活動データ
タイム
12:21
距離
26.7km
のぼり
2067m
くだり
2067m
活動詳細
すべて見る昨年11月下旬に中倉山~オロ山に縦走をしてから、このルートで登ることを思い描いていました。 思い描いていたのは、足尾の銀山平を起点として庚申山~オロ山~沢入山~中倉山を縦走して再び銀山平に戻ってくるルート。 以前、足尾出身の山歩きの好きな方に伺ったところ、日帰りだとなかなか厳しいルートだと言われました。 また、庚申山~オロ山の間のルートは不明瞭かつ熊の目撃情報もあります。 でも、どうしても行きたい…昨夜は早く寝ようと思っていたのですが、ワクワク感と不安感が交互に押し寄せ、ほぼ眠れませんでした。 おかげで、今朝の体調は今一つ。 更に先々週の日光澤温泉往復で痛めた右腰がまだ痛む。 でも、体に負担を掛けずにゆっくりと登って行けば大丈夫、精神力で腰痛も治ると判断しました。←本当に治りますか? 私にとって庚申山は未踏の山でした。 庚申山荘までは4半世紀以上前に訪れたことがあるのですが、その先の道が分からずに山頂を前に引き返しました。 しかし、今は21世紀…GPSという武器を手に取り、しかも20代のときよりも体力もアップしているはず。←今は50代なのにね 中秋の名月が西に沈むころ、薄暗い銀山平の駐車場からスタート。 暫くは林道歩きとなります。 ところが、やはり右腰は痛む、特に左右に体移動すると踏ん張りが利かない、何とか最後まで持ってくれればいいのだが… 一の鳥居に到着すると、林道はここで終って沢沿いの登山道となる。 樹林帯の中の登山道はかつての庚申参りの面影が残り、これを九十九折りに登っていく。 何となく自分の心の中を彷徨っている感じ。 度重なる試練と葛藤、何度振り返っても何度乗り越えても先が見えない、いつもどこかを彷徨っている。 自分がこうして歩いている道が、本当は自分の心の中なのではないかという錯覚を覚える。 すると、やがて以前にも来たことのある庚申山荘に到着。 ここからが、いよいよ本番である。 気合を入れ直して岩場を登る。 しかし、足がつり始め、大きくペースダウン。 目の前の岩を一つ一つ乗り越えては振り返る。 次第にコメツガ林の緩やかな斜面となり、未踏の山頂に辿り着く。 庚申山からオロ山へは、ほぼバリルート。 GPSを頼りにオロ山へ向かうも、方向が定まらず右往左往。 ザックからコンパスを取り出し、地図とにらめっこ。 北東60度と狙いを定めて歩き出すと、スマホの軌跡はオロ山方面と見事に一致。 こういうときは、ハイテクよりもローテクの方が使い勝手が良いのです。 まさしく心のコンパス、自分の感性を信じて進みましょう。 オロ山へは獣道の様な踏み跡を辿るも、道は途切れ途切れ。 背丈ほどの笹薮もあり、道を踏み外さない様に注意が必要。 何度も熊避けの笛を吹きながら用心深く進みます。 樹林帯と笹原の道を繰り返しながらも、途中で振り返ると皇海山の雄姿。 こんなに近くで見たのは初めて、何とカッコいい山なんでしょう! 最後の樹林帯の急斜面を登って行くと、昨年来たことがあるオロ山の頂に到着。 天気は下降気味で展望は今一つでしたが、ここまで来れたことで一安心。 ここからは沢入山、中倉山へと縦走するのですが、経験のある道なので問題はないはず。 後は、この右腰が持ってくれるのを祈るだけ。 とは言っても、オロ山からの下山には注意が必要で、ルートを間違えると急勾配の斜面を下る羽目になります。 また、熊の出没もこの辺りで目撃されています。 オロ山を下って鞍部に出ると、ここは熊も私も大好きな笹原の美しい草原。 緑の斜面にポツンと巨石が佇むこの世界は、まるで風の谷。 青きTシャツを着た我輩は、熊笛を吹きながら舞い降りる。 本当はここで昼食をとりたかったのですが、オロ山を振り返ると山頂にはガスが出始めている。 ガスが掛かる前に、出来るだけ先に進むことにしました。 沢入山のワイルドな稜線歩きを楽しみながら、やがて中倉山の孤高のブナと再会を果たす。 孤高のブナとは8月に会ったばかりですが、何度会っても感動します。 今回は苦難も多かったので余計にそう感じるのでしょう。 色づき始めた孤高のブナを前に久しぶりの長めの昼食、すっかり悦に入ってしまいました。 でも、ここからの道も結構長いのですよ。 中倉山を下山した後、遠方に見える備前楯山の麓を通って帰らないといけません。 しかも、300mほどの標高差を登るのです。 右腰よ、持ってくれ! でも、何かもう一つで右腰が上手く嵌って治る様な予感…骨ではなく筋を伸ばしてしまったので、嵌るというのは少し違和感がありますが、何となくそんな感じ。 中倉山を下山して銅親水公園の脇を通過すると、かつて賑わいを見せたであろう銅山の面影。 足尾の辿ってきた歴史の道を歩きながら、関東ふれあいのみち「赤胴のみち」に入る。 ここからが、標高差300mを登る道となります。 良くなると期待していた右腰も、予想が外れて今まで以上に痛くて辛い。 何度も立ち止まりそうになりましたが、ここであきらめる訳にはいかないのです。 このルートは自分で選んだ道、自分を知るための道なのです。 意外にもコースタイムを上回る速さで舟石峠に到着。 後は下るのみです。 ここまで来ればもう大丈夫。 しかし、下りの方がもっと辛かった…一歩一歩が腰に来る。 それでも何とか日暮れ前ギリギリに銀山平に到着。 見上げた空の夕焼けが美しかったこと、それはとても感動的でした。 初めは不安感でいっぱいでしたが、この登山を終えた今は安堵感と充実感で心が満たされています。 どんなに道を彷徨っても自分を信じて進めば、たとえ挫折があってもやり直せるし、良いことも待っている。 迷わず行けよ、行けばわかるさ! 《後日談》 この登山より2日が経過しましたが、なかなか治らなかった右腰も不思議と今は痛みがありません。 これが精神力によるものかどうかはわかりませんが、中倉山で予感していたことは的中した模様です。 でも、くれぐれも良い子は真似しないでください。 痛いときには安静にするのが鉄則です。←何か説得力に欠けますが… 《追記》 今回も活動日記の写真枚数が多くなってしまいました。 活動写真のキャプションにはプチ情報が入っているものもありますので、興味のある方は見てください。
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