24:50
30.4 km
3003 m
残雪期の白山縦走〜奥長倉・七倉山・白山〜
白山・別山・銚子ヶ峰 (岐阜, 福井, 石川)
2024.05.03(金) 3 DAYS
いつか行きたいと思っていた白山、GWの晴れ間を使って実現できました。 ■コース 白山一里野から檜新宮街道・加賀禅定道を通って大汝山、白山へ至り、砂防新道を通って市ノ瀬へ降りるコースです。 この時期このコースを歩く人は少ないようで、トレースはなく、また白山室堂に着くまでだれとも会いませんでした(小屋の方に事前確認した際も、この時期あまり歩く人はいないと教えてくださいました)。 今後同じ時期に歩く方のために末尾に少し細かくコースについて記載しました。 金沢から入って福井に出たので、前泊した金沢を楽しみつつ、福井もちょっとだけ味わえました。 ■宿 ・前泊 金沢駅近くのビジネスホテルに泊まりました。天候を見て判断したので、直前になったのですが、ゴールデンウィークでしたがビジネスホテルは空いてました。 ・初日:奥長倉避難小屋 広くて非常にきれいな小屋で、トイレも問題なく使えました(ちなみに甚之助避難小屋はトイレ使用禁止でした)。 ここまでの道中含め、水場はないので、夕食分含め丸2日分の水をもっていく必要があります。 ・2日目:白山室堂 こちらも予約が直前になりましたが、空きがありました(この時期素泊まりのみ)。 小屋自体とても良かったのですが、小屋のスタッフさん方、特に小屋主さんが良い方だったのが印象的でした。電話越しでも丁寧に対応いただきましたし、到着してからも対応1つ1つがホスピタリティにあふれていて、感激しました。こういうのは比較するものでは無いかもしれませんが、過去一番の山小屋体験でした。 なお、小屋で購入したもの含めすべてごみは持ち帰り制になっています。 ■交通 ・東京→石川 新幹線で2時間半くらいで着きます。始発でも9時少し前になり、今回のコースではちょっと遅いので、前泊にしました。 ・石川→白山一里野スキー場 この時期はバスがないので、タクシーで行きました。だいたい1時間ちょっとで着きます。 白山一里野スキー場はバーベキュー場として営業しており、トイレを借りることができました。 ・別当出合→市ノ瀬 車道ですがこの時期はバスないので歩きました。ピストンの方は自転車で来てる方もいました。 ・市ノ瀬→勝山(福井県) 市ノ瀬からはタクシーを呼んで、勝山駅まで行きました。ビジターセンターの方いわく、あまりタクシーは来てくれないとのことですが、時期やタイミングが良かったのか、勝山タクシーの方は快くうけいれてくれました(他の方面はわかりません)。こちらも1時間程度で駅に着きました。運転手さんは、途中、平泉寺の説明をしてくれるなど、サービス精神に溢れた良い方でした。 ・勝山→福井 勝山駅から福井駅へは1時間に2本程度便があります。九頭竜川に沿って走る勝山永平寺線を使いますが、とても景色が良くて気持ちが良かったです。 ・福井→東京 新幹線で東京へ。予約は取れなかったので、福井→石川と、石川→東京それぞれ自由席となりましたが、石川発だったのでゴールデンウィークの帰路ラッシュにも関わらず奇跡的に座れました。 ■風呂 市ノ瀬の「永井旅館」が、外来入浴を受け付けていました。 11:00-14:30、18:30-20:00が受け付けている時間のようです。休止している時期もあるようなので注意が必要です。 ■食事 小屋も避難小屋と素泊まり泊なので、基本すべて持参ですが、白山室堂の売店にはパンやカップヌードル、ウィダーインゼリーなどが売っていました。 ■装備 ・水 4.5~5Lもって行きました。白山室堂まで水場がないため、丸2日間(夕食分含め)もって歩く必要があります。雲一つない快晴が続き、二日目足りなくなったため、雪を溶かして500mlほど作りました。 初日の前半の途中にある「御仏供水」は、「山と高原地図」に記載の場所は雪で埋もれてましたが、そこからさらに下って川まで到達すれば水はあるようでした(私は行きませんでした)。二日目の工程にある天池・油池は完全に雪に埋もれているようで見つけられなかったです。 ・アイゼン 12本アイゼンのみもって行きました。 想定よりも雪がない箇所が多く、アイゼンのつけ外しを何度も行ったり、岩場をアイゼンで登ったりする必要があり、想定以上に時間がかかってしまいました。初日はチェーンスパイクでも避難小屋にたどり着けるくらいだったので、チェーンスパイクがあってもよいかもと思いましたが、荷物の重さと相談ですね。(あと雪の状態次第なので事前に想定がむずかしい) ・ツェルト/テント 初めての道、かつ、このコースはあまり人が歩かないとのことなので緊急時用にテントをもって行きました。 避難小屋も寒いかもしれないと思い、マットも厳冬期テント用のものにしましたが、これは銀マットで十分だったかなと思います。 ・防寒着 万が一のため厳冬期テント泊同等の防寒着をもって行きましたが、ほとんど使いませんでした。白山室堂で夜・朝外にでるときも、ベース、インサレーション、シェルで十分でダウンは使わなかったです。 とはいえ、このGW期間は地上は真夏日と、例年よりかなり暑かったのであまり参考にならないかもです。 ■その他 ・食欲 シャリバテとならないよう、食糧はカロリー等を計算してもっていっていましたが、とにかく日差しが強くて暑く、食欲がわかない問題に悩まされました。口にいれても顎が動いてくれない、、(かつ水も限られている)。 