活動データ
タイム
03:35
距離
10.2km
のぼり
112m
くだり
114m
チェックポイント
活動詳細
すべて見る時の都・お江戸からも、天下の往来・東海道からも絶妙に距離が離れており、日々の喧騒から逃れて非日常を感じることのできた「金沢八景」。手軽に風光明媚な景色を楽しみたいなら「金沢八景」一択、「金沢八景」しか勝たん。そんな感じで、江戸時代の「金沢八景」は関東近郊の一大観光地として名を馳せていました。そんな「金沢八景」を巡る散策の後編です。 「金沢八景」の基礎知識は前回の冒頭で述べた通りなんですが、ひとつだけ、あまり触れていない部分がありました。今回はそれについて補足しておこうと思います。 前回少しだけご紹介した通り、「金沢八景」には一景一景にタイトルがついているんですよね。改めて列記するととこんな感じです。 小泉夜雨(こずみのやう) 称名晩鐘(しょうみょうのばんしょう) 洲崎晴嵐(すさきのせいらん) 乙艫帰帆(おつとものきはん) 瀬戸秋月(せとのしゅうげつ) 内川暮雪(うちかわのぼせつ) 平潟落雁(ひらかたのらくがん) 野島夕照(のじまのせきしょう) これは、前2文字が地名、後2文字が事象を表す言葉で構成されており、要するに、どこどこの場所でこういうものに注目すればよりいっそう映えますよ、というのを端的に表しています。 ところでこれ、誰が考えたんでしょうか。あの例の心越禅師は既にこれらの言葉を使っており、それぞれをタイトルとして七言絶句の漢詩をしたためたというのです。ならば禅師が考えたのでしょうか。あるいは、それより前の誰かが考えたのか、それとも地元の人たちの口伝かなんかでいつしか自然発生的に出来上がっていったのか...。 と、いろいろ妄想は尽きませんが、実はこれ、元ネタがありまして、後2文字の言葉は、既に中国の「瀟湘八景」で使われているんです。具体的には、 瀟湘夜雨 煙寺晩鐘 山市晴嵐 遠浦帰帆 洞庭秋月 江天暮雪 平沙落雁 漁村夕照 これが「瀟湘八景」の各タイトルなんです。つまり、「金沢八景」の八つのタイトルは、「瀟湘八景」のタイトルの地名の部分だけ変えて出来たものものなんですよね。後2文字の事象の部分は、言わば「八景のテンプレ」として使い回されたわけです。 そして「瀟湘八景」に関する知見を持っていた心越禅師は、この「八景のテンプレ」に金沢の景勝地をうまく当てはめていったのでしょう。 というわけで、本編へいきましょうか。
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