30:15
43.9 km
3352 m
厳冬の黒部源流
猪根山 (富山)
2025.01.20(月) 2 DAYS
誰がそう呼んだのか「ラストフロンティア」 当初2泊3日で雲ノ平を目指す予定たったが、体調が万全ではなかったため、1日寝倒して体調を回復させ、1泊2日の行程で「行けるところまで行く」という感じにした。 【飛越新道】 和佐府橋の除雪終了点から北ノ俣岳まで、前日までのトレースがあり非常に助かった。 このトレースのおかげで「雲ノ平まで行けるかもしれない」と希望を持って進めた。 飛越新道のアプローチはアップダウンが多く、山スキーには向いていない。 山の大先輩から神岡新道を勧められたので、次回はそちらを歩いてみようと思う。 【北ノ俣岳〜赤木沢出合】 しばらくは尾根上を気持ち良く滑っていたが、赤木沢に合流し沢沿いを降っていたところ、突如滝のような急峻な谷地形が現れた。 「ここを降りたら、もうここからは戻れないな」と覚悟を試された。 降りたら降りたで、埋まっていない沢や巨大な穴ボコが現れ始めたので、シール歩行に切り替えて赤木沢出合(黒部川合流点)まで詰める。 赤木沢出合は全く埋まっていなくて渡渉できなかったので、一旦高巻きして少し下流に降ってから、雪が繋がっているところを渡渉した。 けっこう時間がかかってしまい、明るいうちに雲ノ平に辿り着けないことが確定したので、潔く諦めて引き返す決断をした。 【絶望のビバーク】 登り返しの途中でビバークすることにした。 雪が降り始め、少し気持ちが焦っていた。 緩く、かつ眺めの良い斜面を選んで整地をし、テントを広げた。 続いて、テントポールを取り出し「カチッカチッ」と伸ばし切ったところで手が滑り、ポールが落ちた。。。 と同時に突風に煽られテントがバタつき、ポールが弾かれて雪面に突き刺さったと思うと、そのまま吸い込まれていった。 掘れども掘れどもポールは見つからず、本当に絶望した。 結局プローブを代用してテントを張り、傾いて歪な形のテントに命を預けることとなった。 上司から譲り受けた「ゴアライト」のデビュー戦で、「テント使いました!快適でした!」と上司ポイントを稼ぐはずが、上司ポイントマイナス案件だこれは。。。 【黒部五郎岳】 ほぼ仮眠ぐらいの時間しか寝ていない。 午前0時に起きて、早めの朝ごはん。 雪が落ち着くまで待って、2時に歩き始めた。 ウマ沢の東側の尾根をひたすら稜線まで登り詰める。 最初からこの尾根を降っていれば、問題なく黒部川も渡渉できたし、労力も少なかっただろうと思う。 次回があればそうしよう。 黒部五郎岳へは、なるべく雪が柔らかい面を伝って行く。カチカチとのミックスなので、見極めが難しい。 昨日までは「シュカブラ綺麗💕」って気持ちだったけど、今は「シュカブラだるい」と思っている。 スキー下手くその自分には、シュカブラは邪魔だ。 うっすら空が明るみ始めたころに、黒部五郎岳山頂に到着。 本当に美しい深山幽谷の景色。肉眼でも美しすぎるが、iPhoneカメラの性能が良すぎて、撮りたての写真を見てさらに感動した。 カメラの性能が良いと二度も感動できるのでお得。 風がバカみたいに強く、顔がちぎれそうなほど寒いので、自撮りもそこそこにシールを付けたまま滑って標高を落とし、さよなら黒部五郎岳。 【下山】 日が昇り明るくなったので日焼け止めを塗ろうとしたら、寒さで固まってなかなか出てこず、やっと絞り出したものもボソボソで濡れなかった。 おかげで今、くちびるがガサガサ。 赤木岳、北ノ俣岳と登り返し、天然の北ノ俣大スキー場を滑走する。シュカブラが邪魔。 寺地山の登り返しをはじめ、幾度も現れる登り返しに激萎え。 気温も上がり、雪がシールに張り付くので、シールにワックスを塗って対処しながら、トボトボ進む。 1箇所だけ、ドロップをミスって要らない苦労をしたけど、ほぼトレースどおりに戻り、最後はトンネル横の沢筋にドロップした。ここはいつもどうしようか悩む。 あとは、和佐府橋まで高速道路。 あっという間にさよなら北アルプス。 無事に怪我なく下山できて安堵。 ありがとうございました。