和名倉山・笠取山・東仙波(山梨,長野,埼玉)
2026年10月10日 (土)3日間
1概要
落合バス停から将監小屋まで歩き、テント泊をしながら念願の和名倉山(2,036m)を往復する3日間の山行に挑戦した。初日は長い舗装路と笹ヤブに苦労し、道迷いを経て将監小屋に到着。2日目は西仙波や東仙波を越え、笹ヤブや踏み跡の薄い難路を慎重に進み、ついに山頂に到達した。富士山や大菩薩嶺、紅葉に彩られた山々の絶景を満喫した一方、帰路では疲労による転倒や水不足も経験し、休憩の重要性を痛感した。3日目は膝への負担に注意しながら下山し、長い林道と舗装路を歩いて落合バス停に帰着。道迷いや体力面で多くの課題に直面しながらも、安全に歩き通し、達成感に満ちた充実の山行となった。
2Abstract
I undertook a challenging three-day hike from Ochiai Bus Stop to Mount Wanakura (2,036 m), staying overnight in a tent at Shogen Hut. On the first day, I struggled with long stretches of paved road and dense bamboo grass, eventually reaching the hut after losing my way. On the second day, I crossed Nishi-Senba and Higashi-Senba, carefully navigating overgrown trails and faint tracks before finally reaching the long-awaited summit. Along the way, I enjoyed spectacular views of Mount Fuji, Mount Daibosatsu, and the surrounding mountains adorned with autumn colors. However, on the return journey, I experienced a fall caused by fatigue and ran short of water, reminding me of the importance of taking regular breaks. On the third day, I descended cautiously to protect my knees and walked along long forest roads and paved roads back to Ochiai Bus Stop. Despite the challenges of navigation and physical endurance, I completed the hike safely and came away with a deep sense of accomplishment.
3詳細
【1日目(落合バス停から将監小屋)】
落合バス停を出て歩き始める。国道411号からすぐ一ノ瀬方面の枝道へ入る。渓谷沿いをゆるゆると高度を上げていく。一年ぶりのテント泊。荷物が重い。最初の分岐を左に折れ進んでいくと、「黒川鶏冠神社」が現れる。徐々に高度を上げていくと、突然、携帯基地局が現れ、すぐに犬切峠への分岐に差し掛かる。ここまで1時間20分かかった。しばらく行くと広場のようになっている場所があった。展望が良く、唐松尾山から飛龍山に連なる山々が望めた。さらに40分ほど歩いて作場平の駐車場に到着。同じバスだった人が笠取山に行くとのことで、少し話してお別れ。自分は登山口のある三ノ瀬までさらに追加で歩かなければならない。YAMAPの到着予想は日没時間を過ぎていたが、途中から少し巻き返して日暮れ前の17時頃まで取り戻した。誰も歩いていない舗装路をひたすら歩き、遂に、三ノ瀬の集落が見えたときはホッとした。「民宿みはらし」を過ぎて三ノ瀬登山口に到着。実に落合バス停から3時間10分を要した。登山口といっても、将監小屋の車が通れるほどの立派な林道を行く。50分ほど歩いて分岐に到着。林道歩きは帰りに取っておくことにして、午王院平への道を進む。最初こそ刈り払われていたものの、笹原の道を難儀しながら進む。やがて、カラマツの中を水平に移動する心地良い道となる。