奥秩父縦走(瑞牆山~雲取山)
甲武信ヶ岳
(山梨, 長野, 埼玉)
2023.11.23(木)
3 DAYS
【前段】
23日木曜日が祝日で、金曜日休暇を取得し、4連休。
あちこちで冬山を迎えている中、なるべく雪がないところ、11月でも小屋営業しているところで、あたためていた奥秩父縦走路へ行くことに。
~奥秩父縦走とは~
長野・山梨・埼玉・東京と連なる奥秩父山塊はその広大な山域、2,000m超級の峰が連なることから東アルプスと称されている。約60km続く首都圏のトレイルにもかかわらず、ルート上は一度も車道を通らない。苔むした原生林や渓谷、自然のままの広葉樹林が続く。
何より、100名山4座(瑞牆山、金峰山、甲武信ヶ岳、雲取山)、300名山(国師ヶ岳)を1回でピークハントできる夢の縦走路といえる。
【行程】【日の出6:20,日の入り:16:43】
(1日目)16.9km(+2,331m -1,472m)
瑞牆山荘~瑞牆山(100)~金峰山(100)~大弛小屋(小屋泊)~北奥千丈岳~国師ヶ岳(300)
※韮崎駅(8:50始発)~瑞牆山荘(10:09)バス営業最終日:11/23
(2日目)24.2km(+1,953m -2,552m)
大弛小屋~国師ヶ岳(300)~甲武信ヶ岳(100)~笠取小屋(小屋泊)~笠取山
(3日目)29.1km(+1,753m -2,795m)
笠取小屋~雲取山~七ツ石山~丹波山村村営駐車場(鴨沢登山口)
※2泊目を笠取小屋、将監小屋のどちらにするか迷ったが、笠取小屋の営業確認がとれ、笠取小屋を選択。大弛小屋~笠取小屋までは地味なアップダウンがあり、ある程度疲れるため、笠取小屋で泊まるのがちょうどいいと感じた。笠取小屋~将監小屋までの稜線コースもアップダウンがあるものの、将監小屋以降は巻道で、2日目の行程より3日目の行程のほうが7割ほど楽に感じた。
疲れている場合は、笠取小屋~将監小屋まで、笠取小屋から巻道もある。
(登山口間の移動)
丹波山村村営駐車場から瑞牆山荘まで、たかかさんに送迎してもらいました。感謝しきれません( ;∀;)。
通常は、JRとバスの乗継が必要。
【駐車場】
●丹波山村村営駐車場(50台)
・無料
・トイレあり
・電波あり
●瑞牆山荘駐車場 (100台)
・市営無料大駐車場(約100台)、瑞牆山荘横無料駐車場(約20台)、その他、瑞牆山荘近くにあと二つ無料駐車場があり、合計で約150台駐車可能。
・トイレ(瑞牆山荘脇あり)
【小屋情報】
●大弛小屋(営業期間:4末~11末、営業終了後は冬季小屋として開放)
・2日前までに電話で予約、前日20時までキャンセル料無料
・トイレ(小屋内)、水場あり。水場は泊まる小屋の隣(外)にあり。
・2食9,000円(夜おでんと肉鍋)、3食10.000円、素寝具付き5,500円、テント1,000円(夕17:00-,朝5:30-)
・カップラーメン350円、ビール500円等
・寝床:マット・敷布・上下2枚の毛布・羽毛の掛け布団、他にこたつ。
・電波なし
※自炊(バーナー利用)は小屋内利用不可。寒いですが1回外に出て調理して、食べるときはこたつという方法になります。
※小屋内は寒くない。23日の宿泊者は自分たちを入れて、合計7名。全員奥秩父縦走者。
●笠取小屋(営業期間:4/29~1/3)
・テント800円,素寝具付き4,500円(R5は食事提供なし)
・水場:笠取小屋から2分ほど下ると、山からの湧き水あり。小屋脇の水が出ているところは、管理人さん清掃等の使用後の水で、引用不可。
・夏16時、冬15時までにチェックイン。今回は聞いたら、16時頃にはと言われました。
・販売は飲み物とグッズのみ。
・管理人棟と、宿泊棟あり。宿泊棟には薪ストーブがあり、ストーブ上にやかんがあり、24h自由にお湯が飲めます。管理人さんが、寝た後も2時間おきに、ストーブに薪を入れに来ます。
・寝床:敷布団2・2枚の毛布・かけ布団2つ。寒さなし。
