活動データ
タイム
12:02
距離
18.5km
のぼり
1275m
くだり
1276m
チェックポイント
活動詳細
すべて見る久しぶりのまずまずの山日和が訪れた。予報はSCWはくもりだがてんくらはオールAだ。そこで、今回は近場の三峰山への再挑戦を試みた。昨年、山頂を目の前に泣く泣く時間切れで引き返した心残りの山だ。結果は、目標達成。しかし、山頂への誘惑に負けて、時間切れを押して登頂を強行したため、下山が遅れ、やってはいけないヘッデン滑走を一時間する羽目になり、反省させられた山行となった。 なお、幸運にも山頂では雲が取れ、薄日も差したので山頂からの展望は殊の外素晴らしく、十分楽しめた。反省がなければ大満足の山行だったともいえよう。 〇スキー場から北泉ヶ岳北尾根の雪庇突破 スプリングバレースキー場を予定通り昨年より40分早い、6:49に出発できた。車はまだ駐車場ゲートの開門前で、重機置き場の隅のスペースに駐車した。圧雪車のゲレンデ整備を横目に、林道出発点を7:00に通過、東尾根の取りつきには7:34到着した。天気は予報通り曇り、トレースはわかんが多くスキーは下山のものが一本だけ。わかんのトレースに沿って進むと、幸いスキーの沈みはほとんどない。ラッセルの必要がないので、障害物のないところを選んでどんどん進む、昨年の軌跡も参考に進む。 8:30に1026ピークに到着、ピークを巻いて8:45北尾根の登りに入る。このあたりまで来ると新雪の深さが10cm以上、しかも次第に深くなり歩きにくくなる。昨年の雪庇突破個所は,地図上崖の記号の切れたあたりなので、ここを目標にジグを切って登る。 9:18雪庇下に到着、見上げる雪庇は3-4mほどでとても突破できそうなところはない。昨年の突破個所はもっともっと右の方だ。しかし、遠目でブナ林が雪庇個所まで続く個所があり、もしかするとと考え近づくと、なんと乗り越えられそうな個所があるではないか。 その個所を目掛けて進みキックターンしようとするが、深い新雪と急傾斜に阻まれて山回りターンができない。仕方なく谷回りでターンを試みるが、こっちも深い新雪で足元が安定せず困難、仕方なく尻もちをついて無理やり方向転換した。すると、進行方向にルートが見えた。うまい具合にスロープが雪庇についており、難なく雪庇を突破した。9:38 北尾根に到着、昨年より一時間早い、この分だと計画通り三峰山まで確実に行ける。後から思えば判断の甘さがここから始まった。 突破個所を改めて確認すると、昨年の個所から100mほど手前で地図上の崖記号の中ほどの個所だ。昨年は横移動で通過したところである。年によって雪庇の形は変わるらしい。 〇雪庇突破から三峰山 北尾根からは、シールを外して熊の平までワクワク滑降の開始だ。気温が上がり雪質は湿雪で重くあまり滑らない。だが圧倒的な速さに変わりはなく、滑りが気になることはなく快適だ。 10:55 鞍部の熊の平に到着、ここで再びシールを再装着。日が差しはじめ天気も良くなってきた。風も弱く暖かい、気持ちの良い林間を登る。少し雪が重いが、天気が良いので気分が良くどんどん登る。 12:03 1080m地点でランチタイム、青空が更に広がり、風もほとんど感じない。眺望はブナ林の中なので、どちらを向いても同じ。三峰山はまだまだ先なので、お昼を食べるとすぐ出発、エネルギー補給後は少し足取りも軽くなる。 12:46 1145m地点、進行方向の木々の間から、ようやく白い三峰山が顔を出した。ここから、三峰山の前衛峰1310mピークへの登りに入る。13:16目の前に白い1310mピークが見えた。傾斜は次第に急になり、ジグを切りあえぎながら登る。振り返ると北泉ヶ岳、泉ヶ岳が美しい。雲で泉ヶ岳の山頂はかくれているが青空の方が多い。 13:19 1280m地点、ピーク近くでまた前方に三峰山の山頂が少し見えた。もう一つの前衛峰1360mピークの後ろが三峰山だ。まだ直線距離で800mもある、しかも、前衛峰に守られている。三峰山の隣は、白く光り輝く後白髪山が厳かな姿を見せている。 13:26 1360mピークに到着、前方の前衛峰は、かなりの急傾斜だ、どうやって越えるのか見当もつかない。その右には船形山も見えた、よく見ると避難小屋も確認できる。13:31 次の前衛峰の登りに入る、登り方は幅10m程度の狭いオープンスペースをジグを切って登る。雪は適度に締まっており、特に問題ない。傾斜が急なので何度も切り返す、山頂付近は僅かに傾斜が緩くなり、左を恐る恐るトラバース。13:43 山頂の向こうの稜線に登頂した。 稜線に登ると、ようやく三峰山の全容が姿を現した。均整がとれた美しい姿だ。三峰山も結構急だが、前衛峰ほどではない。同じようにオープンスペースをジグを切って登る。最後は、右の藪間から山頂に到達した。 14:00 ついに三峰山に登頂。感激の瞬間だやったと思わず叫んだ。二年越しの登頂がかないうれしくてたまらない。山頂からは、今まで見えた山に加えて、蛇ヶ岳から船形山に続く稜線が美しい。