芽室岳・久山岳・剣山(北海道)
2026.08.15 (土)日帰り
道東道を西に向けて走り、狩勝トンネルを抜けたとたん、フロントガラスに雨が打ちつけた。
さっきまで周囲の山頂が雲に覆われていただけなのに。
さまざまな予報では、晴れか曇り。想定外の天候だ。
荷物重量 17.5kg
消費水分1600ml
気温天気 午前9時22.9°c正午26.1°c
芽室岳登山口はGoogleマップのルートと違っていたが、現場の標識に従い工事用の林道の突き当たりにある。
土曜日の今日は工事は休み。登山口には商用バン1台が停車していた。入山帳をみると登山客が6時台に1人。
肝心の天気だが、山頂は当然見えず、いまにも雨が降りだしそうだ。
ここまできて引き返すという選択肢はない。
レインウェアを着ようか迷ったが、湿度が高いので様子を見ることにした。
案の定、日高特有の笹被りだ。
朝露をたくさん蓄えた笹が両側から覆い被さり、すぐに服が濡れる。
露なのか汗なのか、体が濡れてくる。
ポールで笹の露を払い、手を前に出して笹が体に触れるのをガードする。
そんな歩き方でなんとかズボンや登山靴が濡れないように登る。
だが途中で森を叩く雨音が大きくなってきた。
たまらずレインウェア上下を着込む。
再スタートするが、どうも体が思うように動かない。
ここまで重いザックを背負っての登山は今期初。
羊蹄山と石狩岳で足を作れたと思っていたが、3週間のブランクはいとも簡単にリセットされていたことにようやく気がつく。
そして体を蒸すような高い湿度とレインウェア。
ふとももの痙攣がはじまる。
すると男性が下りてきた。おそらく先行者だろう。
「はじめて人と会いました。山頂は気持ちいいですよ。濡れたものを干すことができました」
僕より年配のようだが、活力ある雰囲気で頼もしい。
バテ気味だったが芽室岳までは順当に到着した。
あいにく雲が辺りに立ち込めるが、幌尻岳の山頂を拝むことができた。
往路では見落としたパンケヌーシ岳への分岐看板に到着。
少しだけ迷ったが、せっかくなので足を伸ばすことに。
パンケヌーシまでの行程は、芽室岳のそれとまったく異なる。
ハイマツのトンネル、足を阻む倒木、消えかけたルート、倒れた笹で滑りそうな斜面、その笹を掴まないと登れないような急斜面、クマのフン。
特に倒れた笹のうえをトラバースする箇所では、すべりそうな足を踏ん張り、そして幾度も転んだ。
17キロのザックを背負っているため、立ち上がるたびに体力が消耗していく。
日高山脈の入門編のようなレベルなのに、このハードさ。
といっても日高の山は幌尻岳しか経験がない。
だから今年の夏は日高の山をたくさん登るのが目標だった。
暑くなる前の7月がベストだったが、最近はエゾ梅雨で天候不順な日が多い。日高は少しの雨でも沢が増水するため、8月に照準を絞った。水を持って上るため、水場の心配もない。
そのために6、7月にいくつかの山を日帰りで楽しみ、8月13日から夏休みで日高の山を満喫!
の計画だった…
6、7月は週末になるたびに日高は雨模様、なおかつ仕事が急に入るなど、まったく登れず。
8月13日からの夏休みも、最初の2日間は急きょ入ったプロジェクトの対応に迫られ仕事。
想定外。
そう思えば少しは気が休まるが、結局のところ、なんだか理由をつけてやらなかっただけではないのか。
「お前はまだ準備が足りていない」
そう山に言われた気がした。
己の未熟が現れたのは下山だった。
雨は降っておらず、笹の露もさすがに落ちているだろう。多少濡れても1時間半もあるけば下山だ。
そう考えてたいした濡れ対策もせずに下りていると、全身ぐしょ濡れになった。登山靴の中は水でチャプチャプし、足の裏の皮膚がふやけてきているのがわかる。
ゴアテックスの靴の中が濡れると容易に乾かず、足がダメージを受けることは経験済みだったのに、レインウェアやゲイターをするのが億劫で手を抜いたのが原因だ。
もし万が一トラブルがあり、ビバーグするはめになったら、明日も乾かないだろう。
登山はちょっとした判断ミスが命取りになる。
甘い見込みや思い込みがリスクを高める。
登山口に到着したときにはほとほと疲れ果ててしまった。ザックも服も濡れて不快指数がマックスとなり、すべての気力が失せた。
翌日にコイカクシュサツナイ岳を日帰りする予定だったが、諦めた。
体力も気力も装備も整わない。
これが今回学んだ想定内だった。