05:33
8.4 km
826 m
地蔵の頭・小遠見山・中遠見山・大遠見山
鹿島槍ヶ岳・五竜岳(五龍岳)・唐松岳 (長野, 富山)
2025.10.19(日) 日帰り
ここ最近、土日の天気が優れなくて、しかも変わりやすく・・・どこに行こうか前日まで迷った挙句に、五竜岳に向かうテレキャビンがグリーンシーズン最終日ということで、ここに決定。 今日のお供はアンパンマンです。話すと長いのですが、聞いてもらいましょう。出発前夜、坊さんから電話があって「明日、お母さんの命日で、お参りに・・・」という話をされ、「毎月第4日曜でお願いします。」という話になり・・・昔で言うところの1回忌も済んでいないのに、こうして山歩きに興じているバカ息子なのです。という前置きがあり、なぜかその日の晩の夢が、母の在りし日の回想で、目が覚めると午前2時。出発にはまだ早く、とは言うものの、なぜか母の葬式のことが思い出され、目覚めてから寝つきの悪い1時間を過ごすことに・・・ということで今日のお供をアンパンマンに決めました。ちなみに、こいつは病床の母の枕元にいつもお供していた元気の源でした。 そんなこんなで、5時半のアラームに起こされて、支度して車に乗り込みます。当然のごとく準備は前日に済ませてあります。ここ最近、山行きに忘れ物がなくなったのは、チェックリストのおかげです。それまで、帽子を忘れて熱中症気味になったり、ファストエイドを忘れて足攣りで大変な目にあったり、箸を忘れてカップ麺を枝で食べたりと、結構な頻度であれが無いこれが無いを繰り返していました。ここ最近はそれがなくなり、安心して山歩できています。とは言うものの、今回はモバイルバッテリーを忘れてきてしまいました。電源バックアップなしの山行きです。 糸魚川で高速を降りて、南に向かいます。この下道は、ここ最近よく使いました。雨飾とか白馬とか栂池とか八方とか。この道は南と北を結ぶ大切なルートですな。いつもの小谷道の駅で用を足して、カーナビを登山口にセットして再出発です。八方尾根よりも南側に位置しますが、ゴンドラ乗り場が国道から近いので、距離的/時間的に八方のゴンドラ乗り場と変わらない感じがします。白馬の駅を通過するともうすぐ到着です。途中、大糸線の線路を渡るのですが、珍しいことに踏切に引っかかりました。電車が通過します。電車の側面にJRの文字を見つけて、改めて「そーなんだー」と思ったくらいにして。 テレキャビンの発着口に近い場所に駐車できました。最終日で紅葉のベストシーズンなので、混雑を覚悟していましたが、大したことなくてホッとしました。とはいっても、五竜岳に通じるルートなので、結構な人が登ろうとしています?んみんな荷物が大きいぞ?縦走組か?それにしてもみんなの荷物が大きくて見慣れないリュックだぞ?場違いなところに来てしまったか?もうすぐゴンドラが始発の時間だというのに、並ぶ様子がない。変だぞと思いなが準備します。車から出ると、思ったよりも冷んやりしました。ということで今日のウエアは上が長袖ドライTに半袖ドライTの上にレインウエアを着込みます。下はデニムのクライミングパンツ。昨日の雨で道がぬかるんでいる可能性を考えて初めからゲイターを装着。岩場とかなさそうなルートなので、靴はHOKAを選択しました。 ゴンドラ乗り場に向かうと人がまばらで・・・受付のお姉さんに話を聞くと「パラグライダーの大会があるんですよ」とのこと。とはいうのものの、この曇り空ではテイクオフできないでしょうねえ。ということで待機していたのでした。天気が良くないのは、山行きの僕らも同じことで、ゴンドラ到着のアルプス平は、アルプスのアの字も見えず霧中です。山行きに夢中なのはいいですが、霧中です。残念。 靴の紐を締め直して、ゲイターを装着して、雨が当たっているのでレインウエアを着込んで歩き出します。高山植物園を登っていく感じです。この季節ですから花に恵まれているわけもなく、植物園はスルーの方向で。一箇所だけ「クランベリー食べられます」の案内板が目に入り、近くを探してみることに。食い尽くされた感じがありましたが、上に登って行ったところに何粒か残っていました。恐る恐る食してみましたが、ベリーというよりはりんごに近い感じがしました。