厳冬の仙丈ヶ岳~遭難備忘録にならなくてよかったあー😂

2022.01.02(日) 2 DAYS

チェックポイント

DAY 1
合計時間
15 時間 10
休憩時間
5 時間 30
距離
12.8 km
のぼり / くだり
2049 / 318 m
3 2
9 57
DAY 2
合計時間
8 時間 27
休憩時間
1 時間 47
距離
13.6 km
のぼり / くだり
449 / 2177 m
7 27

活動詳細

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2022の山始めも、昨年に引き続き南アルプスの仙丈ヶ岳へ。 稜線手前のラッセルに備え、今回は4人でトライ。 6時過ぎ柏木登山口駐車場に到着。 すでにうっすら積雪があり、途中凍結もあって緊張しつつ運転したが、2駆でも大丈夫でした。 車は三台ほど、、、あまり多くない。 明るくなってきた頃、スタート。 序盤は林道多めで、緩やかな道だが、長い。 林道の終わりで、スノーシューを履いたソロの男性とすれ違い、2600mの稜線手前でラッセルが厳しく撤退したとお聞きする。 昨年ラッセルで苦労したところと同じみたいで、吹き溜まりになるところなのだろう。 今年は四人いるしと思うが、ここまででも去年より雪が多いことを少し不安に思った。 松峰小屋分岐までは斜度も緩く、トレースもはっきりで問題なかったが、それ以降は急なところも多い。 2400m付近はアップダウンの繰り返しで、中々標高が上がらない。 アップダウンが一段落したころには雪も増え、斜面も急になってきた。 トレースも道から足跡になってきた頃、男女の二人組とすれ違う。 やはりラッセルが大変で、撤退されるとのこと。 この時点で楽には登れないと知るが、仙丈小屋は入り口が高く埋もれることはなく広いと聞いていたので、4人では座るのもキツイ小さいツエルトはあるがテントがない。 撤退となると松峰小屋まで戻ることになり、かなり時間がかかり暗くなる上に、狭い小屋がいっぱいの可能性も。 相談し、とりあえずラッセルで行けるとこまで行ってみようということになる。 これが、地獄の幕開けだった😂 代わる代わる先頭に立ちラッセルするが、思った以上に雪が深く、中々進まない。 苦戦する中、先程すれ違ったお二人が戻って来られ、大きな戦力となってくれた。 しかし、斜度はどんどん急になり、雪の深さは胸まで届く。 時々さらに深みに嵌まって抜けなくなり、先頭交代、そこを避けて進むがまた嵌まる、、、そんな状況でどんどん時間が過ぎてしまう。 なんとか稜線にたどり着いた時には、薄暗くなっていた。 撤退するかとも考えるが、去年は稜線上は雪が風で飛ばされ深くなく、ラッセルはほぼなかったこともあり、松峰小屋に戻るより仙丈小屋へ向かう方がコースタイムも格段に短く、早い気がした。 他の皆もそう思っているようで、稜線手前で防寒を整え、すっかり暗くなった稜線を歩きだした。 これが、更なる地獄の始まりだった。 当たり前のように全くトレースはなく、真っ暗な稜線をわずかにヘッドランプの明かりで見える地形やGPSを頼りに歩くのは、本当に不安で。 相談しつつ先頭を交代しながら登っていくが、雪は稜線手前より格段に浅くなったのに、順調とはほど遠い。 風もだんだん強くなり、雪も舞い始めてしまう。 後半は、usuhaさんがメインで先導してくれ、なんとか小屋への斜面と思われる所を降り始めるが、稜線からさほど遠くないはずの小屋が全く見えない。 極寒で、スマホも一台一台落ちていく。 しかし、もう撤退する余力もなく、生き残るには仙丈小屋にたどり着くしかない。 そんな中、急な段差を乗り越えた時に背中が斜面に当たり、何かが飛んでいってしまったが、強風真っ暗な中、確認することも出来ず、そのまま降りる。 