「山を始めてから、世界の美しさを初めて知った」 私が常に思っていて、山に登らない人に山の魅力を説明する際によく口にする言葉。まだ山を知らない若い頃には、日本中をバイクツーリングで回り、あちこちの美しい風景を見てきました。しかし山で出会う美しさとは全く違うものだったと、山を始めてから改めて思います。 さて、今回は有難くも一週間の休暇が貰えたので、一週間で回れる未踏のルートを行きたいなと計画。前から行きたかった裏銀座と読売新道と、さらに車回収するのに起点に戻りたいのとでぐるっと一周。多分あまり一般的じゃないです(笑)。途中で出会ったガイドさんに「変な回り方だなあ」と言われ、船窪テン場で一緒だった人には「車回収のためだけにこっち来てるんですか(笑)」と言われ。でもなかなか良いでしょ。私が健脚上級者だったら、針ノ木谷ルートも検討したのですが、ちょっとそれは無理で断念。 今回は天候にも大変恵まれ、初秋の北アルプスを大満喫。満喫という言葉では足りないくらい、歩いた山も展望も、出会った人にも天気にもおしなべて感謝。これだけ歩ける自分の身体にも感謝。万感胸に迫る山行でした。そして山旅が楽しめるのも、帰る家があるからこそ。有難いことです。 時に厳しく優しく、そしてあまりにも美しい山々。山への讃歌というのは、詰まるところ生命への讃歌ではないのかと思いながら歩いていました。ソロでの山行は、全て一人で山と対峙できるところがやはり魅力。誰かと行く山も勿論楽しいのですが、こればかりは止められません。 山は体力勝負のガチなスポーツですが、それと同時に文学的であり、人を詩人にも哲学者にもさせてくれると思います。とか何とか語っちゃいますが、結論としては、本当に楽しいですよね山!! 1日目:七倉登山口~高瀬ダム(タクシー)~烏帽子岳ピストン(烏帽子岳テン場泊) 2日目:烏帽子岳テン場~野口五郎岳~水晶小屋(水晶小屋泊) 3日目:水晶小屋~水晶岳~赤牛岳~奥黒部ヒュッテ(奥黒部ヒュッテテン場泊) 4日目:奥黒部ヒュッテテン場~平ノ渡~くろよんロッジ(くろよんロッジテン場泊) 5日目:くろよんロッジテン場~黒部ダム~(電気バス)~扇沢~針ノ木岳ピストン(針ノ木岳テン場泊) 6日目:針ノ木岳テン場~蓮華岳~北葛岳~七倉岳~船窪小屋テン場(船窪小屋テン場泊) 7日目:船窪小屋テン場~七倉登山口 注:タクシーと電気バス乗車中もヤマップ起動していたので、速度が速いです。実際に歩いた距離もデータより少ないです。念のため。
七倉山荘から乗り合いタクシー。写真撮り忘れてて、車内乗り込んでから慌てて撮ったらこんな。8人乗りで一人当たり450円。6時からの運行ですが、5時にザックで順番取りして15番目くらいだったかな。
高瀬ダム到着。ここから一週間の山旅開始。ザック20キロが重い。
…頑張ります。
休みたいのは山々ですが、烏帽子岳テン場があまり広くないのとテン泊装備の人にガンガン抜かれて焦りまくりで休めない…。
それにしても、初日の快晴っぷりと言ったらもう!台風一過。
稜線出たかな。雲ひとつない青空。
烏帽子岳に向かいます。
秋が進んでますね。
烏帽子岳!でもあんま烏帽子に見えないなあ。角度かな。
着いた!さすがに人多いです。山頂は岩の上で狭いので譲り合いで。
みなみな大地に立つ!大地じゃなくて岩の上だけど(^^ゞ
滑落中(笑)。これ撮ってくれた人は、滑落中じゃなくてクライミング中でって言ってました♪
四十八池周辺。オススメ。
烏帽子岳まではいっぱい人がいたのですが、ここまで来ると静かで良かった。のんびりお茶してました(サブザックにバーナー携帯♪)。
色合い的に風景に溶け込んでるような。しかし、ブナ立尾根といい、花岡岩の白さといい、燕岳に似てる雰囲気。
こじんまりしたテン場。天気の良い週末だったので結構込んでて張るまでドキドキでした。無事張れて良かったー。
夕焼けをテン場近くの展望台で一人見ていたら、いきなり揺れました。地震?!びっくり。向こうからは落石の音してるし。怖!槍涸沢方面は大分酷かったと聞きましたが、私がいる山域は被害なくて良かったです。山の上にいると情報弱者で辛いですね。
色合いが美しい朝焼け。テン場は小屋近くの上部より、下部の池近くがベスポジって何かで読みました。
今日もいい天気!早い時間帯には前後に割と登山者いたのですが、私が遅くて(あと転んで)この先気付いたら貸し切り状態。
雲海を見下ろす。
クロマメの実が豊作で、パクパク食べながら歩いてました。時期的に熟しててうまー!(国立公園内なのでナイショで!)
