13:44
22.3 km
2288 m
[⛰️岩場🪨鎖場⛓️キレット🧗雪渓❄️ごちゃ混ぜ😅]横峰・地蔵山・三国岳・種蒔山・草履塚・飯豊山
飯豊山・大日岳・御西岳 (福島, 山形)
2026年05月17日(日)〜18日(月) 2日間
こんにちは〜✋ 日本百名山シリーズその78❗️ というわけで今回は、東北を代表する巨大山塊、飯豊山へ行ってまいりました! この山を一言で表すなら――とにかくハード。 最低でも高低差は約2000m、行動距離は20km超え。そして時期によっては深く残る雪渓、痩せた稜線、岩場のキレットなども現れます。体力・判断力ともに求められる、間違いなく“登りごたえ抜群”の一座です。 ・飯豊山ってどんな山? 飯豊山は、東北を代表する巨大な山岳地帯であり、日本百名山にも選ばれている名峰です。最大の特徴は、その圧倒的な山深さとスケール感。「東北のアルプス」と呼ばれることもあり、実際に歩いてみると、その呼び名にも納得させられます。 まず、登山口から山頂までがとにかく長い。一般的な百名山の感覚で入山すると、そのスケールの違いに驚かされます。日帰りも不可能ではありませんが、基本的には避難小屋を利用した縦走スタイルが主流。山域全体が非常に広く、“山の中へ深く入っていく感覚”を味わえるのが飯豊山の大きな魅力です。 樹林帯を抜け、長い稜線へ出た瞬間には、どこまでも続く山並みが視界いっぱいに広がります。「歩いても歩いても、まだ山が続いている」。そんな感覚を本当に体験できる山域です。 また、夏には高山植物が非常に豊富で、美しいお花畑でも知られています。一方で、山域の広さゆえに天候変化は非常に激しく、ガスや強風に包まれることも珍しくありません。晴れていたと思ったら一気に真っ白――なんてことも普通に起こります。 さらに、雪渓、水場、避難小屋、長大な稜線など、本格登山らしい要素が非常に濃いのも飯豊山の特徴。単なる“山頂を踏むだけの山”ではなく、「山の中で過ごす時間そのもの」が魅力になっている山だと感じます。 朝焼けに染まる稜線、谷から湧き上がる雲海、夕暮れの静寂。そうした一つ一つの景色が非常に印象深く、派手な尖峰というより、“懐の深い巨大な山塊”という表現がしっくりくる山でした。 僕が今回使用したのは、御沢登山口から飯豊山を往復するピストンルート。飯豊山へ向かうルートの中では比較的最短ルートとなりますが、それでも感想は一言、「普通にきつい」です。 御沢の駐車場は約60台ほど駐車可能。駐車料金は無料で、登山口としてはかなり利用しやすい環境です。また、野営場も併設されており、テント泊や車中泊も可能。1泊あたり1200円となっています。 訪問時期はまだ営業前だったため、管理センター自体は稼働していませんでした。ただし扉は開放されており、登山届の提出などは可能な状態。炊事場もありますが、水道水(おそらく沢水系統)は飲用不可となっていました。 すぐ横には沢が流れているため、下山後に靴を洗ったり、軽く泥を落としたりするには便利です。 なお、携帯電波は4キャリアとも圏外。登山口の時点で完全に電波が入らなくなります。多目的トイレは閉鎖されていましたが、通常トイレは利用可能でした。 周囲はまさに深い山奥。野生動物の気配も非常に濃く、クマへの警戒は必須です。さらに、登山口でエンジンをかけていると、熱に引き寄せられた虫が大量に集まってきます。想像以上に寄ってくるので、到着後はなるべく早めにエンジンを切るのがおすすめですよ。 ピークハント山:横峰・地蔵山・三国岳・種蒔山・草履塚・飯豊山 山レポ ・登山口~横峰~地蔵山~三国岳 駐車場には、日曜日にも関わらず4、5台ほどの車が停まっているのみ。飯豊山という巨大山塊のスケールを考えると、やはり気軽に登れる山ではないのだと感じさせられます。先ずは「登山口」の表記に沿って林道を進みます。