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2026年は午(うま)年|日本全国の「駒ヶ岳」に登ろう!【秋田、会津、越後、甲斐、木曽…】
2026年の干支である午(うま)は、十二支の中でも山の名前に冠せられているダントツの動物。若馬を意味する“駒”の字を冠した「駒ヶ岳」だけでも、日本全国で20座を超えます。
今回はその中から日本百名山・二百名山・三百名山に選定されている著名な「駒ヶ岳」を厳選して紹介します。
目次
1.北海道駒ヶ岳(1131m)/日本二百名山

大沼から望む北海道駒ヶ岳(ガチャさんの活動日記)
大小の小島が浮かぶ美しい風景を讃え、三保松原(静岡県)・耶馬溪(大分県)と並んで「新日本三景」にも選定されている北海道の大沼。その貴重な自然は、国定公園やラムサール条約登録湿地にも指定されています。
この美しい景観は、大沼の北側にそびえる北海道駒ヶ岳(1131m)の度重なる火山活動によって創り上げられました。
大沼を手前に望むその姿は、山名の通り首を高く上げた馬そのもので、大沼国定公園のシンボルともいえる絶景です。

馬の背から望む剣ヶ峰(あおもさんの活動日記)
北海道駒ヶ岳は、現在も活発な火山活動を継続しています。2025年段階では、山頂火口部から半径4kmの区域内への立ち入りが規制されており、最高峰の剣ヶ峰もこの規制範囲。
六合目から赤井川登山道経由で馬の背(859m)までが登山可能ルートで、例年6月〜10月の9時〜15時が入山可能時間となっています。
これは法令に基づいた罰則をともなう規制でないため、馬の背から先へ入山している活動日記も多い山ですが、火山災害に遭遇しないためにも規制は守りたいものです。
馬の背まででも、荒涼とした火山の景観による異世界感や眼下の大沼、噴火湾などの眺望を満喫することができますよ。
2.秋田駒ヶ岳(1637m)/日本二百名山

山頂付近のお花畑や池塘(ちとう)と岩手山(つよぽんさんの活動日記)
日本アルプスなど中部山岳地帯では標高3000m級の山でしか見ることのできない高山植物が、登山道のすぐそばに咲き競う花の名峰として知られる秋田駒ヶ岳(1637m)。
標高1305mの八合目まで車(マイカー規制日はシャトルバス乗換)でアクセスできるのも、人気のポイントです。
最高峰・男女(おなめ)岳を中心に、男岳(1623m)・女岳(1523m)・横岳(1582m)などのピークと、阿弥陀池をはじめとした池塘・湿原が広がる山頂周辺はまさに楽園。
これらをめぐる木道が整備されており、日本で最も深い湖・田沢湖や、鳥海山・岩手山など東北を代表する名山の眺望も見事です。

チングルマ咲く「ムーミン谷」(mountain manさんの活動日記)
高山植物の見頃がピークを迎えるのは例年6月下旬〜7月初旬。初夏のシラネアオイやイワカガミから始まり、盛夏のコバイケイソウ・ニッコウキスゲ・コマクサが登山道周辺を彩ります。
晩夏の8月でもクルマユリ・エゾリンドウなど、様々な高山植物を間近で鑑賞できます。
特に小岳(1409m)の北側にある駒池から男岳へと続く馬場の小路は通称・ムーミン谷と呼ばれる高山植物の宝庫で、特に初夏のチングルマの大群落と谷の奥へ木道が延びているフォトジェニックな光景は、秋田駒ヶ岳を代表する絶景です。
3.会津駒ヶ岳(2133m)/日本百名山

ワタスゲ咲く駒ノ大池と会津駒ヶ岳(かつさんの活動日記)
日本最大の山岳湿地・尾瀬国立公園にそびえる会津駒ヶ岳(2133m)。その稜線からは、尾瀬ヶ原・尾瀬沼のランドマークである日本百名山・燧ヶ岳(ひうちがたけ・2356m)の秀麗な双耳峰も間近に望むことができます。
会津駒ヶ岳も山頂付近には池塘や湿原が点在しており、特に雪解けの時期には満々と水をたたえる駒ノ大池は代表的な存在です。
そのほとりにある山小屋・駒の小屋は素泊まりのみの受付ですが、ランプの灯と山好きなご夫婦のおもてなしなどアットホームな雰囲気が人気を博しています(営業は例年4月下旬〜10月下旬)。

中門岳へ続く草紅葉の湿原(yuzu_coさんの活動日記)
会津駒ヶ岳は山そのものがご神体として信仰されてきた山でもあります。駒ノ大池付近には駒形大明神祠が鎮座しており、例年夏山開き行事も開催されます。
麓の檜枝岐村は伝統芸能の歌舞伎や温泉、ソバなどの郷土料理が人気で、村内にも鎮守の神様として駒形大明神が祀られています。
山頂からは北に連なる中門岳(ちゅうもんだけ・2059m)へも足を延ばしてみるのがおすすめです。沿道には山頂手前と同様に池塘が点在する湿原が広がり、夏は高山植物のお花畑、秋は草紅葉のじゅうたんを楽しむことができます。
4.越後駒ヶ岳(2003m)/日本百名山

