今年の最大の目標だった北鎌尾根から槍ヶ岳へ.. 無事に登攀してきました♪ 険しく そして厳しく だからこそ美しい..🌏 北鎌独標から槍ヶ岳を見たとき.. 畏怖と憧憬.. そして崇敬 ぐちゃぐちゃな感情があふれ出して泣きそうでした 何より.. 槍ヶ岳山頂の祠の裏から登頂した時.. 山頂にいたhikerさんの驚いた顔と拍手に大満足でした 今回は少し長めの記事になりますが.. ルートの詳細と美しい北鎌尾根の写真をUPしますので見てくださったら嬉しいです🌸 ………………………. ⚠️北鎌尾根は「滑落・転落・落石」のハイリスク地帯であり、登攀には最新の注意が必要です ⚠️ルートの取り方でコースタイムと疲労度が大きく異なるため情報収集などの準備が重要となります .......................... 【Elevation Info】 1504m 上高地バスターミナル 1500m 河童橋 1550m 徳沢ロッチ 1562m 徳澤園 1615m 横尾 1705m 一ノ俣 1706m 二ノ俣 1820m 槍沢ロッチ 2001m ババ平 2093m 槍沢大曲り 2480m 水俣乗越 2042m 北鎌沢出合 ☆ビバーク 2470m 北鎌のコル 2749m 天狗の腰掛(P9) 2899m 北鎌独標(P10) 2873m P13 ☆ビバーク 3180m 槍ヶ岳 【Route Info】 水俣乗越~天上沢の下り~北鎌沢 ✿水俣乗越までは一般登山道 ✿その先はバリルートで道標なし ✿水俣乗越からガレ場の激下り(約1時間) ✿フィックスロープを信用して全体重かけて下る ✿数m下ると右側の草地に整備された小道あり ✿ 1時間ぐらい下ると傾斜は緩やかになる ✿右から降りてきた天上沢のゴーロ帯と合流 ✿左から北鎌沢と出合う地点にビバークスペースあり 北鎌沢~北鎌のコル ✿距離1km,標高差600m,勾配60% ✿最初は緩やかな傾斜で大岩がゴロゴロ ✿上に行くほど段々と急峻になっていく ✿出合から約150m(約10分)で1つめの分岐 (右俣は枯れ沢,左俣は水量が豊富) ✿1つめの分岐は右 ✿2つめの分岐も右 ✿3つめの分岐は左(標高2,227m付近) ✿3つも右に行くと「クライマーズホイホイ」 ✿ホイホイはP7へと続いていて危険 ✿4つめの分岐は左の方が登りやすい (分岐というか島状の草地が沢を分けている) ✿この辺りの踏み跡は迷った人のも紛れてる ✿北鎌のコル直下はザレ地で滑る ✿コル直下は右側の草地の方が岩場で登りやすい 北鎌のコル~天狗の腰掛~独標 ✿北鎌のコルはテント2張りのスペース ✿奥にも1張りできる..でも気づいたら崖下か? ✿南西方向の崖にレリーフあり,その前を登ってP8へ ✿天狗の腰掛までは明確なハイマツの道 ✿独標まで幾つかアップダウンあり 北鎌独標 ✿独標は岩壁基部を千丈沢側(右)にトラバース ✿赤ロープが目印の有名な「逆コの字」がある ✿ザックが引っ掛からないように崖側にくる右足を一段下に下げて進む ✿独標ピークを踏む場合は, 逆コの字を過ぎたら左の崖を直登 独標~P13 ✿ほぼ稜線通し ✿ P11,P12と険しい岩稜の上り下りが続く ✿常にクライムダウンできる場所を探すこと ✿トラバースの場合は右側(千丈沢側)を巻く P13~北鎌平 ✿ほぼ稜線通し ✿トラバースルートはザレて危なそう ✿有名なピナクルのフィックスがあるが, ノーロープで普通に下りれる(高さ15m) 北鎌平~槍ヶ岳 ✿まるでロックガーデン,どこを登ってもOK ✿浮き岩もあり ✿とりあえず「カニの爪」をめざす ✿カニの爪の手前5mぐらいのところから上へ ✿登れない箇所は登らない, 登れる場所を登っていくと自然に道はチムニーへと続く ✿1つめのチムニーには残置スリングあり ✿1つめのチムニーは右に巻ける ✿2つめのチムニーは最初の2歩だけ難しい ✿あとは脅威と賞賛の渦の中..