大雪山系・旭岳・トムラウシ(北海道)
2026年10月11日 (日)日帰り
日本百名山39座目、トムラウシ山🏔️
帯広を拠点にした北海道遠征の3日目。前日は然別湖の白雲山を歩き、夜は帯広のスープカレーで腹ごしらえ🍛もともとは旭岳に登る予定でした。でも、大雪山の奥深くにそびえるトムラウシ山は、天気の良い日が少ないうえに難易度も高い山。せっかく晴れるなら、こちらに挑戦しよう。旭岳は、そのうち誰かと一緒に行くかもしれないので、取っておくことにしました。
もうひとつの決め手は、ヒグマの目撃情報がトムラウシ山の方が少なかったこと。(登山者そのものが少ないから、目撃も少ないだけかもしれませんが…)
トムラウシという名前、どこか不思議な響きです。運転中、ふと目に入った小学校の名前が「富村牛」。どうやら漢字ではこう書くらしい?気になって調べてみると――
もとはアイヌ語で、山ではなく、この山から流れ出るトムラウシ川を指す地名だったそうです。意味は「トㇺラ・ウㇱ・イ=水垢(水中の藻)が多いところ」という説が有力で、深田久弥の『日本百名山』もこの説。「花の多いところ」とする紹介もあり、はっきりとは分かっていません。「富村牛」はその音に漢字を当てたもので、国土地理院の一等三角点の名前も「富良牛山」という当て字です。あの学校は山のふもとにある富村牛小中学校で、離島を除くと日本で唯一の「へき地5級」の学校なんだとか。それだけ山深い場所にある山、ということです。
とはいえ、目撃情報が少ないと分かっていても、やっぱりヒグマは怖い🐻
夜中の1時半に目が覚めてしまい、YouTubeで熊スプレーの使い方の動画を見ました。そのあとは、実物の安全キャップを外す練習を何度も何度も。いざというときに手が動くように、体に覚え込ませます。
そうして、まだ暗いうちに帯広を出発しました。
林道に入る前、街灯がぽつんと立つ道路で、大きな角を持った雄の🦌に出会いました。道路から草むらへ、悠々と去っていく後ろ姿。こっちはこんなに緊張しているのに、向こうはまるで自分の庭のような余裕です。
午前4時半。車のライトが照らすのは、笹に挟まれた細い林道だけです。トムラウシ温泉からさらに奥へ、真っ暗な道をゆっくり進みます。
この林道が、これまで走った登山口への道の中で一番ひどく、そして長かった。カーナビには道すら表示されず、画面の上では何もない場所を走っているような状態で、登山口まで30分ほど走り続けます。暗い中、でこぼこの悪路を登っていくのは恐怖以外の何物でもありません😱いつ熊が出てくるかと緊張しながら、ハンドルを握る手がじっとり汗ばみます。
マイカーで来る方は要注意⚠️🚗砂利が跳ねて車に傷がつく可能性があります。
短縮コースの登山口の駐車場に着くころ、空がうっすらと色づき始めました。木々の向こうでピンクに染まっていく雲を眺めながら身支度をして、5時半に出発。登山口で真っ先に目に飛び込んできたのは、黄色い「熊出没注意」の看板でした。
ここで一気に緊張が走ります。北海道のヒグマ、めちゃくちゃ怖い😨
笹藪と樹林帯を抜けるまでは、熊スプレーをホルダーから外して手に持ち、いつでも噴射できるようにトリガーに手を乗せたまま歩きました。それでも、笹がガサッと揺れるたびに心臓が跳ねます。姿はどこにも見えないのに、見えないからこそ余計に怖いんです。足元の落ち葉のじゅうたんも、木々の間からのぞく朝焼けも、最初のうちは素直に楽しむ余裕がありませんでした。
少しでも気をまぎらわそうと、空にカメラを向けました。
天気は快晴☀️朝焼けに染まるうろこ雲、空一面に広がるさざ波のような雲、渦を巻く雲、谷を埋める雲海☁️見とれていたわけではありません。シャッターを切っていないと、笹の音ばかりが気になってしまうんです。
それでも、いろいろな種類の雲に出会えたのは楽しかった。ただ、ヒグマへの恐怖は、前トム平に出るまでずっと消えることはありませんでした。
怖さを抱えたまま尾根を越えると、道はコマドリ沢へといったん下ります。(帰りにこれが効いてくるとは、このときはまだ知らずに…)
沢を渡り、岩がゴロゴロ転がる沢筋を詰めていくと、頭上の空がだんだん広くなっていきました。
そして、前トム平。
登り切った瞬間、笹藪と樹林帯が終わり、景色が一気に開けました。ここでようやく、ずっと張りつめていた肩の力が抜けます。ハイマツの深い緑、草紅葉の黄金色、斜面に残る雪の白。その奥に、トムラウシの頂がどっしりと構えています。「カムイミンタラ(神々の遊ぶ庭)」と呼ばれてきたのも納得で、どの角度を切り取っても絵になる。めちゃくちゃ綺麗でした😍
実物はもっと綺麗なのに、写真ではちっとも伝えきれなくて悔しい…。これは一見の価値ありです。
その庭の中を、山頂へ向かって歩いていきます。前トム平からトムラウシ公園へは、またいったん下り。トムラウシ公園の池塘には薄い氷が張っていて、朝の冷え込みの名残。雪渓をトラバースし、岩の積み重なる斜面を登って、9時すぎに山頂(2,141m)に着きました🎉
山頂からは、十勝岳へと続く尾根伝いの縦走路がうっすら見えて最高。風が気持ちよく、寒くもない。どこまでも続く山並みを眺めながら、贅沢な時間を過ごしました。
名残惜しいけれど、下山です。ただ、ここからが試練でした。
山登りで嫌いなこと第1位、それは往復コースの帰り道に登りが入ること。同じ景色を見るのに登り返しをさせるなんて、許せません😤(異論は認めます)
このコースは、その登り返しが一度では済みません。まずはトムラウシ公園から前トム平へ。朝に下ってきた道を、今度は登り返します。
前トム平に戻ってきたあたりで、岩の上からこちらをうかがうシマリスに出会いました。そのすぐ後には、ハイマツの脇の岩にちょこんと座るナキウサギ。名前のとおり、思っていたよりずっと大きな声で鳴いていて、近くにいる仲間とやりとりをしているようでした。会いたかった動物たちに会えてハッピー🐿️🐰少し元気をもらいました。
でも、試練はまだ続きます。朝に下ったコマドリ沢から、またしても登り返し。獲得標高は約1,500mとそこまで多くないはずなのに、登っては下らされ、ゴールは見えているのにいつまでたってもたどり着かない。この二重苦で、体感はずっと多く登った気分でした。
ようやく登山口が近づいたころ、笹の中でガサッと大きな音。ついにヒグマか…!と身構えたら、そこにいたのは松ぼっくりを抱えたシマリスくんでした。心臓が止まるかと思いましたが😵、最後にもう一度見送ってくれたようです。会いたい動物にちゃんと会えた、運のいい山行。
車に戻ると外気温は23℃。朝の暗闇では見えなかった紅葉が、林道の両側を彩っていました。その紅葉の中を下って、トムラウシ温泉 東大雪荘へ。源泉かけ流しのお湯に浸かると、目の前には真っ赤な紅葉と清流🍁湯船に浸かりながら、この景色を眺められます。疲れた脚にしみて、最高でした♨️
あとは帯広に戻って、空港へ。〆は帯広空港で豚丼の大盛り🐷🍚ボリューム満点で、お腹も心も満腹です😋