27:00
36.8 km
2765 m
塩見岳 厳冬期登頂❗️
塩見岳・権右衛門山・蝙蝠岳 (長野, 山梨)
2025.02.24(月) 3 DAYS
いよいよ冬の塩見も見納めにしないと、しっかり読んでいただいている方々には、うんざり感が漂うところ。今年こそはと気合を入れて準備、計画を行う。 一昨年は日程不足とラッセルに泣き。昨年はこれまた日程と吹雪に阻まれた。今年は1週間休みを頂いて、予備日も含めた4日間を選定した。乞うご期待❗️ 前日に大阪から車で移動し、鳥倉林道の冬期ゲート前の駐車場で車泊する。ゲート前までの林道は、テカテカに凍って4WD+スタッドレスでも滑る。下りが思いやられる。 夕食を食べ、お酒を飲んで体温を上げる。夜のうちにパッキングをほぼ済ませ、計画の再チェックをして早めに寝る。翌日は4時起きである。 6時に鳥倉林道冬期ゲート出発。雪の量は苦にならない程度。雪面は固い。気温は―5℃くらいか、歩くにはちょうど良い。ここから3時間弱の林道ハイクとなる。 所々に融水が凍ってつんつるてんの状態なので、注意深く歩く。30分ほどで夕立神公園に着く。中央アルプスの雄姿が朝の空気に映える。 7時40分に鳥倉ゲート(第一駐車場)に到着。駐車場が豊富な雪を蓄えている。気温がまだ上がらないので、雪面は相変わらず固く沈まない。 鳥倉ゲートを越えてしばらく歩くと、前方に三匹の犬?野犬であろう相手は、身構えている。慎重に進む。近づいていくと、なんと吠えて威嚇してくる。野犬は、噛まれると厄介なので、大声を張り上げて、ピッケルを振り回す。さすがに威勢に負けたのか、野犬は避けて遠ざかって行った。 8時半に鳥倉登山口に到着。30分ほど休止し、腹に行動食を詰める。ここからは、山道で急坂となるので、アイゼンを装着する。 しっかりトレースを付けて頂いている。三連休の最終日だけあって、人も入山した後でありがたい。しかし、荷物は20kg程で重い。徐々に肩腰にくる。 途中で、三人パーティーとすれ違う。トレースの開拓者たちの1グループである。「塩見岳までトレースあります」とにこやかに話してくれた。トレースのお礼を言って別れる。 10時40分に豊口山のコルに着いて小休止。疲れた足を休める。先行者は、ここからトラバース(正規ルート)に入らず、2248mのピークを越える。従って、「4/10」の道標を飛ばしたことになる。ここでも二人組とすれ違う。「三伏峠でテントですか」と声を掛けられる。 トラバースに入ると、雪面が緩く時折足が抜ける。バランスを崩すと左側の急斜面を滑落することになるので、注意が必要。木に引っ掛かるので大事には至らないが、復帰するのがこの上なくしんどい。トラバースに苦しみながら進む。 「6/10」の道標を越えると、ルンゼが出てくる。雪が固いので雪崩の危険は少ないが、それでも気持ちのいいものではない。途中、また二人組とすれ違う。トラバースの途中なのですれ違うのも怖い。「我々がトレースを付けました」と胸を張って仰ってました。ありがとうございます。 12時にトラバースの途中で力尽きて小休止。 塩川分岐から急坂の登り。ここまでめっちゃ時間掛かってるが、そのまま三伏峠まで登ることにする。 相変わらず、雪面は緩いので足が抜ける。14時頃に悪戦苦闘してやっと三伏峠に到着。疲れたので、本谷山まで行くことは断念する。 幕営準備開始。スコップで雪面を掘って周りに風防を作る。地面の雪をならして固める。安易に床が沈まないようにしてから、テントを張る。 15時に塩見岳から帰還した二人組に声を掛ける。どうでしたかと問いかけると、「トレースはあるけど・・・」と意味深な発言。二人組は、16時頃テントをたたんでいなくなっていた。下山したのだろうか、今から下山しても明るいうちには到底下山出来ない。不思議である。 