あいにく雲が多くなり、すっきりとした美しさではないが、薄日が差し神秘的な美しさを見せている。泉ヶ岳もはっきり山頂が確認できた。この天気でこれだけ展望できれば申し分ない。 〇三峰山からスキー場 もうすでに時間切れなのはわかっていた。一時の眺望を楽しんだ後、14:09 即下山を開始した。下山は、1360m前衛峰手前に少し登りがあるので、シールは外さず、前衛峰からワクワク滑降することにした。シールを付けた滑走でも下り方は同じ、狭いオープンは斜滑降切り返し、広くなった急斜面でシュテムターン。シュプールが運よくカバー写真に写っていた。 14:32 前衛峰でシールを外しワクワク滑降の開始。最初は登りのトレースに沿って、狭いオープンを斜滑降切り返し、狭いので回転の冒険はしない。広くなったところで回転して見たが、雪質が安定していないので案の定転倒、以降は無理せず斜滑降切り返しを基本に、登りのトレースを外さす慎重に滑降した。 14:47 1250m付近で樹林帯に突入、樹間が狭くオープンはほとんどないので、斜滑降切り返しの我慢の滑走が続く。ようやくオープンで回転ができそうなところは何度かシュテムで回転、ここでも一回転倒した。なかなかスピードが上がらないがどうしようもない、滑っている間は快適なのだが、時間が経過する割には距離が出ない。 15:46 ようやく935m地点の熊の平に到着した。標高差300mの下りに一時間もかかってしまった。滑らない雪の仕業である。三度目のシールを装着、登りに入る。雪が更に重くなり、疲れもあるので、なかなかペースが上がらない。何とか日のあるうちに林道までと急ぐのだが、時間だけが経過していく。 16:13 1015m地点、ここから急傾斜の登り、気力を振り絞り休まず登り続ける。雪庇突破個所までは、直線距離で1km、標高は1165mで150mと僅かな登りなのだがなかなか近づかない。 17:15 ようやく、雪庇突破個所に到着、急いでシールを外し、最後の滑降を開始。ここまでの距離は大変長く感じた。日没までにはとの思いからか、気の焦りがそのように感じたのか。でもまだ明かりが残り、雪庇下の急斜面は、斜滑降の切り返しで慎重に滑降できた。それも束の間、次第に暗くなり前が良く見えなくなってくる。当然転倒する。転倒するとザックを外し、体制を整えて次の滑降するのに時間がかかる。時間ロスはしたくないので、転ばないよう、短い距離を何度も切り返しながら、東尾根の取りつけまで下る。しかし、3-4回転倒、最後の転倒で板が外れたので、ヘッドランプを取り出して板を履き直し、ここからヘッデン滑走。 17:54 1020m地点、ようやく東尾根取りつきのトレースを確認。標高差145m下るのに40分もかかった。 ここからは、当初予定の東尾根西斜面の滑降は避けて、安全優先の登りのトレース沿いに慎重に滑降することにした。少しずつトレースを外さず斜滑降で切り返し、スピードは落として下る。明かりがあるおかげか、この後は不思議と出発点まで転倒することはなかった。 途中林道に出て、ほっと一安心。もう不安はない。林道滑走は障害物がないのでヘッデン滑走でも少しスピードが出せる。18:48前方にナイター営業中のスキー場ゲレンデに到着。ここからわずかな距離だが思う存分回転を楽しみ、18:54 レストハウス前に到着した。誰にも会わない、長い長い一日が終わった。とにかく無事に下山できて、本当に良かった。 〇反省と原因 やってはいけないヘッデン滑走を余儀なくされた、昨年の例から反省と原因を考えてみた。 反省すべき点は、計画が甘かったこと。予定通り昨年より一時間の余裕が出来たのだが、よく考えると三峰山までの距離増を差し引けば、余裕などないはず。結果論だがもっと早く、あと一時間は早くヘッデンスタートすべきであった。 原因は、雪質の違いである。昨年の雪質はパウダーでスキーも10cmぐらいしか沈まない、良く滑るし、スキーを前に進めるのに何の抵抗もない軽い最高の雪質だった。今回は、新雪ではあるが5日ほど前のもので、この二三日で粉雪から湿雪に変化した。湿雪は、抵抗があるので滑りにくい、おまけにスキーを前に進めるのに抵抗があり雪も重い。この大きな違いが、スピードの差に表れた。ログ写真を添付したので見ていただきたい。差は歴然である。 もう一つの原因は、引き返さなかったことである。1310ピーク到着時間は昨年とほぼ同じだ。ここで昨年と同じなのになぜ引き返さなかったのか? それは、空腹時に目の前にごちそうがあるのに食べないで帰るのと同じだと思う。私は、普通の人間なのでまた同じ判断はできなかった。昨年の経験から、ヘッデン滑走になるのはわかっていたが、ヘッデンは経験もあるし天気も心配ない。安全に帰れる自信がある。 「危険を甘受しなければ、真のアルピニズムは存在しない」これが引き返さなかった理由である。
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