初秋の雲の平
水晶岳・薬師岳・黒部五郎岳・鷲羽岳・三俣蓮華岳・湯俣
(富山, 岐阜)
2025.10.01(水)
4日間
8月に訪れる予定でした、念願の雲の平に行ってきました。「黒部の山賊」を読んで以来、あの時代の裏銀座の山々の世界感に浸れる事を楽しみにしていた企画でした。
1日目は、折立からのスタート。快晴の中の歩き出しでしたが、あっという間に雲が広がり、景色はガスの中。
本格的に雨が降り出しそうで、雨具着脱を何度も繰り返し。
ようやく五光岩のベンチあたりから晴れ間が覗き始め、紅葉がかつた山の端が見え始め、気分は少し高揚。
今日は雲の平までのアプローチルート、本番は明日からと言う事で、比較的平穏な地味目の登山になりました。
小屋での生ビールが、1,300円が1,000円に。本日一番の高揚体験だったかもしれません。
2日目からが本番。小屋を出ると遠くになだらかな山々に囲まれています。雲の平も見えるようですが、方角の異なる薬師岳以外は、山々の名称がよく分かりません。
風は無く気温は10度程度で、冬場の低山の雰囲気。
露に濡れた長めの木道を慎重に歩か始めると、直ぐに沢に向かって岩場を下ることに。
沢に下りると、暫く緩やかな快適な散歩道が続き、あっという間に薬師沢小屋に到着。
ここは雲の平への入り口の他、高天原温泉、奥の廊下からの上の廊下、赤木沢の沢登りの合流地点にもなっているそうです。
過去にはイワナが入れ食い状態であった話、カッパをモチーフにしたTシャツ、沢の合流点にある薬師沢小屋と間近に迫る沢の流れの音、少し山賊=またぎの世界を肌に感じます。
ここからが今回のルートの核心である、雲の平までの激坂が。
山を約600m直登に登る上、苔むした大き目の石がツルツル、ストレスに。
雲の平と言う天国の前に、地獄を味わうと言う人も。地獄の登りも何とかやり過ごし、雲の平に到着。
暫く歩くと噂のアラスカ庭園、奥日本庭園、アルプス庭園等に。通り過ぎても分からないぐらい地味で、やはり想像力に乏しいのでしょうか?なるほど感は残念ながらありません。
最後に祖母岳に立ち寄ったり、木道補修のヘリコプターの往来を見ながら、雲の平山荘に到着。
黒部五郎岳から、三俣蓮華岳、祖父岳、鷲羽岳、水晶岳、赤牛岳、薬師岳に囲まれてた全方向山々の景色はやはり山の奥深さを感じます。
特に岩ばった大屏風のような水晶岳の山容の際立った美しさには感銘、来年は是非ともと言う気持ちにさせられます。
3日目、朝6時過ぎに出発。
本日も風は無く、日差しはあるも、気温は5度程度で、少し肌寒い。
今朝から、昨日雲に隠れていた笠ヶ岳が、三俣蓮華岳の奥に見える。
昨日同様の木道歩きのスタートでしたが、かなりの霜が降りており、昨日の激坂より怖さを感じます。
更に、ぐらつきのある、俗称ビックリ木道が所々に点在、神経を使います。
歩き出しの景色は、進行方向正面に水晶岳が見え、昨日の新鮮な感動は薄れません。
暫く歩くと、薬師岳と赤牛岳の間に、立山連峰の山々が見えて来ます。
山の大きさと歩く速度以上に、山並みは想像以上に劇的に変わって行きます。
本日の初ピークは祖父岳で、なだらかな佇まいと異なり中々歩きごたえがあります。ピークでは、槍ヶ岳、奥穂高などの山々が初めて拝め、7月以来の邂逅、反対側からの景色に感動。
岩苔乗越までの下りは、梯子を含む岩稜帯の下りが続き、尾根筋を歩く登山者の人影が見えるワリモ岳や鷲羽岳が正面に見え出します。
岩苔乗越からは右に折れ、黒部川源流を左手に延々と下り、正面に聳え立つ三俣蓮華岳を目指します。
三俣蓮華岳は、岩稜帯を思わせる登りが頂上まで続き、距離は短いがこちらも中々の歯応え。
頂上での360度の景観は、雲の平、祖父岳とは異なる景色で、日差しを受けた硫黄尾根とのコントラストが美しい槍が更に鮮明に見え、ワリモ岳と鷲羽岳が間近に広がる感じ、素晴らしい眺めでした。黒部五郎岳方面は雲の中でしたが。
本日最後のピークは、ガスって視界不良の双六岳。
予備知識も無く、頂上とそこから続く天空の滑走路と最近呼ばれている広く長く平な道を歩く事に。
山頂付近でこのような地形は見た事も無く、確かに滑走路のようです。
その滑走路には、30〜50cmサイズの岩岩とその周りの黄色く色づいた名もない?草ぐさが等間隔で点在、群生しており、興味深い景色でした。
晴れた日は槍が正面に見渡せ、滑走路は更なるインパクトをもたらすようです、残念!
最終日は、昨夜から降り出した、小雨の中の出発。
工程のほとんどは下りで、景色もガスって全く見えず、天気予報も終日小雨で修行の1日に。
お昼のカレー、登山後の温泉とお酒と、欲といった人参を目の前にぶら下げ、何とか歩ききることが出来ました。
今シーズンの北アルプスはこれで打ち止め。
まだまだほんの一部の山々しか登攀できませんでしたが、来年の夏に向けて良い経験ができました。
合間をみては、「黒部の山賊」のページを再度めくり、地図を広げながら過去に浸り、気分を盛り上げて、来夏の北アルプスの縦走に臨みたいと思います。
尚、ザックは9.5kgでした。