和名倉山・笠取山・東仙波(山梨,長野,埼玉)
2026.06.13 (土)2 日間
奥秩父の最核心部を巡る2日間。
バリエーションルートの鶏冠山(とさかやま)から木賊山へ北上し、主稜線を東へ縦走。
西御殿岩から北へ外れ、奥秩父最深部の和名倉山を一座、そこから秩父湖へと一気に下った。
距離・体力ともに、想定よりタフな山行だった。
行き:東京の自宅→山梨市駅へ電車、9:12 山梨市駅→ 10:10 西沢渓谷入口へバスで移動。
帰り:15:55 秩父湖→西武秩父駅へバス移動、電車で自宅に帰った。
1日目:曇、前日は曇時々雨
10時過ぎに西沢渓谷入口に到着。公共交通機関の宿命とはいえ、あと1時間早く始発バスがあればともどかしさを抱えながらスタート。
鶏冠山の登山ルートは、全てが破線のバリエーションルート。まずは川沿いを進み、鶏冠谷出合でジャンプして渡渉。ここから一気の急登が始まり、容赦なく標高を稼いでいく。
第1岩峰:
高さはあるものの手掛かり・足掛かりは豊富で、鎖は補助的に使ってもよい。ここを越えると、鶏冠山の名の通り「とさか状」の稜線に飛び出し、次の岩峰を目指して小刻みな昇降が始まる。
第2岩峰:
正面直登は岩がせり出しているため、右下から左上へルートを取る。足場に少し迷う箇所はあるが、第1岩峰ほどの高度感はない。ここも鎖は添える程度で登りきる。樹林帯の石楠花を分けると、いよいよ最後の壁が現れる。
第3岩峰:
先行の男性が懸垂下降をしていたため、ロープ回収を待ってから取り付く。ここには鎖がない。
まずは岩を正面に見て左へ回り込み、広い足場へ。そこから右の木に向かって進むと、さらに一段高い足場に出る。
ここからがフリークライミングの核心部。正面の窪みに両足を置いたものの、真上にホールド(突起や割目)が見当たらず、一瞬ルートに窮する。
途中まで登るとクライムダウンは困難で、焦らず探すと、左上方に確実な突起を発見。身体を引き上げ、無事に突破した。
自信が無いなら、迷わずトラバース道を選んだ方がよいだろう。
第3岩峰ピークを踏んだ時は達成感があった。そこから先は危険な岩場もなく、静かな樹林帯を進んで鶏冠山頂へ。
ここから木賊山までが本当に悪路だった。倒木が荒々しく行く手を阻み、ルートは不明瞭。石楠花の藪道もあり、心身が削られた。
木賊山に突き当たると、ようやく一般登山道(奥秩父主稜線)に合流。整備された道の歩きやすさに、心身を休めながら東の破風山へ向かった。
稜線の鞍部にある破風山避難小屋から、これから登る破風山の急登を見上げ、疲弊した身体に軽い目眩を覚える。
この辺りから枯れた立木と笹原へ植生が変わる。アップダウンを繰り返し、雁坂嶺を越えて雁坂峠へ。そこから少し下り、宿泊する雁坂小屋に到着した。
2日目:曇、前夜は雨
前夜19時頃から降り出した雨は深夜1時にはまだ降っていた。4時起床時には雨は止んでおり、4:30過ぎに出発した。
雁峠までは視界が開けた眺望抜群の縦走路が続いた。美しい景色を楽しみながらノンビリと歩を進める。
雁坂小屋の主人のお話、かつてはこの辺りも高山植物が咲き、多くの登山者で賑わいを見せていたが、今では石楠花が咲く時期に人が入る程度だという。
原因は至る所に広がる笹原と、異常なまでに増えた鹿だろう。環境省は「10年間(2023年度末まで)で鹿・猪の生息数を半減させる」という目標を掲げていたが、成果が出ているとは言い難い。
昨今はCO2排出やアーバン・ベアばかりメディアを騒がせるが、鹿の食害による山林の生態系破壊こそ、同じかそれ以上に喫緊の課題哉。
かつて秩父山塊には鹿を狩る日本狼がいたが、とうに絶滅している。一面の笹原に刻まれた無数の鹿道を見て、遣る瀬無い気持ちになった。
気を取り直し、人気の笠取山へ急坂を登る。山頂からの展望は見事。しかし、ここから西御殿岩までの縦走路は、前夜の雨を貯めた笹藪で靴からズボンまでずぶ濡れになってしまった。
雲取山へと続く主稜線を北へ外れ、いよいよ本山行のもう一つのハイライト、和名倉山(白石山)を目指す。
小屋の主人が「単独峰のような巨大な山」と評した通り、圧倒的な質量感を持つ山容だ。
まず東仙波から支稜線の先端にあるカバアノ頭を往復する。ここでふと時計を見て焦りが生じる。
これまでノンビリのツケが回り、このままでは秩父湖発の最終バスに間に合わない可能性が出てきた。ここからギアを上げる。
石楠花が点在する樹林帯を抜けると、唐松と草原が広がる独特な植生へと変わる。二瀬分岐を東へ折れ、ついに和名倉山頂に到着。
陽が差し込まない苔生した山頂は、展望こそないものの、人気がない幻想的な雰囲気が漂っていた。まさに奥秩父最深部だ。
二瀬分岐まで引き返し、二瀬尾根を通って秩父湖への下山にかかる。ここからが本当に長かった。和名倉山の長大さを身をもって知ることになる。
踏み跡は薄く道幅も狭い。実際に道迷いが多発しているというのも頷ける。
黙々と高度を下げ、ようやく秩父湖のバス停に到着。最終より一本前のバスに乗れた。
なかなか中身が濃くハードな2日間だった。
梅雨の晴れ間と曇天が織り交ざる空模様だったが、久しぶりに縦走山行を堪能した。
いつか奥秩父主稜線を繋げて歩きたいと思う。