憧れの上越国境 朝日岳~巻機山 難路道ナシ
朝日岳
(群馬, 新潟)
2024.10.12(土)
3 DAYS
藪漕ぎは嫌いだと何度も申し上げてるわけだけども、ワンダーフォーゲル的な泥臭くて牧歌的な山に憧憬があるのです。踏み跡を辿り、水場を探し、幕営適地を求め、自由に歩く。
日光白根山~皇海山~袈裟丸山の両毛国境はその入門編で、知床半島に赴いたのは一種の聖地巡礼だったが、ついにワンゲル的三大聖地の一つ上越国境朝日岳~巻機山を歩く。
聖地なだけあって記録は豊富。1泊で抜けてる記録もある。アプローチもあるので1泊目は清水峠か、行けたらナルミズ沢源頭あたりで1泊。檜倉山か柄沢山あたりの草原で藪中1泊の2泊で抜けられたらいいな。
このところ疲れる登山を控えてたのはこの山行のためにナーバスになってたからでした。9月の頭からずっと天気を待っていた。
ザック重量15kg ポリタン2発+ボトルで最大19kg強。食料3泊分。化繊シュラフ・ダウン量500g→寒かった
軽量化して挑んだが、結果的に1泊で藪抜け。1日弱のマージン。もう少し余計なもの持っていけたかな?という気がした。ただし雨に降られたら、こうは行かないと思います。
☆ルート概況
灌木混じりの笹藪が主。笹ラッセルが正攻法。灌木に絡まって1時間100mみたいな箇所はないです。極藪いくつかあるが短い。群馬側の草原で巻ける箇所は数か所。巻こうと思うより藪目に逆らわず真っ直ぐ行くのが吉の場合多し。尾根の細い箇所や草原はご褒美踏み跡あり。
☆計画 2泊3日予備日1日
1日目
清水集落8:00~清水峠12:00~ジャンクションピーク14:00~ナルミズ沢コル15:00
水場:清水峠手前、朝日岳直下、ナルミズ沢源頭
2日目
ナルミズ沢コル6:00~大烏帽子山6:30~檜倉山9:00~柄沢山12:00~越後乗越13:00
水場:檜倉山池塘、越後乗越池塘、沢に降りたところでも取水できるらしい
3日目
越後乗越6:00~米子頭山8:00~巻機山11:00~下山14:00
3日間(実質2日間)夢のような山行でした。これがやりたかったんです!
☆ 1日目
5時に巻機山桜坂駐車場。なんとすでに満車。百名山パワーの凄まじさ。しょうがないので国道ゲート前のスペースに停めて歩き出す。
取り付きまで1時間。コースタイムでは清水峠4時間だがこの尾根に3時間かかるとは思えない。予想通り1+2時間で清水峠。途中の水場でポリタン1発入れる。
食事してジャンクションピークへ。これから行く上越国境の紅葉が見事で気持ちが昂ぶる。10:30到着。笹はまだ濡れてるのでカッパズボンを履く。難路道なしに足を踏み出す。
腰下ほどの笹だがしっかりした踏み跡がある。降り始めると先程からウロウロしていたヘリがなぜか自分の周りでホバリング。しばらくしてジャンクションピークに隊員が一人降下した。何だろ?