時折前後のヘッドランプを確認していたが、カールを降りてる途中で前を歩く人たちと後ろの人たちとの距離がかなり離れてしまっていることに気がつき立ち止まる。 辛うじて後続のヘッドランプが確認出来たので声をかけ、私とusuhaさんはそこで待ち、男女の二人組の方々が明かりが見える範囲で先行し、小屋を探すことになった。 しかし、後続の二人が全然動かない。 ひょっとして、低体温症や疲労で動けなくなってしまったのだろうかと、嫌な想像をしてしまい、遭難の文字が頭を埋め尽くす。 上から見える位置をライトで照らしながら、どうしよう、全然動かないよ😭と言った言葉は、ほとんど泣き声になっていた。 小屋が発見出来ない状況で荷物をデポして登り返すのは、荷物を失う危険があり出来ない。 かといって、荷物を担いだまま登り返すのは厳しい上に成人男性を担ぐことも出来ないだろう。 お願い、動いてと祈るように呟いた時、ようやくヘッドランプが動き始める。 しかし、ほっとした瞬間、一つのヘッドランプが流れ星のように落ちてきた、、、滑落❗ 一瞬心臓が止まった気がしたが、幸いカールの底辺近くだったため、10mほどで自然に停止し、怪我もなかったようだ。 結果として早く合流出来たのは、運がよかった。 どうもアイゼンの不具合で、ハズレてしまったらしい。 不幸中の幸いで4人揃って、先行したお二人の方へ進むが、立ち止まっている。 どうしたのかとお聞きすると、寒さでスマホが落ちて、進む方向が分からなくなったとのこと。 私のスマホも、カイロ貼ってポケットに入れていたが、立ち上がらない💦 頼むと思いながら、誰かスマホ生きてる❓️と大きな声を出すと、usuhaさんが私の見れる❗と。 急いで確認してもらうと、もうほぼ着いていて見えてもおかしくないとのこと。 あの辺と言われた所に誰かがライトを向けると、突如目の前に小屋が浮かび上がった。 本当に近かったのに、全く気がつかなかった。 小屋近くで遭難するって、こんなかなと視界が悪い危険を思い知る。 でも、とにかく、小屋だ、着いた、よかった、生きてる、全員いる、助かった、よかったあああ~😭 転がるように小屋に入り、荷物を降ろし、シュラフに入って壁にもたれて座り込む。 色々な状況や感情、後悔が渦巻き、疲労、そして何よりほっとして、暫く動けなかった。 その後マットがないことに気づいて、段差で飛ばされたのはそれだったか⤵️とガックリしたり、トイレが雪で埋もれていたり、細かいトラブルはあったが、無理やり夕食を食べて、長い長い1日が、なんとかギリギリ無事に終わった。 銀マットだけなので身体の床側が寒いし、強風のスゴイ音がずっとしていて中々寝付くことが出来なかったが、知らないうちにうとうとはしていた。 翌日は早出は止めて明るくなってから行動しようと決めていたので、目覚ましもかけなかったが、6時頃目が覚める。 ノロノロと食事の準備をしていたら、明るくなってきて、JunJunさんのモルゲン、スゴイよ!という声がした。 小屋の外のデッキに出て見ると、目の前に朝焼けに染まる甲斐駒ヶ岳がどん! 暁の空や山並みが美しい。 快晴の天気に元気をもらって、準備をし、8時過ぎに仙丈小屋を出発。 カールの底部から稜線まで結構な急登で、強風、さらさらと崩れやすい雪も合わさり、朝から楽ではないが、真っ暗な中急なカールを行先も見えないまま降りた昨日に比べれば、天国。 青い空の下、シュカブラや雪煙の白が映える。 低温強風のためさほど沈まず、ラッセルもほとんどなく、ほどなく稜線まで戻る。 稜線に出ると風は少し弱くなり、時間も遅いのですでに山頂へのトレースも出来ている。 ここからは、苦難の末のビクトリー・ロード。 はっきりと見える山頂へ向かって歩を進め、8:45頃、無事?仙丈ヶ岳に登頂。 山頂からは富士山・北岳・間ノ岳の1,2,3に甲斐駒ヶ岳、鳳凰山、中央アルプス、八ヶ岳、南アルプス南部の山々、大仙丈ヶ岳等錚々たる山々が、真っ青な空の下、白く輝いていた。 