天然記念物★海跡湖の『須賀利大池』へ
熊野古道 伊勢路③
(三重)
2023.12.10(日)
日帰り
ここを訪れたくなったきっかけは一つのレポート。
相互フォローさせてもらってるグリーンさんが挙げておられたレポで、あまりにも山が美しく池に映りこむ写真にくぎ付けになってしまって…(✪▽✪)
それはまるで東山魁夷の描く湖畔に映る緑の木々の絵のごとくで、静寂な山奥に、美しい水鏡の池がひっそりとあり、その水は周囲の景色を映しこみ、七変化の色の鮮やかさ見せてくれていて…。
いったいどこだろう?尾鷲市の飛び地、島勝(しまかつ)半島の西南部にあり、須賀利(すがり)という地区らしく。
海の熊野古道といわれ、昭和57年に県道が開通するまでは、陸の孤島だったとのこと。
江戸時代には大池の池畔に人が住んでいた痕跡の元須賀利地区があり、今は参道の痕跡と鳥居、社護(しゃご)神社を残すのみ…。
調べていたら、どんどんいろんなことがわかって、とても興味深くなっていました。
サイト引用させてもらうと…
この須賀利大池は「海跡湖」といい、かつての海の一部が陸地に取り残されてできた湖沼のことで、もともとが海だった様子。国指定の天然記念物で、現在は淡水池。
最終氷期(約7万年から1万年前)以降の温暖化に伴う海面上昇により陸地に侵入した海が、地殻変動や潮流変化によって堆積した砂州や砂礫の発達で閉ざされ、約3500年から3300年前に形成されたと考えられています。
周囲を山に囲まれ、海水は入ってこず、河川も流入、流出しない状態。それゆえ、堆積物が良好な状態で保存されてるらしく。
けれど、海だった所が閉じて池になった後も、何千年もたってるのに、池から、海の砂、海洋性プランクトンや貝の死骸が見つかってる事実があるとのこと。それはなぜか?
大学の研究グループによると、数mほどの台風の高潮レベルでは、池が外洋に開けた部分からの海水の侵入は考えにくく、過去の巨大地震によって発生した大津波によって、海岸や海底の砂などを運び、池の底に堆積させ、『津波堆積物』となったのではという分析。
いわゆる“津波の化石”が、かつての海跡湖から膨大な年月を経て、池の泥土堆積と共に、池に眠ってるんですね。
須賀利大池の底からは、過去2400年間に十数回の大津波によるとみられる堆積物が確認されてるようです。
一見して、普通の池なのに、自然の猛威によって形成されてきた池の中の地層の歴史はものすご~く深く。
そんな神秘な池、いったいどんな景色が待ってるのだろう、とワクワクでした(*^^*)
まずは最初にyamapのピーク、日和山に登ってから、大池を目指します。
尾根沿いに歩く道は、ヤマップ上では一切破線もなく、方角と軌跡、ピンクテープが頼りです。
大池、小池、という標識は頻繁にあり、進行方向を見定めて、ふみ跡を意識して歩きました。
岩ゴロゴロの海岸線を歩いて潮風をうけたり、池のほとりをトラバースしたり。短距離ながら景色は豊か。アップダウンもあり、全体的に、距離の割には歩いた印象。
メインの目的地、大池に映る景色のリフレクションが見たかったので、太陽を背にして歩こうと、最初に池の南側から東側へ歩きました。
美しき自然美の色、無風のときは、池の水がまるで鏡です!無風日がお勧めです!
水面に映る山の景色は、本物の景色にさらに光沢がはいったように、美しく煌いて、もううっとりでした!
ここがかつての海底、そして、今や淡水ながらも、津波が侵入したなんてなぁ…と想像を膨らませてしまいます。
透明度高い池の水には、鯉が悠然と泳いでいました、水深は6mほどだとか。
そして池と海をつなぐ、汐越岩へ。海に繋がる岩壁を、へっぴり腰の私は這うように歩いていくと、熊野灘の荒々しい海岸線が…!
わぁ~海です~!くまのなだぁ~!やっぱりいい!!何度も訪れてきた熊野灘、ほんと大好きです!(✪▽✪)
静寂と躍動。振り返ると静かなる大池、目の前は岸壁を洗うような白波たつうねり。
怒涛の潮騒。
同じ場所で、目線をかえるだけで、同時にエネルギーいっぱいの景色がみれました。
大池の西端には、鳥居と祠が残る社護神社という社跡が。
目を見張ったのは、今や倒木、雑草も生えた足元にも、かつて、ぎっちりと石が敷き詰められた石畳の参道跡が…。
石畳は長く伸びていました。当時、繁栄していた漁業、その海の無事を願う祈りの地だったのでしょうか。ご神木跡のような個性的な木も生息し、石に混じって足元には一升瓶のかけらも見受けられました。
大池の東端まで歩き、再び海岸線へでて、遅いお昼ご飯にしました。
帰りは、こんどは池の北側を歩いて戻ります。西陽が傾いてきた太陽が、またもや池に景色を映しこみ、色合いが暖色に包まれて…。
この日は終始、水景色にうっとりの山あるきができました。
遠い尾鷲の地で、静かに年月を経てきた池に出会い、その美しさの背景に眠る、長き歴史を知ることができて…。
ネットですぐ調べられる情報は本当にありがたく、好奇心を満足させてくれ、景色と思い出が、地形の知識と絡み合って、あたまに刻まれていくのが、また面白くて…。
知らなかった日本の景色、そして歴史と風土。
未知との遭遇、知ることの楽しみ!
この日も、素晴らしい時間に感謝でした(*^^*)