・11/24宿泊者は、小屋内3人、テント2張。
・笠取小屋トイレより少し上に進むと電波あり。
※営業終了後の冬季小屋は、今年取り壊し予定。今年を含め、開放なし。
(その他小屋)
●甲武信小屋(営業期間:11/30まで)
・食料、飲み物販売あり(水1L100円)
・小屋外に蛇口あり。
●雁坂小屋(4月末~11/18まで)水場あり
・R5は素泊まり、テント。
・ビール・レトルト食品、カン詰・レトルトご飯、パン等販売していた(レトルトご飯・カレーなども加熱しての提供可能。)。
●将監小屋 水場・トイレあり
・土日営業(素5,000円、テント1,000円)
・小屋番さん不在の日でも、テント、小屋の素泊まり可。小屋内に毛布・布団などがありました。
・小屋内は30人以上泊まれて、かなり広い。
●七ツ石小屋 水場・トイレあり
※雲取山域の山小屋(雲取、三条の湯等々)は、23~26日までHP上満室だった。
【すれ違った登山者】
・P~瑞牆山:20人
・瑞牆山~金峰山:6人
・金峰山~飛龍山:10人
・飛龍山~雲取山:10人
・雲取山~鴨沢P:50人
※シーズン終了間際の奥秩父縦走路は人が少なく、静か。瑞牆山・甲武信ヶ岳・雲取山の山頂近くのみ登山者がいる程度。
【装備】
夏靴(スカルパ)、ストック、軽アイゼン
小屋泊まりのため、宿泊道具なし
【天気】
(予報)強風予報
23(木)12時:3℃18m(3,100)8℃8m(2,000m)上層雲30%
21時:3℃25m(3,100)8℃14m(2,000m)
24(金)9時:3℃35m(3,100)2℃21m(2,000m)快晴
12時:2℃35m(3,100)2℃18m(2,000m)快晴
18時:-3℃33m(3,100)-3℃15m(2,000m)快晴
21時:-7℃27m(3,100)-6℃12m(2,000m)快晴
25(土) -2℃28m(3,100)-7℃11m(2,000m) 快晴
(実際)
3日間とも青空快晴
・23日風5-7m程度で特に感じず
・24日暴風20m超。1日樹林帯のため、全く影響はなし。歩いていても寒さはなく、甲武信ヶ岳以降は雨具も着用せず、薄手の長袖で歩けるほど暖かい。樹林帯の影響の大きさをすごく感じた。
・25日風5-7m。風を感じず。日が当たるまで気温が低く寒い。25日の気温で暴風だったら、かなりきついだろうと感じた。日の出待ちの時間も、風なしだが、ウール薄手+ウール厚手を重ねる。
【水、食料】1hあたり0.13-0.15Lで計算
◎水消費量
(1日目)
・P~富士見平小屋~瑞牆山~富士見平小屋:3h20
持参0.3L(消費0.3L残0L)
→1hあたり0.09L
・富士見平小屋~金峰山~大弛小屋~北奥千丈ヶ岳~国師ヶ岳~大弛小屋:5h
持参0.7L(消費0.3L残0.4L)
→1hあたり0.06L
(2日目)
・大弛小屋~甲武信ヶ岳~甲武信小屋:
持参0.8L(消費0.4L残0.4L)
→1hあたり0.09L
・甲武信小屋~笠取小屋:5h30
持参0.7L(消費0.4L残0.3L)
→1hあたり0.07L
(3日目)
・笠取小屋~将監小屋(h):2h30
持参0.7L(消費0.2L残0.5L)
→1hあたり0.08L
・将監小屋~七ツ石小屋(h)6h10
持参1L(消費0.6L残0.4L)
→1hあたり0.1L
・七ツ石小屋~P:1h
持参0.6L(消費0.2L残0.4L)
→1hあたり0.2L
(食料)
食料〈1日目〉9h
・お昼(おにぎり1個)、サツマイモ1、塩分タブレット2
〈2日目〉10h10
・朝(ラーメン1.5人前)、お昼(a米)、サツマイモ1、クルミゆべしミニ2、ナッツ1口、アミノバイタル1
〈3日目〉12h
・朝(ラーメン1.5人前)、お昼(a米)、サツマイモ2、どら焼き1、ナッツ1口、塩分タブレット2
〈食料残〉
残: プロテインバー2、カロリーメイト1、ジェル1,板チョコ1、塩分タブレット2、アミノバイタル2
