27:42
23.5 km
2120 m
【「大天井岳」日本二百名山ピークハントクエスト〜四十七座目〜】
常念岳・大天井岳・燕岳 (長野)
2025.11.02(日) 3日間
昨日は有明山単独山行にしたため、今日明日の行程は燕〜大天井〜常念を1泊二日にリスケ。 が、予想以上の悪天候でまさかの事態に・・・。 【DAY1】 スタートは中房温泉から。 昨日に引き続き、もへじろうパイセンと山デート。 パイセン中房温泉宿泊で、登山口駐車場からスタートできるというファインプレイ。 超ぬるめ快適温泉・精進料理・個室隣深夜まで大宴会と中々楽しめたようで・・・。 さて、まず目指すは燕山荘。 合戦尾根をひたすら登っていくが、要所要所でベンチ+合戦小屋があるのでペース配分しやすい嬉しいコース。 寒波影響で登るにつれて気温はどんどん低くなっていく。 が、樹々の隙間から見える雪化粧の表銀座の景色や昨日登った有明山がエールを送ってくれ、息を切らしながらも順調に高度を稼ぐ。 合戦小屋で食べたおしるこはあったかくて適度に甘くて美味かったなあ。 合戦小屋は夏はスイカ、冬はおしるこマストだな。 合戦小屋から先は冬山の様相。 登りなのでつぼ足で進んだが、皆さんチェンスパ装備で慎重に登られていた。 今季初雪山でテンション爆上げで進み、燕山荘到着。 ザックデポして燕岳向かうも、みるみるガスが湧いてきて山頂ではホワイトキャンバス。 相性良いと思われた燕に裏切られてしまった・・・。 まあ前回絶景ハントできているので、これはこれでいと楽し。 2年半ほど前のレポ見返すと沢山あった標識がほとんどなくなっていた。 https://yamap.com/activities/25534326 北燕岳はこの曇天なのでキャンセル。 2年半前隠れ百名山に認定しているので晴れた日は北燕岳まで足を運ぶのがおすすめ。 待っていてもガス抜けそうにないので、燕山荘戻りランチ。 ボルシチと迷ったがここからの長丁場に備えてカツカレーを注文。 山で分厚いカツ食えるなんて食事のクオリティ高すぎる。 前回食べたビーフシチューも美味だったが、今はボルシチになっていた。 パイセンはボルシチ注文で大満足のよう。 腹満たし、大天井岳へ向かう。 西側稜線は中々の暴風。 アイゼンとバラクラバ装備し、雪山仕様に切り替え。 しばらく歩きやすい道が続くが、雪岩ミックスでアイゼンでは歩きづらいところも。 大下りノ頭から先はアイゼンでは更に引っ掛けて危険そうだったので、チェンスパに換装。 急下りだったので正解。 スピードアップも図れた。 一瞬ガスが抜けてこのまま晴れるかと思いきやすぐにホワイトキャンバスとなり、雪も徐々に降り始め、吹き付ける風が新雪を舞上げ容赦なく殴りつけてくる。 徐々にトレースもなくなり、先行するパイセンが必死にルーファイ。 本格雪山初なのに、素晴らしいチャレンジング。 切通の鎖場過ぎてからは更に難易度高くなる。 自分は以前の滑落よぎり、恐怖を抱えながら登ったおかげで精神的な疲労が大きかった。 この時すでに冬道行くのが正解だったと思われるが、初ルートでトレースもないので、なんとか夏道で大天荘まで登り返した。 命からがら大天荘まで辿りついた時は窓から宿泊客の皆さんが手を振って迎えてくれた。 この悪天候で登ってくる人がいると皆さんびっくりしたらしい。 やはり、経験者からしても相当な吹雪だったんだな。 小屋で受付を済ませて、部屋に移動。 カーテンとロールスクリーンで仕切られた2畳の畳部屋が今夜の寝床。 着替えて30分ほど仮眠し、17時からディナー。 メインを鯖の味噌煮とハンバーグから選べるが、迷わずハンバーグ。 肉肉しいハンバーグでこれまた山小屋とは思えないハイクオリティ。 9月から味噌汁の代わりに提供されている具沢山の芋煮が、個人的に大ヒット。 これを食べに毎年リピートしたいくらい。 燕山荘グループのサービスや食事の質は群を抜いて素晴らしいな。 ディナーの後は小屋締め前という事で、バータイム突入。 