【2泊】長塀山・蝶ヶ岳・蝶槍・常念岳・東天井岳・大天井岳・大下りノ頭・燕岳・合戦沢の頭

2023.05.24(水) 3 DAYS

チェックポイント

DAY 1
合計時間
7 時間
休憩時間
30
距離
12.1 km
のぼり / くだり
1332 / 177 m
DAY 2
合計時間
11 時間 14
休憩時間
2 時間 33
距離
10.7 km
のぼり / くだり
1225 / 1004 m
DAY 3
合計時間
8 時間 52
休憩時間
1 時間 47
距離
13.6 km
のぼり / くだり
628 / 2043 m
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活動詳細

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【1日目】- 順調なスタート、蝶ヶ岳山頂の夕日、日の出は最高でした。  昨年春、テン泊デビューを目指しテントやシュラフを購入したにも関わらず、日程や天気の関係で延び延びになっていましたが、天気も良さそうなので北アルプス表銀座(上高地→中房温泉)に出かけました。  新宿発の「さわやか信州号」を利用しようと考え、予約サイトを確認するもあいにく満席、幸い松本駅発の「ナショナルパークライナー」にはまだ空きがあったので5:30出発を予約し、松本前泊で計画しました。バスでの仮眠は心配だったので、結果的には良かった気がします。  バスはほぼ満席、外国人の乗客が2割くらい、登山者らしい乗客は意外と少ないです。上高地まではおよそ1時間半ですが、梓川沿いのダムやダム湖など窓外の風景が楽しめ、それほど長く感じられません。上高地は最高の天気で奥穂高が良く見えました。左に少し雲がかかっているのも良い感じです。河童橋では、記念写真を撮る外国人の姿が目立ちます。キャンプ場を通り抜け、しばらく進むと一匹の野猿が管理人(猿)のように道の脇の木の陰にいました。  梓川に沿って気持ちの良い道をしばらく進むと明神に出ます。ここから明神岳が青空にくっきり並んでいました。梓川に沿って更に進むと徳沢に出ます。立派なロッジなどがあり、登山基地としての歴史を感じさせられます。キャンプ場なども気持ち良さそうです。徳澤園の横を入っていくと蝶ヶ岳への登山口です。ここから本格的な登山路になります。多くのトレッキングの方は徳沢止まりのようでここで一気に孤独になりました。  今回テントでの2泊を予定していたのでザックは20kg超にもなっていて、登りに入った途端、ずっしりと重みを感じます。ここから長塀山まで眺望もなく1,000m程度高度を上げていきますが、モチベーション高めだったので、ほぼほぼ予定していた3時間程度で到着できました。尾根に出ると少し雪がありますが、チェーンスパイクを履くほどではありません。昼食は蝶ヶ岳に到着してからと決め、羊羹を齧りながら先を急ぎました。ここから蝶ヶ岳へのルートは、それほどアップダウンもありません。蝶ヶ岳の山頂が見えてきたところで左側の眺望が開け、穂高〜槍ヶ岳の稜線が青空にくっきりと姿を表し、テンションが一気に上がります。そこから最後の登りを登っていたら、夏毛に衣替えをした雷鳥がお出迎え。一度蝶ヶ岳の山頂を踏んだ後にテント場に到着しました。到着時間は、午後2時を少し回ったところ、出発してから6時間半、初日は上々でした。テント場は30張程度、この時点では5張程度でしたが、最終的には20張くらいにはなっていたと思います。ヒュッテ(対応はとても良かったです。)で水、ビール、登山バッチなどを購入し、まずは食事をして、のんびりテントを設営しました。風が少しあったので、ちょっと手間取ったものの比較的スムーズに設営は終わりましたが、設営場所の傾斜を見落としたため、なかなか厳しい夜になりました。とは言え、槍ヶ岳に沈む夕日は素晴らしかったです。 【2日目】- 常念岳で折れそうになるも持ち堪え、大天井岳で待っていた衝撃の出来事。  初日夜は地面の傾斜で寝不足気味も、日の出前に起床、蝶ヶ岳の山頂で素晴らしい日の出を見ました。