飯豊山・大日岳・御西岳(福島,山形)
2026.06.13 (土)3 日間
※公開すべきか何度も悩みましたが、他のハイカーの皆様への注意喚起と情報提供を目的に公開いたします。
◆ 滑落事故の状況と教訓
大日岳山頂直下にてルートを外れてしまい、正規ルートに戻ろうとした際、斜度43〜45度の雪壁で約150mほど滑落しました。
(滑落スピード推定時速70〜80m、)
滑り始めの滑落停止(初期制動)が効かず、滑落方向にはクレバス(雪の割れ目)が見えたため、決死の覚悟で全身を左に回転させ、クレバス手前の左側側面の岩場に激突することでなんとか静止させることができました。
いくつかの奇跡が重なったこと、冷静な判断と行動が即座に移せたことが一命をとりとめ、身体を回転させた際の摩擦による腹部の大きな擦り傷、および岩に激突した際の右側臀部の強い打撲・皮下出血にとどまり、幸いにも骨折や頭部損傷など免れることができました。
事故後、自力で登り返して切合小屋で大事をとって一泊し、3日目の早朝に無事下山いたしました。
◆ 飯豊連峰の概況と行程
【1日目】晴れ
屈指のロングコースとして名高い飯豊山。初めての山域だったため、クラシカルな「御沢(おざわ)登山口ルート」を選択。
山深く雪深い山域で、雪解け後に咲く高山植物の花々に癒やされつつも、登り応えのある過酷な急登を強いられるルートです。
途中、ソロの登山者の方と合流し、安全優先でゆっくり登ることに。その方は切合小屋に泊まるとのことでしたが、私はその後、飯豊本山小屋を目指し、夕方18時過ぎに到着しました。
(※切合小屋から先の雪渓などは、チェーンスパイクや軽アイゼンがあると安心です)
【2日目】晴れのち曇り
午前2時半に起床。4時
前にご来光を拝むため飯豊本山へ。
快晴・無風の素晴らしい条件の中、最高の稜線歩きを堪能。続けて連峰最高峰の大日岳を目指します。
御西(おにし)小屋〜大日岳の間は、まさに「天空のお花畑」。ハクサンイチゲ、チングルマ、オヤマノエンドウ、ミヤマキンバイ、シラネアオイ、ハクサンコザクラ、ミヤマウスユキソウなどが咲き乱れる高山植物園状態で、非常に癒やされました。
08:45 大日岳登頂。
09:25 下山時、雪渓を避けるべく藪(やぶ)を漕いで下りていましたが、コース外れを修正しようとした際、雪渓上部の植物の茎に足を滑らせ、前述の滑落事故が発生。
事故後、自力で藪の中を登り返し、正規ルートに復帰。御西小屋を経由して本山小屋に命からがら戻りました。小屋で2時間ほど横になって身体を休めた後、最終日の下山を考慮して切合小屋まで移動し、就寝しました。
【3日目】曇り
06:20 切合小屋を出発。 大日岳直後にお話しさせていただいた方と小屋前で偶然再会し、身体の無事を報告。ありがたいことに、一緒に下山させていただくことになりました。 さらに途中、初日に出会ったソロの方とも再会。難所である剣ヶ峰の岩稜帯を、お互いに助け合いながら下る即席パーティを結成しました。
11:20 御沢野営場駐車場に無事下山。
最後に
今回の件で、山の美しさと同時に、一瞬の判断ミスが命取りになる雪山の恐ろしさを身を以て痛感。ルートを外れた際の引き返す判断、雪渓処理の難しさなど、多くの教訓を得た山行となりました。
また、道中や小屋でお声がけいただいた皆様、そして最終日に助け合って一緒に下山してくださった皆様に、この場を借りて心より感謝申し上げます。
下山後は万全を期すため、内臓出血の有無を確認するCT検査等を受ける予定です。先ずはよくがんばった自分の肉体と魂に心から褒めてあげたいと思います。
皆様もこれからの季節の変わり目、どうぞ安全登山でお過ごしください。