東京青梅惣岳山/焼跡の尾根を歩く

2021.03.06(土) 日帰り

チェックポイント

DAY 1
合計時間
6 時間 59
休憩時間
3 時間 12
距離
7.5 km
のぼり / くだり
644 / 638 m
7
1 5
10
1 34
12
2 29

活動詳細

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一都三県の緊急事態宣言は延長されることになったが、そろそろ登山の自粛を自主的に解除したい。KZ氏と相談して、密閉・密集・密接を避けて出掛けましょう、ということになった。 とは云え、公共交通機関を使用せざるを得ない身の上であるので、いわゆる三密を、完全に避けるなんてことはできるわけがない。マイカー登山の徒が、こんなに羨ましいと思ったことはなく、臍を噛む思いとはこういうことかと思う。 天気予報は、土日だけがすっきりしないもので、どうしようかと思っていると、前日になってようやく雨マークが消えた。それで久しぶりの山行が実行されることになった。 およそ二ヶ月ぶりの早起きは、想像以上に辛く、ベッドの中で覚醒して、なかなか支度に掛かることができない。体力はもちろん、気力は大丈夫なのだろうかと、早くも不安感が湧き出てくるようであった。 それでも予定していた電車に無事乗り込む。長期休養直前の山行では、電車に乗り遅れてKZ氏に甚大な迷惑を掛けている。 ひとまず安堵して、イヤホンを耳に挿入したまま、アラームを設定する。そうして座席に落ち着き、うとうとして眠りに入る。 早朝未明の電車に乗り込むだけで、ずいぶん神経が摩滅していくような気分であった...。

高水山・岩茸石山・惣岳山 立川駅から、青梅線の奥多摩行きに乗り換え、ふたたび朦朧と眠りこけ、宮ノ平駅を過ぎた辺りで覚醒した。登山自粛以前から、奥多摩方面はご無沙汰だったので、本当に久しぶりである。

待ち合わせの沢井駅で下車して、無事KZ氏と合流。島式ホームで、単線の交換駅であった沢井駅は、なんと南側の線路が撤去され、跨線橋を渡らずに、ダイレクトに入場できるように改造されていた。

地元利用者の要望に拠るものらしいと、KZ氏が現地でリサーチした情報を教えてくれる。

それにしても、列車交換していた駅なのに、あえて機能劣化させる改装は信じられない。

青梅線のダイヤは、ずいぶん変わったかもね、とKZ氏。
立川駅から、青梅線の奥多摩行きに乗り換え、ふたたび朦朧と眠りこけ、宮ノ平駅を過ぎた辺りで覚醒した。登山自粛以前から、奥多摩方面はご無沙汰だったので、本当に久しぶりである。 待ち合わせの沢井駅で下車して、無事KZ氏と合流。島式ホームで、単線の交換駅であった沢井駅は、なんと南側の線路が撤去され、跨線橋を渡らずに、ダイレクトに入場できるように改造されていた。 地元利用者の要望に拠るものらしいと、KZ氏が現地でリサーチした情報を教えてくれる。 それにしても、列車交換していた駅なのに、あえて機能劣化させる改装は信じられない。 青梅線のダイヤは、ずいぶん変わったかもね、とKZ氏。
高水山・岩茸石山・惣岳山 沢井駅附近で、2/23に発生した山林火災。失火原因は民家の焚き火。強風により、近所の禅寺である雲慶院に引火。その後裏山に燃え移り、大規模な山火事となった。