その景色を見ていると、なんだか色々なものがこみ上げてくる。 厳冬の3000m峰を甘く見ていたり、準備不足だったり、的確な撤退判断が出来なかったり、ラッセル力やルーファイ力も足りなかったし、ダメなところばかりだったけど、誰一人怪我もなく一緒に山頂に立ち、この素晴らしい景色を見ることが出来て、本当によかった。 後少し運や条件が悪ければ、誰か一人でも体力や気力が尽きていたら、遭難していた。 厳冬期の3000m級の雪山において、それはほぼ死を意味する。 今回の経験を、今後より安全に登山を続けていく糧としなければいけない。 いつまでも眺めていたい景色だったが、帰りも長いので下山開始。 昨日あんなに苦労した稜線も、明るくてトレースもあれば、気持ちいい稜線歩きになる。 さくさく進み、昨日さ迷った跡が残っているトレースや、激闘ラッセルの結果の深い溝を感慨深く思いながら通過する。 樹林に入ってからも、長いアップダウンや林道歩きに気力と体力を奪われながら、なんとか明るいうちに下山出来た。 昨年も同時期に登った、南の女王様・仙丈ヶ岳。 しかし昨年を大きく上回る積雪で稜線手前で胸ラッセルとなり、同行の4人に助っ人2人の6人で協力しなんとか稜線に到着するも、辿りついた時には日が落ちてしまった。 暗闇の中強風・極寒の3000m近い稜線を歩くという、過酷な状況になり、はっきり言って遭難一歩手前。 なんとかぎりぎり小屋にたどり着き、翌日は青空の下で登頂、素晴らしい景色を見ることが出来たものの、反省の多い山行になりました。 しかし苦難の後に仙丈ヶ岳山頂から眺めた絶景は、一際美しく、忘れられないものになりました。 6人の誰か一人でもいなければ、到達出来なかった山頂だったと思います。 usuhaさん、JunJunさん、タカタカさん、そして一緒にラッセルしてくださったお二人、本当にありがとうございました。 お疲れ様でした! 遅くなりましたが、明けましておめでとうございます🎍 今年もよろしくお願いいたします🐅

仙丈ヶ岳・伊那荒倉岳 6時頃柏木登山口到着。
10台位の狭い駐車場には、3台ほど停まっていた。
去年は全く雪が無かったのに、うっすらと雪が。
簡易トイレ、水場あり。
明るくなってきた頃、スタート。
6時頃柏木登山口到着。 10台位の狭い駐車場には、3台ほど停まっていた。 去年は全く雪が無かったのに、うっすらと雪が。 簡易トイレ、水場あり。 明るくなってきた頃、スタート。
仙丈ヶ岳・伊那荒倉岳 途中にある、孝行猿の遺跡。
途中にある、孝行猿の遺跡。
仙丈ヶ岳・伊那荒倉岳 林道を歩いたり、登山道を歩いたりしながら、緩やかに標高を上げていく。
林道を歩いたり、登山道を歩いたりしながら、緩やかに標高を上げていく。
仙丈ヶ岳・伊那荒倉岳 林道歩きが長い。
林道歩きが長い。
仙丈ヶ岳・伊那荒倉岳 広いスペースで、休憩。
前回稜線手前でラッセルだったので、姑息に人数を増やそうと頼もしい三人を召喚。
しかし、避難小屋泊まりとはいえ、荷物は夏のテント泊より重い。
その重さに負け、仙丈小屋は入り口が高くて埋もれることはないし広いとのこともあり、小さいツエルトは持ってきたがテントは持ってこなかった。
これが後ほどの地獄への入り口だったことには、まだ気が付いていなかった、、、。
広いスペースで、休憩。 前回稜線手前でラッセルだったので、姑息に人数を増やそうと頼もしい三人を召喚。 しかし、避難小屋泊まりとはいえ、荷物は夏のテント泊より重い。 その重さに負け、仙丈小屋は入り口が高くて埋もれることはないし広いとのこともあり、小さいツエルトは持ってきたがテントは持ってこなかった。 これが後ほどの地獄への入り口だったことには、まだ気が付いていなかった、、、。
