナの原生林が広がる。三重県側・奈良県側の両方から登山ルートが伸びているが、三重県側は破線ルートとなるため、奈良県側の大又から四郷川沿いの林道を経由して入山するのがアプローチしやすい。稜線一帯はブナの原生林となっており、新緑や紅葉時期はもちろん、落葉した枝に霧氷が輝く冬期にも登山者が多い。山頂北西にある明神平周辺は広大な草原が広がり、キャンプ地としても人気がある。

  • 龍神岳

    標高 1382 m

    龍神岳(りゅうじんだけ)は、和歌山県田辺市龍神村と奈良県吉野郡十津川村との境にある、標高1,382mの山である。 龍神岳は和歌山県の最高峰であるが、2000年(平成12年)の国土地理院調査で、約700m西の護摩壇山より10m高いことが判明するまでは護摩壇山が最高峰として認知されていた。標高が判明してしばらくは名前が付けられなかったが、2008年(平成20年)に田辺市が全国から名称の公募を開始し、翌年3月3日に、最も応募の多かった「龍神岳」を「雄大・神秘的で親しまれる名称」として命名した。