【感想】
~1日目~
◆ルートの状況(瑞牆山荘~富士見平小屋~瑞牆山)
・富士見平小屋までは歩きやすい道。
・富士見平小屋から先は、少しずつ岩の道が出始めるが、初心者でも歩ける。
・山頂直下の日陰に氷が張っていたが、滑り止めの必要なし。
◆ルートの状況(瑞牆山~金峰山~大弛小屋~北奥千丈岳~国師ヶ岳)
・富士見平小屋から金峰山、大弛小屋までも一般登山道。不明瞭な箇所や歩きづらさはなし。
・金峰山に近づくにつれて、雪が凍っている箇所もあり。登りのため滑り止めは不要だった。下りや雪歩行に慣れていない場合は、あったほうが良さそう。金峰山までは積雪5cm。
・金峰山~大弛小屋までほぼ下り。大弛小屋に近づくにつれて、徐々に雪が増える。10cm。
雪が少し増えると、凍結が減り歩きやすくなり、下りでも滑り止めは不要だった。
・大弛小屋でチェックイン後、夕日を見に国師ヶ岳方面へ。
・大弛小屋から10分程度で夢の庭園(?)と呼ばれる箇所があり、そこから金峰山などの展望があり。夕日後の暗い時間が心配な場合は、ここで夕日を見るのが近くていいと思う。
・庭園箇所では富士山が見えないため、北奥千丈ヶ岳まで進む。前国師ヶ岳からは、金峰と上半分の富士山が見える。
・北奥千丈ヶ岳は、富士山の展望なし。金峰山と南アルプスが眺められる。赤く染まる富士山が見たいため、国師ヶ岳へ向かう。
・国師ヶ岳からは、富士山がばっちり裾野まで見える。富士山の撮影をしたのち、あとはヘッデンも利用しつつ、小屋へ戻る。
・小屋~国師ヶ岳は木道の階段と登山道。夕日撮影では滑り止めは使用しなかった。暗くても歩けたため、夕日撮影にはいい場所だったと思う。
~2日目~
◆ルートの状況(大弛小屋~国師ヶ岳)
・国師ヶ岳に朝日前に行き、星空・ブルーアワーなどの撮影予定だったが、小屋内の風の音が凄まじく、朝ご飯を食べてから出発に変更する。
・朝で冷え込みもあるため、スタートから滑り止めを着用。
・国師ヶ岳に到着すると、ブルーアワーと朝日が楽しめた。国師ヶ岳は半分樹林帯に覆われ、富士山が見える方向の展望が開けている。樹林帯で風をカバーしてくれるため、風も強くなく、ここで星空も撮影できたなと感じた。
◆ルートの状況(国師ヶ岳~甲武信ヶ岳)
・樹林帯の道。両門の頭付近で1箇所展望が開ける。
・国師ヶ岳以降は、20分程度歩くと雪がなくなり、滑り止めを外す。
・国師ヶ岳の西沢渓谷登山口との合流地点から、再度滑り止め着用。雪の凍結が多くなる。
・そこから、木賊山直下の下りまで滑り止め着用。その後はつぼ足。
・甲武信ヶ岳は富士山と歩いて来た稜線の展望あり。山頂は風が強く、立って撮影するのがきついほど。
◆ルートの状況(甲武信ヶ岳~雁坂嶺~笠取小屋)
・甲武信小屋前で、お昼を食べる。ベンチとテーブルが3個ほどおり、休めるようになっていた。
・木賊山をピークハントし、下っていくと完全に雪がなくなり、秋の様相が姿を現す。
・今までが冬景色だっただけに、秋の景色の暖かさが心地よく気持ちいい。
・縦走路は葉が落ちた樹林帯だが、所々展望があり、十分楽しめる。展望がある地点は、雁坂峠・古礼山・笠取山。それ以外の樹林帯も、南アルプスのようなコケと樹林帯の様相で、きれいだった。
・雁坂峠先の降り返り、雁坂嶺ビュースポットは、今日の行程の1番の展望だった。
・縦走路はいろいろなピークがあり、小さなアップダウンを繰り返して進む。破風山への登りが1番長いが、きつい登りはない。トレランなどの登山者には歩きやすくいい道だと感じた。
・笠取小屋の分岐に到着し、時間もあるため、明るい笠取山を堪能しに。
・分岐から笠取山までは、急登。所々息を整えつつ進む。笠取山の三角点手前に看板がある。そこからの富士山の展望は抜群。
・山頂看板先に三角点があるため、5分ほど進む。もう1つ山頂看板があり、そこに三角点がある。
・三角点先から、水干まで下った人もいて、少し下って見るが、あまりの急斜面ですぐ稜線に戻る。おとなしく分岐に戻り、水干を見る。