仙丈ヶ岳・伊那荒倉岳 樹林が途切れて、中央アルプスがよく見える。
前半の長い樹林歩きで、数少ない展望。
樹林が途切れて、中央アルプスがよく見える。 前半の長い樹林歩きで、数少ない展望。
仙丈ヶ岳・伊那荒倉岳 アイゼンを装着し、先へ。
アイゼンを装着し、先へ。
仙丈ヶ岳・伊那荒倉岳 仙丈ヶ岳は左になっているが、右にもトレースがある。
そっちは廃林道で、結局後ほど合流する。
アップダウンの少なそうな、右へ。
仙丈ヶ岳は左になっているが、右にもトレースがある。 そっちは廃林道で、結局後ほど合流する。 アップダウンの少なそうな、右へ。
仙丈ヶ岳・伊那荒倉岳 確かにアップダウンは少ないが、途中トレースがなく、軽いラッセルに。
確かにアップダウンは少ないが、途中トレースがなく、軽いラッセルに。
仙丈ヶ岳・伊那荒倉岳 山頂が見える。
今の所、いい天気。
山頂が見える。 今の所、いい天気。
仙丈ヶ岳・伊那荒倉岳 林道終盤で、昨日入山したスノーシューを履いた方とすれ違う。
標高2,600m付近で厳しいラッセルとなり、撤退、テン泊したとのこと。
去年も稜線手前はラッセルになったが、スノーシューを履いた健脚そうな男性が撤退、、、少し嫌な予感が。
林道終盤で、昨日入山したスノーシューを履いた方とすれ違う。 標高2,600m付近で厳しいラッセルとなり、撤退、テン泊したとのこと。 去年も稜線手前はラッセルになったが、スノーシューを履いた健脚そうな男性が撤退、、、少し嫌な予感が。
仙丈ヶ岳・伊那荒倉岳 ようやく林道が終わり、登山道になるが前半はトレースがしっかり。
ようやく林道が終わり、登山道になるが前半はトレースがしっかり。
仙丈ヶ岳・伊那荒倉岳 去年泊まった、松峰小屋への分岐。
小屋までは結構下るので、今回は寄らず。
去年泊まった、松峰小屋への分岐。 小屋までは結構下るので、今回は寄らず。
仙丈ヶ岳・伊那荒倉岳 段々雪が増えてくる。
段々雪が増えてくる。
仙丈ヶ岳・伊那荒倉岳 松峰小屋までは緩やかだが、小屋を過ぎると斜度が上がる。
松峰小屋までは緩やかだが、小屋を過ぎると斜度が上がる。
仙丈ヶ岳・伊那荒倉岳 樹林の間から、甲斐駒?
樹林の間から、甲斐駒?
仙丈ヶ岳・伊那荒倉岳 結構急になってくるが、標高2400m付近はアップダウンの繰り返しで、中々標高が上がらない。
結構急になってくるが、標高2400m付近はアップダウンの繰り返しで、中々標高が上がらない。
仙丈ヶ岳・伊那荒倉岳 地蔵岳の奥の中央アルプスには、雲がかかってきた。
地蔵岳の奥の中央アルプスには、雲がかかってきた。
仙丈ヶ岳・伊那荒倉岳 北岳方面も、同様。
北岳方面も、同様。
仙丈ヶ岳・伊那荒倉岳 甲斐駒方面。
甲斐駒方面。
仙丈ヶ岳・伊那荒倉岳 今いるところはまだ晴れている。
今いるところはまだ晴れている。
仙丈ヶ岳・伊那荒倉岳 松峰小屋~稜線手前の急斜面の前の標高2400m位に、所々テントを張れそうな所あり。
松峰小屋~稜線手前の急斜面の前の標高2400m位に、所々テントを張れそうな所あり。
仙丈ヶ岳・伊那荒倉岳 雪が深くなるにつれ、トレースが道から足跡になってきた。
2600m付近で、男女二人組が引き返してこられ、激ラッセルで撤退してきたとのこと。
どうするか悩むが、松峰小屋まで帰るにも時間がかかるので、やれるとこまでラッセルしてみることに。
雪が深くなるにつれ、トレースが道から足跡になってきた。 2600m付近で、男女二人組が引き返してこられ、激ラッセルで撤退してきたとのこと。 どうするか悩むが、松峰小屋まで帰るにも時間がかかるので、やれるとこまでラッセルしてみることに。
仙丈ヶ岳・伊那荒倉岳 そして、トレースが途切れ、ラッセル開始。
そして、トレースが途切れ、ラッセル開始。
仙丈ヶ岳・伊那荒倉岳 深いし、数日たった雪なので、やや重い。
そして、この荷物、キツイ!