駅からも窺えるほどに近い雲慶院。尾根に取り付く前に、焼尽の様子を見に行った。本堂を中心にした無残な焼跡を確認し、合掌する。
沢井駅附近で、2/23に発生した山林火災。失火原因は民家の焚き火。強風により、近所の禅寺である雲慶院に引火。その後裏山に燃え移り、大規模な山火事となった。 駅からも窺えるほどに近い雲慶院。尾根に取り付く前に、焼尽の様子を見に行った。本堂を中心にした無残な焼跡を確認し、合掌する。
高水山・岩茸石山・惣岳山 山腹の墓地に移動して、山林火災跡の様子を窺いに行く。
山腹の墓地に移動して、山林火災跡の様子を窺いに行く。
高水山・岩茸石山・惣岳山 雲慶院の焼尽を前景に、多摩川の向こうに聳える山々を見る。
雲慶院の焼尽を前景に、多摩川の向こうに聳える山々を見る。
高水山・岩茸石山・惣岳山 墓地からの斜面に踏み跡は見つからず、地形図破線が記してある西側に移動。白梅が何事もなかったかのように、咲きこぼれている。
墓地からの斜面に踏み跡は見つからず、地形図破線が記してある西側に移動。白梅が何事もなかったかのように、咲きこぼれている。
高水山・岩茸石山・惣岳山 標高280m附近から尾根の急勾配に踏路が続き、しばらく歩き続けると、周囲の光景が異化していく。

墓地の背後は全く被害は無かったが、中腹からは、焼け焦げた樹林帯が続いていた。
標高280m附近から尾根の急勾配に踏路が続き、しばらく歩き続けると、周囲の光景が異化していく。 墓地の背後は全く被害は無かったが、中腹からは、焼け焦げた樹林帯が続いていた。
高水山・岩茸石山・惣岳山 標高400mを越えて、山腹に規制線が張られているのを確認する。
標高400mを越えて、山腹に規制線が張られているのを確認する。
高水山・岩茸石山・惣岳山 沢井駅から北東方向に、東京消防庁の規制線。山林火災の鎮火は27時間を要し、陸上自衛隊への災害派遣要請も行なわれた。
沢井駅から北東方向に、東京消防庁の規制線。山林火災の鎮火は27時間を要し、陸上自衛隊への災害派遣要請も行なわれた。
高水山・岩茸石山・惣岳山 凄絶な山火事跡の尾根を登り、沢井尾根(「奥多摩東部登山詳細図」準拠)に合流した。一投足で三角点設置の490.5mピークに登頂。

手製山名標には「樋口入」と記されていた。三角点の名称である旨が裏面に記載されているが、山名のように記すのは恣意的で、余り感心できない。
凄絶な山火事跡の尾根を登り、沢井尾根(「奥多摩東部登山詳細図」準拠)に合流した。一投足で三角点設置の490.5mピークに登頂。 手製山名標には「樋口入」と記されていた。三角点の名称である旨が裏面に記載されているが、山名のように記すのは恣意的で、余り感心できない。
高水山・岩茸石山・惣岳山 送電線「JR古里線」の26号鉄塔に至り、眺望が開ける。西に真っ直ぐ伸びる送電線の向こうに並ぶ山は、鳩ノ巣の城山かなと思うが、KZ氏も同定しかねている。
送電線「JR古里線」の26号鉄塔に至り、眺望が開ける。西に真っ直ぐ伸びる送電線の向こうに並ぶ山は、鳩ノ巣の城山かなと思うが、KZ氏も同定しかねている。
高水山・岩茸石山・惣岳山 道標の無いバリーション・ルートだが、沢井尾根の上は快適に歩くことのできる踏路が続く。

標高点544mは尾根分岐の少し盛り上がった地点。久しぶりの登山で、ついつい休憩を取ってしまう。KZ氏との四方山話も尽きない。
道標の無いバリーション・ルートだが、沢井尾根の上は快適に歩くことのできる踏路が続く。 標高点544mは尾根分岐の少し盛り上がった地点。久しぶりの登山で、ついつい休憩を取ってしまう。KZ氏との四方山話も尽きない。
高水山・岩茸石山・惣岳山 ふたたび歩き出して間も無く、巨岩に遮断される箇所に行き着いた。明瞭な踏路が、北面を捲くようにして刻まれている。その途中で、岩を斜行するようにして登れそうなルートを見つけたので、岩の正面を攀じ登っていった。
ふたたび歩き出して間も無く、巨岩に遮断される箇所に行き着いた。明瞭な踏路が、北面を捲くようにして刻まれている。その途中で、岩を斜行するようにして登れそうなルートを見つけたので、岩の正面を攀じ登っていった。
高水山・岩茸石山・惣岳山 その後は、緩やかに高度を上げながら続く尾根を、粛々と登り続けた。標高660m圏のふたつの瘤を捲きながら、北西に進路が進んでいく。

