厳冬期「御嶽山」継子ダイレクト⇔マリちゃん
御嶽山・継子岳・摩利支天山
(長野, 岐阜)
2025.01.26(日)
日帰り
-19℃の烈風の中、突如ガスから姿を垣間見せたマリちゃん(御嶽山・摩利支天)。厳冬の摩利支天は、青かった。ハッピーターンさんと声をそろえて「マリちゃーん!!!」と叫ぶ。厳冬の明媚、僕たちにそっと微笑んだ気がした。
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時を遡ること、23.12.03.
厳冬期の御嶽山(飛騨頂上)を、ハッピーターンさん、JETkaeruさんを含むパーティーと登頂した。生き物を、自然を愛するハッピーターンさん。生き物との出会いを求めてロングを歩かれる姿に感服していました。そんな「山を楽しむ」心にいたく共感し、ヤマップのログを拝見しておりました。ハッピーさんと、いつかは御嶽山の摩利支天(通称:マリちゃん)でお会いしましょう!と約束を交わしたのだった。
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さて、1.24.(金)にハッピーさんから連絡が入る。「日曜に摩利ちゃんに行こうと思ってるけど、よければ一緒にどうかな?」答えはもちろんYES!そこからトントン拍子で決まる計画に胸が踊った。
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「寝ててもいいよ。」「荷物、そのまま置いてね!」とハッピーさん。車を出していただいた上に、お心遣いに甘えてしまい、眠っている間にいつの間にか登山口へ!ハッピーさんには感謝しかありません😭
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今回の作戦は以下の通り
①チャオ御岳より、スキー場を登る。樹林帯からは冬期ルートを使用し、継子岳へダイレクトに乗り上げる。
②順に飛騨頂上、摩利支天へ。マリちゃんへの登頂時刻から、その後の行動を判断していく。
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スキー場はお話していればあっという間。樹林帯からは広い尾根(冬期ルートです)を使用する。今回、トレーニングとルーファイ経験のために、スキー場から森林限界までを先行させていただきました🙏 僕のペースに合わせて頂きありがとうございます!樹林帯は、初めこそ広さに戸惑うが、GPSを確認しながら決めた方角に進んでいくうちに、やがて明瞭な尾根となり、迷うことなく森林限界へ至った。ここからは、ズボりながらハイマツ帯を進んでいき、クラストし始めたあたりの岩場でワカン→アイゼンに換装。気が付けばビーナスベルトの帳が降りる。大雲海には、継子岳の影が落ち、刻々と色彩を変えていく乗鞍岳、前穂高、笠ヶ岳のモルゲンロートに立ちあう。ハッピーさんと息を飲んで見守った。
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ハイマツ帯を抜けると、岩×雪のミックス帯に。大寒波後は、ここが氷化し、継子スライダーとなるそうだ。今日はアイゼンがよく効き、非常に登りやすい。アイゼンのひっかけと、ストックの脱落に注意を払いながら、ジリジリと標高を上げていく。ふと対岸の尾根に目をやると、2頭のニホンカモシカが崖を歩いていた。
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ニホンカモシカは、古くは「日本書紀」や「万葉集」にも記載される日本の固有種で、実はシカの仲間ではなく 偶蹄(ウシ)目のウシ科に属する動物。縁起の良い生き物で、神の使いとされる。縄張りを持ち、ほとんど1頭で行動する。4万年前の氷河期の生き残りである。彼らは、僕たちがアイゼンで戦う中、平然と極寒の中を歩いていた。目を見張るような生き物の生態には、ただただ畏敬の念を抱くばかりだ。
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急登を終えると、霧氷でガチャガチャになった継子岳の山頂標識が目に飛び込む。継子岳ダイレクト尾根、クリアだ!ハッピーさんとグータッチで感動を共有👊 やったぜ! 稜線に出ると、あっという間に前髪が凍りつき、独立峰故の爆風に晒される。生憎のガスだが、このまま歩を進めよう。
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飛騨頂上への稜線には雪庇が張り出すため、やや西側を意識して歩く。ここでハッピーさんに風を凌げるポイントを教えていただいた。さっきまでの偏西風が嘘の様!突然静寂に包まれ、ポカポカ陽気に暖まる。コーヒーでChillしていると、突然ガスが抜けて、継子Ⅱ峰が姿を現した🗻 続けて継子岳、中央アルプス、八ヶ岳、飛騨頂上稜線と順に姿を現していく。奇跡が起きたようだ。ふと西側(太陽の反対側)を仰ぐと、白い虹が出現していた。
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「霧虹」激レアな光学現象。
通常の虹は、太陽の光が雨(空気中の水滴)に反射して見られるのに対し、白虹は太陽の光が「霧」に反射して見られる現象。
霧の粒は雨粒より細かいため、プリズムのように分光されず、全ての波長(色)の光が同じように散乱されるため白く輝く。太陽の高さが低い朝や夕方に霧が出ていると、こうした白い虹が見られることがある。
僕たちの心が天に通じたのだろうか。
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-19℃の烈風の中、突如ガスから姿を垣間見せたマリちゃん(御嶽山・摩利支天)。厳冬の摩利支天は白く、そして青かった。ハッピーターンさんと声をそろえて「マリちゃーん!!!」と叫ぶ。厳冬の明媚、僕たちにそっと微笑んだ気がした。
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飛騨頂上のシェルターと祠は雪&霧氷に埋まり、原型を留めていない💦 祠横のおっちゃんだけ、のほほんと見守ってくれていました🤲 ますます風が強くなる中、摩利支天乗越へ、ハッピーさんと共にアタックする。バラクラバを突き抜ける氷点下の烈風に顔が痛い😭 ストックを握る指先も痺れ始める中、お互いを信じて歩を緩めず乗越へ上がる。東側斜面へ身を隠すと、また嘘のように風が止む。この、風を凌げる場所まで歩を繋ぎ、休める時にガッと休むのが雪山のセオリーだ。ハッピーさんとの阿吽の呼吸が心地よい。さぁ、最後の核心、厳冬の摩利支天へのナイフリッジへ突入する。冬期は摩利支天外輪の尾根上を歩く。西側(岐阜県側)が切り立っているため、滑落に注意を払いながら問題無く進み、ついに、マリちゃんにご対面した🥰
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マリちゃんからは、タケちゃん(御嶽山剣ヶ峰)を一望できる。ハッピーさんと、「たけちゃーん!!!」と叫ぶ。「おっす!おら、タケちゃん!」と返事があったそうです😹 ワクワクすっぞ!下山も気を緩めず、五ノ池小屋まで戻ってきた。
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まだ時間にゆとりがあったため、氷結した三ノ池に降り、散策しました🚶♀️ ここから望む火口湖外輪の景色も圧巻。厳冬期にここに立てる実感を噛み締め、写真を撮り散らかしました📸
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下山は、岩場やハイマツ・ダケカンバの植生間をくまなくチェックし雷鳥捜索!足跡や寝床、食痕、貯め糞などを発見できたものの、ご雷鳥には至りませんでした😢 しかし、雷鳥の行動パターンを状況証拠から少し理解出来たので、いつかは1~2月の雷鳥に出会いたいです。
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チャオ御岳まで無事に下山し、ハッピーさんとプロテインで乾杯🍻 前シーズンから繋がったこのご縁。僕たちを結び付けたのは、山を愛する心と、今日この日に御嶽山を登る!という各々の決断だ。その選択したのは、自分。『出会いは運命なんかじゃない。偶然でもない。僕たちの、選択だ。』そう、マリちゃんが教えてくれた気がした。