命の炎を燃やせ-26 純白の三ノ沢岳
木曽駒ヶ岳・空木岳・越百山
(長野)
2026年03月29日(日)
日帰り
命の炎を燃やせ-26 純白の三ノ沢岳
冬季に木曽駒ヶ岳や宝剣岳に登ると間近に見える真っ白で美しいナイフリッジの三ノ沢岳。登りたいけど登れるかと、躊躇していたが、色んな情報から登れると判断し、積雪情報やお天気を吟味して登山を決行した。
自宅を20時頃に出て、23時に到着。明日は日曜日で臨時便が出るだろうから、その始発に乗れるように乗車口の近くに駐車。ベンチを見ると早くも1つのバッグが置かれていた。駐車している車両は多くないのでまだ、早すぎるだろうと思い、アイゼンを登山靴に合わせて調整してから就寝。2時半に起きてベンチを見たら、荷物が増えていたので、私もバッグを置いてポジションキープ。翌朝になっても、まだ、多くはなかったが、7時を過ぎるとバス待ちの人が増えてきた。チケット売り場は7時半に開いたが、ネットで事前に購入しておいた。当日キャンセルもできるので、この方が良いね。
7時50分に臨時の始発便がやって来た。補助席まで満杯になり、後ろの方たちは次の便となった。ロープウエイ駅も臨時の始発となった。さすが日曜日。人は多いが臨時便で早く登れるのはありがたい。定員50名ぎっしり乗り込んでロープウエイが出発。ロープウエイは片方だけキャビンを使用していた。
9時前に千畳敷に到着。いきなりの2612mは真っ白な雪が一面の別世界。サングラスにバラクラバを被り、アイゼンを装着、ピッケルと1本のストックにして、細引きで繋いで出発。すでに、極楽平へ数名、登っている。すでに先頭は中間地点まで登っている。速いなあ。遅れをとってしまったと思いながら登り出すと3名ほど降りてきた。足慣らしだったのか景色を撮影するためだったのかな。
中央の岩が出ている部分を右に回り込んであとは左上に登っていく。ジグザグせずに直登していくので、ふくらはぎが疲れる。呼吸もきついので、立ち止まっては息を整え、足を緩めてリラックスさせる。標高差は200m超か。案外短い時間で極楽平に到着。三ノ沢岳が正面に見える。これから歩くリッジを眺めるとなかなかの切れ落ちた稜線。白く美しい。でも、ナイフほどではないが切れ落ちており、美しさの中に魔物がいるかもしれない。落ちたという話は聞いたことはないが、注意せねば。
ここで一服されている方と話して、三ノ沢岳に向かう。夏と違って、雪面をトラバースしながら緩やかに高度を下げていく。滑り落ちたら停止できるのだろうか?と思われる斜面は雪は少しモナカ状ではあるが、安定しており、上部からの雪崩の心配もなさそうであった。トラバースのトレースは2通りあったが、高い方を選択した。三ノ沢岳へ続く尾根に合流したら下降開始。これから通過する美しいリッジを見ながらの下降は楽しいが帰りはきつそうだ。小さなアップダウンを繰り返すが、おおきく2つの鞍部がある。鞍部への下降は急で、すでに太陽が照っており、雪の斜面は少し緩んでいるところもある。一歩一歩確実に踏んで降りる。一部はステップ状になっていた。レポを拝見すると昨日はノートレースだったようだが、トレースはしっかりしており、今日も数名先行されているのが見えているので、その点では問題ない。雪庇はほとんどなく、尾根の右斜面から左斜面、右斜面へと移りながら通過していく。極楽平付近の風は止んでいて、細尾根は安定して歩けるが登りになると蒸し暑く、汗が目に沁みる。