登山口には看板と森林生態系保護地域の看板が設置されていました。 林道へ一歩踏み入れた瞬間、周囲の空気がふっと湿り気を帯びたように感じます。確かに、道の両脇にはシダ系の植物がびっしり。いかにも“深い東北の山”という雰囲気です。ふと足元を見ると、紫色の花、ラショウモンカズラがひっそりと咲いていました。こういう何気ない花を見ると、長い登山の始まりにも少し気持ちが和らぎます。 林道は保守道も兼ねているようで、車の轍部分だけ植物が生えておらず、歩きやすさがあります。しばらく進むと、右側を流れる沢とクロス。橋を渡ります。橋の上から見えるのは、東北らしい濃く深い緑。そして、大きな岩に沢水がぶつかり、白い泡を立てながら流れていく光景。まだ登山が始まったばかりなのに、既に「来てよかったな」と感じてしまいます。 橋を渡ると、ほどなくして分岐が現れます。立派な「飯豊連峰案内図」、小さな祠、そして峠を示す看板。大滝方面2.3km、下十五里0.8kmの表示があります。もちろん進むのは下十五里方面です。 この“十五里”という呼び名、いかにも飯豊らしくて良いですよね。昔の登山道や信仰登山の名残とされている名称らしく、「山奥へ進んでいく感覚」をどこか象徴しているようにも思えます。実際、歩いていると数字以上に“深い山へ入っていく感覚”があります。飯豊連峰という巨大山域のスケール感を感じさせる、独特な名前です。 ここから、さらに森は深くなっていきます。下山時には既に夏山の匂いが漂い、ヒグラシも鳴いていました。静かな森の中を歩いていくと、やがて丸太階段が現れます。ここからが、本当のスタート。そんな雰囲気があります。 この木道や丸太階段、かなり年季が入っています。濡れていたら普通に滑りそう。昔、修験道としても使われていたルートというのも納得できます。道には落ち葉が大量に積もっており、傾斜のきつい場所では落ち葉ごとズルっと滑ります。最初は他の山でも見慣れたような普通の樹林帯なのですが、徐々に“飯豊らしさ”が出始めてきます。 やがて現れるのは、ガリー状に深くえぐれた細い登山道。道幅は人ひとりがやっと通れる程度しかありません。しかもガリーの深さは1mを優に超え、側面にはびっしり苔が付いています。変に逆らうより、素直に道なりに進んだほうが安全。横から木の根が飛び出している箇所もあるため、腰や足をぶつけないよう注意しながら進みます。 樹林帯には右側から木漏れ日が差し込み、暑すぎない絶妙な空気感。時折吹き抜ける風も心地よく、気温以上に歩きやすく感じます。道中には巨大なブナの樹が次々と現れ、まるで原生林の世界を歩いているかのよう。太陽と風を浴びたブナの葉は、生き生きと揺れ、まるで踊っているようにも見えます。足元には木の根階段が続き、視界いっぱいに大小さまざまなブナが広がる。飯豊らしい深い森です。 御沢から700m地点で、最初のポイント「下十五里」に到着。ここは比較的大きな広場になっており、大人数でも休憩可能です。ベンチなどは設置されていませんが、ちょうど良い倒木が一本転がっているため、そこへ腰掛けると良いでしょう。 下十五里を過ぎると、樹林帯の緑はさらに深みを増していきます。巨大なブナだけでなく、ミズナラやダケカンバなども増え始め、“東北の奥山”らしい雰囲気がどんどん濃くなっていきます。ただ正直、景色の変化が少ないため、人によっては単調に感じる区間でもあると思います。ひたすら森。ずっと森です。 下十五里から500m進むと、次のチェックポイント「中十五里」に到着。ここも広場状になっており、休憩には十分な広さがあります。 中十五里を過ぎたあたりから、樹林帯の中にふとピンク色が混ざり始めます。山道脇に咲くツツジです。長く続く緑一色の景色の中に突然色が差し込まれると、かなり印象に残ります。春から初夏へ向かう、そんな季節の移ろいを感じさせてくれる瞬間です。 