21:51
38.9 km
3153 m
薬師岳・黒部五郎岳 (日本百名山#53・#54)
水晶岳・薬師岳・黒部五郎岳・鷲羽岳・三俣蓮華岳・湯俣 (富山, 岐阜)
2026年06月14日(日)〜15日(月) 2日間
折立から薬師岳・黒部五郎岳に一泊二日で行ってきました。 愛知県の自宅を4時に出発し、富山経由で有峰口のゲートから有峰林道に入り、8時半に折立に到着しました。有峰林道では貸切のワインディング路を気持ちよくドライブできました。日曜発&ハイシーズン前だったこともあり、遅い到着でも駐車場はガラガラでした。折立登山口からの樹林帯では熊の目撃情報が相次いでいるため、この日のために揃えた鈴とブザーとスプレーを装備してスタートしました。 太郎平小屋までの樹林帯は見通しがよく気温も高くなかったため終始快適でした。熊に合わないよう補給時に少し立ち止まるだけで急ぎ足で歩きました。樹林帯を抜けた後はとても整備された木道や石畳の階段が繋がっていて、眼下の有峰湖や富山湾の景色を楽しみながら歩いているうちに太郎平小屋に着きました。 太郎平小屋でチェックインを済ませ、トレランザックに荷物を詰め替えた後に薬師岳に出発しました。熊で閉鎖されている太郎平キャンプ場から樹林帯に入ると間も無く岩と雪のミックスのトレイルになり、滑らないよう慎重に進みました。樹林帯を出ると小屋開き前の薬師峠小屋までは長い雪渓歩きだったため、ここでチェンスパを履きました。小屋に着くと下山中で休憩していた2人組から浄水ボトルの落とし物をされたと聞いたため、探しながら進むことにしました。小屋から先には雪はなく、チェンスパを脱いで山頂に続く稜線を眺めながら進みました。この日の薬師岳への登山者は私が最後だったようで、稜線に出ると登山道は貸切になりました。稜線では蛙のようなライチョウの鳴き声があちこちから聞こえ、登山道のすぐ脇でくつろいでいるライチョウ夫婦の写真をすぐ近くで撮ることができました。そのすぐ近くで落とし物のボトルを見つけることができました。山頂はあいにくガスの中で標識と写真を撮ってすぐに出発しました。帰りは登りで足を削られた雪渓をチェンスパで一気に駆け下り爽快でした。樹林帯の中の残雪箇所は下りで怖い箇所があったのでチェンスパを履いたまま進み、無事太郎平小屋に戻りました。 小屋で落とし物のボトルを預けると、この日は宿泊客が少なかったことで個室へ案内していただけました。広くて快適な個室で着替えや明日の準備をして夕食までのんびり過ごしました。17:30に食堂に行くと、私の他に3名の方がいるテーブルに案内されました。その中の2名は薬師峠小屋でお会いした方で、ボトルのお礼にロング缶のビールをご馳走していただけました。夕食中には山小屋グルメやもう一人の方の山梨百名山制覇の武勇伝を聞かせていただいたりして山談義で盛り上がりました。その日の夜はビールでいい気分になったこともあり、個室でぐっすり眠ることができました。 翌朝は3:30に黒部五郎岳へ向けて太郎平小屋を出発しました。気温は5℃で少し先がガスで見えない中でのスタートでした。途中で長短の雪渓が断続的に現れるのですが、ガスで視界が悪く、先行者がおらずトレースがない中での雪渓歩きは私にはとても怖く感じ、何度もGPSを確認しながら歩くのにメンタルを削られました。夜が明けてもガスは晴れず、気温も上がりませんでした。却って風が強くなり寒さが増したため、お守り代わりに持ってきた防寒着を総動員しました。さらに登り返しが大の苦手の私にとって、寒さとガスと雪渓の中での北俣岳と赤木岳の登り返しは苦行の道のりで、ここまで来たのだから行きたい気持ちと、このまま進んで大丈夫なのかという不安が何度も頭の中でせめぎ合いました。山頂への最後の登りの手前の中俣乗越に着く時にはかなり消耗してしまい、山頂まではガスの中を無心で歩きました。山頂直下では崖下に伸びる雪渓渡りがあり、これを高巻きで回避してなんとか山頂に辿り着きました。ちょうど同じタイミングで夕食をご一緒した方も登頂され、この後の登り返しへ向けて励まし合い、先に出発されるのを見送りました。 眺望ゼロだったため中俣乗越まで駆け足で降りると徐々にガスが晴れ出し、これまで歩いた道のりを振り返ることができました。その後の登り返しもとても辛かったのですが、晴れて気温が上がり見通しも良くなったことと、雪渓で先行者のトレースを辿れたことで行きよりもずっと楽に感じました。その後はガスが出たり晴れたりの繰り返しの中、たまに顔を出す黒部五郎岳と薬師岳の絶景に励まされながらなんとか太郎平小屋に戻りました。 太郎平小屋では、以前荒川小屋に泊まった時にスタッフの方にお勧めされた念願の太郎ラーメンをいただきました。あっさり醤油味と行者ニンニクの風味のコンビネーションが最高で、速攻でスープまで完飲しました。食後は山頂でお会いした方にお勧めされた山小屋スタッフの方が書かれたエッセイの文庫本とバッジを買い、デポしたザックにトレランザックをまとめて太郎平小屋を後にしました。出発前には若いスタッフの方が笑顔で見送って下さり最後の下山へ向けて元気をもらえました。太郎平小屋からは熊スプレーを構えつつ、鈴を鳴らしつつ急ぎ足で下山し思っていたよりも余裕を持って登山口に辿り着けました。帰りは行きとは違う東谷ゲート~飛騨清見インター経由で自宅の愛知県へ帰りました。折立~東谷ゲート間で道路を熊が横切り、私の小さい車では襲われるのではとドキッとしましたがすぐに森に入ってくれて安心しました。 今回の山行では、距離や獲得標高や残雪状況以外に、同じ道でも視界や周りに人がいるかどうかで難易度が大きく変わることを痛感しました。黒部五郎岳への道中は時間の制約があったとはいえ、私一人で先行者がいなかったことで難易度を大きく上げてしまったことが反省でした。次回の山行に活かせればと思います。