左右の斜面は、穂高のジャンダルムへの馬の背と比べるほどではないが、それでも起伏のない白い急斜面はどこまでも止まらないだろう。適度に集中して怖さはないが、慣れないと緊張するかもしれない。真っ白な尾根に1本のトレースがたまらなく美しい。最高だ。2つ目の鞍部が最低鞍部だろうか、2650mくらいだ。振り返ると帰りの登り返しが大変そうだ。目指す三ノ沢岳山頂は言えているピークのさらに奥であることはわかっているがとりあえず、見えるピークを目指す。早くもソロの方が降りてこられて「速いですね」って声をかけた。次にガイドさんの3名のパーティが降りてこられ、尾根で先に行かせてもらった。アンザイレンしてしっかり確保されているところを見ると、千畳敷ホテルから早朝に出発なのかもしれない。そのあと、見覚えのあるケルンを通過して急斜面の直登になると、ソロの方がまた降りてこられた。この急斜面の下降は雪が緩むと嫌だなあと思って振り返るとやや体を右向きにしながら下降されていった。
急斜面を登りきると、その向こうに新たなピーク。そこまでトレースが続いている。多分山頂だろう。緩やかな起伏を降り、登り返すと岩が少しだけ露出したピークとなった。これ以上高いところはないので山頂ではあるが三角点も何も見つからなかった。先行者が雪面に「三ノ沢岳」と書いてくれていたので、写真に収めた。三ノ沢岳は主稜線から外れているので、北は木曽前岳、木曽駒ケ岳、中岳、宝剣岳、島田娘、濁沢大峰、檜尾岳、熊沢岳、空木岳、南駒が岳、さらに奥は越百山であろうか、遠くはやや霞がかかっているがそれでも、白く冷たそうな岩肌は威厳がある。
エネルギー補給して絶景を楽しんでいると、極楽平で会ったソロの方、男女のパーティが到着した。帰りの最終のロープウエイは15時55分で、それまで1時間ごとの運航ではあるが、今日は臨時便が出るだろう。最終便までは余裕があるが、雪のゆるみが気になるので、そろそろ帰ろう。ストックを仕舞い、ピッケルのみにして雪のゆるみに気を付けながら最低鞍部まで先行したが、そのあと、登りに備えてストックを再び取り出したので、あとから山頂に来られた方々に先を譲った。まだまだ細尾根もあり、トレースにある雪が緩んで崩れるが、急がないで慎重に歩けば問題ない。
登り返しはきつく、もう帰るだけなので気力も多少落ちて何度も立ち止まる。先行される二人がトラバースに入られるのを確認し、私も同じルートでトラバースした。かなり気温は上がっているかと思ったが、雪面は安定していた。ただ、極楽平付近に到達すると稜線の西から吹き付ける風は冷たく、うっかりすると手が冷えてくる。防寒テムレスを装着して備えた。
13時55分のロープウエイまで時間があるので、島田娘に立ち寄った。ここは中央アルプス南部の絶好の展望地であった。千畳敷までの下降はなかなかの斜度であった。トレース以外の雪面は輝いており、滑ったら止まらないかもしれない。また、ロープウエイ駅あたりにたくさんの人が見えるが滑ったら笑い者になるか、叱られそうだ。スピードを抑えて慎重に下った。アイゼンなど仕舞うのに手間取ったが急いで、乗車口に向かうと結構並んでおられて、あと数名というところで定員になり、55分には乗れなかった。でも20分後には、臨時便が出たので、それで下山できた。
バスも臨時便が出ており、待ち時間なしで菅の台に戻ってこられた。さあ、明治亭でソースかつ丼と思っていったが、登山口店は15時で閉店だったので本店に向かった。こちらでは、数10分待ったが、下山途中から頭に何度も浮かんだソースかつ丼そばセットを食べることができた。ボリューム満点でおなか一杯になって帰路に就いた。
汗が目に沁みたためか、花粉症なのか、目がシバシバするので高速のSAで目薬を差しながら帰宅した。日曜夕方だけど渋滞することなく戻ることができた。