さらに進むと、少しずつ頭上の木々が開ける場所も増えてきます。見上げると、カンカンに照った太陽がこちらを見下ろしているよう。樹林帯とはいえ、気温は確実に上がってきています。 そんな中、ふと現れるのが一本の倒木。巨大な幹が道を塞いでいるわけではありません。細かな枝を無数に広げたダケカンバの倒木です。一本一本の枝はそこまで太くないものの、複雑に絡み合っていて意外と通過が厄介。枝を避けようとして別の枝に引っかかる。まるで小さな迷路のようです。 中十五里からさらに500m進むと、次のポイント「上十五里」に到着。十五里シリーズ3か所は、すべて休憩ポイントになっています。樹林帯はどうしても景色の変化が少ないため、500mごとに区切りがあるのは精神的にもありがたいです。 ただし、ここもベンチなどは無し。基本的には倒木へ腰掛けるスタイルです。日向と日陰が分かれているため、休憩するならなるべく日陰を選びたいところ。夏場はかなり体力を削られそうです。 上十五里を抜けると、左手の樹林帯の隙間から白いピークが姿を現します。それが三国岳。飯豊山へ向かう途中に越えていくピークの一つです。まだこの時点では雪渓そのものには出会っていません。しかし、白く染まった山肌を見るだけで、「あぁ、この先は完全に残雪の世界なんだな」と自然に理解できます。 今度は白い花、オオカメノキも現れます。大きく広がる白い装飾花が特徴的で、緑の森の中でもかなり目立ちます。どこかアサガオっぽい雰囲気もありますが、もちろん咲く季節は全然違います。 足元には木の根が複雑に絡み合ったステップも現れ始めます。これが地味にきつい。特に大きな荷物を背負っていると、一歩一歩の負担がかなり増します。そして、濡れていなくても、長年登山者に踏まれ続けた木の根はツルツル。普通に滑ります。 そしてここで、ようやく現れる残雪。ガリー状の登山道に蓋をするように雪が残っています。踏んだら抜けるのは目に見えているので、避けられるだけ避けながら進みます。 しかし、ここからさらに厄介なのが、深いガリー状の道が一気に増えてくること。両側には背丈ほどの壁。その狭い隙間を縫うように進まなくてはいけません。壁面はほぼ垂直で、足を掛けられる場所も無し。特に下りが厄介です。岩や枝を避けながら、わずかな足場へ足を置くと、「ガリっ」と滑る。かなり神経を使います。 いくつものガリーや障害物を越えていくと、次のポイント「笹平」に到着。上十五里から600m地点です。ここも少し広場状になっていますが、十五里ほどの広さはありません。ただ、ここから雪渓が一気に増えるため、休憩するならこの辺りが最後の落ち着ける場所かもしれません。 笹平を過ぎると、すぐに雪渓が現れます。トラバース部分では、谷側ギリギリまで雪が張り出している場所もあります。雪を避けようとすると崖側へ寄る形になり、滑落リスクも高まるため十分注意が必要です。 さらに厄介なのが、法面側から伸びた枝。その上に雪が積もり、枝が押さえつけられている場所もあります。誤って枝へ乗ると、反動で枝が跳ね上がり、転倒やケガに繋がる危険があります。 次に現れるのは、ピンク色のイワウチワ。厳しい残雪帯の中で見ると、花びらのかわいらしさが余計に印象に残ります。 ここから先は、避けることのできない本格的な雪渓歩きが始まります。登山道は完全に雪に埋まり、左右は笹薮。自然と雪の上を歩かざるを得ません。 そして厄介なのが雪質。登山道の端は雪庇状になっており、踏み抜きやすいため、なるべく中央を選んで歩きます。しかし、それでも足首付近まで沈み込む場面が続きます。 さらに、この時期は先行者のトレースも油断できません。一見しっかりして見えても、突然踏み抜くことがあります。結局最後は、自分で雪の状態を見極めながら進むしかありません。 そんな中、次のポイント「横峰」がふと現れます。雪に気を取られ必死だったので、一瞬に感じました。