重量に対するカロリー効率は悪くなりますが、暑いことがわかっている場合はゼリータイプのものなど、カロリー摂取しやすいものの量を増やすなど検討しなければいけないなと思いました。 ■コース詳細と感想 かなり厳しいコースでした。 コース自体長い、ということもありますが、①この時期、白山室堂まで水が無いので大量の水を運ばなければいけないことと、②雪道から夏道への移行中なので道がとても歩きにくかったこと(夏道が見えたり、消えたりするのでルートを見失いやすい、踏み抜きが多くある、アイゼンで岩場の登り下りをしなければならない、アイゼンの頻繁な着脱が発生する、など)が、厳しいと感じさせた理由かなと思います。 ※ その他、道の状況があまりにわからなかったため、念のための荷物を多く持って行ったことと、初日に道迷いで一時間急坂を行き来したこともある。 ▼1日目 ・一里野スキー場からさんちょう駅 もともと送電線巡回路を使ってさんちょう駅へ行き加賀新道を使う予定でしたが、送電線巡回路で迷ってしまい、途中で諦め、ハライ谷登山口なら檜新宮街道で向かうことにしました。「三ツ又」と書かれた看板はあったのですが、さんちょう駅を指しているとは思わず、別方向にあるトレースに従って歩いてしまっていました。頻繁に立ち止まってGPSを確認しながら歩いていましたが、気づけませんでした。早めに撤退してリカバリできたのはよかったと思います。 ・ハライ谷登山口~しかり場分岐まで(檜新宮参道) 春の花(初夏の花も?)も咲いており、新緑も楽しめますが、長く直登が続く(3時間くらい?)のでけっこうつらかったです。雪はあっても大したことなく、アイゼンをはかずに歩きました。 分岐あたりから遠くに美しい白い山が見え、テンションがあがります。が、これは白山ではないようです(四塚山か七倉山)。とても美しいですが、かなり遠くに見えるので軽く絶望しました笑 ・しかり場分岐~奥長倉避難小屋(加賀禅定道) 尾根にでてから雪があり、途中でアイゼンをはきました。が、雪がまったくない岩場もけっこうあるのでチェーンスパイクをもっていればチェーンスパイクで十分だったかなと思いました。尾根に出てからもじわじわとずっと登りが続くのと、等高線に現れない微妙なアップダウンに苦しめられた記憶があります。 ▼2日目 ・避難小屋~天池室跡 美女坂はけっこうな坂ですが朝イチだからか、まだ気力・体力を残して登れました。ただ踏み抜きや、夏道・雪道どちらも歩きにくい道が多くあるので困る箇所が何か所もありました。 尾添尾根は雪があるので、雪庇に気を付けながら林道を離れて雪の上を歩いていましたが、途中で雪がなくなり林道に戻らなければいけなくなったり、その林道がどこにあるかわからなくなったり、といろいろ判断が必要になります。 ただ開けていて大変気持ちいい場所です(1日目に続き、雲一つない快晴だったためとにかく暑かったですが)。 ・天池室跡~七倉山 長坂は前半ほとんど雪がなく、下からの熱気もすごい道で、体力が奪われました。四塚山へ向かうあたりは一面雪で、長いトラバースが必要になります。時々急に雪がなくなり、けっこうな斜度を下る必要があったりと、雪山歩行の練習場のような感じでした。 七倉山分岐までくるとようやく大汝が現れます。いきなり目の前に現れて圧倒されます(山容はやわらかく威圧的ではないです)。 ・七倉山~大汝峰・御前峰 疲れた体に鞭打ってなんとか大汝までくると、剣ヶ峰・御前峰と美しい池が出迎えてくれて一気に疲れが吹き飛びます。大汝から御前峰へは、その池のうちの1つ(油ヶ池)の真横を通って、かなり斜度のある坂を上ります(感覚的には涸沢ヒュッテから北穂へ向かう坂くらいの斜度)。体力的にはもう限界、という感じだったので、坂を前にした時はどうしようかと思いましたが、気分が高揚していたのか意外とすっと登れました(本来左右に振って登るべきなんでしょうが、勢いでほぼ直登しました)。 御前峰山頂は最高に気持ちがよく、しばらく時間を使って味わいました。白山室堂は目の前ということもあり、安心して山頂でゆっくり時間をすごすことができました。御前峰から白山室堂への道は、非常に整備されていてアイゼンを脱いでいればとても歩きやすい道です。 ▼3日目 ・白山室堂~黒ボコ岩 弥陀ヶ原はとにかくだだっぴろく、気持ちよい雪原で、このコースだとこれだけ平で開けた感じは初めてでうきうきします。今回は快晴でしたが、視界が悪いと道がわからなくなりそうだなと思いました(旗を立ててくださっています)。 ・黒ボコ岩~甚之助避難小屋 急で長い坂を一気に下ります。市ノ瀬から来た人たちはこれを登ってきたのか、と思い心の中で称えていました。下りは圧倒的に楽でスイスイ進めます。斜度もかなりありますが、下りが怖いというほどではなかったです。ただし、目の前に別山の美しい姿があり、見とれてしまうこと必至なので足元注意です。 ・甚之助避難小屋~別当出合(砂防新道) こちらは加賀禅定道と違い、雪があるところ無いところの堺がはっきりしていました。雪道は林道を通るのですが、トレースは多いものの、迷いトレースも多く、つられて変なところに入ってしまいました。迷ったことは気づけますし、木よりも雪面の方が多いので戻るのも大変ではないですが、気を付けたいです。 雪がなくなってからは、春の道、という感じでたくさんの花を見ることができました。 ・別当出合~市ノ瀬 ひたすら道路です。ここがみなさん自転車で通っているところか、と思いながら歩いていましたが、想像していたよりもけっこうな坂で、これを自転車で登り切って、御前峰ピストンしていく人たちのバケモノっぷりに改めて驚きました。