波の音と寄り道と。ゆるくて心に残る山陰海岸の旅
久松山・本陣山・摩尼山
(鳥取)
2025年11月22日(土)〜23日(日)
2日間
家を出て朝7時に鳥取砂丘へ着くつもりだったのに、眠気に負けて途中で仮眠してしまい、結局30分遅れのスタートになった。駐車場に到着してふと横を見るとニツ山が近くにあって、軽い気持ちで登ってみることにしたが、予想以上に急斜面で苦戦。最初の寄り道でいきなり汗だくになり、気づけば砂丘には1時間半遅れで到着することになった。それでも朝の砂丘は金色に輝いていて、風が砂をなでる音だけが響く静かな世界が広がっていた。ここから海岸線を歩いていこうと思ったが、なぜか「車大丈夫かな…」と急に心配になり、少し進んでは戻り、また歩いては戻るという謎の往復を繰り返してしまったのは自分らしいのかもしれない。駟馳山へ向かう途中では滝ヶ磯と牛ヶ首が崩落で通行止めになっていて行けなかったのが残念だったが、その分だけ先に進んだ鴨ヶ磯への道が圧巻だった。海食崖と青い海、岩が刻む模様、吹き抜ける風がすべて混ざり合って、まさに“ジオパークを歩いている”という実感が湧いてくる。鴨ヶ磯の透明度の高い海は本当に美しく、思わず何度も立ち止まって見入ってしまった。いわし山では登山口の目の前に車を停められて楽だったが、すぐに現れた朽ちた木のハシゴがものすごくグラグラしていて少しスリリングだった。海と大地の自然館では大王イカや動物の剥製が展示されていて見ていて飽きず、山陰海岸ジオパークの成り立ちを詳しく知ることができて歩いてきた景色と知識がつながっていく感覚があった。夕方は山陰最古級の湯と言われる湯かむり温泉へ。古い建物に入る瞬間から静かな空気が流れ、ぬる湯と熱湯を交互に楽しむと全身の疲れがじんわり溶けていった。温泉の近くにあった「さんやん」は唐揚げ定食もおでんも美味しく、店の人も優しくてまた行きたくなる店だった。夜は浜坂白馬公園の広い駐車場で車中泊し、静かな夜の中で波の音を聞きながらぐっすり眠れた。2日目は朝5時半に起きて矢城ヶ鼻灯台へ向かった。登山道を歩いていると、ほぼ垂直の山肌から鹿が突然飛び降りてきて登山道を横切り、そのまま山を下っていくという衝撃的な出来事があった。あまりの一瞬の出来事にびっくりしたけれど、どこか笑ってしまうような場面だった。今子浦では穏やかな海を眺め、大引の鼻展望台から見る景色も風が澄んでいて気持ちよかった。その後は竹野駅から電車に乗って城崎温泉へ向かう。街並みはどこか倉敷の美観地区に似ていて、川沿いに並ぶ建物がレトロで美しく、人の多さも相まって独特の温泉街の活気があった。外湯は半分しか開いていなかったけれど、一の湯の洞窟風呂は雰囲気があって旅の途中の癒しにぴったりだった。竹野に戻り、車で立岩へ向かうと、海に突き刺さるようにそびえる巨大な黒い岩が現れ、その存在感に圧倒された。まるで島がそのまま立ち上がったような姿で、近づくほど迫力が増していく。旅の締めにふさわしい景色だった。最後は道の駅てんきてんき丹後でご飯を食べ、車で仮眠を取りながら旅を終えた。ゆるくて笑える瞬間もあり、ちょっとしたスリルもあり、最後には静かな感動が残る、そんな2日間の小さな冒険だった。