06:05
15.2 km
1436 m
白山釈迦岳・釈迦岳前峰。
白山・別山・銚子ヶ峰 (岐阜, 福井, 石川)
2023.11.15(水) 日帰り
両白山地シリーズNO.3。 今回は朝イチで仕事の用があったので、登山開始は早くても9:00ぐらいから。 天候も晴れじゃないけど、荒れそうにも無かったし、この雪が降る前の貴重な山行チャンスを逃すのはもったいないって事で、1番近くて1番早く帰って来れそうな山を探した。 希望としては最近「白山」「別山」と、両白山地系の山で繋いできたのでできれば同じ山脈で…と思っていたトコロに見つけたのが「白山釈迦岳」だった。 データは、標高2045m、距離約15キロ、累積標高は約1500m。 だいたい皆さん(無雪期で)6〜7時間ほどで登山してるみたいなので問答無用でこの山に決定。 最近行った、白山も別山も登山口は岐阜県側からで、石川県側(白山への登山道としては一般的なのは石川県側)は初めて。 登山口になる市の瀬と別当との距離感や関係性もイマイチ分からず、とりあえずは市の瀬まで行って見ることにした。 ラッキーな事に朝予定していた仕事の用は前の晩に済ますことが出来、夜9時には富山を出発できたので、市の瀬ビジターセンター前で車中泊して明け方にスタート予定とした。 夜中に到着したのでよくわからなかったが、朝起きて車内から出てみると、大型スーパーの駐車場ぐらいありそうな広さの駐車場だった。 にもかかわらず、車は僕の車1……このフレーズもう3回目になる? いや、4回目か笑。 計画では6:00出発で順調に行けば昼前に下山でき、ゆっくり近くの温泉と蕎麦屋を探そうと考えていたが、この時期6:00でもまだ外は真っ暗。 結局6:30過ぎにのそのそとシュラフから這い出てきて車から出てみると思いのほか寒くなく、これならと外で着替えながら、コーヒーを沸かしてゆっくりと朝飯。 大自然の中のすがすがしい朝に酔いながら、結局出発したのが7:00。 市の瀬から少し舗装道を上がると手取川源流に掛かる橋でゲートがクローズしているので車はここまで。 市の瀬の駐車場からキャンプ場経由で行く吊り橋も足場が撤去されていて、舗装道を通りゲートのある橋を欄干から回り込むようにして通過。(吊り橋はここと別当にも同じ吊り橋があるのでログやなんかで吊り橋の画像を見ると紛らわしいよね) 別当出合いはここから徒歩で40〜1時間ほど舗装路を上がったところにあるらしい。 通常?休日と週末は自然環境配慮の面で市の瀬からはマイカー規制になるので、市の瀬からバスで別当出合いまで行くようだ。 白山登山道の入り口は前々から色々な人に説明を聴いていたがその時点では理解できず、実際そこに行ってみてやっと脳内マップが少しできた。 渓流に架かる橋を渡って5分ほど行った先に釈迦新道登山口がある。あくまでも登山道入り口というか、「釈迦新道登山口までのアプローチの入り口」と個人的に解釈。 何故なら本格的な登山道に入るのはまだこの先の林道を30分ほど歩かなきゃならないから。そこまでは登山じゃないよねって意味。 林道をひた歩くと湯の谷川を渡って直ぐにいよいよ「釈迦新道登山口」到着。 やや急登の自然道。 やがて最初の水場(沢)に着くがここから少しずつ積雪が増え始めた。 足首程度の積雪ならガラガラの登山道を歩くよりは歩きやすい…ぐらいの気持ちで進み続けるが次第に膝までの深さに。 熊笹筋の登山道は大体山を掘り込んである(溝状に)事が多いので、その深さだけ埋まる。 山頂まではまだ2キロもある。 無雪期の2キロならあっという間だか、膝深のラッセルで2キロは結構ツライ。 気持ちが続くとこまでと決めて前進。 真っ白な野ウサギが僕の進む道を先行して行く。 本日2匹羽目のウサギ。 林道では大きな鹿とフェレットよりひと回り小さな真っ白なテンも居た。 白山山域は自然が濃い。動物も木々も川も。 立山は…人の手が加わり過ぎている。そして人も多く入り過ぎた。 ジオパークやら国立公園とはなんぞや。 人間による人間のたちだけの…になってないか。 雷鳥は見せ物で熊は害獣の極めてもっともなターゲット。 動物や植物、それは人間が守ってやるとかゆうものじゃないよね? あいつらにしてみれば「保護」とかは余計なお世話で、間違っても人間が飼っている生き物じゃない。 立場は対等だよ。 …そんな事より…ルートが消えた。 熊笹の中にあったルートが雪が崩れて先がわからない。 夏道はハッキリとした登山道だからかなのか、ピンテもめちゃくちゃ少ない。 