31:33
35.6 km
3099 m
(途中撤退)積雪期奥秩父主脈縦走
瑞牆山・金峰山 (山梨, 長野)
2024.03.09(土) 4 DAYS
4泊5日(+予備日1日)で奥多摩駅まで縦走する計画だった。 暖冬と言われた今シーズンだが、縦走を前にしてまとまった降雪が何回か…。いや、2月頃『雪があんまり少ないと嫌だね』と言ったのは自分だけれども…。 結局積雪に苦しめられて行程が遅れ、新たな降雪予報に行程完遂の道を見いだせずに途中で撤退となった。 【瑞牆山荘~金峰山】 人がよく歩いていてこれといった難所もない道。唯一大日岩周辺にある鎖場も問題なし。稜線部分が風が強いと厳しいものはあるが、当日はほぼ風も無し。展望も良し。 【金峰山~大弛峠】 トレース無しかと思いきや少ないながらあり。ただ、稜線の風吹き抜ける部分は埋没していた。樹林帯に入ってからはずっとトレースをたどって大弛峠へ行けた。大弛峠小屋の水場は完全に凍結していた。 【大弛峠~国師ヶ岳】 トレースなし。木道の上には1m程の積雪が見られ、踏み外すと結構ずり落ちそうなので注意。夢の庭園周りで登ったが、ガレ場でルートを見失いやすく踏み抜き地獄を味わった。林間はフワフワのラッセルで、風衝地は締まった雪で歩きやすい。 【国師ヶ岳~甲武信ヶ岳】 ほぼトレース無し。細かなアップダウンがあり、ラッセルがキツイ。また、道も若干狭くて歩きずらいし、夏道(らしき場所)を逸れると途端に踏み抜きが多くなる。登山道のマーキングがややまばらだが、だいたい同じ方角を向いたまま尾根上を進むので問題ないのであろう。進路が変わる場合はロープが張られていた。また、両門ノ頭すぐ北のピークは木の枝をかき分けた先で岩場の上に通される。景色は良いが雪が付いてるとちょっと怖い。コース上に平坦地はいくつかあるので、風通しを見極めれば幕営は色んな場所で可能であろう。水源分岐からトレース復活。 【甲武信ヶ岳~破風山】 木賊トラバース路は北斜面で積雪多そうだし、雪崩リスクも無い事はないのでさすがにトレース無し。徳ちゃん分岐でトレースとはサヨナラ👋。破風山避難小屋まで結構な急坂を下り、破風山まで結構登り返す。コル周辺は木々がまばらな風衝地になっており歩きやすくなっていたが、その他の部分は林間で結構な重雪ラッセル。木の枝が邪魔な場所も多くて体や荷物に引っ掛かる。西破風山と東破風山の間は岩の露出した部分も多く、隙間を踏み抜いたり進むのに慎重になったりでかなり時間を食った。西破風山から尾根をたどり道の駅まで下れるようなので、積雪期のベストな撤退路はそこであったと反省。なお、破風山避難小屋の扉を開けられず、中の様子は確認できなかった。 【破風山~雁坂峠】 立ち枯れの木々が多く風の通りが良い場所が多い。雪の表面はクラストしていたが日射の影響ももろに受けてワカンに雪が付いて重くなる。雁坂嶺手前の2200m地点付近は積雪ありなら絶好の幕営適地。雁坂嶺から雁坂峠までも立ち枯れの他、草地など風の通りの良い道になり、雪の状態によっては雪崩にも注意が必要か。 【雁坂峠~道の駅三富】 この時期のこのルートはオススメしない。雁坂峠から三富へ降りる道は雪の状況が悪くない場合と、他の下山手段がもっと悪い場合に限る。谷筋までトラバースチックな変な下り方をしていき、谷に出てからも良くない。雪崩地形が多すぎる。今回は崩れるようなところは既に崩れ切って安定していた事と新たな積雪前に通過することで何とかなった。トレースは途中から気配があったものの、ほぼ無し。 【アイゼン・ワカン】 瑞牆山荘から少し~大弛峠:(トレースあったため)アイゼン 大弛峠~雁坂嶺手前(3日目幕営地):ワカン 雁坂嶺手前~鶏冠山大橋周辺:アイゼン+ワカン 【電波:au】 全体を通して入ったり入らなかったり。大弛峠は小屋周辺は入らないが、夏の駐車場トイレ付近まで行けば電波あり。雁坂峠から三富へ下るルート上は谷間に入ってしまうとしばらく電波無し。 【敗因① ラッセル】 予想通りではあったが、ラッセルがきつかった。ワカンつけても20㎝~40㎝は沈む。下りは重力に従えばよいので苦ではないが、登りも体は重力に従うのでもがく事になる。ワカンよりも浮力に優れるスノーシューを使用していればいくらかマシだったかもしれないが、スノーシューは傾斜に弱いと聞くので急登では苦しむであろう。少し発見だったのは、鹿のトレースでも無いよりは沈まない気がすること。兎やキツネ(?)ら小動物のトレースは無力。 【敗因② ザック重量】 寒かろう要るだろうと用意した結果、ザック重量は30kgに。敗退の大きな要因となったと思う。