ランプの灯りでジャジーな雰囲気の中、ケーキや生ハム、野菜スティックなどが振る舞われ、3種類のコーヒーやワインやハーブティーなんかが飲み放題。 これがタダだし、手作りケーキのクオリティが素晴らしすぎる! チーズケーキなんかは過去食べた中で一番なくらい濃厚で、中毒性が高い。 やはり来年も行かねばな! 山小屋は本来8時頃には消灯となるが、小屋締めまでは食堂は消灯後も解放されており皆さま夜中まで楽しまれているようだった。 自分は今日一日疲れから21時には就寝。 窓を叩きつける風に、明日の山行に一抹の不安を抱きながらもいつの間にか夢の中へと落ちていった。 【DAY2】 目まぐるしく変わっていた3連休の天気予報。 昨日スタート間際で確認した限りでは、晴れマークが結構出ていた。 ところが朝起きて外を見ると空も地面も真っ白。 雪も舞っており、昨日より風も強い。 明日は仕事なのでなんとしても今日中に下山したい。 午後には天気回復する予定なので少し様子見。 下山準備をしている方は何人おり、小屋の方が途中まで先導してくれるという事で、自分達も下山する事に決めた。 先発隊に遅れる事10分。 猛吹雪の中歩き出したが、すでにトレースなくなっておりものの1分ほどで撤退。 戻ってどうしようか思案していると、何度もこちらに足を運ばれている大ベテランの方が準備をされていたので、便乗させていただく事にした。 準備が終わり、さあ意を決して出発! ・・・と思った矢先先発隊がみな引き返してきた。 何事か?!と思ったら小屋の責任者から下山禁止の宣言。 どうやらこの吹雪で雪崩が起きやすくなっており、実際雪崩に巻き込まれて数十メートル滑落した方がいたらしい。 幸い無事ではあったようだが、受付でチラリと見えてしまったが怪我をしてしまったみたいだ。 この時点で大天荘連泊決定。 ワンチャン午後の天気回復に期待もしていたが、99%今日中の下山は諦めていた。 となると、明日緊急で休みを取らなければならない。 楽天モバイルは電波繋がらないので、Wifi繋がらないか確認すると、有料Wifiがあり24時間600円。 迷わず課金し、休みの申請をする事ができた。 さあ、ここからは頭を切り替えて小屋でゆっくり過ごす。 食堂で他の登山客と山談義しながら過ごすが、全然時間が進まない。 12時近くになってきた頃に外はようやくガスが取れ始め、青空が見えてきた。 こうなれば大天井岳からの絶景が期待できる! という事で、撮影機材だけ持って山頂を目指す。 先行者のトレースできているものの足はズボズボ雪に埋もれ、ラッセルしながら登っていく。 10分ほどで登頂するも、ガッスガス。 おまけに強風叩きつけられて顔が痛い。 それでも寒さは耐えられるくらいだったので、しばらく待っていたらなんとガスが取れてきた! 風は強いままなのでガスが抜けたり晴れたりの繰り返しだったが、晴れた時のダイヤモンドダストが美しく、槍・穂高とのコラボが絶景過ぎて感動的な情景だった。 昨日の時点ではリベンジ案件かと思われたが、停滞する事で絶景ハントもでき、四十七座目の日本二百名山ピークハントに成功! しかも貸切状態という特典付き。 大満足の登頂となった。 大天荘下山後はお昼用のお弁当を食べてしばし仮眠。 1時間ほど寝れただろうか。 17時からディナーなので食堂へ移動。 今季営業最終日という事でメインディッシュはハンバーグ、とんかつ、鯖の味噌煮、鱈のレモンソテーの4種類から選択できたので、鱈のレモンソテーをチョイス。 さっぱりとした味付けで、今日は山頂へのピストンだけの運動量だったので、鱈のレモンソテーにして正解だった。 ほんと、一品一品のクオリティが高すぎる。 ディナー後は今日もバータイム。 昨日は疲れからお酒を一滴も飲む気になれなかったが、今日は荷揚げしてきたビールとサワーを楽しみつつ、今朝仲良くなったご夫婦と楽しくおしゃべりタイム。 今日も早く寝るつもりだったが、話が弾み気づけば22時。 ひと足先に床につかせてもらったが、今日も遅くまで皆さま楽しく盛り上がっていたようだ。 