ただ、この横峰は一つの小ピーク。周囲は木々に囲まれており、特に大きな眺望はありません。 ちなみに現地看板より50mほど先にズレている場所が、YAMAP上のピーク判定地点になっています。確かにそちらの方が“小ピーク感”はありました。 笹平から600m。数百mごとにポイントが現れるため、位置把握しやすいのはかなり助かります。ただ、踏み抜きだけは最後まで油断できません。 横峰を抜けると、徐々に眺望のあるポイントが増え始めます。右手には緑深い山並み。正面には大きな雪渓。そして、その上に刻まれたトレース痕が、「このまま雪渓を登らされるんだな」という事実を教えてくれます。 しかし、既に枝が見えているほど雪が薄い場所もそこら中にあります。抜きそうな場所には近づかない。そんなルートファインディング能力も求められます。 雪渓だけではありません。登山道部分を歩くと、雪解け水でぬかるみや水溜まり状態になっている場所も多く、普通に歩きづらいです。 やがて正面には三国岳。そして、その奥には種蒔山も見え始めます。標高が高い分、種蒔山の方がさらに雪深いのもよく分かります。 やがて、ジョボジョボと水の流れる音が聞こえてきます。右手を見ると、窪地の奥に小さな水の流れ。その場所が峰秀水です。 岩の奥から湧き出した水は木箱へと溜まり、そこから溢れ出る水を汲める仕組みになっています。口に含むと驚くほど冷たく、とても美味しい。長い樹林帯歩きと、踏み抜きを警戒し続けた緊張感が、この一杯で少しずつ解けていくようでした。 この先、水場はありません。出来るだけここで水を確保していきます。 峰秀水で安堵したのも束の間、すぐに再び雪渓歩きが始まります。ここから先は、さらに踏み抜きが多くなってきました。 雪面には、何人もの登山者が踏み抜いた跡が無数に残っています。試しに穴を覗き込むと、その下は深い闇。底が見えないことで、雪庇がどれほど薄く危うい状態なのかが伝わってきます。 一歩踏み外せば、大きく崩れ落ちてもおかしくない。自然と足の置き場にも慎重になっていきます。 しかし悪い事ばかりではありません。景色に目をやると、遠くに白い山々が広がっています。おそらく朝日連峰でしょう。森林限界は近く、正面には真っ白な連峰が広がります。自分が飯豊連峰という深い山の中に身を置いていることを、視覚的に感じる瞬間でもあります。 ただ、眺望が良くなるにつれ、もう一つ大きな問題も発生します。体中に小さな虫が何百匹とたかっていることです。特に頭の周りへ寄ってくるブヨ系の虫。顔へ容赦なくアタックしてきて、本当にうざったい。 虫除けだけではあまり効果がなく、防虫ネットを被って物理的に防御したほうが良さそうです。この虫、山頂までずっとまとわりついてきます。かなりストレス。 しかも皮膚を噛み切って吸血するため、普通に腫れます。人の呼気(二酸化炭素)や汗の塩分に強く反応するので、どうしても寄って来るようです。 そんな中、地蔵山分岐へ到着。目の前に広がるのは、峠を横断するような巨大雪渓です。右へ行けば地蔵山ピーク。左へ下れば三国岳方面。 せっかくなので、10分ほどで取れる地蔵山へ向かいます。雪渓を登っていきますが、やはり滑る。軽アイゼンやチェーンスパイクがあったほうが安心なのは間違いありません。ただ、今回はキックステップ気味に蹴り込みながら進んでいきます。 ただし、山道が細くなっている部分はどうしても踏み抜きやすくなるため注意が必要です。 やがて地蔵山へ到着。目の前には飯豊の山々が何重にも連なっています。東北らしい、巨大で深い山並みです。 分岐まで戻り、今度は三国岳方面へ下っていきます。雪渓下りはここが初。慎重に進みます。歩いていると、雪の下から芽を出すシャクナゲが現れ始めます。踏まないよう注意しながら進みます。 夏であれば普通の平坦な登山道なのでしょう。