モルゲンロートには少し間に合いませんでしたが、栃木の山々がシルエットになり、オレンジ色の日の出は最高でした。ご飯をサクッと済ませ、撤収、6時ちょうどにテント場を出発、この時はまだ今日が試練の1日になるとは夢にも思っていませんでした。  蝶ヶ岳から蝶槍までは、比較順調で、途中雷鳥との遭遇もあり、槍ヶ岳をバックに良い感じの写真も撮れたので、良い感じで蝶槍まで2時間程度で移動しました。天気も上々、蝶槍からの眺望も素晴らしかったです。  重いザックを担いだ蝶槍〜常念岳の稜線は、本当にキツかったです。雪でチェーンスパイクを着脱するのに時間を取られたり、斜度のあるがれ場があったり、この区間で4時間もかかったのは想定外です。常念岳の山頂からの眺めは最高でしたが、予定よりかなり遅れていたこともあって、早めに山頂を後にします。山頂付近は、今回最も雷鳥が多かったエリアです。時期的なものもあるようですが、飛ぶ雷鳥の姿を多く見かけたのも常念岳でした。  山頂からの常念小屋までの距離は相当あります。しかもガレ場で重いザックで左右に振られ、浮石もあり、下りですが体力を削がれます。常念小屋に着いてもそこから先に進める自信もなく、ここでテントを張って、明日一気に中房温泉を目指すという考えも頭の中を過りました。常念小屋で冷たいコーラを購入、昼ごはんを食べたところで気力体力が戻り、復活。この判断は結果的に「吉」でした。  常念小屋を出発するとすぐに「横通岳」へ高度を300m一気に上げます。急登はこの後は、東天井岳の1ヶ所、何とかいけそうです。登山路には雪もほとんどなく(東天井岳の手前で雪上のトラバースが50m程度ありましたが、トレースもしっかりあり問題なく通過)、ほぼコースタイム通りで順調に大天荘が見えてきました。が、、、様子が変です。テント場は空、小屋にも人気がありません、、、夏期営業前でした。水もここでの補給を当てにし1リットル程度しかありません、、、。小屋の傍に視線を移すと「冬季小屋」があり、冬季入口への案内が書かれています。「助かった!」という思いで、冬季小屋へ入りました。  冬季小屋は避難小屋のような体で、小屋の中の重い引き戸を開けると上下2段になっていて、さっぱりとしています。ストーブなどはないですが、寝れれば十分です。外は風もあり、この時間からのテント設営はキツかったので本当に助かりました。  中で少し掃除をして、居場所を作ると残りの水を計算し、半分使っても明日燕山荘まで持つだろうと考え、アルファ米、インスタントのビーフシチュー、それとココアを飲みました。スマホのバッテリーの心配をしつつも一人で心細いのでノリの良い音楽をかけながら、8時には寝たと思います。  昨晩の寝不足で熟睡していたところ、小屋の外で物音がします。最初風で何かが動いて建物に当たっているのでは?と気にせずにいたのですが、明らかに外に何かいる気配がします。今度は熊か何かかと思い、重い落とし扉は開けられないだろうと目を閉じていたら、建物の中に入った気配がし、中の引き戸に手をかけて開けようとしています。さすがに「人」に違いないと思い、こちらから声を掛け引き戸を開けたところ、向こうも驚いた様子。「実は、遭難というか、遭難っぽい感じになって警察に連絡したら、この小屋を教えてもらいました。」との話でした。  詳しく聞くと「中房温泉から入って、燕山荘を通り、大天井岳から槍ヶ岳を目指していたところ、雪がひどくて思いのほか時間がかかり、断念し引き返してきたらこの時間になって。」との事でした。時計を見ると深夜1時過ぎ、外は氷点下5℃程度と思われます。聞けば、彼は24歳の社会人で、登山は7年ほど前の夏、燕岳から槍ヶ岳付近まで行ったことがあり、他には富士山に登ったことがあるとの事でした。5月の北アルプスがこれほど寒いとは思わなかったそうで、上着やグローブもなく、アイゼン、チェーンスパイクなど雪を想定した装備もなく、時間がかかってしまったため食糧や行動食はすでになく、水はないがアクエリアスがあるとの事でした。私の方は食糧はあるものの水の方が心配でしたが、最悪外の雪で何とかなると思い、とりあえず温まってもらうために豚汁を分けしました。