登頂できる Water supply info ✿間ノ沢は枯れないので大曲まで水は豊富 ✿北鎌沢左俣右俣とも初夏は雪解け水あり ✿ 8月下旬頃から右俣は枯れるかも (左俣で水分確保しておく) ✿今回は右俣の上部にも水の流れあり ✿北鎌のコル以降は水場なし ※万が一のビバークに備えて多めに水分確保必要 Bivouac info ✿北鎌沢出合で数張り ✿北鎌のコルで2~3張り ✿コルから100m程上に1張り ✿天狗の腰掛2~3張り ✿独標2~3張り ✿ P12に1張り ✿ P13に1〜2張り ✿北鎌平までところどころにあり Item ✿ 120cmスリング2本(荷上げ用) ✿負けない心 ✿スタミナ ✿信頼できるパートナー Special mention ✿尊敬しているYAMAPユーザーさんに会えたこと ✿ AussieのAlecに会えたこと
上高地のシンボル.. 梓川に架かるカッパ橋 朝の澄んだ空気と水の流れに癒されスタートです
「j🌸さん?」って声かけられて 何と尊敬しているふくさん🌈 ここで神様パワーを頂いたので.. 絶対無事に北鎌尾根を登攀できるという自信が持てました ありがとうごㄜ"います(*ᴗ͈ˬᴗ͈)ꕤ*. ふくさん.. オーラがすごかった🌈
今夜のお楽しみに買ったアイテム🍺
気づいたら飲んでました😆 この後.. 転んだことはナイショ🤫
この日の横尾は 新宿スクランブル交差点ぐらいの人集り
次のポイントは「槍沢ロッジ」
ババ平でプチトマト🍅
水俣乗越から振り返り 谷の合間を流れる沢の先が.. 先までいたババ平 だいぶ登って来ました
水俣乗越 ここで東鎌尾根に乗りました♪ このまま東鎌尾根を進むと4.5kmで槍ヶ岳です 今回は東鎌尾根を跨いで北鎌尾根をめざします ここから先はバリエーションルートです
先ずは北鎌沢に向けてザレ場の激下りが始まります 細い木の枝に結ばれたロープあり.. 信用できないけど.. するしかないロープ 想像を超える急斜面と滑り具合に驚きです💦 2480mまで上げた標高を.. 2042mまで下げる面白さ
天上沢と北鎌沢 2つの沢が出合う場所..北鎌沢出合 この日のビバークポイント⛺️ マダマダトーイノダ👽
日没までのタイムリミットが近づいていました 初めてのテント泊 ちゃんとテントが張れるか心配でドキドキ 一生懸命すぎて.. 写真を撮るのを忘れていました(^◇^;)
【2日目】 おはようございます☀ まだ暗い北鎌沢を遡上します 間違わずに北鎌のコルまで行けるのかとても心配でした
1つ目 ここは「右」
水量が豊富なうちに.. お水を補給
5mぐらいのザレ地の崖を登ってしまって... 進むことも戻ることもできなくなったところ(・_・; 降りれないところは登っちゃいけません(・_・;
2つめも「右」
10kgのザックが重くて.. この岩に登れなくてザックだけ引き上げてもらって空身で登りました(^◇^;)
3つめ ここは「左」 右は「クライマーズホイホイ」 P7に続く危険な罠 進めず戻れずの状態に陥ります
4つめ ここも「左」
コル直下は荒れてます💦
北鎌のコル ここで冒険の仲間になるAlecと出会いました🇦🇺 ヽ(☆'∀'*)人(*'∀'☆)ノ*。♪ 面白いことにAlecは.. 北鎌尾根に関する簡単なパンフしか持ってなく, 北鎌沢の「クライマーズホイホイ」について何も知りませんでした(๑°ㅁ°๑)!! どうも進みやすい方を選んで登ってきたら.. 難なくコルにたどり着いたようです(。•з•) 日本語がほとんど話せないAlec 久しぶりに英語が話せて楽しかったです♬
北鎌のコルからP8を経由して.. 「天狗の腰掛け」を目指します 紅葉がとてもキレイでした🍁🍂
黒部ダムが見えています どこでしょ!笑 遠くに.. 剱岳と立山
天狗の腰掛け(P9)に腰掛けて.. 硫黄尾根を望む
記念に.. 📸
振り返り「天狗の腰掛」 Alecがいます 細かいアップダウン まずは北鎌独標まで.. 岩・根・枝を掴んで登る!