しかし残雪期のため、雪渓上は横方向へ斜めになっており、非常に歩きづらい。バランス感覚も求められます。 左手へ視線を向けると、福島側の雄大な緑が広がっています。谷筋には大量の雪渓が残っており、この山域の雪深さを改めて実感します。 下りきると、少しの間だけ歩きやすい尾根道が続きます。ハイマツの間を抜けながら進んでいくと、今度は崩れ落ちた法面が現れます。地層がむき出しになった急登です。段差も大きく、なかなか苦労します。 しかし、ここからが本当の飯豊連峰の厳しさでした。 目の前へ現れるのは、岩場の直登。段差も大きく、気が抜けません。そして、それが一か所では終わりません。次々と岩場の登りが連続して現れます。 しっかり足場を見極め、一歩ずつ身体を持ち上げていきます。ここでようやく、「東北のアルプス」と呼ばれる理由が分かってきます。 やがて、両側が切れ落ちたキレット状の岩場へ。しかも、その岩の上を歩いて進まなくてはいけません。重い荷物を背負っているため、普段以上に緊張感があります。 心を落ち着かせるため、一旦視線を遠くの山々へ向けます。目の前のピークを見て、「今からあそこへ行くんだ」と自分へ気合を入れ直します。 そして、その直後に現れるのがクサリ場の直登。 息を飲みながら、両手両足を使って岩へしがみつきます。ここは普通に難所。気を抜けません。 やがて、緊張感を少しだけ抜けるポイント、「剣ヶ峰」へ到着。地蔵山分岐から1.6km地点です。 法面側へ目を向けると、厚さ1m以上はありそうな巨大雪渓が残っています。どんどん雪深くなっていくことを認識する瞬間です。 三国岳はもう目の前。しかし、簡単には辿り着かせてくれません。 再び現れるクサリ場。キレットに近い岩場。剣ヶ峰から先の200mはかなり長く感じます。 道中には水場もあるのですが、この時期は完全に雪の下。別の稜線へ目を向けると、巨大な雪庇が飛び出しているのも見えます。 こういう景色を見ていると、「絶対に端へ近づかないようにしよう」と自然に自分へ言い聞かせることにも繋がります。 長い200mを抜けると、ようやく三国岳へ到着。 山頂には三国岳小屋が建っており、小屋の表と裏、両方から素晴らしい景色が広がっています。 表側からは南方面の景色。燧ケ岳、磐梯山、西吾妻山などをくっきり見渡すことが出来ます。 そして裏側。 何と言っても正面に広がるのは、この旅の目的地、飯豊山。そして、そこへ続いていく長大な稜線です。 「あそこまで行くのか……。」 そう思わずにはいられないほど、遠く、深く、そして大きい。 小屋前には桜も咲いており、休憩にはぴったりの空間になっています。 三国岳小屋は2階建てで、冬季でも2階から出入りできる構造。この時期は無人ですが、避難小屋として開放されています。 お手洗いも設置されており、協力金は100円となっています。 ・三国岳~種蒔山~草履塚~飯豊山 三国小屋の裏手から、本山方面へ向かいます。ここから一旦、稜線を下っていきます。そして、この先から残雪状況によって難易度が大きく変わる区間が始まります。 少し進むと雪渓が現れ、そこから先は一般登山道と残雪上のルートが交互に続く形となります。しかも雪は数m単位で積もっているため、一般登山道へ復帰する箇所がかなり厄介。ハイマツ際を歩けば踏み抜きの危険があり、逆に雪が厚そうな外側へ寄れば雪庇の上を歩くことになります。 どこまでが安定した雪なのか。どこから先が空洞化しているのか。そういったことを見極めながら進む必要があります。 最初に現れる雪渓も、雪面から一般登山道へ戻る段差が1m以上あり、乗り移るだけでもなかなか神経を使わされます。法面側の雪渓を見ると、数m積もった雪の下部分だけ溶け、まるでトンネルのようになっている場所もあります。 その後も、やはり踏み抜きは発生します。一般登山道へ合流するように細くなっている部分は、近づくだけでそのまま崩れ落ちていくこともあります。