十勝岳方面からオプタテシケ トムラウシ 旭岳へ縦走4日間

2022.09.01(木) 4 DAYS

活動データ

タイム

38:06

距離

58.0km

のぼり

4323m

くだり

3741m

チェックポイント

DAY 1
合計時間
5 時間 37
休憩時間
16
距離
9.7 km
のぼり / くだり
978 / 365 m
DAY 2
合計時間
12 時間 57
休憩時間
1 時間 25
距離
15.4 km
のぼり / くだり
1451 / 1316 m
DAY 3
合計時間
15 時間 8
休憩時間
1 時間 46
距離
24.2 km
のぼり / くだり
1402 / 1090 m
1 13
1 15
1 44
39
3 20
DAY 4
合計時間
4 時間 23
休憩時間
12
距離
8.5 km
のぼり / くだり
486 / 968 m
8
23
1 19
58
8

活動詳細

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オプタテシケ周辺は大雪山塊の中でも最も手つかず。通行人もいない。エスケープルートもない。美瑛富士からヒサゴ沼まで18時間の行程に小屋がない。降雨だと悲惨。水場がない。熊もいる。だがこのルート、自然はすごい。日本で最高のロングトレイルの一つだ。本州の偉そうな北アルプスがまるでちんけに見える(笑)。 これまで大雪は3回行ったが、今回初めて十勝岳方面から旭岳まで縦走した。2日目から快晴が続き、幸運だった(私が下山してからも数日好天が続いた)。 雪上歩行は皆無。他の人たちの記録から、ヒサゴ沼に降りるならその区間のみチェーンスパイク必携かと思ったが、持っていかなかった。結局ヒサゴ沼にも行かず。遠目から見た感じ、その区間も雪はなくチェンスパ不要な感じ。裏旭の登りも雪上は通らない。 踏み跡は全区間明瞭。だが、南の区間ほどマーキングが少ない。だだっ広い場所が多いので、視界が悪いとき岩ゴロゴロの場所は道がわからなくなりやすい。GPSスマホ地図必携。トムラウシ以北は人が多い。 今回のヤマップの平均ペースは「ややゆっくり」になっているが、私としてはできるだけ速く歩き続けた。毎日12-14時間の歩行なので、歩行ペースを落とすと予定通りに泊まっていけない。素晴らしい景色を楽しむ余裕がなかった。また行く時のためにとっておく。 「チェックポイント」の2日目が途中で切れている。実際は18時前まで歩いた。3日目は朝3時半から歩いている。 【1日目。吹上温泉から美瑛富士避難小屋】 縦走なので車だと回収が大変。レンタカーはやめた。上富良野駅から町営バスで十勝岳麓の吹上温泉まで行き13時半に登山開始。吹上温泉キャンプ場の水場で給水。4.5リットル持参した(これで3日目までもった)。 初日はわりと平坦な山麓の道。バスが13時しかなく時間がなかったので、ピークは十勝岳も美瑛岳も美瑛富士も登らない。望岳台から十勝岳への登山道を通るところだけ人が多かった。他の区間は誰もいない。 雲ノ平の先にある「函状の深い枯れ沢」は、登り返しのハシゴの下が、土がかぶった残雪の塊を登らねばならず、登っても足元が崩れ続け、ハシゴにたどり着けず苦労した。ここだけ要注意。 その後雨が降り出した。すぐやむだろうと思って雨具ズボンをはかなかったので、すぐずぶ濡れに。雨具はズボンもこまめな着脱が必須だと思い知った。日暮れの30分後ぐらいに小屋に到着。3人のソロの先客。オプタテシケ方向の人はいない。この小屋は水場が貧弱だそうだが、降雨したので水たまりがたくさん。 【2日目。美瑛富士小屋からトムラウシ南沼の手前まで】 丸一日、誰にも会わなかった。夜明け少し前に出発。ガスガスの強風。視界3メートル。石垣山に登るあたりがだだっ広く、マーキングがなく少し道に迷う。オプタテシケから双子池に下る最初が、横が切れ落ちており、やや恐ろしい。双子池のテント場は、前日の降雨で水たまりと化した部分が多く、良い野営場でなかった。双子池のあたりは道も深い水たまりの連続になっており迂回困難、靴がズボスボに。このあたりからガスが晴れ、好天になった。 