堂々たる山容の越後駒ヶ岳(mmooさんの活動日記)
日本百名山としてだけでなく、日本二百名山に選定されている八海山(1778m)・中ノ岳(2085m)とあわせて「越後三山」としても親しまれているのが越後駒ヶ岳(2003m)です。
魚沼駒ヶ岳の別名もあり、日本有数の豪雪地帯かつ米どころの魚沼地方でシンボル的な存在となっています。
どの登山口から登ってもロングコースとなる越後駒ヶ岳ですが、山頂直下には駒の小屋があります。避難小屋としての位置付けでありながら、稜線に点在するお花畑が美しい夏から、最も登山者が多い秋の紅葉シーズンにかけては管理人が常駐し、宿泊・幕営が可能です。

枝折峠からの滝雲(itako.sanさんの活動日記)
東麓に位置する銀山平は、文字通り江戸時代に銀の採掘が行われた場所で、現在は登山の起点とする登山客や、奥只見湖での釣り人などで賑わいます。
越後駒ヶ岳の主要な登山口である枝折(しおり)峠は、晩夏から秋の早朝に奥只見湖で発生した雲が稜線を越えて流れ落ちる「滝雲」の鑑賞スポットで、多くの写真愛好家も訪れます。
山頂には日本神話を代表する山の神・大山祇命(おおやまづみのみこと)の石像・石碑とともに、雲を神格化した豊雲野神(とよくもののかみ)の銅像が祀られています。滝雲を鑑賞した後に登頂すれば、山を「神が宿る場所」とした日本独自の信仰を実感できるでしょう。
5.甲斐駒ヶ岳(2967m)/日本百名山

駒津峰から望む甲斐駒ヶ岳(撮影:鷲尾 太輔)
日本に数多くある駒ヶ岳でもっとも標高が高く、『日本百名山』の著者・深田久弥が「もし日本の十名山を選べと言われたとしても、私はこの山を落とさないだろう」と絶賛した山が、南アルプス北部にそびえる甲斐駒ヶ岳(2967m)です。
同書の中で「日本アルプスで一番綺麗(原文は奇麗)な頂上」とも記されている、白い花崗岩で構成された山頂は、周囲の山々や山麓から眺めてもひときわ目を惹く存在。その山麓から湧き出したミネラルウォーターのテレビCMにも登場しました。

竹宇駒ヶ岳神社(撮影:鷲尾 太輔)
もっともメジャーな登山口は例年6月〜11月上旬に運行される南アルプス林道バスでアクセスする北沢峠(2036m)ですが、尾白川渓谷(773m)を起点に、北アルプス烏帽子岳(2628m)のブナ立尾根・谷川岳(1977m)の西黒尾根と並んで日本三大急登に数えられる黒戸尾根を登る歩きごたえ抜群のコースもチャレンジ意欲を掻き立てられます。
登山口近くにある竹宇駒ヶ岳神社の主祭神・大己貴神(おおなむちのかみ)は山頂にある駒ヶ岳神社の御祭神と同じ。駒ヶ岳講の信者によって、古くから登拝されていた信仰の山であることが感じられるコースでもあります。
6.木曽駒ヶ岳(2956m)/日本百名山

初心者でもチャレンジしやすい登山口・千畳敷カール(撮影:鷲尾 太輔)
東の南アルプスと西の中央アルプスに挟まれた信州・伊那谷の人々は、前述の甲斐駒ヶ岳を「東駒ヶ岳」、そして中央アルプス最高峰である木曽駒ヶ岳(2956m)を「西駒ヶ岳」とよんできました。山名の由来は春の雪解け時期に現れる黒い駒の形の岩肌(雪形)が由来で、田植えなど農作業の目安とされていたそうです。
現代は標高2612mの千畳敷カールまで中央アルプス駒ヶ岳ロープウェイでアクセスできることもあり、日本アルプス登山や高山登山の初心者からも人気の山です。特に千畳敷カールの高山植物が見頃を迎える夏から紅葉に彩られる秋までの登山シーズンの週末は、ロープウェイに接続する高原バスの乗車待ちが早朝から発生するほどです。

宝剣岳から望む中岳と木曽駒ヶ岳(撮影:鷲尾 太輔)
千畳敷カールから八丁坂と呼ばれる急なジグザグ道を登ると、絶景の稜線へ到達。2軒の山小屋がある乗越浄土からは西側の視界も開け、北アルプス・乗鞍岳・木曽御嶽山などを望むことができます。ここから中岳(2925m)を越えると、木曽駒ヶ岳は目の前です。
何気なく通り過ぎてしまいがちな中岳ですが、実は山麓にある駒ヶ嶽蚕玉(こだま)神社の奥宮という位置付けです。江戸時代末期から明治時代にこの地で盛んだった養蚕業と山岳信仰が結びついていた事実を知ると、木曽側(西)と伊那側(東)のふたつの駒ヶ嶽神社が鎮座する木曽駒ヶ岳山頂に立った時の感慨も、より深まるのではないでしょうか。
7.南駒ヶ岳(2841m)/日本二百名山