・分岐から水干までは平坦道で10分ほど。山頂直下を下るよりも、分岐から歩いたほうが早く水干に着きそうだと感じた。水干には源流はなく、水干手前の分岐から60m下ると水場から最初の1滴がある。16時までに小屋に間に合わないため、水場はスルーし、小屋へ。
・小屋では小屋番のおしさんが、あたたかいコーヒーをふるまってくれ、お出迎えしてくれる。
~3日目~
◆ルートの状況(笠取小屋~唐松尾山~西御殿岩~将監小屋)
・笠取山から笠取山直下の登山道までは、巻道を利用して楽に進む。
・稜線分岐に合流してから唐松尾山までは、笹で覆われ踏み跡が貧弱となっている。
・唐松尾山山頂は展望なし。山頂のロープの先、踏み跡しっかりした道を少し進むと北側斜面の大展望が広がる岩テラスがある。今回は、西御殿岩で朝日予定のため、スルーした。
・唐松尾山から少し下っていくと、西御殿岩の分岐あり。見落としがちな分岐で、分岐点地面に西御殿岩の5cm程度の看板あり。
・西御殿岩へは、薄い笹道を登っていくと到着する。山頂直下は5mほど岩を登る。
・西御殿岩は360℃の展望。富士山から南アルプス等最高の景色が見える。近くを通った際は、ぜひ立ち寄ってほしい。
・想定よりかなり早く到着し、朝ご飯を食べ、星空や朝日等を眺め、2時間近く滞在。電波もある。
・将監小屋の待ち合わせ時間に合わせて出発し、予定通り小屋に到着。小屋までは、明瞭な道が続く。
◆ルートの状況(将監小屋~三ッ岩~雲取山)
・将監小屋~禿岩までは、稜線の巻道で、楽々進める。一般登山道で歩きやすい。ヤマップ上では稜線ルートはないが、稜線ルートも歩くことは可能。
・巻道ルートはたまに開ける展望のみ。禿岩は登山道から10秒ほどで行けて、360℃の展望がある。ぜひ立ち寄ってほしい。
・禿岩から雲取山までは、三条の湯との合流地点なのか、若干登山者が増えた。
・飛龍山もピークハント。両脇シャクナゲの登山道だった。
・飛龍山から雲取山までは、さらに登山道の幅が広がり、歩きやすくなる。
・三条ダルミは展望が広がる。
・三つ山先の、広い広場(草原)地点でお昼休憩。
・三条ダルミあたりから、雲取山までは登り区間。傾斜はそこまでではなく、あっという間に雲取山避難小屋に到着する。
・避難小屋から山頂方向へ進むと、山頂に到着。
◆ルートの状況(雲取山~七ツ石小屋~P)
・山頂から避難小屋に戻り、七ツ石小屋まで下る。
・七ツ石山までは平坦な勾配で下る。七ツ石直下だけ登り返す。七ツ石山の右手からは、雲取山の山容が眺められる。ここが下山ルートの最後の展望スポットになる。
・七ツ石山から10分程度下ると、七ツ石小屋がある。七ツ石小屋には、水場・トイレあり。小屋には、たくさんの登山者が休憩していた。
・七ツ石小屋から駐車場までは、序盤は多少の勾配があるものの、10分程度下ると、あとは平坦な下り道となる。かなり歩きやすい平坦道で驚いた。
・あっという間に登山口に到着。
◆全体の感想
・南アルプス、中央アルプスともに冬が訪れ、冬でない登山道を求め、今回の山域に。
・瑞牆、金峰山に合わせて、甲武信ヶ岳、雲取山と続く縦走路を地図で発見し、歩けることが分かった感動から早数ヶ月。アルプスが歩けるうちはなかなか訪れることができず、もともと目星をつけていた23日からの4連休で無事晴天の中歩くことができました。
・アルプスのような華やかさはないものの、山々が連なるロマン多い縦走路を、この11月末に歩けるというのが、この山域のメリットだと感じました。近くに住んでいれば、トレランなどには最適な縦走路で、近くの方が羨ましい限り。
・今年中にやりたい登山計画は、今回の行程で全てやり終え、12月1月の初冬に何をするか、またのんびり考えたいと思います。
・今回は荷物の軽量化のため、2泊とも営業小屋泊まり。これだけ荷物が軽いと、行程的には楽すぎ、もっと距離等を伸ばしたいと感じたのんびり旅でした~。