常念岳・大天井岳・燕岳(長野)
2025.10.24 (金)日帰り
前々からやってみたかった槍日帰り。自分の半生の集大成的な位置付けとしてチャレンジした。表銀座を通って槍沢を下るルートも考えたが、上高地のバスが要予約ということで煩わしいので却下。表銀座ピストンで行くことにした。
3時前に中房登山口を出発。ペースを抑えてゆっくり登る。第二ベンチ、富士見ベンチでしっかり休憩して、補給もした。合戦沢の頭では星空が美しく、燕山荘の向こうの空に流れ星を見ることもできた。出発から2時間強で燕山荘に到着。まだ真っ暗。
大天井に向けて歩いていると、暗闇の中に雷鳥がいて驚く。いつ見てもむくむくして愛らしい。しばらくすると夜が明け、美しい御来光を拝むことができた。しかも雲海のオマケ付き(麓は濃霧で大変だったらしい)。北アルプスの峰々が暗闇から浮かび上がっていく様もまさにドラマチック。それにしても寒い。登山道にも霜柱や氷柱ができている。
大天井直下から先は鎖場や梯子などが多く、かなり気を遣う。特に西岳あたりは長大な梯子の昇り降りがあり、神経を擦り減らす羽目に。折しも曇り空へと変わり、槍も隠れてしまう。それでも日が昇ってからは比較的暖かくなり、人心地ついた。ようやく水俣乗越に至り、東鎌尾根の上りがはじまるが、ここまででもかなーり長い行程だ。
東鎌尾根はこれといった危険箇所はなく、油断せずに一歩一歩着実に歩を進めれば上り下りとも無難に通過できる印象。空は再び晴れ渡り、歩くほどに槍ヶ岳が眼前に迫ってくるが、槍ヶ岳山荘までが遠い、ひたすら遠い。思うに、尖っている=細いという思い込みを裏切るかのように、槍ヶ岳の山体はかなり太く大きくて(実際かなり遠くからでもよく見える)、わりと大きく見えるくらいではまだまだ遠いのだ。その点、ちょっと勘違いしていたようだ。
それでも出発から7時間ちょっとで槍ヶ岳山荘に到着できたので、まずまずのペース。とはいえ、ここまででかなり精神的に削られたのも事実で、上高地に下る案が頭をもたげる。まあ、とりあえず槍ヶ岳に登ってから考えようということで、貸してもらったヘルメットを被り荷物をデポして、いざ穂先へ。ゴツゴツした山体を仰ぎ見ると、緊張感と高揚感がないまぜになった情感が全身を満たす。
一歩一歩確実に踏みしめながら登っていく。最後の垂直の梯子はさすがに緊張を強いられたが、意外と時間はかからず山頂に至る。なんと山頂には他に誰もいない。晩秋の平日でそもそも登山者が少ないし、前日入山組は既に登頂後、本日入山組はまだ来ていない、そんな時間帯だったのかもしれない。
意外といえば、南北に細長い山頂も思ったより広くて、12畳くらいはあるだろうか。眺望については、南側は若干雲が多いが、他は全開。素晴らしい眺めだ。標高3180mということで、たしかに周りの峰々より高いという感覚があって、気持ちいいようでもあり、虚空に投げ出されているようで恐ろしいような感じもした(要するにタマヒュンやな)。ひっきりなしに強い風が吹きつけて、それもまた怖いし寒い。それでも立ち去り難くて、けっこう長居してから下山。
山小屋に戻り、カップヌードルとおでんをいただく。腹が満たされると気力も回復したようで、当初の予定通り中房まで戻ることにあっさり決めた。となると、ゆっくりもしていられない。来た道を戻る。はるか遠くの燕岳方面を見やると、「あそこまで戻るのか」と嘆息しきり。
しかしながら、今日はとにかく馬鹿みたいに補給を取ることを心がけていたので、それほどバテることもなく、何度も現れる登り返しも無難に乗り切ることができた。復路最大の山場であるヒュッテ西岳への登り返しはかなりキツかったが。
燕山荘に戻って来た時は安堵のあまり胸を撫で下ろした。西陽に照らされた小屋の周辺は週末のテント泊や小屋泊を楽しむ登山者で賑わっていて、どことなく祝祭感や高揚感に包まれていていい雰囲気。だが、自分はそんな感慨に浸ってもいられない。そういえば、槍ヶ岳山荘も空いているみたいで泊まりも考えたけど(心折れかけてるやん)、明日の天気も心配だし一晩明かすと気力の問題から動けなくなりそうだったので帰るとことにしたのだった。
それはさておき、下山途中に日が暮れ、ヘッデンのお出まし。夜の下りはどうしてもペースが上がらないが、やむなし。慎重に下って18時過ぎに駐車場に到着。出し切った感じはかなりあって、疲労感は色濃いものの充実感に満たされている。穂先をよじ登っているときの、あの武者震いのようなゾクゾク感は、一生忘れないだろう。いやしかし槍遠すぎやろ、ほんま……。
水の消費は3.2L。補給はカップヌードル、おでん、おにぎり1個、煮抜き1個、パン2個、魚肉ソーセージ1本、あんドーナツ4個、ようかん1本、ゼリー5個、アミノバイタル2個。それでも低血糖を疑う症状はちょくちょくあった。
安曇野市の最低気温は4℃、最高気温は18℃。夏用インナー+冬用ジャケットでまずまず。暑かったり寒かったりで難しい気象条件だった。下は冬用タイツ+短パンで問題なし。早朝は耳が冷たかったので、ニット帽があって助かった。グローブも朝方は冬用を装着。
今日通った喜作新道にまつわる諸々が面白すぎた。↓
http://yamatabi.info/yamanohon91.html
これを読むにつけ、ヤマップはすこぶる便利ではあるものの、山登りに特化した情報と宣伝広告の類いしかなく、こればかりに依存することの弊害を痛感させられた。