樹林越しに、高水山方面の山々が垣間見えるようになり、伐採作業の機械音が聞こえてきて…。
その後は、緩やかに高度を上げながら続く尾根を、粛々と登り続けた。標高660m圏のふたつの瘤を捲きながら、北西に進路が進んでいく。 樹林越しに、高水山方面の山々が垣間見えるようになり、伐採作業の機械音が聞こえてきて…。
高水山・岩茸石山・惣岳山 唐突に視界が開けた。大沢川を囲む山稜が、茫漠として広がっている。高水三山が囲む谷の底を、俯瞰して見下ろすことができる。

これ程までに判然として、岩茸石山の全容を眺めたのは、初めてのような気がする。
唐突に視界が開けた。大沢川を囲む山稜が、茫漠として広がっている。高水三山が囲む谷の底を、俯瞰して見下ろすことができる。 これ程までに判然として、岩茸石山の全容を眺めたのは、初めてのような気がする。
高水山・岩茸石山・惣岳山 何処か眺めのよい場所で食事休憩したいなあ。そんな会話を交わしながら歩いていたので、想定外の大伐採ランドスケープに驚きつつ、ふたりで大喜び。

岩陰で風を除けられる場所に落ち着き、カップ麺の大休憩となった。

晴天だが雲に覆われたホライズンの彼方に、長沢背稜に連なる、都県境の山々が見渡せる。ふたりで山座同定に興じつつ、惣岳山に登った後の行程をどうするのかを思案する。

時刻は未だ午前中で、何処までも歩いていけそうな程に余裕がある。
何処か眺めのよい場所で食事休憩したいなあ。そんな会話を交わしながら歩いていたので、想定外の大伐採ランドスケープに驚きつつ、ふたりで大喜び。 岩陰で風を除けられる場所に落ち着き、カップ麺の大休憩となった。 晴天だが雲に覆われたホライズンの彼方に、長沢背稜に連なる、都県境の山々が見渡せる。ふたりで山座同定に興じつつ、惣岳山に登った後の行程をどうするのかを思案する。 時刻は未だ午前中で、何処までも歩いていけそうな程に余裕がある。
高水山・岩茸石山・惣岳山 都県境の尾根を眺め、飯能側に下山するのも一興かな、という話に纏まり、とりあえず惣岳山の登頂に掛かる。

樹林に囲まれて、全容のよく判らない山であった惣岳山も、伐採のお陰で、直ぐ眼前に盛り上がっているのが判る。

山頂を捲いて、馬仏山から岩茸石山方面のハイキングコースに合流するバイパス道は、未だに通行止めであった。

伐採は完了しているように見えるが、なぜだろうと思う。通行止めの看板を、撤去し忘れているのでは…などと邪推してしまう。
都県境の尾根を眺め、飯能側に下山するのも一興かな、という話に纏まり、とりあえず惣岳山の登頂に掛かる。 樹林に囲まれて、全容のよく判らない山であった惣岳山も、伐採のお陰で、直ぐ眼前に盛り上がっているのが判る。 山頂を捲いて、馬仏山から岩茸石山方面のハイキングコースに合流するバイパス道は、未だに通行止めであった。 伐採は完了しているように見えるが、なぜだろうと思う。通行止めの看板を、撤去し忘れているのでは…などと邪推してしまう。
高水山・岩茸石山・惣岳山 山頂東側を直登して、呆気なく登頂した。鬱蒼とした神域の山頂、というイメージの惣岳山だが、なんだか陽当たりが好くなって明るい。

ふた組のトレイル・ランナーが休憩している。やがて、外国人のグループが登ってきて、山頂は賑やかになった。密集と云う訳では無いが、人の多い登山ルートに居続けるのは、余り好ましいとも思えない。

