活動データ
タイム
09:25
距離
10.6km
のぼり
691m
くだり
690m
チェックポイント
活動詳細
すべて見るおそらく岩手県内最長の2㌔のゴルジュを持つ安栖沢。『日本登山大系』には「この沢は遡行距離も長く、核心部のゴルジュは二km近くも続き、水量も豊かで沢登りの楽しみを十分味わえる」と記されている。ネットにある記録だと読み方が安定していないようだが、付近に「安栖」で「あずまい」と読む住所があるから、読みは「あずまいさわ」で良いだろう。 今回は、この沢のゴルジュ部分(おいしいところ)だけを相棒ちゃんと日帰りで挑戦。寒さ対策にウェットスーツ、泳ぎもあるので、念の為フロートベストも。アプローチの林道は快適で、入渓予定点の手前まで車で行けた。手前で降車したのは土砂崩れがあったからである。今回は、このゴルジュを突破して、その後、廃道にあがって、この林道に戻ってくる作戦。 〜〜以下、記録〜〜 6:00出発。しばし林道を歩いて、予定通り入渓。かなり暑い…。しばらくなんの変哲もない沢をひたすら遡行するが、とにかくウェットスーツが思った以上に動きにくいのと、すげー暑い…。ぼーっとしてフラついたところで、相棒ちゃんに、顔が真っ赤だから水分とって休憩したほうが良いと言われる。ということで、気持ちよさそうなところでしばし水浴び💦 そこからしばらく進むと右岸から美しい簾状の滝15㍍が見えてくる。ここがゴルジュの入口である。入口の淵も美しい。しかも幕営適地(晴れてれば)。こんなに美しいところがあると思わなかった。 いよいよゴルジュに入ると両岸が狭まり、否が応にもテンションが上がる。簡単な小滝を何本か越えると、奥に2㍍くらいの小滝が見えるが、両岸は取り付けず、泳ぐ他ない。10㍍くらい泳ぎ、滝の右岸から乗っこす。この日はとにかく岩のフリクションが良く、ラバー様さまであった。さらに進むと側壁はどんどん高くなり、隔絶感が増してくる。が、不思議と圧迫感はなく、陽もときとぎさして明るい沢である。 続いて、この日の核心と言っても良い幅広の5㍍滝。見た目はどうと言うことない滝なのだが、両岸とも良く削れてつるつるに見える。右岸上部の棚からへつれそうだが、かなり怖そうだったため、とりあえずセカンドチョイスに。次に右岸の流芯の左側にあるコーナーが登れそうだったので、泳いで行ったが流れで押し返されて取り付けず。さらに今度は左岸の滝裏から潜り込めないか行ってみたがこれも激しい水流に断念。仕方なく、最初に見つけた右岸上部の棚からへつることに。見た目通り悪い。落ちてもドボンなんだけど。序盤にカムを1つ決め、脆いカチをつないで5㍍弱へつり、先ほどのコーナー上部に。ここから落口へが遠い。登山大系にも書いてあったが、この沢では振り子トラバースが有効らしい。そこでこのコーナーの右上にハーケンを1つきめる。コーナーが狭く、ごちゃごちゃやっていたら、ハーケンを1つ落としてしまった。決めたハーケンにスリングをかけて、そのスリングを掴んで、大きく1歩落口へ。そして向こう側のカバを掴んで、振り子トラバース成功。すぐに相棒ちゃんを確保したが、へつりの中間のカチがかなり高いところにあり、しかも足の置き場は少しクライムダウンして進むため、どうしても身長が足りず。アンダーはあったようだけどなかなか進めず。そこで相棒ちゃんは一旦、降りて水流沿いを泳ぎ、上から水流に流されないようにロープを引っ張る。そして下部のコーナーから登ってきた。良い判断、良い連携プレイで難所をなんとか突破(ハーケンは残置。使ってやってください)。とはいえ、このレベルの滝が続いたら日が暮れてしまうという焦りも感じて、2人とも微妙にテンションが低い…。すぐにまた巨大な釜を持つ5㍍滝。右岸は絶望的。左岸はまた上部の棚をへつればなんとかなりそうだが、またしても落口への1歩が悪そう。