コスマヌプリの手前、山と高原地図にヒグマ注意と書いてあるあたりで、熊の臭いがした。熊が風上にいると、犬の体臭を強めたような野獣の臭いがする。トレッキングポールの先に大き目の鈴を付け、鳴らして歩く。 ツリガネ山からの下山道に鎖があるが、岩場でなく溝状の土の急斜面なので危険はない。ツリガネ山の手前や、三川台に登り返す手前、三川台の上に、平たい砂地があってビバークできる。日没直後ぐらいにトムラウシ南沼に着けそうだったが、無理をせず、1時間ほど手前のハイマツ地帯で平たい場所を見つけてビバークした。この時点で水は、途中給水なしで3リットル残っていた。 ビバークは、できるだけペグを打たず、トレッキングポールを立てず、ツェルト内で持参した傘をさし、息ができる空間を作って寝た。安眠できた。ペグを打つほど「テント泊」に近づくので「不正行為」とされがち。できるだけペグを打たず、合法にビバークする。この方式なら、有料有人の小屋の近くで「正しく」無賃野宿することもできる。 【3日目。トムラウシ南沼から白雲岳避難小屋の先まで】 この日も好天。トムラウシ南沼のキャンプ場の水は枯れていた。キャンプ場は5時すぎの時点で3張だけ。トムラウシ山頂に行くつもりが、地図を確認せず、巻き道を歩き出していた。5分後に気づいたが、これも何かの運命かと思い、引き返さず、トムラウシ山頂は行かなかった。トムラウシ山頂はすでに行ったことがあるし、山頂周辺は岩ばかりの嫌らしい道だし、行かなくても良いかと。私は「ロングトレイルを歩く」のが楽しく、登頂は重要でない。山は頂上だけでない。ピークを踏まないとその山に行ったことにならないという、ヤマップや百名山ハンターらのあり方は間違いだ。 化雲岳あたりから多くの人とすれ違う。この日は土曜日。1日で20-30人と会った。化雲岳の下の湿地帯に流れ込む水を浄水して給水した。湿地の水は鉄くさい。 化雲岳の手前や、忠別岳頂上の手前で、熊の臭いがした。いずれの場所も、下の方に広大な緩斜面のハイマツ地帯があり、熊はそこに住んでいるのだろう。 忠別沼の手前で「この先に熊がいた」と言う人とすれ違った。平が岳の手前の湿地帯脇に、流水と登山道が並行する区間があるが、そこに大人の熊がいたと。水を飲みにきていたらしい。20分後ぐらいに私が通った時はもういなかったが、そのあたりで3回ほど熊の臭いがした。まだ近くにいるのだろう。大雪に何度もくるほど、熊が近くにいても怖いと思わなくなっている。ただ、鈴は盛んに鳴らして歩く。鈴の音を聞いて熊が近づかないでくれるのかどうか不明だけど。 週末なので白雲岳避難小屋は予想通り、テント場も20張ほどで混雑しており、小屋も人があふれている。「コロナ対策(笑)」を重視して、ここに泊まらず、テント場の下で水だけいただき、少し先でビバークすることにした。白雲岳分岐に平地があるが、日暮れ前だったのでもう少し先の北海岳の下の方まで行き、平たい木のベンチの四方にツェルトを引っかけて固定し、中で傘をさして泊った。夜中に強風になったが、まあ安眠できた。ツェルトがバタバタいうので耳栓は必携。夜中に耳栓がとれてしまい、探すのが大変なので複数必携。 【4日目。北海岳の手前から旭岳ロープウェーまで】 この日はもともと層雲峡に降りる予定だったが、朝起きてみると、旭岳が美しく立っている。行くしかない。夕方に札幌の友達と会う約束をしており、11時半旭岳温泉発のバスに乗れば良い(実際は9時半のバスにちょうど乗れた)。裏旭に雪渓が残っているが登山道はその横を通るだけ。快晴の旭岳山頂には誰もいない。こんなの初めて。十勝岳からオプタテシケ、トムラウシ、忠別岳。通ってきた山々が全部見える。大いなる感慨と充足感。 下山していくと、ロープウェーから人がどんどんのぼってきた。人々とすれ違う時、繰り返しハッカやカラタチのような匂いがした。これはもしかして、人々が使うボディソープの香料の匂いでないか。熊は犬の臭い。人はハッカの匂い。もしかすると4日間、人に会わず、においのあるものをほとんど食べていないので、私の嗅覚が敏感になり、熊だけでなく人のにおいも感じるようになっていたのかも。この状態は一時的で、下山してロープウェーとバスを乗り継いで旭川に降りるころには、人の匂いなど感じなくなっていた。

