上富良野岳雪崩事故😰那須に地形が類似
十勝岳・富良野岳・美瑛岳
(北海道)
2026年03月05日(木)
日帰り
2026年3月5日に発生して上富良野岳の雪崩事故、気象予報士が公益社団法人日本雪氷学会 北海道支部さんのデータを基に気象現象、地形状況を解説いたします。
はじめに
公益社団法人日本雪氷学会 北海道支部さん迅速な発生区の積雪断面調査、お疲れ様です。参考にさせていただきます。
https://avalanche.seppyo.org/snow/modules/bwiki/index.php?%BB%F6%CE%E3%2F2026%2F03-05%BB%B0%CA%F6%BB%B3%C2%F4%C0%E3%CA%F8
★1★積雪断面図の各層がいつできたか
★積雪構造 (公益社団法人日本雪氷学会 北海道支部作成 画像参照)
深さ 雪質 硬度
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0-1 cm 新雪 F
1-5 cm こしまり 1F
5-23 cm しまり P
23-26 cm 融解凍結クラスト K
26-28 cm こしまり 1F
28-29 cm 融解凍結クラスト K
29-31 cm しまり 1F
31-74 cm しまり K
74-90 cm 融解凍結クラスト I
★雪崩発生は3月5日(気象庁のアメダス過去データ参照、画像)
5-23 cm しまりは、3月1日~2日にかけ北北西の強風によりウインドスラブが作られた。
23-26 cm 融解凍結クラストは、2月28日の低気圧による暖気流入、降水はよる雨または湿った重い雪が強風によりクラストした。
26cm 2月25日、寒冷で日射があり夜間の放射冷却により霜系弱層のできた可能性。
26-28 cm こしまりは、2月24日の北北西の強風によりウインドスラブが作られた。
28-29 cm 融解凍結クラストは、2月22日~23日にかけの低気圧による暖気流入、降水はよる雨または湿った重い雪が強風によりクラストした。
29cm 2月20日、寒冷で日射があり夜間の放射冷却により霜系弱層のできた可能性。
29-31 cm しまりは、2月19日の北北西の強風によりウインドスラブが作られた。
★2★春は風が強い。
暖気と寒気の入れ替わりが激しいため強風が吹く。
また北海道の北を通る低気圧により暖気が流入し降水はよる雨または湿った重い雪が強風によりクラストする。
硬くクラストした層は滑走者の荷重を伝搬しやすく大規模な雪崩が発生しやすくなる。
また、晴れる日も多くなるため、日射と放射冷却による霜系弱層ができ易くなる。
これらの理由から春は全層雪崩だけでなく表層雪崩にも警戒しなければならない。
★3★長野県の雪崩注意報の発表基準には強風も入っている。
長野県の雪崩注意報の発表基準
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/kijun/nagano/0_nagano.pdf
1.表層なだれ:積雪が50cm以上あって、降雪の深さ20cm以上で風速10m/s以上、または積雪が70cm以上あって、降雪の深さ30cm以上
2.全層なだれ:積雪が70cm以上あって、最高気温が平年より5℃以上高い、または日降水量が15mm以上
旭川地方気象台は雪崩注意報発表基準に強風の要素も入れるべきであると思う。
★4★地形から読む雪崩の危険個所。
平坦地に風下側の急斜面は強風によるウインドスラブ雪崩が発生しやすい。
2017年3月27日に発生した那須の雪崩事故も地形が類似しています。(画像)
2012年2月1日に発生した玉川温泉雪崩事故も平坦地の風下側の急斜面。
https://yamap.com/activities/22761125
他に
2023年1月29日の白馬乗鞍岳天狗原の雪崩事故。
2021年3月14日の乗鞍岳位ケ原の雪崩事故。
も平坦地の風下側の急斜面で起きている。
★5★急斜面はどれぐらいの斜度❓
国土交通省の情報。
https://www.mlit.go.jp/kisha/kisha05/05/050323/01.pdf
◎急な斜面
斜面勾配30度以上 雪崩が発生しやすくなります
斜面勾配35度~45度 最も危険です 雪崩発生事例が多い 斜面
勾配55度以上 発生しにくいが注意が必要です
◎上記の傾斜で立木(中高木)がないか、まばらな斜面が危険です。
★6★危険斜面を把握するにはどんな装備、技術が必要か。
斜面の方向、雪庇やノール地形などから直前の強風方向の把握するため磁石が必要です。
地形図を読む能力、常に地形図で現在位置を確認でき斜面の傾斜を把握するトレーニングが必要です。
バックカントリー愛好家だけではなく、立木のない斜面に立ち入る登山者も必要な技術です。