もしかして別のもの食べた?まあ、何時間後に中毒なしで無事下山していれば良しなので、歩き続けます。高山植物園の最上部を過ぎたころ、自然遊歩道の看板が目に入ります。案内表示に従って、まずは地蔵の頭を目指します。というか、あっという間でした。何か謂れがあるのでしょうけれど、それっぽい説明がなく、家に帰ってからの宿題とします。相変わらずシトシト雨が降り続いています。正直なところ、天気の悪さと運の悪さに、心が折れそうで、遊歩道を周回して帰ろうかと、私の中の悪魔が囁くのでした。リフト代も結構かかったし、ここまで来たし、撤退するほど悪天候ではないし、地震の経験値を上げるということで続行することにします。 熊避け?の鐘ならぬ、鉄板がありましたが、描かれているキャラが可愛過ぎて、正直なところ叩くのを躊躇します。が、身の安全のためと思い、ごめんねと言いながら響かせました。この後、数カ所にわたってこの鉄板があったのですが、結構音が響いていて、登山中に何組かが登ってきていることが確認できて安心材料になったりして。 しばらくは無心で登り続けます。整備状況が行き届いているために危険を感じるところは一切ありません。初心者にも優しいコースだと思います。すっかりと秋です。ナナカマドの赤い実が、やたらと目立ちます。紅葉というよりは黄葉といったところでしょうか。途中、見晴らし台っぽい箇所があり、休憩を取りました。もちろんガスガスで眺望はなく、見晴らし台っぽいところにポツンと座ってプロテインバーを齧ります。このプロテインバーはコンビニで100円引きになっていたものを食べるのを忘れていたものです。このバーの効果なのかわかりませんが、空腹が満たされて、今日の昼飯はおにぎり1個とカップ麺で済みました。日が差してきた?天気が回復しそう?ということでここで、レインウエアをしまいます。半分、願掛けですけど。 この願掛けが効いたのだと思います。謎の三角点にタッチした頃、右手の木々の間から雲が切れて遠くの景色が見えてきました。アルプスの山々が姿を現し始めたではありませんが!心の声が口から漏れて「すげー」と言わせる始末。ニノ背髪あたりまで来ると、左手側の景色がバーンといった感じです。およそ200メートルを超えたあたりから上空で低い雲を抜けることができました。この時間ですが、雲海です。この先、尾根道で左右が見渡せるのですが、とにかく「わー」とか「すげー」とか心の声がダダ漏れです。ペースを見てもわかるのですが足早になっています。 あっという間に小遠見山まで到着です。360度の眺望です。雲海で下界は見られないのですが、かえってそれがいい感じです。2000メートル級の山々だけが顔を出している状態で、山々が分かりやすかったです。妙高と火打と焼山と雨飾(きっと)が確認できると安心します。北アルプスの山々がバーンと迫ってくる感じがします。この景色を見ると縦走したくなるのも分かります。この夏訪れた八方尾根もはっきり見えてます。ここから見ると唐松岳はあっち側になっていて見られない・・・。小遠見山の山頂では、きっと親子連れの方とコミュできる。安曇野方面から来られたようで、北アルプスの山々に明るい方でした。大先輩はここから引き返すそうですが、息子さん(とは言いつつお兄さんといった感じ)はこの先の大遠見までチャレンジするそうで。この波に乗って、私も大遠見までチャレンジすることに。その前に柿ピーで小腹を満たします。アンパンマンショットを撮って、荷物をまとめて、出発です。 小遠見を下ってすぐに「この先は登山の装備が必要です」看板があり、「おー来たか」としみじみ思うのでした。これまでの登山初心者コースとはちょっと違っていて、足の置き場に気を使ったり、一歩で行くか細かく刻むか迷ったり、切れ落ちた崖の下方に気を使ったり、登山レベルが上がったのがよく分かります。なんて偉そうなことを言っていますが、まだまだ3年目の初心者マークを外したてですけど。 中遠見まではあっという間です。五竜岳がぐっと近くなりました。この中遠見山にはケルンがあります。道標にもなるケルンですが、ここのケルンは遭難者の鎮魂の意味もあります。この先の山行きを見守ってくださいと自然と手を合わせたくなります。