崩落する前提で、少しずつ慎重に近づいていきます。 そしてここで現れるのが、今回一番の難所かもしれません。 2つのハシゴ場とクサリ場が合わさった、数mの直登岩場です。登りよりも、むしろ帰りの下りの方が気を遣います。 特に下側のハシゴはボルトが外れている箇所も多く、そのまま真正面から使うより、左側の少し傾斜が緩い場所を利用しつつ、クサリを上手く使って登った方が安全そうです。上側のハシゴは比較的しっかりしているので、素直に利用させてもらいます。 難所を抜けても、雪渓と一般道の連続は終わりません。ただ、道脇にはカタクリが咲いており、ピンク色の花が張り詰めた気持ちを少し落ち着かせてくれます。 次に現れるのは、雪渓の壁。山道を塞ぐように、2m近い高さの雪が立ちはだかっています。端のハイマツへ掴まりながら、どうにか低い場所を探して乗り上げていきます。かなり段差が大きく、体力を使います。 しかし、その分、稜線から広がる景色は言葉に出来ないほど美しい。 やがて「七ツ森」というポイントへ到着。三国岳から1km地点です。標高を上げるごとに、雪渓を歩く頻度もどんどん増えていきます。時折、クラックのように割れた箇所もあるため、近寄らないように進みます。 そして再び難所。 ほぼ直登と言っていいほど傾斜のきつい雪渓が現れます。キックしても滑り、なかなか登れません。ここは正直、スパイクが欲しいところ。 何より恐怖を感じるのは下りです。 個人的には、今回一番体力を削られたのがこの辺りかもしれません。 気づけば、途中まで合流していた一般登山道もほとんど消え、完全に雪渓の上を歩く世界になっています。白銀の世界が正面いっぱいに広がり、緑と白の割合は完全に逆転。 ただ、悪いことばかりではありません。視界を遮るものが少なくなることで、周囲の山容は非常に見やすくなります。 なだらかなカーブを描く雪渓。その白い斜面をひたすら歩いていきます。この辺りは雪がかなり厚いため、トレースを素直に追っていくことも可能です。 本山も徐々に近づき、ようやく“射程圏内”という感覚が出始めます。眼下には山小屋も見えてきて、少しだけ安堵感も出てきます。 しかし、そう簡単には進ませてくれません。 雪渓の谷を横断するポイントが1か所あり、ここも傾斜がきつく苦戦します。急斜面を下り、ハイマツ帯を抜け、再び雪渓を登り返す。ここはキックステップでなんとか突破です。 やがて大日杉分岐が現れます。ここは大日杉方面との合流地点。分岐を進み、大きなケルンを抜けると、小ピークのような場所へ出ます。 ここからは大日岳が正面に広がり、真っ白な飯豊連峰が目の前に展開します。本山も綺麗に見渡すことが可能です。 小ピーク状の丘を越えると、次の避難小屋「切合小屋」へ到着。この小屋も2階建てで、冬季は2階から出入り可能な構造になっています。 この時期はオフシーズンのため、無人の避難小屋として開放されていました。扉前にはまだ巨大な残雪が残っており、建物裏はテント場になっています。 水場は止められており利用不可。奥にはお手洗いもあり、4つのうち3つが夏山シーズン用、1つがオフシーズン用になっています。お手洗いチップは100円です。 この小屋から再び登り返し。 感覚としては、ひたすら長いスキー場ゲレンデを登っているようです。傾斜もそこそこあります。1743mの避難小屋から、1908mピークまで一気に標高を上げていきます。 途中、左手をよく見ると、実はハイマツ帯奥に通常登山道があります。雪渓ばかり目で追っていると、かなり気づきづらい。 正直、途中から通常登山道へエスケープした方が登りは圧倒的に楽です。僕はそのままキックステップで雪渓を登り続けてしまいました。帰りになって「別ルートあったのか……」と気づきます。 やがてピークへ到着。「草履塚」です。 