まだまだ遠い独標
脆く狭い尾根.. 私の左側は断崖絶壁です 右は千丈沢側 左は天上沢側 こうして見ても.. 天上沢側はヤバいです
まるで恐竜の背🦖 Alecが追いついて来ました ハイマツの縦走路が続きます🌳
手前の小peakを超えて.. 独標のコルをめざします
荒々しさと烈々さと..繽紛たるこの世界
独標基部に向かって高度を上げます 後ろは天上沢
北鎌独標の圧倒的な存在感に.. 全てを超越した神々しさを感じます ...................... 西穂独標に登った時.. 日本には2つの独標があって, もう一つの北鎌独標にもいつか登ってみたい.. と登山を始めて2ヶ月めで考えていたことを思い出しました あれから約3年.. その機会が訪れました♪
独標基部のフィックス 一部ずっと下まで滑り落ちている箇所があるので.. とりあえずロープを掴んで進みます
ロープを信じて.. クリア
Alecも奮闘中です♪
ザレた急勾配の斜面を横断します 手がかりがないので.. ちょっと怖い場所
慎重に進みます
垂直に聳え立つ壁と..ずっと下まで滑り落ちる崖 その狭間をトコトコ ほんと人間はちっぽけです
独標トラバースで有名な「逆コの字」
高度感があるので注意して進みます
私も続きます.. 難なくクリア
独標のpeakを踏みたいので.. 「逆コの字」を過ぎたところで「L字角」の岩場を直登します
こういう競り出た岩は困り物です🪨 どうやって上がったのか覚えていません笑
ずっと上に稜線を捉えました🌈
独標peak付近から大槍・小槍 後ろにいたはずのAlecが進行方向にいます peakは踏まずにトラバースした様です ここから先は稜線通し.. あの槍先まで一直線 まぁそう上手くはいかないのですが..(^◇^;)
この愛すべき岩の惑星🪐
掴んで引き寄せ.. 踏み締め前へ..
こんなところにフィックススリングがありました 少し古いのか.. 新しいけど摩耗が激しいのか.. 使用するには勇気が必要です
進むべき槍までの道 あと幾つ登って下りてを繰り返せばたどり着くことができるのでしょうか?
まだまだ遠い..
振り返り.. 独標(P10)とP11
雲に隠れた槍 青空と岩峰 そして遠くを見つめる後ろ姿 ドラマチック❤︎
3つの小さな岩峰を有するpeak 12 岩稜線独特の小さなアップダウンが続きます
実際にその場に行かなければわからないコト 少し離れて視野を広くすることで気づくコト 役割分担をしながら.. ルートを見極めていきます ..というとカッコいいですが.. 単に私が遅いだけ .。oஇ
P13にAlecを発見🐨 日本の槍ヶ岳北鎌尾根にAussieがいる不思議さ🇦🇺 実はそこが今夜のビバークポイント 追いかけます..
3,000m峰に登るときの.. この宇宙を感じる空の青のアオさが好きです🌏
近くに見えても遠い槍ヶ岳 日没までのタイムリミットが近づいていました
なかなか手強いP 12 バンド状の狭く切れ落ちた岩場が多いのですが.. 確かなホールドがあるので大丈夫
高度感のあるザレ場が続きます 滑落注意です!!!
P13からP12(3つの岩峰)を振り返る 中腹にビバークポイントがありました
そろそろTime is up ここでAlecに追いつき.. 作戦会議 ビバーク確定 ただ何処でビバークするか...
けっきょくP13の狭いポイントに2張り 月と雲 槍とテント 優しいニュアンスカラーの空の下で..