降りきると尾根が細くなるが、ナルミズ沢コルまでほぼ登山道。これが続けば最高のルートなのだが。11:30コル到着。群馬側に草原だが平坦地はあまりない。ザックをデポして源頭に水汲み。5分ほど降りたところに細い流水の下に澄んだ水溜まり。杁差岳の水場的な。これをポリタン2発ぶん汲んだ。
予定ではナルミズ沢コルで幕営だがまだ昼前。休んでると二人組がコルに降りてきた。聞くと今日は檜倉山まで行くらしい。午後崩れる予報なのでどうかと思ったが、結局自分も一緒に行くことにした。
大烏帽子山まで草付きを適当に登る。大烏帽子山から先、尾根上は灌木藪。水みちでさっさと下の草原に降りるのが正解だったようだ。草原で一本。
コルまで古い赤布があったり、基本踏み跡が使えてスムーズに降りれた。このテンションの藪なら楽勝と思うのも束の間、だんだん踏み跡が拾えなくなってきた。灌木を避けて左右に逃げると濃い笹に阻まれる。意を決して中央突破が結局無難そうだ。滅茶苦茶な灌木藪地帯は少ない。灌木混じりの笹薮をラッセルで登る感じ。
予報どおり曇ってきた。朝日岳は分厚い鉛色の雲がかかる。コルから2時間の登りで檜倉山下の草原に出た。檜倉山はまもなくガスがかかりそう。まずいと思い急いだがまだひと漕ぎあった。檜倉山「下頂」。檜倉山の風景が最大の楽しみだったが、すっかりガスってしまった。
池塘周辺はぬかるんでるが、少し行った先に砂地のテン場あり。初日に檜倉山まで来れるとは思っていなかった。一人でいたらサボって大烏帽子山の草原で幕営してたと思う。
テントを張って飯など食べていると、夕刻ごろガスが晴れて素晴らしい景色が見られた。これが見られただけで、この山行は成功したようなものだ。
☆2日目
翌日、朝方雨がパラついてどうかと思ったが晴れ間が差した。朝は寒くて動けないと思ってたがすでに暖かい。モンベルの農作業用レインジャケットとハードシェルパンツに冬用ゲイター、防寒テムレスで準備万端。今日も3人でトップを交代しながら藪を漕ぐ。誰かが先行して行くとかこの藪では無理。
今日一日、群馬側は快晴なのにまさにこの稜線で雲の湧く、実に上越国境らしい天気だった。
檜倉山からの下りはどうだったか正直忘れた。尾根が細くなると腰程の笹薮。刃物々崎に派生する尾根を過ぎて降りていくと群馬側にトラバースしてる道が使える。途中にバラバラになったフィルムカメラが落ちていた。
岩峰基部をまで巻いて稜線に上がったが、かなりわるいトラバースだったので手前で上がるのが正解か?と思った。稜線は柄沢山まで低灌木と草原で藪から開放される。
柄沢山、三角点不明。北の草原までしばらく笹漕ぎ。草原には大きなテントを張った跡があった。傍らの池塘は色がついてるが、浄水器を通すぶんには変な味はしなかった。昼食。
しばらく草原。米子頭山まで尾根が細くここしかないというところに踏み跡がついてる感じ。米子頭山に近づくとコメツガの嫌な感じの藪。それでも切り開きがあり三角点まで楽に進める。
米子頭山から先はコメツガとシャクナゲの無茶苦茶な極藪で踏み跡が数歩で消失した。藪を踏み付けて空中戦で行くしかないのでは?尾根を外すより尾根上を藪の流れに逆らわずに降りるのが無難。群馬側に草原があり、後から見ると顕著な踏み跡がついていた。草原の斜面は急で降りられたかは微妙。
この先は断続的に踏み跡あり。だんだん濃くなり笹ラッセル。途中でコメツガの極藪に阻まれる。よく見ると人が通過してる痕があるが、迷走してるようだ。抜け出して笹ラッセルで1780mのトンガリに出た。
1780mは巻機山の展望地になっており、そのためかここまで整備された痕跡がある。相変わらず笹ラッセルだが笹の薄い刈払跡と灌木の切り株でスムーズに進める。
最後は谷をトラバース。踏み跡あるが、地図上の登山道よりだいぶ下で正規の道ではなかったようだ。巻機山草原で藪抜け。風もなく静寂に包まれる。「朝日岳方面」の道標がこの縦走の実質的終着点。
避難小屋泊。予想通り超満員「だったようだ」
☆3日目
夜は満天の星空だったが、明け方はガス。明るくなるとともに下山。東寄りの風が強く滝雲になって落ちている。昨日藪抜けしてなければあの中にいたと思うとホッとした。
降りるにつれ視界が開ける。土地勘がなくあの山は一体何が何やら。物凄い量の人とスライドして喉が乾いた。
☆総括
藪区間は単独行でなく3人まとまって行動しました。やっぱり複数人いると同時にルーファイできて凄く助かります!
初日に檜倉山まで進めたことで薮中1泊で抜けることができた。日の出とともに歩き出して日没とともに行動終了、残業なしの10時間。疲れすぎず楽すぎず。天候に恵まれたこともあり理想的な歩程となりました。
9月から秋雨で延期し続けた山行でしたが、結果的に最高の季節に歩けました。今度は逆打ちやりましょう!