そして、なにより、棚に取り付けそうにない。試しに空身で途中まで泳いで行き、壁に取りつこうとしたが、つるつるで跳ね返される。前の滝で時間を使ったので、すぐに諦め高巻きのルートを探す。高巻きのルートを探すのも容易ではない。少し戻って左岸の上部に灌木が続いてるところを見つけたので、下から取り付いてみる。ところが、苔の岩がぼろぼろで悪い。空身なら行けそうだが、足が細かくて滑りそうで怖い。相棒ちゃんにどう?って聞いたら、行けそうと言う。それでトップを行ってもらい上からロープを出してもらった。お互い怖いと感じるところが違うので、ここも良い連携だった。巻きもそんなに良くはないが、灌木を伝い、さっきの滝のすぐ上の滝も巻いて懸垂。30㍍と20㍍ロープを連結してジャスト。ただ、降りてみると傾斜は緩かったのでロープはなくても良かった。降りたところで11:30前。美しいトロを眺めながら、お昼ご飯にする。側壁はそんなに美しくはない柱状節理。それにしてもすごい景観。相棒ちゃんが「なんかときどきぼちゃんぼちゃんって聞こえるよね?」と。確かに聞こえていて、けっこう頻繁に落石があるとわかった。 休憩した場所から、泳ぎとへつりを交えいくつか小滝を越えると、ゴルジュが束の間開けゴーロ帯となる。すぐにまたゴルジュになって小滝が連続する。ここは『日本の渓谷98/99』に載ってる大西良治さんの記録に「稲妻状5連瀑」と表現されているところだろう…。これを越えて行くと奥に左からすごい水量で流れる滝が見える。左から真横に飛び出してる感じだ。このゴルジュ最大の10㍍滝。ものすごい迫力。かつ、ものすごく深くデカい釜。とてもじゃないが奥には行けない。高巻きかと半ば諦めたが、右岸から行けるかもしれないと思い、少し手前の右岸からへつり、流芯の左横の棚に登る。そこから右岸を覗きこむと、あ〜これは無理。つるつるで取りつく島もない。あとはこのものすごい水量の流芯を飛び越えて左岸に行くしかないが、相棒ちゃんに「絶対水流に飛ばされるから」と言われる。仕方なく、クライムダウンしようとすると、棚から下に傾斜の強いつるりとした滑り台が(笑)ここは楽しまなと思い、どデカい釜に滑り台ジャンプ。めっちゃ楽しかった。 そこから少し戻り、高巻きルートを探す。左岸から巻くと大高巻きになりそうなので、右岸を探していると相棒ちゃんがあそこなら行けそうという。高巻きルーファイの天才なのか、なんかホールド良さそう。取り付くと決して良くはないがなんとか登れそう。泥と脆い岩と草と木の混じった傾斜の強い斜面を登ると、なんと残置ハーケン。やっぱ相棒ちゃんのルーファイすごいわと思う。ここをショートロープで交互に3ピッチ登り、滝の上に向けてトラバース。下にすぐ上の滝が見えたが、これも巻いて、懸垂で降りると、奥に明るく開けた河原が見えた。2つほど泳ぎながら小滝を越えると、感動のゴルジュの出口。13:30。しばし休憩したり、名残惜しくて、河原で水に浸かったり。 そこから廃道に向けて斜面を登り、暑いなか廃道をひたすら歩く。1箇所廃道が切れたところがあるが、真新しいピンテがあり、迷わない。かなり薮化していて、人が歩かなければ、この道も無くなってしまうだろうなと思いつつ歩く。予報通り雷が鳴り始めたあたりで車に到着。 あまりネットには記録はないが、総じてゴルジュは美しく、明るくひらけたところもあり、怖さは感じなかった。確かにゴルジュ内はエスケープが容易ではないので、水量によっては難易度はそれなりかもしれない。ただ今回のように日帰り作戦なら軽量化もできるだろうし、もっと人が入っても良い沢だと思った。次は上部も含めて完全遡行してみたい。
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