青渭神社奥宮社殿の背後に回り、小休止する。つい先ほどまでは、棒ノ嶺に登ってから、崩壊が激しいという白谷沢の様子を見に行こう、などと話していた。

しかし、高水三山ハイキングコースと棒ノ嶺と云う、喧騒必至の人気スポットを歩く気分では無くなってしまった。
山頂東側を直登して、呆気なく登頂した。鬱蒼とした神域の山頂、というイメージの惣岳山だが、なんだか陽当たりが好くなって明るい。 ふた組のトレイル・ランナーが休憩している。やがて、外国人のグループが登ってきて、山頂は賑やかになった。密集と云う訳では無いが、人の多い登山ルートに居続けるのは、余り好ましいとも思えない。 青渭神社奥宮社殿の背後に回り、小休止する。つい先ほどまでは、棒ノ嶺に登ってから、崩壊が激しいという白谷沢の様子を見に行こう、などと話していた。 しかし、高水三山ハイキングコースと棒ノ嶺と云う、喧騒必至の人気スポットを歩く気分では無くなってしまった。
高水山・岩茸石山・惣岳山 紆余曲折の思考の果てに、結局惣岳山から早々に下山してしまおう、と云うことになった。

誰も居る筈が無い西南の尾根に入り、神塚山に立ち寄ってから丹縄地区に降りる、と云うルートである。

青渭神社の裏手から、行く手の下方が窺えない程の急勾配が始まる。崖下の向こうを見ると、尾根がなだらかに落ち着いているのが判る。神塚尾根の最難関箇所は、この山頂直下なんだよお。KZ氏が云う。

誰も居る訳が無いと思っていたが、単独行の男性が登って来た。ヘルメットを被り、精悍な表情の単独氏と擦れ違い、言葉を交わす。

単独氏は、下降してくる我々の技量に、やや疑念を抱いている様子が感じられた。

川井駅から登ってきたと云う単独氏に、我々は神塚山から丹縄に下山する旨を伝える。それで、ルートを理解している経験者と認めてくれたようであった。
紆余曲折の思考の果てに、結局惣岳山から早々に下山してしまおう、と云うことになった。 誰も居る筈が無い西南の尾根に入り、神塚山に立ち寄ってから丹縄地区に降りる、と云うルートである。 青渭神社の裏手から、行く手の下方が窺えない程の急勾配が始まる。崖下の向こうを見ると、尾根がなだらかに落ち着いているのが判る。神塚尾根の最難関箇所は、この山頂直下なんだよお。KZ氏が云う。 誰も居る訳が無いと思っていたが、単独行の男性が登って来た。ヘルメットを被り、精悍な表情の単独氏と擦れ違い、言葉を交わす。 単独氏は、下降してくる我々の技量に、やや疑念を抱いている様子が感じられた。 川井駅から登ってきたと云う単独氏に、我々は神塚山から丹縄に下山する旨を伝える。それで、ルートを理解している経験者と認めてくれたようであった。
高水山・岩茸石山・惣岳山 標高差50mの急勾配を下り終えて、ようやく穏やかな踏路となった。右手の樹林越しに、何度も歩いた沼沢尾根が併行しているのを見る。沼沢川左岸の尾根は、奥多摩らしい植林帯の続く細尾根であった。

山名の付いている標高624mの神塚山は、祠のひとつでも有れば風情もあるのだが、何も無い尾根分岐の瘤であった。
標高差50mの急勾配を下り終えて、ようやく穏やかな踏路となった。右手の樹林越しに、何度も歩いた沼沢尾根が併行しているのを見る。沼沢川左岸の尾根は、奥多摩らしい植林帯の続く細尾根であった。 山名の付いている標高624mの神塚山は、祠のひとつでも有れば風情もあるのだが、何も無い尾根分岐の瘤であった。
高水山・岩茸石山・惣岳山 送電線「新秩父線」33号鉄塔に到着。安穏な歩行が続き、弛緩したような気分で休憩する。

送電線巡視路が横断しており、西側に下降すれば、おそらく川井駅方面への踏路となっている筈である。
送電線「新秩父線」33号鉄塔に到着。安穏な歩行が続き、弛緩したような気分で休憩する。 送電線巡視路が横断しており、西側に下降すれば、おそらく川井駅方面への踏路となっている筈である。
高水山・岩茸石山・惣岳山 平和裡に尾根下りが続き、標高点468mを通過して下降すると、沢井尾根で交差した送電線「JR古里線」の鉄塔に到達した。

