塩見岳・蝙蝠岳(新倉→伝付峠→二軒小屋→三伏峠→鳥倉)
仙塩尾根を歩いたときに南東方向に伸びる稜線が見えました。蝙蝠尾根です。 白峰南嶺の笹山を歩いたときも塩見岳の手前に見える稜線がそれで気になっていたのですが、いかんせん遠くて行きにくいです。 わざわざこのためだけに塩見岳を経由して往復する気にもなれず、いつどうやって行こうかイメージしかねていました。 また、一方で地図を見てみると伝付峠(転付峠)という見たことのある名前が見えます。 なんでもかつては人の往来があった街道らしく、かつ南アルプス南部へ入山するための代表的な入山口だったとの情報も見つかり、こちらはこちらで味わい深そうです。 交通アクセスを調べてみると、伝付峠から三伏峠へ抜ける行程で蝙蝠岳に登れそうです。 破線ルートを多く含むこと、宿泊場所が定まらないことなど不安要素もありますが、この夏の挑戦として今回計画してみることにしました。 実際に歩き始めると行程は確かに楽ではありません。 特に序盤は南アルプスらしく地盤が軟弱な崩壊地です。 八丁峠(内河内のコル)までの急斜面は、岩山や雪山を除くと今まで経験した中で一番の急傾斜地だったと思います。 足元は不安定だし、下りで疲れている状態では絶対に通りたくないくらい危険を感じます。 それ以降は破線ルートといっても目印は充実しているし、ここより歩きにくい実線ルートはいくらでもあると思える程度の道です。 ただ、ひたすら長いし楽ではありません。 伝付峠を越えて静岡県に入ると二軒小屋まで道は歩きやすいし、蝙蝠尾根も想像していたほど大変な道ではありませんでした。 大変だったことといえば伝付峠の水場で靴が浸水して乾かなかったこと、徳右衛門岳手前の水場で取水できなかったこと、装備ミスで寒くてあまり眠れなかったことです。 道のりよりもこの辺りで心が折れかけました。 翌朝は日の出前に森林限界を越え、晴れた稜線の景色を存分に楽しむことができました。 雲海に浮かぶ富士山に、間近に見える荒川三山、蝙蝠岳、塩見岳と迫力満点です。笊ヶ岳や烏帽子岳の稜線も見えます。 前日はこれと言って景色を楽しめることもなく辛さが際立っていたのですが、念願の蝙蝠岳山頂に辿り着いたときにはやはり歩いてみてよかったと思うのでした。 このまま塩見岳まで進むと仙塩尾根の向こうに仙丈ヶ岳、甲斐駒ヶ岳、北岳、間ノ岳、農鳥岳まで見渡せ、やはり南アルプスはいいよなと感じます。 とにかく遠いし樹林帯続きだし、なかなか目的地に辿り着きませんが、苦しんだ後に報われる感じが南アルプスらしく歩き甲斐があります。 なかなか気軽には来られませんが、とても充実した山旅になりました。







