Norm〜上日川峠→笹子雁ヶ腹摺山
大岳山・御岳山・御前山(東京,山梨)
2026.06.14 (日)日帰り
ソロ山歩 サッカーワールドカップが開幕した。おぎやはぎも言っていたけれど日本代表戦以外の試合でさえも楽しい。ハイライトだけだけど。睡眠は大事。ともあれ外国人は躍動しているように見える。日本代表は諸外国代表に太刀打ちできるのかと悲観的になるけれど、オランダ代表と戦っても競り負けないのだから、今回も何かやってくれそうな気がする。 甲斐大和駅で降りた。大月駅から乗ってきた青年がドアの開閉ボタンに気づかないでいた。青年とは上日川峠行きのバスで隣になった。景色は何十分も変わらない。青年は大きな声であくびをした。そしてよくわからない言葉を発していた。うるせえなって隣をよく見たら外国人で、スペイン代表のユニフォームを着ていた。 大菩薩嶺はぬかるんでいた。いつの雨なのだろうかと考えているそばから雲が立ち始めた。晴れるんでしょ?と上から声がした。晴れるんですか?と心の中で尋ね返した。まあ。まあ?おうむ返し。熊沢山、天狗棚山を通り、綺麗な稜線に出た。曇っていても楽しい世界だった。林の中に入ると濃霧でほとんど何も見えなくて、岩や木に滑ったり鹿にぶつかりそうになったりして、小金沢山に着いたときには撤退の文字が頭に浮かんでいた。 どこで下りようかと悩んでいる中でも綺麗な稜線に立っているのがわかり、濃霧の中でその先の牛奥ノ雁ヶ腹摺山や黒岳と踏んでいくと、徐々に霧が晴れていき、遠くの道が見えるようになった。撤退はしませんと心に決めて、白谷ノ丸と白谷小丸を踏んだ。この道は以前来たことがあるが、万全な記憶ではないけれど、通ったことがあるという安心感があった。ただ前回と異なるのは圧倒的な人気のなさだった。 宇都宮市に熊が出たことと関係しているのだろうか。天気も関係しているのだろうか。続け様に人とすれ違ったオレンジ色の記憶はセピア色に塗り替えられていった。ううむ。寂しい。赤い鳥獣保護区の看板が恐怖感を煽ってきた。熊鈴は小金沢山からずっと鳴りっぱなしだった。 湯ノ沢峠周辺の大蔵高丸やハマイバ丸は防護柵が設けられていて、それは自然を保護するためのものだったが、ニンゲンしか通れないことを表していて安心感があった。素人の目には何が貴重な植物かわからなかったが、この道がニンゲンにしか通れないことが貴重に思えていた。 大谷ヶ丸へ。人気がないうえに、泥道に獣の足跡があった。山道の方向からは逸れていた。足跡は直近のニュースで見たものと似ていた。大谷ヶ丸から先は未知だったけれど、以前に滝子山から歩いてきたときよりも道が明瞭で、とても歩きやすかった。恐怖と戦うためにただ単純に集中していただけかもしれない。大鹿山まで来ると、街が近くに見えていて、生活音が聞こえてくるような気がした。 お坊山や笹子雁ヶ腹摺山までは遠かった。ここだけで大菩薩峠から大谷ヶ丸までの道のりをギュッとまとめたような疲労感があった。獣や悪路への緊張感が解けて、笹子雁ヶ腹摺山からの下りはとてつもなく長く感じた。 笹子駅に着いて活動を終了した。電車までかなり時間があったため、笹一酒造を訪れた。日本酒を試飲して、350mlの小瓶を購入した。自分の好きな、にごり酒は1ヶ月後からの販売とのことだった。豊臣兄弟での黒田半兵衛の熱演に目をうるうるさせながら、日本酒の一滴が染み込んでいった。 先週の八ヶ岳に比べて人気がなく、かなり静かな山歩になった。マスコミにさんざん煽られて負けてたまるかと踏み出した足も、山が深くなると独りでは怖いと感じるようになった。ソロのときは絶対的に人気のあるところに行くのが自分の新しいルールになりそうだ。