野口五郎岳へ。風が強くて寒い。
素晴らしい展望。
どちらに目を向けても素晴らしい。
明日歩く方面ですね!水晶から赤牛。遠いなー長いなー。楽しみ!
実はハイマツの中を歩いてたら枝に気付かず見事に転倒。マンガみたいに両手投げ出して前にバターン!ちょうど岩が多い場所で両膝、特に左膝を強打し、この後ずっと痛くて大変でした。曲げると激痛。でも骨に異常なくて本当に良かった。山旅続行決定。あんまひどかったら扇沢でリタイアかな(扇沢遠いけど)。
白い稜線を行きます。
手作り看板。味があって良いなあ。
野口五郎岳到着。歌手の野口五郎氏の芸名由来として有名。でも私、本人が山好きかと誤解してたら違うんですよねー。山屋プロデューサーの意向なんだって(笑)。黒部五郎と二択候補だったそうな。
独り占めでゆっくり歩いていきます。
絵に描きたくなる道だなあ。さっきからずっと独り占めで勿体ない。みんなに見せたい。
ぐると囲まれた庭みたい。写真だと分かりづらいですが、青い池と紅葉がキレイ。
ぐるっと回って水晶小屋に向かってます。
小屋着いたー!大分ガスってしまい、またスレ違う人もほとんどいなかったので焦りましたが、まだお昼なんですよね。
名物軽食の力汁。甘じょっぱい。お餅2個入り。うまー!
夜明け前真っ暗い中一人で歩いてましたが、向こうにヘッデンの灯りがポツポツ見えて、ああ似たような人が歩いているんだなと。仲間を見つけたみたいで、ちょっとホッとする。
明るくなってきた。
何年ぶりかな、水晶岳山頂。ここから先は初です初!
夜明け前のこの淡い色合いが素敵。
出ました!水晶岳での夜明け。
朝日に照らされた山並みの美しさ。
世界に自分しか歩いていないこの感覚。独り占めの夜明け。感無量でなんとも言えず涙が出てきました。
どこまでも歩けそうな稜線。
高天ヶ原温泉への分岐。「この下に秘温高天ヶ原温泉があるよ」
気温が上がってきました。風も殆どなく登山日和。去年ここを歩く予定が当日は生憎の暴風雨で、水晶小屋まで来たものの仕方なく撤退したのでした。去年無理しなくて本当に良かった。今日最高。
もう秋なので高山植物はほぼなかったのですが、ここの斜面だけ少し残ってました。陽当たりの良くて風のこない南西だからかな。
色んな人に来て見てもらいたいと思う風景。去年北アで会った人は、むしろ来てほしくないと言ってましたが…。私は共感してもらいたいかな。知ることが保護にも繋がると思うし。
赤牛岳着いた!
360度の素晴らしい展望。
昨日あっちから歩いてきたんですねー!歩いたなあ。
槍マークでぱちり。
奥に見える黒部湖に向かってひたすら下ります。
前方に見える赤いザックのおじさん(74歳)、ブナ立尾根からずっと一緒で、抜いたり抜かれたり。50年ぶりに烏帽子岳来たって言ってました。私もあのくらいの年齢になっても歩けていられたら良いな。
ナナマカドの実。あんまり美味しくないみたいだけど、この時期はお花がないので仕方なく雷鳥が食べるそうです。結局一週間も北アルプスにいたのに、雷鳥ちゃんには全く出会いませんでしたがくり。
あの稜線を歩いてきたのね。夢のような稜線でした。
読売新道長い。なんでこんな名前なのかと思っていたら、読売新聞社が北陸支社開設の記念事業の一環として整備したそう。そしてこの看板がなかなか遠くて…長かった…。
大分降りました。ここら辺から山岳展望がなくなり、電波もなくなりました。
いいなー。色のコントラストがキレイ。
植生もこんなになりました。さっきまで屹立する峰の上にいたのにな。
味わい深い手作り階段。
やっとここまで来た!長かったー!本日の読売新道下りは、同時間帯には私入れて4人(遅れてあと3人)。みんなで、なかなか着かないって話してました。因みに登りは一人。…登りたくはないかな…。すごいな。
奥黒部ヒュッテ。登山者の便宜のためだけに営業してる感じです。有難や~。お風呂めっちゃ気持ち良かった!