奥秩父最深部の幽玄な風景に癒される。午王院平に近づくにつれ視界が開けてきて、奥秩父稜線の山々が顔を出す。笹原で道はわかりづらい。午王院平を巻く道に合流して将監平を目指して歩いているが、合流地点がわかりづらく、踏み跡もいつの間にか笹原の中に埋没してしまった。仕方がないので大分戻って、最後は強引に笹原のヤブをこいで、なんとか正しい登山道に復帰することができた。16時少し前にやっと将監平に到着することができた。笹原の谷間を降りて行くと、すぐに将監小屋とテン場に張ったテントが迎えてくれた。時間はちょうど16時。受付をして、喫煙室を炊事場として使わせてもらい、メスティンに無洗米を入れて吸水を開始。この間、テントを苦労して無事立て終わる。喫煙室に戻って炊飯を開始。親子丼と缶詰の焼き鳥、フリーズドライのみそ汁、コーヒーで夕食を済ませ、歯を磨いて、テントで就寝。19時だったが、テントを担いで4時間以上歩いて上がってきた疲れからか、気が付いたら深夜22時。その後も寒さで何回か目が覚めた。持参した防寒着のライトダウンを着込み、さらにシュラフの口を縛って鼻と口だけ出すようにして、やっと快適に寝られるようになった。
【2日目(将監小屋・和名倉山頂往復)】
朝4時半起床。山の朝は早い。雨具を着込んで朝食の準備。モンベルのサーモンチーズリゾッタで朝食を済ます。歯磨きをしてからテントに戻り荷物を選定して身支度が完了。6時の出発予定時刻を10分程度前倒しできた。もう周囲は既に明るくヘッドランプは不要。将監平へ登り返す。夜はあれだけ寒かったが、風が心地よい。昨日通った笹の道を注意して進み、山の神土に到着。ここで、名古屋から来た男性1、女性2のグループと一緒になる。悪名高い笹ヤブが西仙波の手前まで続く。自分が先頭になって、進む。通る人はみな迷うのか、複雑に踏み跡が絡み合うように続いているが、慎重に、比較的歩きやすい道を選んで進んでいく。たまに、赤テープに助けられた。笹を踏みつけて足を滑らせ木の根につまずきそうになり、難儀しながら進む。50分近く格闘して、稜線に飛び出る。後ろを振り返ると、富士山と大菩薩嶺の絶景が眼前に広がる。疲れが吹き飛ぶ。再度、林の中に入ってゆく。途中トラロープを渡してある危ない場所もあった。ここで名古屋のパーティーと別れて先に行ってもらう。自分はゆっくりと慎重に進む。途中道が消えて、戻ってよく見ると上の方に道が続いていた。さらに1時間ほど歩いて、やっと西仙波を過ぎる。さらに20分ほど歩いて、遂に東仙波に到着。絶景が待っていた。富士山と周りの山々、カラマツの紅葉と足元の笹原。しばし言葉を失うほど見惚れる。
和名倉山への道はまだ長い。カアバの頭への分岐を分けて進んだつもりが、結局、カアバの頭方面へ進んでいたことに気が付いて、東仙波に引き返す。ここで男女2人のパーティーに出会い、道を教えてもらう。そのまま東へ進むのではなく、北に進路を変更する必要がある。結構高度を下げ、林の中へ入ったり、岩場へ出たり。ザレ場もあり慎重に歩を進める。そのうち、苔むした林の中を進む道となった。全体的に踏み跡が薄く、降り積もる落ち葉でかくれているからか、道がわかりづらい。しかし、コースを外れると足元がふいに柔らかくなるので、YAMAPの地図を見ながら登山道を見つけ出そうと目をこらす。そうすると、不思議と復帰できるのだった。時々、赤テープが張られているのを目にすると、道が合っていることが分かってホッとするのだった。
二瀬分岐に近づくと林床が明るくなり、背の低い草に覆われるようになった。こうなると、道だけ草がなくなるので、進むべきコースがわかりやすい。ピークを踏んでから戻ってきた、先ほどの名古屋からの3人のグループとすれ違う。さらに、男女のグループともすれ違う。みんな展望に優れない山頂であったとけなしながら、その実、疲労感と達成感の入り混じった複雑な表情を浮かべていた。明るい林床から薄暗い林に導かれ、しばらく歩くと、ついに視界が「和名倉山2,036m」の標識をとらえた。長年あこがれていた山頂に手が届いた瞬間だった。