稜線上のピークなので景色は非常に良好。ここまで来ると飯豊山がかなり近く感じられます。 ……ただ同時に、飯豊山との間にある深い谷を見て嫌気も差します。 「まだあそこまで降りて、また登り返すのか。」 そう思わされるスケール感です。 一般登山道とは別に、雪渓を下っていきます。そして途中、コルへ近づく手前で山道を発見。やはり雪の無い山道は圧倒的に歩きやすい。 道は両側をハイマツや笹薮に囲まれており、風を遮ることも出来ます。ガレ場混じりの山道を下っていくと、正面には飯豊山から大日岳へ続く稜線がどこまでも広がっています。 ザレ場も混じるため、滑らないよう注意。 やがてコルへ到着。草履塚から500m地点、「姥権現」というポイントです。赤い布を纏ったお地蔵さんが鎮座しており、その濃い赤色がとても印象に残ります。 御秘所というポイントを抜けると、再び登り返しが始まります。 久々に現れる岩場。キレットのような細い場所。そしてザレ場、ガレ場。最後まで気が抜けません。 やがて現れるのは、大きな岩が積み重なった巨大ケルンのようなポイント。ピーク感を漂わせる特徴的な場所ですが、特に名前が付いているわけではありません。 さらに進むと、山頂手前最後の避難小屋が現れます。ここにも水場はあるのですが、やはり雪の下。視界には広大な雪渓が広がるだけです。 ここから先は比較的ゆったりした道が続き、最後の小屋「本山小屋」へ到着。 この小屋も2階建てで、2階からアクセス可能。外には飯豊神社、お手洗い、ベンチが設置されています。ここもまだ営業前でした。 標高は2105m。ここまで来れば、本山はもう目の前です。 最後の力を振り絞り、一つ先のピークへ向かいます。 ……ただ、最後まで簡単には登らせてくれません。 広くゆったりした稜線から、再び細くなる登山道。そして現れる残雪。しかも、一見歩きやすそうな“ちょっとした残雪”に見えるのが逆に厄介です。 周囲には踏み抜き跡が大量。ピーク目前で気が緩む人もいるのかもしれません。 ハイマツに挟まれた細い山道は水溜まりになっている場所もあります。しかし避けるスペースが無く、そのまま突っ切るしかない場面も多い。 最後まで足元へ注意しながら進み、遂に飯豊山山頂へ到着です。 山頂には山頂看板、三角点、そして祠があります。標高は2105m。なんと本山小屋と全く同じ標高です。 山頂からは、飯豊連峰の雄大な稜線が幾重にも連なり、まるで空の上を歩いているかのような景色が広がっています。 条件が良ければ朝日連峰や吾妻連峰まで見渡すことができ、足元には深い谷と広大な残雪。飯豊山域という巨大山塊のスケール感を、最後まで全力で感じさせてくれる景色でした。 という訳で山レポでした! まだまだ雪渓の残る飯豊山。改めて、“東北の豪雪地帯”という事を全身で感じる山旅でした。特に峰秀水以降、水場が全て雪の下に埋まり使えないという状況は、想像以上に難易度を引き上げてきます。水の残量を常に気にしながら歩く時間も長く、飯豊山域の深さを感じさせられました。 また、三国岳以降は雪渓と夏道が何度も交差し、「どちらを進むべきか」を常に考えさせられる内容でした。踏み抜き、雪庇、急傾斜の雪渓、そして岩場のキレット。単純な体力勝負だけではなく、ルートファインディング能力や状況判断も求められる山だと強く感じます。 ただ、その厳しさがあるからこそ、稜線から見える真っ白な飯豊連峰の景色は圧巻でした。歩いても歩いても続く山並み。深い谷。そして広大な残雪。まさに「東北のアルプス」と呼ばれる理由を、身体で理解できる山旅だったと思います。 正直かなりハードでしたが、それでもまた歩きたくなる。不思議な魅力を持った山域でした。 インスタグラムで毎日山の動画を上げているので、良ければ是非ご覧ください😄 https://www.instagram.com/mizu.outdoorman/?hl=ja