水だばだば!ここまで水不足で大変だったのにこれ!罰当たりなくらい垂れ流し。今回は水の有難さを実感。普段全然気にしたことないのですが、水って大事。ニュースでアフリカの水問題を聞いても全然実感湧きませんが、今回はしみじみと理解できました。
広いテン場にぽつーん。。。 でもこの後2張り増えました。
中国奥地の山間部に来たかのような橋。
黒部川がキレイ。橋を架けてくれてるのは関電の人なのかな?大変だなあ。
こんなんばっか。雨もぱらついていたので、滑らないように気を付けなきゃ。友達に送ったら「ディズニーのアトラクションにありそう」。リアルアトラクション、ブラボー!
着いた平ノ渡し。でも船が来るの1時間30分後。おやつ食べながら読書タイム。
ギリギリちょうどの時間まで船が来てくれないので、結構ドキドキしながら待ってました。乗客私だけだし。昨夜は奥黒部ヒュッテに2人、テン場に3人いましたが、みんな朝一番6:20の便に乗ったみたい。あの橋を真っ暗い中歩くのはやだなあ。すごいな。
まな板(笑)。数年前までは平の小屋の人が船を運航していて、望遠鏡で対岸を見て、登山者の有無を確認してたそう。今は委託になり、登山者いてもいなくても船は出すそうです。
対岸に渡ったらなんか快適な遊歩道の趣。電波も久しぶりに入りました。
タテヤマアザミかな?大きくて立派。
あ、くろよんロッジ見えた!この日は午後雨予報だったのですが、テント張るまでなんとか持ってくれてラッキーでした。
この看板久しぶり。赤牛からこっち、なんもなかったような…。歩く人少ないもんね。
貸し切り黒部ダム。昨夜黒部観光に黒部ダム始発の電気バスの時間を問い合わせたら、すごい訝しげな対応されました。扇沢じゃなくてダム??みたいな疑念が電話越しにぷんぷん。そりゃそうか。今くろよんロッジにいます、と伝えたら納得されました(笑)。
昨夜の大雨が嘘のような快晴。しかし冷える。室堂は6度だそう。さぶ!
貸し切り黒部ダムをうろうろしてたら、このトンネル奥から扇沢始発でやって来た観光客&登山者が首都圏通勤ラッシュもかくや、と思わせる大群でやってきて驚き!さすが祝日。
そして下りは私の貸し切り電気バス。レアかも。
針ノ木岳登山口。登山指導テントがあったので立ち寄って話をしたら、「一週間の縦走なの?長いなあ。よし、おじさんのオヤツあげよう」と、柿の種とアミノゼリー(高いやつ!)頂いてしまいました。ご馳走さまでしたー!
ブナの森が美しい。太平洋側と日本海側とで、下に生えてる笹の種類が違うそうです。勿論ここは日本海側の特徴で。
奥に向かって登ります。
雪渓はもう通行止め。また夏の始まりの頃に歩きに来たいな。
雪渓の上から吹いてくる風がとても冷たい。こんな谷間でこんな風なんだ。上はヤバいかな。
登ってきたなー!雪渓の下から吹き上げる風が冷たくて寒い!さっきまで雪渓の上から吹き下ろしていたのに何故。
種池山荘が遠くに見えます。扇沢からあっち回る周回もやりたいな。
小屋まで来たらめちゃくちゃ強風!気を付けてテント張ってたら、他の人のテントが空飛んでました!びっくり!!この後奇跡的に回収されました。未確認飛行物体みたい。
針ノ木岳に向かう途中で小屋とテン場を見下ろします。紅葉も良いですね。
ここから爺ヶ岳まで行きたくなっちゃう。
雲近ーい。
あっちから歩いてきたのね私。よく歩いたなあ。こうやって、自分の軌跡を見られるのは楽しい。
針ノ木岳登頂。ちょっとガスが上っちゃいました。
鞍部に小屋があって、その向こうにあるのが蓮華岳。と思ってたけど蓮華岳は手前のピークに隠れて見えないみたい。
深まりいく秋。たまたまお隣のテントは同郷の二人組で、楽しくお話させて頂きました。私が「若い頃はバイクツーリングで、今は山の縦走が楽しい」と話をしたら、「旅が好きなんだね」と言われ小石が胸にストンと落ちた感じがしました。改めて納得。そうか、私は旅が好きなのよね。
睡眠薬切れてから風が強くて眠れず、もういいかと早々に起きて身支度して出発。月が明るい。
夜明けの蓮華岳シルエット。
モンゲンロート。これから12月に向けてどんどん赤みが増すそうです。
あれは私の愛する富士山!写真だととても小さいのですが、拡大してください!
