10:06
29.1 km
2717 m
仙丈ヶ岳 地蔵尾根(地蔵岳〜仙丈ヶ岳〜大仙丈ヶ岳〜仙丈小屋)
仙丈ヶ岳・伊那荒倉岳 (長野, 山梨)
2026年05月05日(火) 日帰り
今回の山行は南アルプスの女王仙丈ヶ岳。標高3,033mを誇り、3つのカールを携える国内屈指の名峰である。そんな仙丈ヶ岳に今回は地蔵尾根ルートで挑戦する。このルートはTJARのコースにもなっており、特徴としては距離約25km獲得標高約2,500mという日帰りにおいては中々チャレンジングなコースだ。昨年の冬より2026年に絶対に地蔵尾根より仙丈ヶ岳に登ると考えていたが最近チェンスパで登れたとのレポを目にしたことから満を持して挑戦することに。併せて大仙丈ヶ岳と小仙丈ヶ岳もピークハントする計画とした。 AM5時柏木登山口より登山開始。スタートから1km程は少し登るが以降EL.2,400mまでは非常に歩きやすいなだらかな登山道が続く。しかし距離にして11kmあるためただただ長い。途中殆ど標高が変わらないフラットな区間が何kmかある。しかし美しい樹林帯歩きが好きな自身にとっては退屈することはなかった。標高によって林相が変わり、3000m峰ともなると様々な景色を見せてくれた。また5月となり新緑の景色めいてきている。私はこの時期の景色が1番好きであるため樹林帯であっても楽しく歩く事ができた。低い標高のところではアカマツを主とした樹林帯で割と殺風景ではあるがところどころ緑が目を引く樹木もあり、中でもわずかな区間であったがカエデの立ち並ぶ区域は美しく清らかな気分になった。(後々調べたらカエデではなくハリギリの可能性が高いとのこと。初めて聞いた木だ) 少し標高をあげるとカラマツが立ち並ぶ区域がありこれが格別に美しかった。地面も一面緑でカラマツの葉も色付いており個人的には今日の絶景の1つであった。2000m辺りではシラビソが立ち並ぶ苔生した南アルプスらしい景色も見られる。さらに標高をあげると大きいものから小さいものまで多様なコメツガが群生する鬱蒼とした樹林帯がしばらく続く。TJARのコースということもあってなのか冬季によく歩かれているからなのか登山道は基本的には明瞭であるが、急に登山道が荒れだしたと感じた区間があった。違和感を感じマップを見たところ予定に組み込んでいなかった地蔵岳ピークへの登山道を歩いていた。この区間は破線ルートであるため納得である。地蔵岳には帰りに余裕があれば寄るつもりではあったためそのまま地蔵岳もピークハントすることに。地蔵岳の山頂は三角点だけしかない狭い山頂で眺望もない。山頂看板らしきものが置いてあったが酷く錆びついていて記載内容は何もわからない。尾根の名を冠している地蔵岳であるが虚しいものだ。確か山岳信仰で歩かれた尾根だと見たことがあったがそれにしてはそういった面影が無さすぎる。元よりこのピークではなく仙丈ヶ岳を目指していたのだろうか。EL.2400mいよいよ急登が始まる。とは言えこれまでに比べ斜度はきつくなるが森林限界に出るまではそれほどの急登でもない。しかし森林限界直前のEL.2,650m地点の有名な雪登り箇所、ここはかなり厄介であった。白い壁をよじ登るようにして進む。ピッケルもアイゼンもない私にはかなり大変かつ危険であったと思う。幸いトレースがあったためそれを便りになんとか無事登りきった。そしてEL.2,700m、森林限界に出るといよいよ仙丈ヶ岳、大仙丈ヶ岳の西側の山肌が顔を出す。テンションが上がると同時にそこから見上げたピークは遠く高い。しかし目に映る絶景が背中を押してくれる。