2人組の入れ替わりで、6人のグループが三伏峠に登ってきた。6人用テントだろうか、大きなテントである。 16時頃から水を作って、夕食の準備をする。疲れたので、夕食を食べて、三女から貰ったバーボンを二杯ほど飲んで寝る。 シュラフカバー(ゴワテックス)の内面が凍る。トイレに立つ毎にバシバシ音を立てる。気温はかなり低い。明日は、早朝から塩見岳アタックである。充分な休息が必要だ。 翌朝、3時半に起床。朝食と準備を行う。テルモスと行動食、簡易ビバーク用具を持って、5時に塩見岳へ出発。6人グループは既に出発している模様。めっちゃ早い。 暗い中、ヘッデン付けての進行。三日月が美しい。気分がとてもいい。三伏山から一旦下る。本谷山への登りはヘビーだった。昨日の大荷物でこれは厳しい。三伏峠泊は正解だ。 本谷山登頂。あたりが明るくなっている。空は快晴、雲一つない。ヘッデン外して小休止。本谷山山頂は、テントを張れないこともないが狭い。 本谷山からの下りは、林の中を枝をかき分けて進む。足も抜けやすくつらい。そのうちに、先行の6人グループに追いつく。何時に出たのかと聞くと、4時出発とのこと。 7時20分に小休止。行動食を胃袋に詰めてエネルギー補給。ここからは、ひたすら登りだが特につらいことはない。 8時に塩見小屋通過。休憩なしで疲れが出たか足が抜けた瞬間にひっくり返る。危うく転げ落ちるところであった。 快晴の天気は変わりない。岩場になるにつれ雪の量が減ってくる。雷鳥の足跡があるが、当の雷鳥は姿がない。足跡から今朝通ったらしい。 どんどん急になり、岩場を登る。休憩なしで登る。空気も薄くなってしんどい。徐々に気分が悪くなる。 9時50分に塩見岳西峰登頂。少々吐き気がする。高度障害だろうか。東峰まで行って小休止。行動食をほうばるも喉を通らない。無理やりボトルのココアで流し込む。食べないと歩けない。 快晴の塩見岳登頂。爽快である。南アルプスの旦那(山の神は女性だが)たちと対面。360度の視界。富士山丸見え。どれをとっても、陰るものはない。 名残は惜しいが、下山する。岩ばで6人グループとすれ違って、「もう少しだ頑張れ」と励ます。塩見小屋を通過し、林間で小休止。疲れが出て、気分も悪い。 13時になっても、本谷山まで行けずに小休止。息が荒い。なんとか本谷山再登頂。通り過ぎる。最後の三伏山は、かなりきつい。朝は何のこともなかったが、やはり高度障害か。 15時頃に三伏峠幕営地に到着。暫く休憩して、夕食の準備に取り掛かる。夕食を摂って、パッキングの下準備をする。19時には就寝する。明日は、早朝から下山である。 今夜も、シュラフカバーが凍る。今度はシュラフが湿ってくる。しかし濡れる訳ではなく、表面が凍る。 翌朝、3時半に起床。コーヒーを淹れて、朝食を摂る。荷物を外に出す。まだ、暗い中テント撤収、そしてパッキング。 6時に下山開始。6人グループは先行して出発。先行グループについて下山。鳥倉登山口下山。休憩なしでここまで降りる。6人グループは、途中で追い越す。小休止。 8時から鳥倉林道を下る。アイゼンは履いたまま。舗装路の雪面が切れたところでアイゼンをを外す。 途中の湧水を2L汲んでザックに入れる。毎回湧き水を持って帰るが重い。後で湧水でコーヒーを飲もうと思う。ちょっとした贅沢。 10時15分に冬期ゲートを越えて、駐車場到着。ほっと一息。 6人グループは、ワンボックス。前輪駆動車のレンタカー。チェーン無し。チャレンジャーである。案の定、駐車場から出れないので、後ろから押してあげる。下りの凍結が心配である。結果は事無く帰った模様。 〈考察〉 ソロで雪山に入る場合は先行者トレースを利用させて頂くか、一緒にラッセルするかが成功のカギである。 ラッセル前提で山に入る場合は、3人グループ以上で入るべきであり、5人いれば楽であろう。 ありがとうございました。おしまい。