深いし、数日たった雪なので、やや重い。 そして、この荷物、キツイ!
仙丈ヶ岳・伊那荒倉岳 4人で回していたら、先ほどすれ違ったお二人が戻って来られ、6人で頑張ることに。
4人で回していたら、先ほどすれ違ったお二人が戻って来られ、6人で頑張ることに。
仙丈ヶ岳・伊那荒倉岳 しかし、斜度は段々上がり、雪はどんどん深くなる。
見上げれば稜線が見えているのに、遅々として進まない。
しかし、斜度は段々上がり、雪はどんどん深くなる。 見上げれば稜線が見えているのに、遅々として進まない。
仙丈ヶ岳・伊那荒倉岳 腰ラッセルから、
腰ラッセルから、
仙丈ヶ岳・伊那荒倉岳 仕舞いには、胸ラッセルになってしまう。
ラッセルは、股より上になると直接膝で押さえることも出来なくなり、各段に進まなくなる。
重い荷物で肩が痛くなっていて、ピッケルで雪をまず落とすのがキツイ。
その上時々落とし穴のような深い所に嵌って抜けなくなり先頭交代、嵌った所を避けて次が進むが、また嵌って交代となり、蛇行していくトレース。
サラサラした雪で固まらず、二番手三番手でも一般的なレベルのラッセルをしている状態。
仕舞いには、胸ラッセルになってしまう。 ラッセルは、股より上になると直接膝で押さえることも出来なくなり、各段に進まなくなる。 重い荷物で肩が痛くなっていて、ピッケルで雪をまず落とすのがキツイ。 その上時々落とし穴のような深い所に嵌って抜けなくなり先頭交代、嵌った所を避けて次が進むが、また嵌って交代となり、蛇行していくトレース。 サラサラした雪で固まらず、二番手三番手でも一般的なレベルのラッセルをしている状態。
仙丈ヶ岳・伊那荒倉岳 本来なら30分もかからない稜線まで、二時間ほどかかってしまい、段々暗くなってきてしまった。
この時点で撤退した方がいいかもしれないと思ったが、その場合テントを持ってこなかったので松峰小屋に戻るしかない。
しかし、松峰小屋まで3時間位はかかり、狭い小屋が空いていない可能性もある。
稜線に出れば雪は浅くなるはずで、仙丈小屋へ行った方が早いと考えてしまった。
本来、暗くなってからトレースのない厳冬期の3000m近い稜線を歩くことはしてはならないのに、十分な準備をしてこなかったことが、選択肢を狭めてしまった。
本来なら30分もかからない稜線まで、二時間ほどかかってしまい、段々暗くなってきてしまった。 この時点で撤退した方がいいかもしれないと思ったが、その場合テントを持ってこなかったので松峰小屋に戻るしかない。 しかし、松峰小屋まで3時間位はかかり、狭い小屋が空いていない可能性もある。 稜線に出れば雪は浅くなるはずで、仙丈小屋へ行った方が早いと考えてしまった。 本来、暗くなってからトレースのない厳冬期の3000m近い稜線を歩くことはしてはならないのに、十分な準備をしてこなかったことが、選択肢を狭めてしまった。
仙丈ヶ岳・伊那荒倉岳 合流したお二人の素晴らしいラッセル力もあり、真っ暗になる直前に、稜線に到達。
合流したお二人の素晴らしいラッセル力もあり、真っ暗になる直前に、稜線に到達。
仙丈ヶ岳・伊那荒倉岳 後続の人たちを見下ろすと、かなりの急斜面。
この急な斜面の胸ラッセル、四人だったらここまでたどり着けなかっただろう。
後続の人たちを見下ろすと、かなりの急斜面。 この急な斜面の胸ラッセル、四人だったらここまでたどり着けなかっただろう。
仙丈ヶ岳・伊那荒倉岳 だが、試練はまだこれからだった。
ハードシェルの下にダウンを着こみ、バラクラバやゴーグルを装備して寒さ対策をしている間に辺りはすっかり、真っ暗。