いつも使うセットの中に入っている今回は使わないで良い小物とか外し忘れてた。ただ、予備の物(食料,防寒着,安全装備)を外すのはどうしても嫌なのでどう軽量化していくか今後の課題。食料は当初の予定の4泊5日分+予備食1日分+非常食1日分。行動食も沢山。シュラフ高性能にすれば防寒着少し減らせるのか? 【以下、個人的な記録文】 4年前、卒業前の先輩が企画するもコロナ流行り始めでテント泊を自粛する流れになり立ち消えになったこの時期の奥秩父縦走。 今春就職の私もこの先日程確保は難しいだろうと企画するも誰も日程合わず。ソロで挑戦することになった。 (Day1) 金峰までは快調に登り、縦走がスタートしたと実感する。金峰から先はノートレースである事を想定していたが、神のごときトレースあり。これによって消耗を抑えられた。気温は-16℃くらいと低かったが、風が弱かったので結構な薄着。峠に着いてからは、3/9なのでレミオロメンの『3月9日』をうろ覚えで歌ったり、ペミカンカレーをつくったり。親に定期連絡を入れようと思ったらLINEの暗証番号をど忘れして開けなかったので電話で連絡。その後番号は無事に思い出した。 (Day2) 朝の準備中、コンパスと紙地図を紛失したと思ったらシェルのポケットに入っていた。初っ端から登りがキツイし、まだ暗かった夢の庭園付近で夏道を外れ踏み抜き地獄を味わう。踏み抜くと普通に腰まで埋まり、苦戦しているうちにいつの間にか周囲は明るくなっていた。奥秩父最高峰の北奥仙丈岳に寄り道し、国師からは下っていく。国師からの下りで一旦夏道を外れてしまったが、無事に復帰。その際、鹿観察のための定点カメラの前を通ったのでもしかしたら映ってしまったかもしれない。ラッセルが大変で、スピードが全く上がらず、甲武信にすらたどり着けず富士見手前で時間切れ。 (Day3) マーキングがまばらなので、富士見登頂ぐらいで明るくなってくる想定で行動開始。富士見は樹林の中で富士見えず。水源分岐から徳ちゃん分岐まではトレースが復活し、ありがたい事この上ない。破風避難小屋はどこから来るにしても登りも下りもキツイ場所にあった。幕営適地に着いた所で少し早めだったが活動終了とした。また、工程の遅れと新たな積雪予報から行程完遂は日程も食料も足りないと判断。翌日に下山する事を決めたので夕食はアルファ米を2食分食べる(贅沢!!)。 (Day4) 谷間を抜ける道で長居はしたくなかったので、朝食時に水分と食料をいつもより多めに摂取して可能な限りノンストップで下る目論見。ワカンとアイゼンを装着して出発。気温は-5℃くらいと低くない。雁坂嶺まではクラストした雪(乗れるほど固くは無い)をラッセルして登る。傾斜はそんなに無いはずなのに相変わらずキチぃ。嶺からの下りは積雪の少ない箇所も多く、多少楽に下れた。また、出発準備中は盆地の夜景が見えていたが行動開始してしばらくするとガスに包まれた。だんだん天候悪くなる予報ではあったものの、目に見えて崩れていくので少々焦る。ただ、焦ってもしょうがないので地道に確実に下る。また、左足のアキレス健が少し痛む。下山したら花粉すごくて目が痒い( ・д⊂ヽ゛。 【振り返り】 途中で敗退したとはいえ、積雪期の大弛~甲武信,木賊~雁坂嶺を繋げられたのはちょい嬉しいが、樹林帯メインなので地味に頑張る行程がほとんどだった。登山道は遮蔽物が少ないので獣も歩きやすいようで、人のトレースを追っている時間よりも獣のトレースを追っている時間の方が長かった。破風山以前は兎が多く、そこから先は鹿のトレースが多かった印象。 ラッセルがきついのは分かり切っていたにも関わらず、少々舐めていたと思う。軽量化にもっと心血を注げばよかったと思う反面、食糧や防寒着,燃料など潤沢過ぎるほどに持っていたおかげで快適に過ごせたし、エネルギー摂取も十分だったようで、証拠に体重減はほぼ見られず。 途中撤退の選択としては雁坂峠から撤退しなければ笠取小屋(約1800m)まで進んで泊まっていたであろう。笠取まで進んでからの撤退も難儀だし、さらに先に進むのも斜面トラバースが増える道なので厳しかったなぁ・・・。また、下界での雨脚が超強かったので相当量の積雪になったであろうし、気温低くなくてもしかしたら雨だった可能性も考えられる。スノーフライしか持ってなかったので雨漏りは勘弁。雁坂峠からちょっと強引にでも降りて正解だったと思うが、最適解は西破風山からの尾根を下るルート(道は無い)の方だったのではと振り返り。 今回は奥秩父縦走路の半分も進めていないので、もうちょっと優しい時期にリベンジしたいなぁ。