活動データ
タイム
31:32
距離
43.0km
のぼり
3154m
くだり
3416m
チェックポイント
活動詳細
すべて見る残暑が肌にまとわりつく 歩幅が徐々に狭くなり 気がつけば足が止まり 目は空に投げられる 静かな夜がやってきて 手を伸ばせば届きそうな星 降りそそぐ涼しい星の瞬き 眠れない長い夜 いろいろな思いが脳裏を去来する 外は静かだった。 黒部源流のせせらぎだけが かすかな音を立てていた 雲ノ平 ■山行所以 昨年の夏、雲ノ平でのテント泊をしたものの、行程の都合により滞在時間が少なく心残りだったため、今回は雲ノ平でのゆっくり過ごすための贅沢なルートをとった。 また、この山行には登頂や撮影を渇望する対象はなく、純粋な山旅を望んだ。 ■1日目 折立登山口→太郎平キャンプ場 ベンチに身を委ねるように休憩していると、山にいることを忘れるほどの静寂が展開されている。完全な無風が山を全くの静止物にさせている。 音がないと不思議と無心になる。 思い出したかのように聞こえた鳥の声が、涼しい風を運んでくれた。 太郎平までの道のりはなだらかで気持ちの良いものだったけれど、行きの高速バスが車両故障により、到着が約5時間も遅れてしまい、暑い中での標高稼ぎには辛苦の念が付き纏ったが、その頃には現実的な記憶は広い空に消えていった。 太郎平小屋に着くと、バケツをひっくり返したような土砂降りの雨になった。 テン場受付の時点で150張りと聞いたので、この日は200張りは超えただろう。 楽しい声と美味しそうな香りが充満する、華やかな空間だった。 ■2日目 太郎平→雲ノ平 薬師沢小屋からの雲ノ平への急登りは想像を絶するものだった。 黒部川の激流が、溶岩台地の雲ノ平を長い年月をかけて削り込んだ急斜面である。そのため、岩苔乗越を除き、どのルートもV字に切れ込んだ圏谷を越さなければならない。 しかしながら、自然と時間の膨大な力を感じる優雅な足取りにはならないのは、私のような軟弱者の常である。 ■3日目 雲ノ平→双六小屋 祖父岳はあまり目立たない。しかし、実は2825mもの標高を備えている。多くの場合は雲ノ平への通過点として捉えられているだろうこの山からの雲ノ平の朝を求めることにした。 3時に行動を開始した。 雲ノ平の木道を越し、祖父岳で待機していたところ、目の前を獰猛な息遣いのツキノワグマが横切って行った。こちらにも見向きもせず東の斜面へ走り去って行った。 驚きのあまり何もできず立ち尽くした。 先々週に大型のエゾヒグマを見たばかりだったため、このツキノワグマは小熊だと勘違いし、親熊との遭遇に警戒した。 冷静になる、エゾヒグマと比べるとはるかに小型だが成獣だったのだろう。それ以降遭遇はなかった。 祖父岳のあたりはガスっていた。こうなると涼しい空気で足取りも軽くなる。 ふと足元をみると3羽のニホンライチョウがいた。これまた驚いたが愛くるしい姿にしばし、登山者の"ライチョウ渋滞"が発生した。 ■4日目 双六小屋テント場→新穂高へ下山(鏡平経由) 抜戸岳こら笠ヶ岳の撮影予定だったものの、天候不良により、最短ルートで下山することにした。 秩父沢からみえる奥丸山2240mの姿が荘厳で思いがけない出会いを感じた。 ゴール地点の新穂高登山指導センターに立ち寄りいつもの中崎山荘へ。 登山家との楽しいおしゃべりの一刻を過ごして、バス発車時刻まで新穂高ロープウェイ駅舎の前で空を見上げる。 駅舎の風見鶏が忙しなく回っている。 山行の楽しかったことがグルグルと巡る。 気持ちはもう次の山に飛んで行った。 ■謝辞 ・雲ノ平で再会したカズくん。 先月、北海道の奥深い山中で出会って、まさか1ヶ月足らずで雲ノ平で再会するとは、驚きと感動。精一杯の情報交換をして別れた。秘境でしか会えない妖精のような人。 ・下山後の温泉。露天風呂に浸かった時に「あぁー」と言葉にならない声を上げる人はいい人に決まっている。さいちゃんとバス待ちまでの2時間に及ぶ楽しいおしゃべりの一刻はいい思い出。 ・美大の山岳部4人パーティー 雲ノ平のテン場で、デカいアンテナで宇宙と交信しているかと思ったら、どデカいテントのボトムを乾かしていた。笑顔がステキな玄人登山家チームって感じで好感しかなかった。下山後に新穂高登山指導センターで再開した時は不思議とホッとした。 下界ではアーティストの肩書きをお持ちのようで、展示会等でまたお会いできるのを楽しみにしています。 ■アクセス 行き まいたび 2230 竹橋 0640 折立 ↓ 1100 折立着(バス故障により遅延) 帰り まいたび 1445 新穂高ロープウェイ前 1900 新宿 □太郎平小屋 キャンプ場 予約不要 公称100張り。実際には200は張れる。 水場あり 軽食あり(〜14:00) https://ltaro.com/lodge/tarodaira-goya/ □雲ノ平山荘 キャンプ場 予約必要(特定日のみ) 100張りくらい。平なところが少ないので、早着がおすすめ。 水場 なし(渇水による) 軽食 あり(10:00~14:00) https://kumonodaira.com □双六小屋 キャンプ場 予約不要(特定日のみ) 100張りくらい 水場 あり 軽食 あり(10:00〜15:00) https://www.sugorokugoya.com □温泉 中崎山荘 奥飛騨の湯 時間 9:00~18:00 入浴料 大人900円、小人450円(paypay可) https://maps.app.goo.gl/nyyZVacJX97orPzY9?g_st=ic
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