ヘッドランプを点けて、強風の中極寒の稜線を歩くという、地獄の続きが始まった。
だが、試練はまだこれからだった。 ハードシェルの下にダウンを着こみ、バラクラバやゴーグルを装備して寒さ対策をしている間に辺りはすっかり、真っ暗。 ヘッドランプを点けて、強風の中極寒の稜線を歩くという、地獄の続きが始まった。
仙丈ヶ岳・伊那荒倉岳 幸い雪は風で飛ばされ、稜線上は踏み抜いても膝までで深くはなかった。
しかし、真っ暗な中、ヘッドランプを頼りにトレースの全くない稜線をわずかな雪面の変化やGPSを確認しながら進むのは、本当に大変で。
風も段々強くなり雪も降り出し、一台一台寒さでスマホが落ちていく。
遭難の文字が頭を何度も過ぎったが、誰か一人でも諦めれば、そこで本当に死が待っている。
生き残るには、小屋にたどり着くしかない。
相談しながら順番に先頭を歩き、後半は主にusuhaさんが先導してくれて、どうにか小屋の近くまで来ているはずなのに全く見えず、どっちに進めばいいか分からない。
この時点で先行してくれていたお二人のスマホも私のスマホも落ち、祈るような気持ちで、誰かスマホ生きてませんか?と大声を出すと、usuhaさんから私の見れる!と返事が。
確認してもらい、そちらにライトを向けると目の前に小屋が浮かび上がった。
助かった。
皆、生きてる。
よかったああああああ!!!
この時点で、ほぼ19:30。
稜線に出てから、2時間以上が経過していた。
幸い雪は風で飛ばされ、稜線上は踏み抜いても膝までで深くはなかった。 しかし、真っ暗な中、ヘッドランプを頼りにトレースの全くない稜線をわずかな雪面の変化やGPSを確認しながら進むのは、本当に大変で。 風も段々強くなり雪も降り出し、一台一台寒さでスマホが落ちていく。 遭難の文字が頭を何度も過ぎったが、誰か一人でも諦めれば、そこで本当に死が待っている。 生き残るには、小屋にたどり着くしかない。 相談しながら順番に先頭を歩き、後半は主にusuhaさんが先導してくれて、どうにか小屋の近くまで来ているはずなのに全く見えず、どっちに進めばいいか分からない。 この時点で先行してくれていたお二人のスマホも私のスマホも落ち、祈るような気持ちで、誰かスマホ生きてませんか?と大声を出すと、usuhaさんから私の見れる!と返事が。 確認してもらい、そちらにライトを向けると目の前に小屋が浮かび上がった。 助かった。 皆、生きてる。 よかったああああああ!!! この時点で、ほぼ19:30。 稜線に出てから、2時間以上が経過していた。
仙丈ヶ岳・伊那荒倉岳 小屋に着いた後、私のマットが途中段差を越えた時に雪面に引っかかって風で飛ばされ紛失していたり、小屋のトイレが雪で埋もれて使えなかったり、トイレに外に出るのがかなり大変だったり、、、いくらか問題はあったものの、それも生きているからこそ。
全く食欲はなかったが、無理やり少し食べて寝袋にもぐりこんだ。
一晩中スゴイ風の音がしていて、最終日吹雪いたらどうしようと不安に思いつつ、朝を迎えた。
相変わらず風の音は激しかったが、小屋のデッキに出てみると、
小屋に着いた後、私のマットが途中段差を越えた時に雪面に引っかかって風で飛ばされ紛失していたり、小屋のトイレが雪で埋もれて使えなかったり、トイレに外に出るのがかなり大変だったり、、、いくらか問題はあったものの、それも生きているからこそ。 全く食欲はなかったが、無理やり少し食べて寝袋にもぐりこんだ。 一晩中スゴイ風の音がしていて、最終日吹雪いたらどうしようと不安に思いつつ、朝を迎えた。 相変わらず風の音は激しかったが、小屋のデッキに出てみると、
