熊野古道伊勢路6〜7日目 新鹿→紀和町→本宮

2022.04.15(金) 2 DAYS

活動データ

タイム

20:43

距離

63.0km

のぼり

2732m

くだり

2679m

チェックポイント

DAY 1
合計時間
10 時間 51
休憩時間
1 時間 28
距離
32.1 km
のぼり / くだり
1358 / 1311 m
DAY 2
合計時間
9 時間 51
休憩時間
1 時間 24
距離
30.8 km
のぼり / くだり
1373 / 1367 m
38
51
9
2
40
23
3

活動詳細

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0400起床……起床というより、新鹿の湾内へと永遠に覆いかぶさろうとする荒波の音で起こされた。目は冴えてもシュラフに身を包む。天気はまたもどんよりな小雨だ。 0620出発。今日は沿岸ルートから内陸へと入り、ついに熊野入りする予定。 30分ほど進み波田須町に入ると、波田須の道と呼ばれる200mもない小さな石畳が続く。起伏も特になく軽快に越える。 次に待つのは大吹峠。2キロほどの中規模な峠で、比較的勾配のある東斜面には石の階段が続く。ここは竹藪が綺麗だ。 峠の頂上には茶屋跡が遺ってあり、それを囲むように猪垣が積まれていた。 峠を降り、松本峠入り口に差し掛かる途端、太陽が顔を覗き出した。どうやら今日はこのまま天気が良くなってくるらしい。 松本峠は全長1キロの小さい峠ながら、なかなかな急登。峠で腰掛けると、そこには2〜2.5mほどの大きな地蔵さんが建っていた。頭に弾痕があるらしいが、よく分からなかった。麓では八重桜が色づいていて、春の終わりを告げている。 0930、七里御浜に出る。花の窟に参拝し、道の駅ではついに手ぬぐいを手に入れた。旅を始めてからずっと手ぬぐいが欲しかった…。道の駅が先は内陸に進路を取り本宮へ向かうが、ここから続く住宅街や田舎道がまあつまらないこと。標識もろくにないので、気怠さと不安が交互に襲う。 1305、ついに次なる峠である横垣峠に入る。西ノ峰山の肩を通過するこの峠は標高差200mの立派な山道だ。道中には崩落箇所がありその上を迂回したが、階段があまりにも急で息があがる。 1時間ほどで峠を抜けると、優美な田園地帯が広がる。 さらに1時間歩き、この度最後の伊勢路による峠道である、風伝峠がある。ここでも立派な石畳があり、それに感謝しながら先へ、上へと進む。30分ほどで峠を越える。ガスっていてよく見えないが、石造りの道標がちゃんと置かれている。峠を越え降るんだが、この石めちゃくちゃ滑る。滑らないよう全神経を足の裏に込めるが、滑って転けてしまった。 チキショウ。 はじめは晴れていたが、次第にまた曇天な雲ゆきになり、ついに霧雨が降り出す。時刻は16時を回り少し薄暗い。人気もないのでどこか切ない。そろそろ雨具を着ようかと思っていたところに、軽バンが猛スピードで後ろから近づいてきた。「にいちゃん、コレ」と無愛想に差し出されたのはビニール傘だった。「いいから、ほらいいから」と半ば強引に自分に渡すと、追い越すわけでもなく後ろ方面に去っていった。一度自分を見て、後ろから追いかけてきてくれたのか。その人情に心が震えた。 1700、紀和町にある道の駅に到着。最終夜はここで迎える。テントは張らず、寝袋だけで寝る。 0530起床、食事を済ませ、シュラフをたたみ、0600には出発した。この一連の動作にはもう慣れてしまった。 ここから歩むのは本宮道と呼ばれる参拝道で、随所に残ってはいるもののやや茂っていたので3箇所しか歩かなかった。山を越え熊野川に降りるのだが、途中でルートを間違えてしまい30分以上の時間超過…とはいえ巻きで歩いてたので±0となった。熊野川は広く大きい川な割にやたら透明で、涼しい。 1045、早めの昼ごはんを取る。こんな時に食べるお店のカレーは格別だ。早々に完食し出発する。 この旅最後の峠となる万才峠を越える。登りの8割は舗装路で、頂上間近でようやく登山道となる。 1230、万才峠を越えた。自分の心もまさにばんざいだ。しかしここから2時間の下りが待ち構えていて、此処が一番堪えたのかもしれない。生まれたての小鹿の様な足取りで地上に降りた。 1500、本宮町中心街に到着。いよいよこの時がやってきた。第一鳥居をくぐると、芝生が広がる大斎原。世界一大きいという鳥居をくぐりさらに奥へゆけば、この旅の目的地である本宮大社がある。階段を一段ずつ踏み締め、過去の出来事を振り返る。熊野川の石なのか、河原でよく見る丸い石が道に埋め込まれていた。 本殿に入り参拝をし終えると、目頭が熱くなっているのを感じた。これが感無量ということなのか。 たった7日間、たった1週間の旅路だけども、その深さは1週間には到底とどまらないものだった。テントでコレほどの連泊はしたことがなかったし、200キロも越えるような、しかも幾度も山を越えるようなのは歩いたことがない。膝の怪我のこともあり完歩できないとも思っていた。しかしまあ、やればできるものなんだなぁ。 お膝は全くの無問題。足の指先に豆が3つほどできた程度で、至って健全です。 最後に、ここまで見てくれた方々、見守ってくださった方々、本当にありがとうございました。 伊勢でお茶をくれたおばちゃん、大紀町や紀伊長島で応援してくれたおじちゃんおばちゃん、道瀬で応援してくれたお兄さん、二木島で気遣ってくれたおばあちゃん、横垣峠や風伝峠でわざわざ車を停めてまで応援してくれたおじちゃんやお兄さん、傘をくれたじいちゃん。心の底から感謝している。

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