南駒ヶ岳から望む空木岳(haruk0612さんの活動日記)
木曽駒ヶ岳と同じく日本百名山に選定されている空木岳(うつぎだけ・2864m)を過ぎると、中央アルプスの稜線は途端に登山者も少ない静かな雰囲気へと変わり、千畳敷カールの賑わいがまるで夢のように感じられます。
そんな空木岳の南に連なっているのが、南駒ヶ岳(2841m)です。深田久弥が『日本百名山』を執筆する際にも、この2座のうちどちらを選ぶか迷ったと記されており、わずかに標高が高く名前が美しい前者が選ばれたそうです。

越百山から望む南駒ヶ岳(タッキさんの活動日記)
この逸話を体感するために、空木岳から足を延ばすのもおすすめ。また、南駒ヶ岳のさらに南にはスリリングな岩峰・仙涯嶺(せんがいれい・2734m)と日本三百名山・越百山(こすもやま・2614m)が連なっています。
これらをめぐるコスモサーキットと呼ばれる周回コースも、中央アルプス南部の静かな稜線歩きを楽しみたい登山者にぴったりです。
山頂東側には千畳敷と同じく氷河の侵食作用で形成されたカール(圏谷)地形があり、摺鉢窪(すりばちくぼ)とよばれています。こちらも高山植物の宝庫ですが、斜面にクラック(亀裂)が発生し、2022年7月以降は立入禁止になってしまいました。いつか再訪したい山上の楽園です。
8.箱根駒ヶ岳(1356m)/日本三百名山

富士ノガク越しの富士山(ねこ実さんの活動日記)
日本三百名山・箱根山の最高峰は神山(1438m)ですが、大涌谷の火山活動によって入山規制になることも。ここでは同じく箱根山の中央火口丘を構成し、現在は芦ノ湖畔にある関東総鎮守・箱根神社の奥宮である箱根元宮が山頂に鎮座する箱根駒ヶ岳(1356m)を紹介します。
西側にある芦ノ湖畔からの登山道もありますが、標高1336mの駒ヶ岳頂上駅まで駒ヶ岳ロープウェーでアクセスすれば山頂は目の前です。頂上駅周辺は2025年に展望デッキ「芦ノソラ」、富士山を背景にした巨大フォトフレーム「富士ノガク」、相模湾を望むネットベンチ「海ノニワ」が整備されました。

馬降石・馬乗石と箱根元宮(ねこ実さんの活動日記)
箱根元宮の創建は約2400年前といわれ、古来より神山を天津神籬(あまつひもろぎ=神の依代)、駒ヶ岳を天津磐境(あまついわさか=祭祀場)とする山岳信仰の聖地でした。参道には、白馬に乗った神様が降臨したとされる馬降石(ばこうせき)や馬乗石(ばじょうせき)が残っています。
現在の御祭神である箱根大神は、天孫降臨を成し遂げた瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)、その妻で富士山の御祭神でもある木花咲耶姫命(このはなさくやひめのみこと)、彼らの子で初代神武天皇の祖父にあたる彦火火出見尊(ひこほほでみのみこと)の三神を併祀した存在。日本の神話や歴史においても、重要な山であるといえるでしょう。
午年は全国の駒ヶ岳で干支登山を楽しもう!

赤城山の駒ヶ岳(撮影:鷲尾 太輔)
今回はメインディッシュ級の駒ヶ岳を紹介しましたが、日本にはまだまだたくさんの駒ヶ岳があります。
例えば日本百名山・赤城山の最高峰である黒檜山(くろびやま・1828m)から南へ延びる稜線上にある駒ヶ岳(1685m)など、他の山と組み合わせて登ることができる場合も。
午年である2026年は、「山名に馬がつく山」から「駒ヶ岳」まで、選択肢が盛りだくさん。ぜひ全国の干支登山を満喫してください。
▶︎関連記事:2026年は午(うま)年|干支の山に登って縁起のいい新年を迎えよう
執筆・トップ画像撮影=鷲尾 太輔(山岳ライター・登山ガイド)
山岳ライター・登山ガイド
鷲尾 太輔
登山の総合プロダクション・Allein Adler代表。山岳ライターとして、様々なメディアでルートガイドやギアレビューから山登り初心者向けのノウハウ記事まで様々なトピックを発信中。登山ガイドとしては、読図・応急手当・ロープワークなどの「安全登山」から、写真撮影・山岳信仰・アウトドアクッキングなど「登山+αの楽しみ」まで、幅広いテーマの講習会を開催しています。とはいえ登山以外では根っからのインドア派…普段は音楽・アニメ・映画鑑賞や、読書・料理・ギター演奏などに没頭しています。
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