十勝岳・富良野岳・美瑛岳 最初はこんな感じの景色が続く。
最初はこんな感じの景色が続く。
十勝岳・富良野岳・美瑛岳 やや難所だった函状の枯れ沢。ハシゴが見える。
やや難所だった函状の枯れ沢。ハシゴが見える。
十勝岳・富良野岳・美瑛岳 ハシゴの下の雪の塊に登るのが大変だった。砂がザラザラで。
ハシゴの下の雪の塊に登るのが大変だった。砂がザラザラで。
十勝岳・富良野岳・美瑛岳 晴れてきた。遠くにトムラウシが見えた。
晴れてきた。遠くにトムラウシが見えた。
十勝岳・富良野岳・美瑛岳 道がえぐれて池になっている場所が連続。回避困難。靴に浸水。
道がえぐれて池になっている場所が連続。回避困難。靴に浸水。
十勝岳・富良野岳・美瑛岳 オプタテシケ。誰もいない。
オプタテシケ。誰もいない。
十勝岳・富良野岳・美瑛岳 トムラウシが少しずつ近づく
トムラウシが少しずつ近づく
十勝岳・富良野岳・美瑛岳 このあたりで熊の臭いがした
このあたりで熊の臭いがした
十勝岳・富良野岳・美瑛岳 コスマヌプリの手前に野営できる平地がある。
コスマヌプリの手前に野営できる平地がある。
十勝岳・富良野岳・美瑛岳 ここいらの動物も、自分の毛をなめて掃除し、毛玉を排泄している。うちの猫と同じだ。
ここいらの動物も、自分の毛をなめて掃除し、毛玉を排泄している。うちの猫と同じだ。
十勝岳・富良野岳・美瑛岳 ツリガネ山の手前に野営できる平地がある
ツリガネ山の手前に野営できる平地がある
十勝岳・富良野岳・美瑛岳 これから行く三川台
これから行く三川台
十勝岳・富良野岳・美瑛岳 ツリガネ山と三川台の間の鞍部にも野営できる平地がある
ツリガネ山と三川台の間の鞍部にも野営できる平地がある
十勝岳・富良野岳・美瑛岳 ツリガネ山を振り返る
ツリガネ山を振り返る
十勝岳・富良野岳・美瑛岳 三川台の上も野営できる
三川台の上も野営できる
十勝岳・富良野岳・美瑛岳 夕方のトムラウシ
夕方のトムラウシ
十勝岳・富良野岳・美瑛岳 この先の平地でビバークした
この先の平地でビバークした
十勝岳・富良野岳・美瑛岳 トムラウシ南沼の水場。枯れている
トムラウシ南沼の水場。枯れている
十勝岳・富良野岳・美瑛岳 ヒサゴ沼。雪がない。
ヒサゴ沼。雪がない。
十勝岳・富良野岳・美瑛岳 化雲岳の手前からのトムラウシ。この先で熊の臭いがした。
化雲岳の手前からのトムラウシ。この先で熊の臭いがした。
十勝岳・富良野岳・美瑛岳 忠別岳の勇姿
忠別岳の勇姿
十勝岳・富良野岳・美瑛岳 この先で熊の臭いがした
この先で熊の臭いがした
十勝岳・富良野岳・美瑛岳 すれ違った人が、このあたりで熊を見たという
すれ違った人が、このあたりで熊を見たという
十勝岳・富良野岳・美瑛岳 白雲岳避難小屋が見えてきた
白雲岳避難小屋が見えてきた
十勝岳・富良野岳・美瑛岳 みんなが撮影する白雲岳小屋の鹿たち。
みんなが撮影する白雲岳小屋の鹿たち。
十勝岳・富良野岳・美瑛岳 白雲岳避難小屋をあとにした
白雲岳避難小屋をあとにした
十勝岳・富良野岳・美瑛岳 旭岳と、裏旭のテント指定地。雪が少ない
旭岳と、裏旭のテント指定地。雪が少ない
十勝岳・富良野岳・美瑛岳 帰りの飛行機から。雲海上の岩手山、八幡平、田沢湖。遠くに鳥海山。
帰りの飛行機から。雲海上の岩手山、八幡平、田沢湖。遠くに鳥海山。
十勝岳・富良野岳・美瑛岳 雲海上の岩手山、田沢湖
雲海上の岩手山、田沢湖
十勝岳・富良野岳・美瑛岳 鳥海山。手前の雲海上は栗駒か?
鳥海山。手前の雲海上は栗駒か?

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