東に真っ直ぐ伸びていく電線が、尾根に辿り着いた処が、今朝歩いた場所である。西側方面は、川井駅と奥多摩大橋、そして河原のキャンプ場を眺めるような位置であった。

曖昧な曇天と云う天気予報だったが、気持ちのよい晴天で、日なたに居ると、暑いくらいの気温である。

この鉄塔にも、当然だが巡視路の黄杭が在り、草生した怪しい道径が東の谷に向かって下降していた。

ここでKZ氏が微妙な素振りを見せる。巡視路を経由して、丹ナワ沢経由で下山してみようか、と云う。

見るからに怪しい巡視路であった。このまま尾根を南下すれば、青梅線のトンネルの上を歩いて、難なく青梅街道に降りられそうだが、沢に下りてしまうと、線路を越えなければならない。その現場がどうなっているのかは判らないが、そもそも線路越えの前に、得体の知れない沢沿いの下りが辛そうである。いやいや、その前に、沢に下りていくと思しき薮状の巡視路が大変そうではないか。

悪い予感しかしないなあと思いながら、曖昧な表情のままの私であった。時刻も早いので、KZ氏の歩きたいルートに付き合うのはやぶさかではない。絶対に嫌だ、と云う訳でもないが、じゃあそうしますか、と即答できるほどでもない。要するに気乗りはしない。
平和裡に尾根下りが続き、標高点468mを通過して下降すると、沢井尾根で交差した送電線「JR古里線」の鉄塔に到達した。 東に真っ直ぐ伸びていく電線が、尾根に辿り着いた処が、今朝歩いた場所である。西側方面は、川井駅と奥多摩大橋、そして河原のキャンプ場を眺めるような位置であった。 曖昧な曇天と云う天気予報だったが、気持ちのよい晴天で、日なたに居ると、暑いくらいの気温である。 この鉄塔にも、当然だが巡視路の黄杭が在り、草生した怪しい道径が東の谷に向かって下降していた。 ここでKZ氏が微妙な素振りを見せる。巡視路を経由して、丹ナワ沢経由で下山してみようか、と云う。 見るからに怪しい巡視路であった。このまま尾根を南下すれば、青梅線のトンネルの上を歩いて、難なく青梅街道に降りられそうだが、沢に下りてしまうと、線路を越えなければならない。その現場がどうなっているのかは判らないが、そもそも線路越えの前に、得体の知れない沢沿いの下りが辛そうである。いやいや、その前に、沢に下りていくと思しき薮状の巡視路が大変そうではないか。 悪い予感しかしないなあと思いながら、曖昧な表情のままの私であった。時刻も早いので、KZ氏の歩きたいルートに付き合うのはやぶさかではない。絶対に嫌だ、と云う訳でもないが、じゃあそうしますか、と即答できるほどでもない。要するに気乗りはしない。
高水山・岩茸石山・惣岳山 ではジャンケンで決めよう。KZ氏の素っ頓狂な提案に、思わず笑ってしまった。

私が勝ったら、予定通りの尾根歩き。KZ氏が勝てば、未踏の薮巡視路である。

私がグーでKZ氏はチョキ。呆気無く結果が出て、KZ氏が、うわあと声を出す。それで、尾根の末端を目指して、ふたたび歩き始めた。

「日本人の大多数が、じゃんけんで最初にグーを出すらしい、というような話を読んだことがあります」
「そうなんだあ。パーを出せばよかったのかあ」

KZ氏が本気で悔しがってそう云うので、巡視路に付き合ってあげればよかったかな、と思わないでもなかったが、お喋りしている間に、標高はどんどん下がっていく。
ではジャンケンで決めよう。KZ氏の素っ頓狂な提案に、思わず笑ってしまった。 私が勝ったら、予定通りの尾根歩き。KZ氏が勝てば、未踏の薮巡視路である。 私がグーでKZ氏はチョキ。呆気無く結果が出て、KZ氏が、うわあと声を出す。それで、尾根の末端を目指して、ふたたび歩き始めた。 「日本人の大多数が、じゃんけんで最初にグーを出すらしい、というような話を読んだことがあります」 「そうなんだあ。パーを出せばよかったのかあ」 KZ氏が本気で悔しがってそう云うので、巡視路に付き合ってあげればよかったかな、と思わないでもなかったが、お喋りしている間に、標高はどんどん下がっていく。
高水山・岩茸石山・惣岳山 青梅街道を走る車の音が近づいてきた。尾根道はいつしか曖昧に広くなり、民家の屋根が視界に入ると、集落の奥で行き止まりになっている舗道に降り立った。