仙丈ヶ岳・伊那荒倉岳 目の前には、朝日に赤く染まる甲斐駒ヶ岳や鋸岳、八ヶ岳が。
目の前には、朝日に赤く染まる甲斐駒ヶ岳や鋸岳、八ヶ岳が。
仙丈ヶ岳・伊那荒倉岳 甲斐駒ヶ岳。
甲斐駒ヶ岳。
仙丈ヶ岳・伊那荒倉岳 鋸岳に、赤く染まった空。
鋸岳に、赤く染まった空。
仙丈ヶ岳・伊那荒倉岳 奥には、八ヶ岳も。
ああ、綺麗だ、生きててよかったと改めて思う。
奥には、八ヶ岳も。 ああ、綺麗だ、生きててよかったと改めて思う。
仙丈ヶ岳・伊那荒倉岳 疲れもあって、早く起きる気にもならず、準備が整って出発したのは、8時過ぎ。
仙丈小屋はカールの底部にあり、まずは稜線まで登り返さないといけないが、結構な急斜面。
疲れもあって、早く起きる気にもならず、準備が整って出発したのは、8時過ぎ。 仙丈小屋はカールの底部にあり、まずは稜線まで登り返さないといけないが、結構な急斜面。
仙丈ヶ岳・伊那荒倉岳 快晴だが風はかなり強く、雪煙が舞っている。
快晴だが風はかなり強く、雪煙が舞っている。
仙丈ヶ岳・伊那荒倉岳 ステップになりにくく崩れやすい雪と強風、急斜面で朝から楽ではない。
だが、さほど沈まないし、何より視界良好!
ステップになりにくく崩れやすい雪と強風、急斜面で朝から楽ではない。 だが、さほど沈まないし、何より視界良好!
仙丈ヶ岳・伊那荒倉岳 振り向けばこの景色で、昨日に比べれば、天国。
振り向けばこの景色で、昨日に比べれば、天国。
仙丈ヶ岳・伊那荒倉岳 無事、稜線に到着。
無事、稜線に到着。
仙丈ヶ岳・伊那荒倉岳 山頂が、はっきり。
出発が遅かったので、すでにトレースも出来ている。
ここからは、ビクトリー・ロード!
山頂が、はっきり。 出発が遅かったので、すでにトレースも出来ている。 ここからは、ビクトリー・ロード!
仙丈ヶ岳・伊那荒倉岳 稜線に登ると、大仙丈ヶ岳への稜線が見える。
稜線に登ると、大仙丈ヶ岳への稜線が見える。
仙丈ヶ岳・伊那荒倉岳 振り向けば、中央アルプス。
振り向けば、中央アルプス。
仙丈ヶ岳・伊那荒倉岳 甲斐駒ヶ岳に八ヶ岳。
甲斐駒ヶ岳に八ヶ岳。
仙丈ヶ岳・伊那荒倉岳 絶景を眺めながら、山頂へ向かう。
絶景を眺めながら、山頂へ向かう。
仙丈ヶ岳・伊那荒倉岳 そして、無事登頂!
そして、無事登頂!
仙丈ヶ岳・伊那荒倉岳 今回大活躍だった、usuhaさんと。
今回大活躍だった、usuhaさんと。
仙丈ヶ岳・伊那荒倉岳 JunJunさん、タカタカさんと。
本当にそろって登頂出来て、よかった。
JunJunさん、タカタカさんと。 本当にそろって登頂出来て、よかった。
仙丈ヶ岳・伊那荒倉岳 奥に進めば、富士山、北岳、間ノ岳の1,2,3がそろい踏み。
奥に進めば、富士山、北岳、間ノ岳の1,2,3がそろい踏み。
仙丈ヶ岳・伊那荒倉岳 その左手には、鳳凰。
その左手には、鳳凰。
仙丈ヶ岳・伊那荒倉岳 さらに左には甲斐駒ヶ岳に鋸岳、奥に八ヶ岳。
さらに左には甲斐駒ヶ岳に鋸岳、奥に八ヶ岳。
仙丈ヶ岳・伊那荒倉岳 鳳凰と甲斐駒の奥は、金峰や瑞牆、甲武信ヶ岳。
鳳凰と甲斐駒の奥は、金峰や瑞牆、甲武信ヶ岳。
仙丈ヶ岳・伊那荒倉岳 逆サイドには、大仙丈ヶ岳。
逆サイドには、大仙丈ヶ岳。
仙丈ヶ岳・伊那荒倉岳 その奥は、塩見や悪沢、赤石、聖、光の南アルプス南部の山々。
その奥は、塩見や悪沢、赤石、聖、光の南アルプス南部の山々。
仙丈ヶ岳・伊那荒倉岳 中央アルプス。
中央アルプス。
仙丈ヶ岳・伊那荒倉岳 風は強いが、文句なしの快晴!
