11:20
24.6 km
1453 m
絶景は心に翼を生む コスマヌプリ・美真岳 BC
十勝岳・富良野岳・美瑛岳 (北海道)
2024.04.07(日) 日帰り
コスマヌプリはトムラウシ山とオプタテシケ山の間にある標高1,626mの山だ。 美真岳は通称で、コスマヌプリとオプタテシケ山の間にある標高1,668mの十勝連峰の主稜線だ。 バックカントリーでは極めてマイナーなコースで、YAMAPで検索しても2件しかない。 林道歩きは平たんで長い。総距離は24キロを超える。 日の出前からスタートするため、ぼくたちパーティ5人はトノカリ林道の除雪終点にテントを張り、小さな宴会を開いて早々に就寝した。 午前5時前、東の空はオレンジ色に輝き、晴天の希望がいっきに膨らむ。林道歩きはにぎやかだ。とはいっても人の声ではない。雪解けで豊かな水をたたえながら流れる川が、音の大きさというよりも春のにぎやかさを静かな森に響かせている。 ぼくは見込みを誤った。 ひとつはバックカントリーで初めて経験する長い林道歩きで靴擦れが起きたこと。パーティの先輩によると、気温が高くなると汗をかくため靴擦れしやすいという。ふたつめは気温上昇で水分が足りなかったこと。雪をボトルにいれて溶かしながら飲んだが間に合わず、パーティの先輩にペットボトルのお茶を数口いただいた。 ぼくより年齢が上の先輩たちはガンガン登っていて、遅れがちになる。申し訳ないという思いと悲鳴を上げる太ももに耐えながらも、心は青と白の景色に奪われていた。 そしてコスマヌプリ山頂。そこから見えた景色は絶景だ。東にはトムラウシ山、ニペソツ山、北には旭岳や忠別岳、南には悠々たるオプタテシケ山が迫る。大雪山・十勝連峰の真ん中に自分がいるようだ。この景色を見られただけで、苦労して登った甲斐がある。 雪質は刻々と変化する。朝方はカリカリに凍っていたが、太陽が上がるにつれて表面が解けて、「腐った」状態となった。それでもドロップした東斜面のオープンバーンは迫力があり、どこまでも滑っていけそうで、まるで翼が生えたような自由を感じた。 人を寄せ付けぬ厳しい大自然の絶景に身を委ねると、ひとは自由を感じるのかもしれない。 ※写真は他のパーティメンバーが撮影したものもあります