惣岳山直下は厳しい勾配だが、神塚山ルートは、静かな山歩きを志向する場合は、とても心地の好い行程だなと思った。
青梅街道を走る車の音が近づいてきた。尾根道はいつしか曖昧に広くなり、民家の屋根が視界に入ると、集落の奥で行き止まりになっている舗道に降り立った。 惣岳山直下は厳しい勾配だが、神塚山ルートは、静かな山歩きを志向する場合は、とても心地の好い行程だなと思った。
高水山・岩茸石山・惣岳山 御嶽駅と川井駅の、ちょうど真ん中に位置する丹縄集落。歩くと距離があるので、今まで訪れたことが無い。

青梅街道も厳しいカーブと勾配なので、それほどスピードを出して走る車も無く、存外にのんびりと歩くことができた。

せせらぎの里美術館の敷地に入り、車道歩きから開放される。ふたりとも空腹になっていたが、隣接のカフェは休業中。御嶽渓谷に向かって、遊歩道を歩く。
御嶽駅と川井駅の、ちょうど真ん中に位置する丹縄集落。歩くと距離があるので、今まで訪れたことが無い。 青梅街道も厳しいカーブと勾配なので、それほどスピードを出して走る車も無く、存外にのんびりと歩くことができた。 せせらぎの里美術館の敷地に入り、車道歩きから開放される。ふたりとも空腹になっていたが、隣接のカフェは休業中。御嶽渓谷に向かって、遊歩道を歩く。
高水山・岩茸石山・惣岳山 神路橋で渓谷遊歩道を離れ、青梅街道に復帰する。少し歩くと「音威子府そば」の文字。「ぎん鈴旅館」は内地で唯一、音威子府蕎麦を食せるお店とのことであった。もちろん入店する。

古民家と云うような装飾的風情ではなく、実質的に古い木造旅館で、廊下をそろりと歩き、奥の座敷に通される。久しぶりの外食は、実に風流なことになった。

北海道の鉄道グッズに囲まれたお座敷で、ビールの乾杯。KZ氏とふたりで、鉄道話で盛り上がるが、次第に客が入り始めたので、会話を控えめにしなければ、という気持ちになってしまう。大きな衝立で仕切られているから問題は無いと思うが、感染症蔓延下の不自由さを、改めて実感することになった。

音威子府蕎麦は、びっくりするほど黒い麺で、食感も独特であった。好みの違いはあれど、一度は食してみてもよい味かもしれない。

天麩羅は、海老や魚の類は無く、野菜ばかりなのは止むを得ない。止むを得ないのであるが、無性に、浅草で天丼が食べたいなあ、などと思ってしまった。
神路橋で渓谷遊歩道を離れ、青梅街道に復帰する。少し歩くと「音威子府そば」の文字。「ぎん鈴旅館」は内地で唯一、音威子府蕎麦を食せるお店とのことであった。もちろん入店する。 古民家と云うような装飾的風情ではなく、実質的に古い木造旅館で、廊下をそろりと歩き、奥の座敷に通される。久しぶりの外食は、実に風流なことになった。 北海道の鉄道グッズに囲まれたお座敷で、ビールの乾杯。KZ氏とふたりで、鉄道話で盛り上がるが、次第に客が入り始めたので、会話を控えめにしなければ、という気持ちになってしまう。大きな衝立で仕切られているから問題は無いと思うが、感染症蔓延下の不自由さを、改めて実感することになった。 音威子府蕎麦は、びっくりするほど黒い麺で、食感も独特であった。好みの違いはあれど、一度は食してみてもよい味かもしれない。 天麩羅は、海老や魚の類は無く、野菜ばかりなのは止むを得ない。止むを得ないのであるが、無性に、浅草で天丼が食べたいなあ、などと思ってしまった。

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