【3日目】 常念岳のシルエットが美しい朝です 稜線上のpeakでビバークしましたが.. 真夜中に吹き荒れていた風もすでに止み 静かな朝です 静寂 凛とした空気 この時.. この場所にいる者の特権です
P 13から出発です 先ずはクライムダウン ずーっと下に見えているのが千丈沢 ザレた岩場には気を使います
ザレ地を抜けてP14とのコルからの登り返し... ここでオズモ君(アクションカメラ)が.. 谷底へ50mほど滑落💦
滑り始めたら止まらないガレ谷 体重が軽いので (重いんだけど) 滑らずにガレ場を歩るくことができています🪨 オズモ君を回収.. 私も無事にリルート 真似してはいけません⚠️ ................. 目の前に広がるのは崖錐.. 落石の積み重なり.. 岩屑 その集まりが崖錐です 崖錐が岩屑を支えられる角度は35度 砕けた落石が崩れ落ちないでいられる最大角度.. angle of repose それは美しい自然の摂理 つまり傾斜35度を超えなければ 私という不確定要素が加わっても 滑落は始まらない ↑ これがオズモ君をPic Up するために崖を下る判断をした私のエビデンス
P14へ ザレザレの斜面を登っています この白ザレのP14は滑落事故多発地帯です 細心の注意を払って進みます 後ろは昨夜ビバークしたP13
ハイマツを掴むとホッとするって気持ち.. わかりますか? 背後に西岳 その向こうに常念岳
ザレてて.. キレ落ちてて.. とてもまっすぐには進めそうになく 岩に登ります
登ったら降ります
稜線に復帰 アップダウンを繰り返しながら標高を上げていきます
谷の斜面が一つに集約されて.. 天上沢を作り出しています🌱美しい地形です
緑が美しい西鎌尾根
岩稜線の北鎌尾根 背後には硫黄尾根 そして鷲羽岳, 水晶岳, 後立山連峰.. 薬師岳
全てがバランスの上に成り立っている完璧な世界
P15 こちらも有名なピナクルのフィックスロープ 懸垂下降の名残です
高さ15m ノーロープで降りれました✌🏻 お腹がふくれているのは.. 中にZ君📸が入っているからですよ🐷
北鎌平 大槍はすぐそこです
やっとここまできました それでも.. 槍ヶ岳へのとりつきはまだ先 いったい幾つのpeakを超えたのか どれだけの岩を登ったのか スタミナとメンタルが試されています
赤い硫黄尾根の向こうは裏銀座
まるでハリねずみの背 逆層的に迫り出す岩を登っていきます
無秩序の中の秩序.. 完璧なバランスで岩が積み上がっています 足下で積み木のように重なり合う岩 いったいどれだけ積み重なっているのか... 本来の山肌は想像すら出来ない世界です
大槍・小槍 まずは「カニの爪」を目指します🦀
1段1段.. 登るたびに体力が奪われます
槍ヶ岳の左の山の端に「カニの爪」が見えました そしてカニカラーのAlec🦀
カニの爪🦀
北鎌尾根から富士山🗻 Have you ever climbed Mt.Fuji? と.. 教科書的定型文で聞いてみた笑 No, there is not. だそうです
「Berg Heil 穂先は近い 気を抜かず頑張れ」 ここに立った者しか見れないレリーフです
「実工 JAC」と書かれた錆びた鉄板.. このすぐ上に最初のチムニー
最初のチムニー 残置スリングがあります
チムニーを下から...📸
チムニーを上から..📸
北鎌独標, P11, P12, P13, P14, P15, 北鎌平 歩いてきた北鎌尾根が見えています
2つ目のチムニー 最初の2歩が大変ですが.. その後はホールド・スタンスが豊富にあります
まるで岩窟の縁のように聳える壁を登ると..
槍ヶ岳山頂 標高3,180m
頑張りました♬
ハシゴがある幸せ🪜
振り返り.. 槍ヶ岳
Here’s to KITAKAMA ridge 🥂
槍ヶ岳山荘で一番高価な肉うどん
2匹の巨大なクマに追われている気がして.. 全速力で走って下山 🐻🐻🐰🌸 振り返ると.. 空を突く..美しい三角形が見えました やっぱり槍ヶ岳は特別なお山です
紅葉がとてもキレイ🍁
「Don't you think autumn leaves are beautiful?」 「Hmm..」 私はこれまでに紅葉をキレイと言った感受性豊かな外人さんに出会ったことがありませんε-(^、^; 彼らにしたら.. ただの枯れゆく葉っぱらしい🍂笑
We survived! And We are back!! Then We get a bus!!! 私たちは生き残った 私たちは戻ってきた そして.. バスに間に合った(๑و•̀ω•́)و✧ ......... その後もAlecとは交流を続けています またいつかどこかのお山に登れたら最高です ......... 最後まで見てくださりありがとうございます🌸