15:29
19.5 km
2496 m
【VR厳冬期】ソロ1Day奥穂高岳(涸沢西尾根)
槍ヶ岳・穂高岳・上高地 (長野, 岐阜, 富山)
2025.01.18(土) 日帰り
厳冬期の奥穂を目指したい。久々にこの感情になった。今年の北アは12月初めから1月の第2週まで、ほぼ毎日のように雪。人を寄せ付けない山域となっていた。この土日は晴れ、これはチャンスだ。2年前の2月、同じルートを辿っている。その時と比べて雪は確実に多い。雲こそ高層雲の予報であるが、風が強く厳しい戦いになる事が予想された。幸い、土曜日にかおるさん(https://yamap.com/users/2642016)たちが入っており、トレースはバッチリであった。相当な苦労だったようだ。このトレースがなければ確実に今回の山行はできていない。感謝をしなければならない。ありがとうございます。 ◆登山記 無積雪期に穂高へアプローチする方法はいくつかある。ただいずれのルートも雪崩の危険があるため、厳冬期は別のルートを選択することになる。奥穂の場合は涸沢西尾根を使い、涸沢岳から縦走するというルートが比較的リスクが少ないルートであろう。 . ◻︎新穂高登山口〜涸沢西尾根取付き 23時09分、登山開始。するといきなり救急車が来た。不穏なスタートだ。気を引き締めて歩き始める。林道はトレースがしっかり踏み固められており歩きやすい。昨日まではノートレースで相当苦労したらしい。感謝しながら歩く。途中穂高平避難小屋を通過し、2時間程で白出沢出合へ到着する。ここまではコースタイム通りといった感じか。この日も仕事を終え直行したためスロースタートで様子を見た。出合からあがって最初にある尾根が涸沢岳西尾根だ。登山道脇に”トウヒ”の大木があるので見つけやすい。今シーズンのトレースは、トウヒよりも手前から尾根に取付いていた。尾根の少し上には、2つのヘッデンが見えた。 . ◻︎涸沢西尾根取り付き→2,400m付近 尾根に上がってからは緩傾斜と急登を繰り返す。途中に幾らか倒木がありその上に積もった雪を越えるのが非常に困難な場所があるので巻いたりしながら越えていく。途中お助けロープが垂れているところが1箇所ある。何年か前には、2,400mより下部の樹林帯ですら、ブドウ谷への滑落で2名亡くなっているので注意が必要だ。2,400m付近で開けた箇所にでる。幕営適地が何箇所かある。ピッケルを取り出し、身なりを整える。ストックはここにデポした。 ◻︎2,400m付近→蒲田富士 更に尾根を上がり2,600m付近まで登ると西尾根の本筋に乗り上げる。この辺りから森林限界を越えている。後ろを振り返ると笠ヶ岳が月に照らされていた。蒲田富士への登りへは、30m程のロープが垂れている。ここは毎年犠牲者が出ているので慎重に登る。蒲田富士への稜線へ出ると、素晴らしいナイブリッジと美しくも怖い両雪庇が月に照らされ不気味な輝きを放っている。涸沢岳は高く、ジャンダルム〜西穂そして南岳が雪をたっぷり纏って聳え立っている。美しい景色に見惚れつつ、2年前よりも雪が多い雪稜を注意しながら進んでいく。程なくしてF沢のコルに到達する。時刻は5時45分を回っていた。 . ◻︎蒲田富士→涸沢岳 F沢のコルから涸沢へのアプローチは主に2つ。 ①稜線上の岩稜を直登。 ②南側のルンゼを登る。 今回は雪崩のリスクが無さそうだったので、②のルンゼを選択した。ここからは気力との戦いである。涸沢へは、偽ピークがいくつもあり中々山頂にたどり着かない。山頂に辿り着く前に夜が明けてしまった。まず乗鞍がモルゲンで染まり始め、槍穂高と順番に染めていく。今日のモルゲンは一瞬だった。滝谷側が切り立っておりところどころ雪庇を形成しているので白出沢側をトラバース気味に歩いた。 . ◻︎涸沢岳→奥穂高岳 涸沢岳山頂に着く頃にはすっかり夜が明けてしまった。7時11分に到着。せっかくなので後続のぬーさんたちパーティを待つ。気づかなかったがなんと40分もここにいたらしい。合流後、白出のコル(穂高山荘)は下る。太陽が出てから予報通り風が強くなってきた。奥穂の山頂は激しく雪煙が舞ってある。風が強そうだ。白出のコルにて一名とスライド。山頂は爆風だそうだ。下りてくる途中何度か身体が浮いたという。幸いハシゴはしっかりと出ていた。その後氷結したルンゼをアイゼンとピッケルを効かせて慎重に登っていく。出だしの岩壁を登り終えると緩やかな稜線となり、しばらくいくと奥穂高山頂へ到達する。早めに着いたため、ジャンダルム方面へ少し進んでみる。ウマノセ近くまで行き、奥穂へ戻る。せっかくなのでぬーさんたちと奥穂で写真を撮りたかったのもあり1時間以上山頂に滞在した。穂高神社の嶺宮はその姿が見えないほど氷で覆われていた。風はとても強かった。 . ◻︎奥穂高岳→新穂高登山口 山頂直下のクラストした雪壁、白出のコルへの下り、F沢のコルへの下り、蒲田富士からの下りが核心なので登り以上に注意して下りた。西尾根の下降は、吹き上げてくる烈風にまともに向かい合わねばならず、また足元の雪面はその強風に磨き上げられてカチカチであり、ワンミスが命取りとなる。慎重におりつつ、奥穂から4時間半無事新穂高へ下山した。 . △▼△▼△▼ △▼△▼△▼ △▼△▼△▼ △▼ ◆気象状況 てんくらA 予想風速 15m/s(奥穂高岳山頂) 予想気温(Mountain weather forecast) 奥穂高岳山頂 最高 -10℃ 最低 -12℃ 体感温度 -24℃ 観測値↓ 駐車場:-5℃☀️ 蒲田富士:-15℃☀️ 涸沢岳:-20℃☀️風強 奥穂高岳:-20℃☀️風強 ◆飲料 ・水1.0ℓ(500㎖×2) →500㎖1本にamino VITALクエン酸チャージを溶かす。 ・お湯 1.5ℓ(1.0ℓ、500㎖) 消費量:1.0ℓ ◆食糧 写真参照 ◆風呂 自宅 (次の日仕事が早いため) ◆下山飯 諏訪湖SA メモ📝 ・こまめな水分補給(お湯)は大事。 ・厳しい環境下でのルートファインディング能力をもっと上げる。