活動データ
タイム
23:38
距離
26.4km
のぼり
2498m
くだり
2497m
活動詳細
すべて見る2022の山始めも、昨年に引き続き南アルプスの仙丈ヶ岳へ。 稜線手前のラッセルに備え、今回は4人でトライ。 6時過ぎ柏木登山口駐車場に到着。 すでにうっすら積雪があり、途中凍結もあって緊張しつつ運転したが、2駆でも大丈夫でした。 車は三台ほど、、、あまり多くない。 明るくなってきた頃、スタート。 序盤は林道多めで、緩やかな道だが、長い。 林道の終わりで、スノーシューを履いたソロの男性とすれ違い、2600mの稜線手前でラッセルが厳しく撤退したとお聞きする。 昨年ラッセルで苦労したところと同じみたいで、吹き溜まりになるところなのだろう。 今年は四人いるしと思うが、ここまででも去年より雪が多いことを少し不安に思った。 松峰小屋分岐までは斜度も緩く、トレースもはっきりで問題なかったが、それ以降は急なところも多い。 2400m付近はアップダウンの繰り返しで、中々標高が上がらない。 アップダウンが一段落したころには雪も増え、斜面も急になってきた。 トレースも道から足跡になってきた頃、男女の二人組とすれ違う。 やはりラッセルが大変で、撤退されるとのこと。 この時点で楽には登れないと知るが、仙丈小屋は入り口が高く埋もれることはなく広いと聞いていたので、4人では座るのもキツイ小さいツエルトはあるがテントがない。 撤退となると松峰小屋まで戻ることになり、かなり時間がかかり暗くなる上に、狭い小屋がいっぱいの可能性も。 相談し、とりあえずラッセルで行けるとこまで行ってみようということになる。 これが、地獄の幕開けだった😂 代わる代わる先頭に立ちラッセルするが、思った以上に雪が深く、中々進まない。 苦戦する中、先程すれ違ったお二人が戻って来られ、大きな戦力となってくれた。 しかし、斜度はどんどん急になり、雪の深さは胸まで届く。 時々さらに深みに嵌まって抜けなくなり、先頭交代、そこを避けて進むがまた嵌まる、、、そんな状況でどんどん時間が過ぎてしまう。 なんとか稜線にたどり着いた時には、薄暗くなっていた。 撤退するかとも考えるが、去年は稜線上は雪が風で飛ばされ深くなく、ラッセルはほぼなかったこともあり、松峰小屋に戻るより仙丈小屋へ向かう方がコースタイムも格段に短く、早い気がした。 他の皆もそう思っているようで、稜線手前で防寒を整え、すっかり暗くなった稜線を歩きだした。 これが、更なる地獄の始まりだった。 当たり前のように全くトレースはなく、真っ暗な稜線をわずかにヘッドランプの明かりで見える地形やGPSを頼りに歩くのは、本当に不安で。 相談しつつ先頭を交代しながら登っていくが、雪は稜線手前より格段に浅くなったのに、順調とはほど遠い。 風もだんだん強くなり、雪も舞い始めてしまう。 後半は、usuhaさんがメインで先導してくれ、なんとか小屋への斜面と思われる所を降り始めるが、稜線からさほど遠くないはずの小屋が全く見えない。 極寒で、スマホも一台一台落ちていく。 しかし、もう撤退する余力もなく、生き残るには仙丈小屋にたどり着くしかない。 そんな中、急な段差を乗り越えた時に背中が斜面に当たり、何かが飛んでいってしまったが、強風真っ暗な中、確認することも出来ず、そのまま降りる。 時折前後のヘッドランプを確認していたが、カールを降りてる途中で前を歩く人たちと後ろの人たちとの距離がかなり離れてしまっていることに気がつき立ち止まる。 辛うじて後続のヘッドランプが確認出来たので声をかけ、私とusuhaさんはそこで待ち、男女の二人組の方々が明かりが見える範囲で先行し、小屋を探すことになった。 しかし、後続の二人が全然動かない。 ひょっとして、低体温症や疲労で動けなくなってしまったのだろうかと、嫌な想像をしてしまい、遭難の文字が頭を埋め尽くす。 上から見える位置をライトで照らしながら、どうしよう、全然動かないよ😭と言った言葉は、ほとんど泣き声になっていた。 小屋が発見出来ない状況で荷物をデポして登り返すのは、荷物を失う危険があり出来ない。 かといって、荷物を担いだまま登り返すのは厳しい上に成人男性を担ぐことも出来ないだろう。 お願い、動いてと祈るように呟いた時、ようやくヘッドランプが動き始める。 しかし、ほっとした瞬間、一つのヘッドランプが流れ星のように落ちてきた、、、滑落❗ 一瞬心臓が止まった気がしたが、幸いカールの底辺近くだったため、10mほどで自然に停止し、怪我もなかったようだ。 結果として早く合流出来たのは、運がよかった。 どうもアイゼンの不具合で、ハズレてしまったらしい。 不幸中の幸いで4人揃って、先行したお二人の方へ進むが、立ち止まっている。 