7年前に槍ヶ岳に登ることが出来なかったことが心残りで今回連休を利用して山頂を踏みたかったとの事でしたが、槍ヶ岳の周辺の雪を見ると軽装で雪の備えもなく登頂できるとは到底思えず、途中で引き返して本当に良かったと思います。しかも雪の中で滑落もせず、照明は自転車のLEDライトを持っていたそうですが、それもバッテリー切れ、そういった条件でここまで戻れただけでもすごい事だと思います。仮に先に進んだら、防寒体制もなく、食糧もなく動けなくなるか滑落するか、、、最悪の事態しか想像できません。念のため持参していたダウンジャケットと予備のグローブ、厚手のソックスをお貸しし、明日の行動食を分けました。※長野県警から「YAMAPやってないのか?」と聞かれたそうです。彼は知らなかったそうです。 【3日目】- 天気下り坂も順調に締めくくり。  翌朝、外が白み目が覚め、小屋から出るとちょうど日の出、今日は雲が多めで雲海が出ています。槍ヶ岳の手前の雲海がとても良い雰囲気で気持ちが上がります。しばらく日の出を堪能、まだ大天井岳の山頂踏んでいなかったので山頂に向かいます。途中、雪上は雷鳥の雛がたくさんチョロチョロしています。山頂は途中雪を横切りますが、10分ほどで到着、山頂に着いた頃には、ガスでほとんど何も見えませんでした、雷鳥を近くで見れたので良しとします。  小屋に戻り、行動食を口にし、荷物を片付け、掃除をしたりしました。24歳の青年は、まだ外が寒いので少し残るとの事でしたが、警察からは下山ルートについて、常念小屋から一ノ沢を下るよう指示があったとの事でしたので、ルートについて状況をお伝えしました。彼はまだ槍ヶ岳が諦め切れない様子でしたが、装備、食糧のこともあるので、出直した方が良いと伝え、ダウンジャケットやグローブは、そのままお貸しし、先に小屋を出ました。  外に出てスマホの電源を入れるとバッテリー残量は50%、予備のバッテリーもすでになく、ぎりぎりです。YAMAPを確認すると早朝山頂を踏んだ時にスマホが省電モードになっていたらしくログが取れていません。仕方ないのでザックをデポしてもう一度山頂に向かいます。2度目の山頂を踏んで、サクッと戻ってきて、ザックを担ぎ、出発。山頂を巻くアップダウンのないルートを進むと大きな雪の斜面に出ました。落差が非常に大きく、重いザックを担いでトラバースできる気がしません。仕方なく引き返し、山頂を経由して向こう側に降りるルートに変更、3度目の山頂を踏み、時間も大きくロス、幸先の悪いスタートになりました。燕山荘までは、大天井岳からの下り以外にそれほどの難所もなかったのですが、途中から天気が怪しくなり、燕山荘に着く頃には少し雨が降り出しました。燕岳は天気が良ければ、良いお山だと想像は出来ましたが、あいにくガスガスで残念でした。とは言え、今回は、初日、2日目天気に恵まれ、3日目の朝も日の出と雲海を堪能できたので上々だったと思います。中房温泉から入る逆コースも検討しましたが、結果的には上高地スタートで良かったです。  燕山荘でスマホの充電で30分休憩したこともあり、最後の下りは急ぎました。中房温泉に着いたのは、13:46、バスの時間は14:15、サクッと入浴を済ませ、何とか間に合いました。15時過ぎに穂高駅に到着、16時に特急あずさがあるので、駅前でクラフトビールで3日間を労いました。  長文になってしまいましたが、今回の反省としては、 ① ザックが20kg超なのに1日の行程が長すぎた。2日目は常念小屋で切った方が良かった。 ② 大天井岳の大天荘、営業確認したつもりだったが、やっていなかった。 ③ ザックの重さは15kg程度に抑えるべく、食糧などのやりくりが必要。 (追記)大天荘は6/17から営業との事です。冬季小屋は入口の貼り紙に1,000円と書いてありますが、2,000円だそうです。貼り紙記載の電話番号も今は使われておらず、燕山荘松本事務所に確認し支払いました。

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