最高のご褒美です。
風は強いが、文句なしの快晴! 最高のご褒美です。
仙丈ヶ岳・伊那荒倉岳 仙丈小屋、今見ると稜線からすぐなのに、昨日は永遠に着かないように思った。
仙丈小屋、今見ると稜線からすぐなのに、昨日は永遠に着かないように思った。
仙丈ヶ岳・伊那荒倉岳 反省点は山ほどあるが、皆で死ぬほど頑張って、無事この看板を見ることが出来て本当によかった。
反省点は山ほどあるが、皆で死ぬほど頑張って、無事この看板を見ることが出来て本当によかった。
仙丈ヶ岳・伊那荒倉岳 さて、帰りも長いので、名残惜しいが下山開始。
さて、帰りも長いので、名残惜しいが下山開始。
仙丈ヶ岳・伊那荒倉岳 下山は、中央アルプスに向かって降りていく感じがする。
下山は、中央アルプスに向かって降りていく感じがする。
仙丈ヶ岳・伊那荒倉岳 振り向けば、山頂と比喩ではなく生死を共にした、仲間たち。
振り向けば、山頂と比喩ではなく生死を共にした、仲間たち。
仙丈ヶ岳・伊那荒倉岳 昨日暗闇の中辿った道を、降りていく。
別の道のように、問題なく歩いて行ける。
昨日暗闇の中辿った道を、降りていく。 別の道のように、問題なく歩いて行ける。
仙丈ヶ岳・伊那荒倉岳 眺望も、素晴らしい。
眺望も、素晴らしい。
仙丈ヶ岳・伊那荒倉岳 昨日迷った後が、トレースとして残っている。
本当に同じ山でも、天気や時間、雪によって難度は全然違う。
分かっていたつもりなのに、まだまだ甘かった。
昨日迷った後が、トレースとして残っている。 本当に同じ山でも、天気や時間、雪によって難度は全然違う。 分かっていたつもりなのに、まだまだ甘かった。
仙丈ヶ岳・伊那荒倉岳 昨日激闘したラッセル跡に到着。
昨日激闘したラッセル跡に到着。
仙丈ヶ岳・伊那荒倉岳 深い溝になっているが、風で飛ばされるのか雪がある程度また上に積もっていた。
深い溝になっているが、風で飛ばされるのか雪がある程度また上に積もっていた。
仙丈ヶ岳・伊那荒倉岳 結構多い登り返しにヘコタレ、
結構多い登り返しにヘコタレ、
仙丈ヶ岳・伊那荒倉岳 中々標高が下がらない、長い長い下山に苦しみながら、
中々標高が下がらない、長い長い下山に苦しみながら、
仙丈ヶ岳・伊那荒倉岳 無事下山。
無事下山。
仙丈ヶ岳・伊那荒倉岳 今年も、山初めは南アルプス・仙丈ヶ岳。
予想以上の積雪で激ラッセルとなり、暗闇の中極寒強風の3000m近い稜線を歩くというとんでもない状況になってしまいました。
適切な準備や撤退の判断を出来なかったことは、深く反省するべきだと思います。
でも、誰も諦めることなく協力して小屋にたどり着き、翌日快晴の空の下で山頂にたつことが出来ました。
そこから眺めた美しい景色は素晴らしいもので、忘れられない、印象深い二日間になりました。

暫くは、ゆる~く登りたい気分です。
今年も、山初めは南アルプス・仙丈ヶ岳。 予想以上の積雪で激ラッセルとなり、暗闇の中極寒強風の3000m近い稜線を歩くというとんでもない状況になってしまいました。 適切な準備や撤退の判断を出来なかったことは、深く反省するべきだと思います。 でも、誰も諦めることなく協力して小屋にたどり着き、翌日快晴の空の下で山頂にたつことが出来ました。 そこから眺めた美しい景色は素晴らしいもので、忘れられない、印象深い二日間になりました。 暫くは、ゆる~く登りたい気分です。

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