どうしたのかとお聞きすると、寒さでスマホが落ちて、進む方向が分からなくなったとのこと。 私のスマホも、カイロ貼ってポケットに入れていたが、立ち上がらない💦 頼むと思いながら、誰かスマホ生きてる❓️と大きな声を出すと、usuhaさんが私の見れる❗と。 急いで確認してもらうと、もうほぼ着いていて見えてもおかしくないとのこと。 あの辺と言われた所に誰かがライトを向けると、突如目の前に小屋が浮かび上がった。 本当に近かったのに、全く気がつかなかった。 小屋近くで遭難するって、こんなかなと視界が悪い危険を思い知る。 でも、とにかく、小屋だ、着いた、よかった、生きてる、全員いる、助かった、よかったあああ~😭 転がるように小屋に入り、荷物を降ろし、シュラフに入って壁にもたれて座り込む。 色々な状況や感情、後悔が渦巻き、疲労、そして何よりほっとして、暫く動けなかった。 その後マットがないことに気づいて、段差で飛ばされたのはそれだったか⤵️とガックリしたり、トイレが雪で埋もれていたり、細かいトラブルはあったが、無理やり夕食を食べて、長い長い1日が、なんとかギリギリ無事に終わった。 銀マットだけなので身体の床側が寒いし、強風のスゴイ音がずっとしていて中々寝付くことが出来なかったが、知らないうちにうとうとはしていた。 翌日は早出は止めて明るくなってから行動しようと決めていたので、目覚ましもかけなかったが、6時頃目が覚める。 ノロノロと食事の準備をしていたら、明るくなってきて、JunJunさんのモルゲン、スゴイよ!という声がした。 小屋の外のデッキに出て見ると、目の前に朝焼けに染まる甲斐駒ヶ岳がどん! 暁の空や山並みが美しい。 快晴の天気に元気をもらって、準備をし、8時過ぎに仙丈小屋を出発。 カールの底部から稜線まで結構な急登で、強風、さらさらと崩れやすい雪も合わさり、朝から楽ではないが、真っ暗な中急なカールを行先も見えないまま降りた昨日に比べれば、天国。 青い空の下、シュカブラや雪煙の白が映える。 低温強風のためさほど沈まず、ラッセルもほとんどなく、ほどなく稜線まで戻る。 稜線に出ると風は少し弱くなり、時間も遅いのですでに山頂へのトレースも出来ている。 ここからは、苦難の末のビクトリー・ロード。 はっきりと見える山頂へ向かって歩を進め、8:45頃、無事?仙丈ヶ岳に登頂。 山頂からは富士山・北岳・間ノ岳の1,2,3に甲斐駒ヶ岳、鳳凰山、中央アルプス、八ヶ岳、南アルプス南部の山々、大仙丈ヶ岳等錚々たる山々が、真っ青な空の下、白く輝いていた。 その景色を見ていると、なんだか色々なものがこみ上げてくる。 厳冬の3000m峰を甘く見ていたり、準備不足だったり、的確な撤退判断が出来なかったり、ラッセル力やルーファイ力も足りなかったし、ダメなところばかりだったけど、誰一人怪我もなく一緒に山頂に立ち、この素晴らしい景色を見ることが出来て、本当によかった。 後少し運や条件が悪ければ、誰か一人でも体力や気力が尽きていたら、遭難していた。 厳冬期の3000m級の雪山において、それはほぼ死を意味する。 今回の経験を、今後より安全に登山を続けていく糧としなければいけない。 いつまでも眺めていたい景色だったが、帰りも長いので下山開始。 昨日あんなに苦労した稜線も、明るくてトレースもあれば、気持ちいい稜線歩きになる。 さくさく進み、昨日さ迷った跡が残っているトレースや、激闘ラッセルの結果の深い溝を感慨深く思いながら通過する。 樹林に入ってからも、長いアップダウンや林道歩きに気力と体力を奪われながら、なんとか明るいうちに下山出来た。 昨年も同時期に登った、南の女王様・仙丈ヶ岳。 しかし昨年を大きく上回る積雪で稜線手前で胸ラッセルとなり、同行の4人に助っ人2人の6人で協力しなんとか稜線に到着するも、辿りついた時には日が落ちてしまった。 暗闇の中強風・極寒の3000m近い稜線を歩くという、過酷な状況になり、はっきり言って遭難一歩手前。 なんとかぎりぎり小屋にたどり着き、翌日は青空の下で登頂、素晴らしい景色を見ることが出来たものの、反省の多い山行になりました。 しかし苦難の後に仙丈ヶ岳山頂から眺めた絶景は、一際美しく、忘れられないものになりました。 6人の誰か一人でもいなければ、到達出来なかった山頂だったと思います。 usuhaさん、JunJunさん、タカタカさん、そして一緒にラッセルしてくださったお二人、本当にありがとうございました。 お疲れ様でした! 遅くなりましたが、明けましておめでとうございます🎍 今年もよろしくお願いいたします🐅
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