就寝前に外に出たが、満月の灯りでくっきり見える槍・穂高とオリオン座のコラボが神秘的だった。 【DAY3】 今日こそは下山しないとさすがに仕事に支障をきたすので、起床後ドキドキしながら外を覗くとまだ薄暗いものの、東の空がオレンジ色に染まり、雲ひとつない空が広がっている。 風もなく、思わず素足にサンダルで外に飛び出してしまった。 夢中で写真と動画を撮り、足が感覚無くなりかけてきたので急いで小屋に戻り暖をとる。 その後は、槍・穂高モルゲンを望むため、再度外へ。 今度はしっかり登山靴で。 猛吹雪の後だからこそ見れるピンクに染まった槍・穂高連峰。 冬の澄んだ空気と雲ひとつない青空がコラボし、過去一番の息を呑む景色。 ああ、これがあるから山はやめられないんだよな。 今年は山での感動がレベチ過ぎる。 モルゲンに夢中になり過ぎて、日の出の瞬間を逃してしまったものの、見事な雲海と太陽を拝め、360°どこを切り取っても絵になる光景。 幸せ過ぎるかよ! 大絶景堪能した後は、下山準備。 今日の行程は、小屋の方が先導して下さり、宿泊者全員で隊列を組んで下山。 燕山荘方面は滑落と雪崩の危険があるため、難易度的には低くなる一ノ沢方面へ下山する事となった。 元々予定していた方面ではあったので、常念への稜線歩けるのは楽しみ。 ただ、恐らく東天井岳や横通岳は巻いて行くと思われるので、百高山でもあり隠れ百名山候補でもあるこの二座はいずれリベンジとなるだろう。 全員で集合写真を撮らせてもらい、小屋スタッフに見送られながらいざ出発! 雪化粧の北アルプスを眺めながらの稜線ウォークは、風もなく気持ちがいい。 当然シャッターを切る手が止まらず、足が進まない。 小屋の方が数名交代でラッセルしながら進んでいるので後続である自分達は苦もなく進めている。 遠目で見ていて、腰まで埋まるところもあり本当に感謝しかない。 常念乗越までは、ほぼずっと槍に見守られながら進める稜線で、雪化粧した富士山もくっきり見える。 今日この日しか味わえない体験と絶景は、一生忘れられない経験だな。 常念乗越までたどり着くと、みんなで讃えあいそれぞれのグループで下山。 自分達は仲良くなったご夫婦とフォーマンセルで下山開始。 一ノ沢コースは、山頂直下が急下りで雪がついている事もあり、少し注意が必要だが、標高下げて行くうちに徐々に傾斜は緩くなっていく。 沢沿いを高巻きに下っていくが、滑落危険はあるものの中々楽しいルート。 ただ、傾斜が緩い分、標高落とすのに距離があるので中々長く感じる。 登山口まで辿り着き、車道をしばらく歩くと崩落地点。 崩落したのは一年半ほど前らしく、未だに復旧の目処が立っていないらしい。 崩落地点過ぎて少し歩くとタクシーのお出迎え。 実はこのタクシーは一緒に下っていた宿泊者の一人が人数確認して手配してくれていたタクシー。 大人数で目的地もバラバラな中、取りまとめ下さりありがとうございました! タクシー乗車し、約1時間運転手さんのガイドを聞きながら中房温泉到着し、3日ぶりに愛車と対面。 しゃくなげの湯で3日間の汗と汚れを落とし、ラーメン通でもあるパイセンチョイスのラーメン屋でエネルギー補給し帰路についた。 目まぐるしく変わる景色に翻弄され、まさかの大天荘停滞からの大絶景。 そして集団下山という結果として大満足なドラマチック山行となった。 一方、反省点も多く、雪山装備で望んだものの、北アルプスでの11月は厳冬期突入寸前という事を意識しておかなければならなかった。 2年前の同時期に槍を登った事で、少し冬の北アルプスを軽視していたかもしれない。 今回も人の助けがあり山にギリギリのところで生かされているのだと感じた。 この3日間の経験値をしっかりと活かして、今後の山行へと繋げていきたい。 もへじろうパイセン、過酷な北アルプス縦走にお付き合いいただきありがとうございました! そして、大天荘のスタッフの皆さま、温かいおもてなしに心より感謝します。 来年以降必ずリピートさせていただきます!