こういう時はGPS頼り(任せ)になってしまうが、焦りが入ると「ほんとにこっちか??」と疑心暗鬼になってしまう。 今回はそれの典型でGPSが指す方向が信じられず、正規のルートでは無く、少しでも山頂に近くなる斜面を這い上がってしまった。 ハイマツの枝を掴みながら上がった斜面は50度近い斜度。 無意識のうちにかなり上がってきている。 もうそこから降りる事は危なくてできないので、横へ横へトラバースを試みるが、熊笹エリアは雪が崩れそうで極めてヤバいし、足掛かりも無いに等しく、掴かんでも千切れそうな弱々しい笹では心許ない。 雪もチラつき始め、万事休すかとあきらめかけた時、左手10mほど先のハイマツの枝にテープ発見。 そのままハイマツの枝に引っかかりながらなんとか登山道復帰。 それでも泳ぐように進まなきゃならない程の積雪。 GPS上では山頂まで30分とあったがこのペースだと2時間は掛かりそうな距離に山頂が見えた。 股間までの高さの雪を見つめながら諦めようと思った。 が、薬師岳の時と違い今回は時間にも余裕がある。 無いのは気力だけ。 そう思い、タイムリミット1時間…と決めさらに進む。 あの角を曲がれば山頂か?!と思われるとこまでやっとの事で辿り着き、先を見ると山頂柱! やっと着いた!!! と柱の側まで行きそこに書かれていた文字を読むと…「白山釈迦岳前峰」の文字。 慌ててGPSを確認すると主峰はさらに15分先にある。 この時はまじで言葉を失い腰から崩れ落ち10分ほど動けなかった。 この状況での15分は精神的にもかなりひどい。 夏の釈迦岳を知っている人はなんでなん?と思われるかもだけど、積雪1mでの前峰から主峰までのラッセルはとんでもなくキツイ。 ただ、距離的にはすぐ、ほんとすぐそこにある。 ここまでコテンパンにやられての15分。 もう無意識に進む事しか出来なかった。 ここで無意識ゆえの痛恨のミス。 道標はある事は目視してたけど、それを通り過ぎて30mほどラッセルで進んでしまってた。 ヤマップのチェックポイントで池を目印に…みたいな事が書いてあったので池を目指して進んでいたが、なんか嫌な胸騒ぎがしてもう一度ヤマップを開くと、さっき見た道標は山頂までの分岐だった。 これは痛い。30mの浪費。 分肢地点まで戻り、やっと山頂までの取り付きに辿り着くがこれがまた熊笹に隠れた何処かわからんルート。 もううんざりだったが気合いと精神力で凸! なんとか這い出た山頂は…ただのハイマツ畑。 は??? 山頂どこ?? まるで埋蔵金さがしのようにGPSで探る。探る… あった。 ハイマツの枝にカマボコ板大の山頂を示す目印。 思わず苦笑いで大爆笑した。 達成感の無駄遣いもたまにはいいやろ笑。 振り返ると白山の山々がドンと迫るようなロケーション。 鉛色の雲が山々を押し潰しそうで、それでいて白山の山々が黒雲と対峙するような、とんでもなくダイナミックな瞬間だった。 それがもの凄く怖くて白山から逃げるように斜面をずっとずっと滑り降りながらとにかく急いで下山した。 その名の通りに白くなった姿の白山はしばらく誰も寄せつけないだろう。 あの迫力は何事にも変え難い「恐怖」があった。 もしあそこにトライするクライマーが居たらそれこそ神だね。 そう言えば去年BCスキーで白山に上がったパーティが吹雪に遭い、遭難し、その中の1人が亡くなられた時の一部始終の記事を某ヤマレコで読んだ事を思い出した。 その時、雪の中の死にとてつもない恐怖を感じたのは今でも覚えている。 下山後は白峰の町をゆっくりまわった。 温泉は結構廃業していて、唯一の温泉の総湯は工事中で営業していなかった。 ゆっくりと冷え疲れた身体を癒したくて優しい出汁のきいた蕎麦を食べたいと思い、道の駅?に寄る予定だったが、その手前に凄くいい古びた雰囲気の飯屋を見つけて蕎麦定食をたのんだ。 80くらいの老夫婦が営んでいてお二人とも物静かだった。 個人的に疲れた身体に賑やかしいおばちゃんや爺さんは好きじゃない。 座敷の間に通されて、それがストーブの温もりと畳の匂いで料理待ちの際に思わずウトウトと寝てしまっていた。 蕎麦の出来上がりに起こしてもらったのだか、それが懐かしいような、実家に帰ったあの感じが凄く心地良かった。 お疲れ様でした…。 両白山地の三山の白山、別山、白山釈迦岳と3週にかけて登ったが、その魅力の探求は一生続きそうな感じがする。 だから…これはもっと色んな白山を知って、いつか振り返る時が来た時の記録として残しておこう。