もう少し登ったところで振り返ると中央アルプスそして北アルプスまでもが望むことができた。そして登っていく稜線左手の向こうには甲斐駒ヶ岳と鋸岳が見えている。途中稜線上にしっかりとした積雪箇所があるがかなり締まっており何処でも自由に歩ける程であった。山頂付近まで登って行くと日本三大カールの1つ藪沢カールが目に飛び込んでくる。仙丈小屋までバッチリと確認できる。カールを眺めながら登っていき気づけば山頂直前まで来ていた。万感の思いでピークを踏む。3,033m、仙丈ヶ岳到達。男女二人組の先客おり、私が到着して早々、相手方から写真撮影の声かけをしてくださった。自分もこういう風にスマートに気遣いができるようになりたい。改めてお礼を述べたい。ありがとうございました。山頂からの景色はそれはそれは素晴らしいもので南アルプスオールスター揃い踏みといったところだ。特に北岳・間ノ岳は大迫力で望めその向こうには鳳凰三山、富士山までも覗える。前述した中央アルプス、北アルプスに加え八ヶ岳の姿も確認できる。八ヶ岳は随分と雪が無くなっており夏山の装いを呈していた。15分程山頂での時間を過ごし、大仙丈ヶ岳へ向かう。大仙丈ヶ岳からは見たい景色があった。塩見岳に登った際仙塩尾根伝いに佇む仙丈ヶ岳を目にした。今度はその逆を見たいと思っていた。自身の記憶の景色が点と点が線で繋がるような感覚がして好きなのだ。そして大仙丈ヶ岳から見る大仙丈カールも収めておきたかった。大仙丈ヶ岳到達。南アルプス中腹の鋭峰達がより近くで見られ感動的だ。仙塩尾根伝いに塩見岳、その先の悪沢岳、赤石岳を眺める。TJARはこれを延々と行くのかと思うと本当に凄まじい。少しの時間を費やし今度は小仙丈ヶ岳へ向かう。小仙丈ヶ岳からは間近で見られる甲斐駒ヶ岳、富士山を見たいと思っていたが仙丈ヶ岳からの稜線上にある仙丈小屋への分岐以降の積雪箇所で深い踏み抜きが何度か発生した。しかも斜度がかなり急であったため身の危険を感じ数分立ちすくみ考えた結果、リスクをとって断腸の思いで小仙丈ヶ岳は諦めることにした。正直この状態でこの斜面を降りていくのは少し怖いと感じた。分岐点の辺りの稜線上から小仙丈カールを堪能することとした。仙丈ヶ岳へは戻らず前述の分岐点から仙丈小屋を目指す。下から見る藪沢カールを収めるためだ。しかしこの分岐点から仙丈小屋に向かう初っ端の斜面が思いっきり雪道であり道無き道を行くことに。傾斜地の腹を巻くかたちだ。僅かにあったトレースを便りに進むが気を抜くと滑り落ちて行きそうだった。下を見るとはるか下まで雪斜面が続いておりここの通過もドキドキした。なんとかクリアし仙丈小屋まで駆け下りる。仙丈小屋の裏手から見上げる藪沢カールは圧巻の一言。この時間帯は風もなく、一切の音もなく、自分1人。見上げれば大迫力のカール、その向こうには雲一つ無い青空。最高の空間に浸りながらしばらく休憩し下山を開始する。下山と言っても地蔵尾根との合流点までは結構登らなくてはならない。しかも積雪で道はない。2,650mの白い壁の3倍ほどの白い壁をよじ登っていく。幸い雪の状態がよくなんとか登っていけたが近いうちにチェンスパで仙丈ヶ岳を登ろうとしている人がいたら仙丈ヶ岳のピークだけにしておいた方がよい。小仙丈ヶ岳と仙丈小屋を経由するのはおすすめしない。稜線にたちいよいよ本当に下山開始。名残惜しくて何度も後ろを振り返った。下山時の核心部もかなり大変だったがなんとかクリアし樹林帯下りが始まる。15時過ぎに柏木登山口に到着したが下山の道のりは登りよりも速い速度のはずなのに1.5倍くらい長く感じた。