山頂で一人たたずんで喜びに浸る。記念撮影を終え行動食を食べ、水を飲み、身支度を整え、山頂に別れを告げる。ここからは、また、難路を日のあるうちに安全に戻らなければならない。二瀬分岐に至る直前、単独行の男性とすれ違う。彼は今朝三ノ瀬から上がってきたとのことだった。結果的に、東仙波方面から和名倉山を訪れたのは本日彼が最後だった。実は持参した大容量のバッテリーが放電していて残量が全くなかったことが判明。スマートフォン2台分でやりくりしていたが、昨晩、機内モードに入れるのを忘れ0.5台分をむなしく浪費してしまった。このため、往路は写真撮影を抑え気味に上ってきた。帰りは記録のためにも写真撮影をしていくことにする。二瀬分岐までは林に光が差し込んできて幻想的な美しさだった。明るい林床を過ぎ、迷いやすい苔むす林の中、踏み跡を見失わないように慎重に進む。道を探すことは何度もあったが、幸いにして、迷う前に正しい道を見つけて進むといった感じで順調に帰路を辿って行った。山頂から1時間たったころ、暑さと疲労で体が悲鳴を上げていることすら気づかず、何でもない下り坂で足がもつれて前のめりに転倒した。この時、岩があったら頭を打ち付けたはずで無事では済まなかっただろう。定期的な休憩の重要性を強く認識した出来事だった。
休憩して気を取り直して再出発。東仙波に大分近づいてきて、ところどころ稜線に飛び出して景観を楽しむことができた。往路は景観を楽しむ余裕がなかった分、感動もひとしおだった。振り返ると、和名倉山はもちろん、遠く、南アルプスや浅間山をも望むことができた。先ほどの単独行の男性に抜かれ、東仙波に到着。ここで別の単独行の男性1人と、男性2人のパーティーと遭遇。和名倉山には行かず東仙波で引き返すとのこと。自分はここで昼食休憩を取り、ペンネをゆで、青の洞窟「ポルチーニ香るきのこクリーム」をかけて食べる。富士山と大菩薩嶺、雲取山方面を望みながらの最高の昼食だった。
45分で切り上げ、将監小屋を目指す。気温もかなり上がり、水をどんどん消費する。そして、持参したミネラルウオーターが遂に枯渇する。笹原の難路入口でやむを得ず将監小屋の沢水に手を付ける。モンベルのフィルターを通して、滴り落ちる水をすするように飲んで元気を取り戻した。そのおかげか、順調に笹原を漕いでいく。しかし、先行していた男女1組と和名倉山頂の近傍で会った単独男性を視界にとらえる。そちらに誘導されるように進んでいたが、彼らは笹原で道を見失っていた。格闘しながら数十メートル先の正しい登山路を見つける。自分はそこを目指して笹原の上をすべるように降りていく。単独男性も後に続いて、2人は脱出できたが、男女のパーティーは戻るのすら難儀しているようだった。大丈夫とのことで、2人でともに進むことにする。彼は三ノ瀬に今日中に戻りたいという。日没まであと1時間を切っていたことから、将監小屋からの車が通れる林道を下ることを強く勧め、将監小山で一緒に下ることになった。短い時間だったが話をしながら歩き、将監小屋でお互いの健闘をたたえ合って別れる。
無事、小屋に到着。小屋番さんから「やさしい麦茶680mL」2本を購入。無洗米に水を吸水させ、じっくり炊飯する。グリコの中華丼をかけて、フリーズドライのみそ汁で夕食をとる。19時に就寝。昨晩と比べ暖かったが、夜明け前は寒くなった。
【3日目(将監小屋から落合バス停)】
4時半に起きたが、今日は落合バス停に15時30分までに辿り着ければよいので余裕がある。明るくなるまで待って、5時半ごろ朝食を支度。モンベルの「ガパオライス」にフリーズドライのみそ汁で朝食を済ます。テントを片付けて荷作りし出発の準備が完了。昨日の笹原で別れた男女のパーティーがテント場に残っていた。挨拶をして、将監小屋を出発。行き寄りだいぶ荷物が減っているとはいえ、重いことには違いない。昨年、急ぎ過ぎて膝を故障したことを思い出し、ゆっくり慎重に足を運ぶ。林道だが、雲海をまとった大菩薩の景観が見事。1時間40分かけて三ノ瀬まで下りてきた。さらに、1時間20分かけて作場平の駐車場に到着。ここのベンチで早い昼食をとる。ペンネをゆで、メーカーは忘れたが、たらこクリームのパスタソースをかけていただく。その後、お湯を沸かしてお茶を飲む。このままでは早く着きすぎるので、12時30分まで時間調整。ベンチに横たわって始まったばかりの紅葉と青空を見ながら、ゆったりとした時間の流れに身を任せた。
その後は気合を入れて、後半部分の舗装路歩き。ここからはスマートフォンの電池が切れそうになっていたため、機内モードに入れる。どうしても現在位置を確認したいときだけ地図を見るようにして、少しでも長く温存した。そしてついに2時間かけて落合バス停に到着。バスの出発時刻まであと40分。驚いたことに、3人パーティー1組と単独男性の先客がいた。長い舗装路歩きと重い荷物に苦しめられ、和名倉山往復もテント泊もチャレンジ要素いっぱいだった。達成感に浸りながら、無事にこの充実の山行の幕を下ろすことができた。