蓮華岳着いた。7月末はコマクサの群生が見事だそうな。見に来たいな。
朝のこの清んだ空気はまた格別。今日も晴れ。
稜線って、ほんと歩きたくなる心をくすぐりますよね!
また来るね~。
昨日のガスと強風が嘘のようないい天気。足取りも軽く…はないけど、楽しい。ここからの下りは、蓮華の大下りと呼ばれてます。
今回は白い山が多いなあ。
蓮華岳から七倉岳まではヤセ尾根で鎖あり。スレ違った人、二人ともヘルメットしてました。
紅葉と岩稜。下が北葛乗越。
拡大すると真ん中辺りに登山者が。さっきまで私が取りついてました。実際歩くより見てる方が怖いかな。
本当に紅葉が良いですね~。
北葛岳到着。とりあえず半分だけど、無事岩場も抜けてやれやれ。荷物重いとどうしても動きづらくて緊張します。
針ノ木岳と蓮華岳一望。
もう、旅の最初からなんですが、どこにカメラ向けても絶景だらけで困っちゃいます。でも、百聞は一見に如かずなんですよね。
北葛岳山頂がもうあんなに遠くに。
船窪小屋見えた!旅も終盤かと思うと感慨もひとしお。ヤセ尾根もあと少し。思ったほど酷くなくて良かった。
七倉岳山頂。後ろに写っているのが先行していた男性。ここで追い付いて、一緒にテン場に行くことに。歳も同じで楽しくお話させてもらいました。
なんかいっぱい書いてある。有名な日本一危険な水場は、崩落してもう使えないそうです。残念。
どこの不思議の国に迷い込んだかと思うこのガスに巻かれた紅葉。
肌寒い空気が写真からも伝わる。
そして美しい。
なんかすごい山肌。
すごい木の枝。普段は風が強くてしかも雪がひどいので、こんなになっちゃうんだろうな。
船窪岳着ーいた。
本当は第二ピークの方が高いのですが、ここから往復2時間かかる上に道が厳しいので、ちょっとだけ覗いて退散。また改めてチャレンジしたい。
黄色や赤や黄緑や緑、混じってるのがキレイ。また一面単色の紅葉も良いよね。
これまた味わい深い看板。周回してきた人が、道がヤバいとかすごい遠かったとか言ってました…。
最終日の朝も快晴。こんなに天気に恵まれた山行も珍しい。
まだうっすら暗くて、青いフィルターを通して世界を見ているよう。
穏やかな朝。
そろそろ槍も見納めかな。
有難うございます。最後まで気を付けて歩かなきゃ。とにかく左膝がもってくれて良かったに尽きます。
ワレモコウ。母が庭に植えたら、葉っぱばかり伸びちゃって全然花が付かないって言ってました。寒い地方の花なんですね。
空気が澄んでいるのか、クッキリしてますよね。それにしても秋ですねえ。
あれは大町ダムの竜神湖かな。戻ってきたなー!
昨日からまたしてもクロマメの実をパクパク。ビタミンC補給!重要!こんなに大量に生えてる山域初めて。
天狗も遊びたくなりますよねー。
北葛岳またね。
槍も今度こそ本当に見納め。
植生がシャクナゲとか松とか、標高降りてます。
鼻付八丁って初めて聞いたかも。大体胸付ですよね。
エビフライいっぱい!まだ青いのに食べるんだ。色合い的にパイナップルみたい。
美しい森まで来ました。あと少しかな。
登山口着いた!ここから七倉山荘駐車場まで戻って終了。我ながらよく歩いたよ、お疲れ様でした!!そして、長ーいテキスト読んで下さったあなた、私と一緒に長い山行有難うございました!