大遠見までは結構なアップダウンでした。山登りを始めた頃、登り返しが嫌いで「山頂に行くのに、どうして降るんだよー」と文句たらたらでしたが、今なら分かります、次の頂を目指すためのステップなのだと。人生と一緒ですね、なんて分かりきったようなことを言ってみたりして。 大遠見山の山頂の手前で振り返ると、中遠見と小遠見が雲の上にぽっかりと浮かんでいました。雲海とはよく言ったもので、こうして山頂が島のように見えてきます。幻想的なという抽象的な言い方しかできないのが悔しいくらいの素敵な景色です。大遠見の山頂は北側の景色が開けてはいないものの、正面に五竜岳が迫ってきていて南側に鹿島槍とか爺とか(多分)が迫ってきています。山頂脇に小さな池があり、池を囲む草木の紅葉が始まってきていて、池に生え美しさマシマシです。先行していたお兄さんと一緒になりました。ここまで来て、足の疲れに気がつき、座って休憩を取ることにします。水分補給のみ、足のストレッチをして、折り返します。先行していたお兄さんは、まだ休憩中でしたので「お先です。」と声をかけ出発です。 小遠見から大遠見まで、ざっと45分。多少の高低差があるものの、同じくらいの時間を見込んで小遠見を目指します。結果的には復路の方が時間短縮できたのですが、気分的には帰りの方が時間がかかったように思います。「この先は・・・」看板まで戻ってきた時に、やっと昼飯だーとホッとしました。 小遠見まで戻ってきて、テラスで昼食にします。バーナーやコッヘルを準備してお湯を沸かし始め、同じく居合わせたペアの方に声をかけました。いつもの「写真撮りましょうか?」攻撃です。本当に素敵な景色だったので、喜んでもらえたんじゃないかと思います。お返しに私も撮ってもらいました。アンパンマンと一緒のショットを勧められ、その気になって撮ってもらいました。そんなやりとりをしていると、もう1組上がってきました。ゴンドラを降りたところで同時出発した大先輩のパーティーです。「お疲れ様です。」と声をかけるには偉そうだし、「ナイスファイトです。」と言うのもカッコつけすぎているような気がするし。と思っていると、向こうから声をかけていただき、ちょっと和みました。「大遠見まで往復してきたんです。」と話をすると、すごいですねと褒められ、ちょっと鼻高々です。「向こうの山わかるかね?」と聞かれて、おおよそですが、妙高とか火打とか高妻とかを示しました。遠くて分かりづらかったのですが、四阿とか浅間も見えていたので、話題にしました。ついでごとのように私は妙高の近くから来たんですと自己紹介もしたくらいにして。おにぎりとカップ麺を食べ始めた頃に、2組が下山し始め、しばらく小遠見を独り占めです。素敵な時間でしたが、今までの賑わいがなくなり寂しくなってしまいました。ということで私も後に続いて下山します。そうそう、妙高といえば跳ね馬、五竜といえば武田菱ですよね。なんとなくですが、どこの部分を言っているのか分かりました。季節を問わず見られるのが素敵ですね。 山去り難しの気分ですが、山頂を後にします。あの雲海の中へまた帰っていきます。途中、先行していた2組を抜きました。競争ではないのですが、段差のある濡れた木道階段で、「お先に。」と軽快に先行させていただきました。「軽快だねえ。」と声をかけていただけるほどのステップだったでしょうか?素敵な景色を観たせいでしょうか、足も軽やかに下ってこられました。残念ながら、霧の中の下山でしたが、 上りよりも半分の時間で降ってこられたような気がしています。あっという間でした。 高山植物園の周辺も、行きと変わらずの霧の中。観光できていた家族とすれ違ったのですが、せっかくの観光なのに残念だったろうと心中お察し申し上げます。1時間くらい登ると・・・と教えてあげたいけど、小さい子を連れては無理ですよね。アルプス平駅着が14時ですが、そそくさとテレキャビンに乗り込み、今日の山行きに区切りをつけます。今日も素敵な時間をいただき、ごちそうさまでした。 ご褒美は、小谷道の駅で温泉。からのノンアルビール、座敷にて30分の昼寝。ここで腹を満たすと、帰りの運転に支障をきたしそうなので、ちょい腹へりで帰ることにします。明日の筋肉痛が怖いです。